もしも、あの時出会っていなければ、苦しまなくて済んだだろう。
もしも、あの時話さなければ、出会う事もなかっただろう。
もしも、生まれてなければ、出会う事も悲しむ事もなかっただろう。
出会いというモノは喜びや悲しみが混ざっているような気がする。好きになってもらいたいから、あの手この手でアピールをするのだ。誕生日に花をあげるのも記念日に指輪をあげるのも全て好かれたい為だけである。
私は仕事の休みがあるたびに町外れの温泉に行く。好きな人を忘れる為なのか。体を休める為なのか。分からなくなった。要するに私には安静が必要なのだ。
黄葉が色づき始めた秋の空。のんびりと遠回りをして、景色を見ながら車を走らせていた。クネクネと曲がった道を抜けると、そこには古びた温泉宿がある。
ドアを入るとおばさんが立っていて、しゃがれた声で「いらっしゃいませ。」と言った。隣には温泉の切符を買う自販機があり、お金を入れて、店の人に差し出す仕組みだ。おばさんに切符を見せて、中に入った。
室内の温泉が二つあり、そこを通って外に出ると、露天温泉がある。露天風呂に肩まで浸かると、深いため息が漏れた。
真正面に、「天然温泉で肩こりやリュウマチに良い」と看板に書いてある。ふと、恋の病気にも効くかなと思ったが、効く筈はなかった。
お釈迦様でも草津の湯でもという歌がある様に、恋の病気だけは、どんな事をしても治らないという事なのだ。
温泉に浸っていると、塀の向こうから若い女性の話し声が聞こえて来た。友達と来ているのだろうか。ワイワイと女性の体の部分について話しているみたいだった。
私は、外の茂みを見ながら、女性の声を聞いていた。目の前に秋色に染まった葉っぱがゆっくりと落ちてきた。
その瞬間に大好きな人の姿を思い出してしまった。私が職場で告白して、ふられた女性だ。今でも逢うたびに胸がトキメイてしまう。
ふられてもふられても、どうして人間の好きな感情は中々消えないのだろうか。
消しゴムかなんかで記憶を消して欲しかった。だけど、それが人間のいい感情なのかもしれない。
思い出していると、女性の声がだんだん聞こえなくなり、少し冷たい風が吹いて来た。私はくしゃみを一回した。誰かが噂をしているのだろうか。私は、それを合図に、温泉を出る事にした。
最近、温泉の帰りにうどん屋に立ち寄って行くのが日課になった。
店に入ると、繁盛のようでお客さんも多かった。
その中で、一生懸命働いて、一際目立つ20歳くらいのエプロンがよく似合う女性がいた。
私が見とれていると、「いらっしゃいませ。」と言った。
「どうも。一人お願いします。」私がぎこちなく言うと、笑ってテーブルに案内された。私はその女性に好意を抱いてしまった。考えれば考えるほど、頭の中でグルグルと彼女の笑顔が巡っていた。
私が席について、その店員さんを呼んで注文をした。間近で見ると、兎みたいに可愛らしい人だった。
うどんの味が倍増でうまくなった。
私は楽しみが一つ増えた。温泉の帰り、週に一度この人の笑顔が見れるのだ。
それから、来週も再来週も彼女と逢い、彼女と挨拶を交わす程度になった。
どうすればもっと仲良くなれるのだろうかと思った矢先、彼女の姿がうどん屋から消えた。
探してもどこにもいなくて、嫌な予感がして、他の店員に聞くと、バイトで辞めたという事らしかった。
夏休みの期間だけ働いていたのだ。
私は、悲しくなって落ち込んだ。うどん屋に寄る意味もなくなった様な気がする。外に出ると、夕暮れで、冷たい秋の風の香りがしていた。
帰りコンビニに寄って、ホットの缶コーヒーを買う為にレジに並んだ。
私が並んでいると「こちらへお願いします。」と甘い声で隣のレジに誘導された。缶コーヒーをテーブルに置くと、笑顔が素敵な美しい女性がレジを打っていた。
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もしも、あの時話さなければ、出会う事もなかっただろう。
もしも、生まれてなければ、出会う事も悲しむ事もなかっただろう。
出会いというモノは喜びや悲しみが混ざっているような気がする。好きになってもらいたいから、あの手この手でアピールをするのだ。誕生日に花をあげるのも記念日に指輪をあげるのも全て好かれたい為だけである。
私は仕事の休みがあるたびに町外れの温泉に行く。好きな人を忘れる為なのか。体を休める為なのか。分からなくなった。要するに私には安静が必要なのだ。
黄葉が色づき始めた秋の空。のんびりと遠回りをして、景色を見ながら車を走らせていた。クネクネと曲がった道を抜けると、そこには古びた温泉宿がある。
ドアを入るとおばさんが立っていて、しゃがれた声で「いらっしゃいませ。」と言った。隣には温泉の切符を買う自販機があり、お金を入れて、店の人に差し出す仕組みだ。おばさんに切符を見せて、中に入った。
室内の温泉が二つあり、そこを通って外に出ると、露天温泉がある。露天風呂に肩まで浸かると、深いため息が漏れた。
真正面に、「天然温泉で肩こりやリュウマチに良い」と看板に書いてある。ふと、恋の病気にも効くかなと思ったが、効く筈はなかった。
お釈迦様でも草津の湯でもという歌がある様に、恋の病気だけは、どんな事をしても治らないという事なのだ。
温泉に浸っていると、塀の向こうから若い女性の話し声が聞こえて来た。友達と来ているのだろうか。ワイワイと女性の体の部分について話しているみたいだった。
私は、外の茂みを見ながら、女性の声を聞いていた。目の前に秋色に染まった葉っぱがゆっくりと落ちてきた。
その瞬間に大好きな人の姿を思い出してしまった。私が職場で告白して、ふられた女性だ。今でも逢うたびに胸がトキメイてしまう。
ふられてもふられても、どうして人間の好きな感情は中々消えないのだろうか。
消しゴムかなんかで記憶を消して欲しかった。だけど、それが人間のいい感情なのかもしれない。
思い出していると、女性の声がだんだん聞こえなくなり、少し冷たい風が吹いて来た。私はくしゃみを一回した。誰かが噂をしているのだろうか。私は、それを合図に、温泉を出る事にした。
最近、温泉の帰りにうどん屋に立ち寄って行くのが日課になった。
店に入ると、繁盛のようでお客さんも多かった。
その中で、一生懸命働いて、一際目立つ20歳くらいのエプロンがよく似合う女性がいた。
私が見とれていると、「いらっしゃいませ。」と言った。
「どうも。一人お願いします。」私がぎこちなく言うと、笑ってテーブルに案内された。私はその女性に好意を抱いてしまった。考えれば考えるほど、頭の中でグルグルと彼女の笑顔が巡っていた。
私が席について、その店員さんを呼んで注文をした。間近で見ると、兎みたいに可愛らしい人だった。
うどんの味が倍増でうまくなった。
私は楽しみが一つ増えた。温泉の帰り、週に一度この人の笑顔が見れるのだ。
それから、来週も再来週も彼女と逢い、彼女と挨拶を交わす程度になった。
どうすればもっと仲良くなれるのだろうかと思った矢先、彼女の姿がうどん屋から消えた。
探してもどこにもいなくて、嫌な予感がして、他の店員に聞くと、バイトで辞めたという事らしかった。
夏休みの期間だけ働いていたのだ。
私は、悲しくなって落ち込んだ。うどん屋に寄る意味もなくなった様な気がする。外に出ると、夕暮れで、冷たい秋の風の香りがしていた。
帰りコンビニに寄って、ホットの缶コーヒーを買う為にレジに並んだ。
私が並んでいると「こちらへお願いします。」と甘い声で隣のレジに誘導された。缶コーヒーをテーブルに置くと、笑顔が素敵な美しい女性がレジを打っていた。
・・結構忠実すぎませんかw
鋭いところきてるし・・(〃 ̄ω ̄〃ゞ
間違いないですけど(爆)
しかしあれですねw
この終わりかただと続くカンジじゃないっすか?・・きのせいかなww
出会いと別れ・・か。
いや、冗談抜きで改めてなんか考えてしまいますね。
人は出会いと別れの繰り返しですよ。
最近よく思います。
最後は、是非続いて欲しいと願いを込めて書きました。
頑張れ~。
あれ?何かおふたりで決め事でも?^^
とってもよく光景描かれていて、浸ってましたけど・・・。
男心と秋の空・・・。
移ろい行く恋心は 美人の出現に惑わされるというのが真相かな?(~o~)
ま、とにかく、秋を彩るにふさわしいお話に
またいい気持ちにさせていただきましたよ。
きーぼーさんに拍手!!
秋になると男でも寂しくなるんですよ。
人が恋しいといいますか。何といいますか。
そんな時は温泉に浸かって、うどんでも食べて、美しい女性でも目の前にいてくれたら、うれしいですね。
今だに夢を見ていますけどね(笑)