晴れわたる青い空。パレットで描いたような白い雲。家のベランダには洗濯物がたくさん干されてある。
「あなた行ってらっしゃい。」エプロン姿の小夜子が夫を玄関まで見送っている。
「行ってくるよ。」今年40歳になる夫、近くの会社で働いている営業部長。
その間をくぐる様に走って出て行く小学生の息子。
「おい。危ないから気をつけろよ。」夫が叫ぶと、息子は、シューズ袋を高く上げて合図をした。その姿を一通り見て、夫は出かけた。
小夜子は家の中に戻ると、洗濯物の続きと布団を干した。
一時たって、近くのスーパーに買い物へ出かける。
今日の晩ご飯何にしようかなと野菜売り場を見ていると、話しかけられた。
「こんにちは。久しぶりです。」振り返ると、パーカーを来た背の高い男の人がいた。小夜子が頭の中で誰だったかなと考えていると、「和也です。中学同級生の。」と付け加えた。
「あー。あの和也君。久しぶり、元気だった?」
「元気でしたよ。小夜子さんも元気そうで。」和也がかごの中の野菜を見て、続けた。
「今日は、仕事休みで、妻と実家に帰って来た所なんだ。」
「そうなんだ。私は、結婚して、旦那とこのスーパーの近くに住んでるよ。」
「そっか。小夜子さんも結婚したんだよな。今幸せなの?」和也の言い方に戸惑いを隠せなかった。今幸せなのかと聞かれて、少し悩んだ。別に幸せって行ったら幸せだけど、幸せってどんな事をいうのかしらと思って答えた。
「幸せっていったら幸せだよ。一応専業主婦をさせてもらってるから、夫には感謝しないといけないね。」
「そっか。」和也が、寂しそうに頷いた。
「和也君は幸せなの。」と聞き返してみた。
「俺も幸せって言ったら幸せなのかも。」と和也が笑った。笑った時の口元のシワが中学の頃の和也を思い出された。
「お互い頑張ろうね。」と小夜子が言うと、もう一度和也が苦笑して、「それじゃ」とお互い別れた。
帰り際、中学生の頃を思い出していた。初恋の先輩の事や、女友達の事、和也からもらったラブレターの事。和也は、今どんな生活をしてるのだろう。幸せなのかと言う問いが、分かったような分からない様な気がした。
和也も歳を取った。小夜子も歳を取っている。
中学生の頃は何でも楽しかった。大人になったら哀しい事が確かに増えたけど、それ以上に幸せを感じる瞬間は沢山ある。
家に着くと、息子が帰っていた。
今日は、入学式があったので早かったのだ。息子は、母親がいない事をいい事にゲーム機を取り出して、セットしている。
小夜子の顔を見ると、ギクッとして、勉強をしている振りをした。その姿を見ると愛おしくてたまらない。
「ゲーム対戦しよっか。」小夜子が息子の隣に座り言った。
「お母さん下手くそだからな。相手になんないよ。」ニコヤかに息子がゲームの操作をした。
「それ行くぞ。」負けじと小夜子がテレビ画面に向かって操作をする。サーカーゲームで息子から一点入れられた。
「くそー。もう一度。」息子がご機嫌に操作を教えてくれた。
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「あなた行ってらっしゃい。」エプロン姿の小夜子が夫を玄関まで見送っている。
「行ってくるよ。」今年40歳になる夫、近くの会社で働いている営業部長。
その間をくぐる様に走って出て行く小学生の息子。
「おい。危ないから気をつけろよ。」夫が叫ぶと、息子は、シューズ袋を高く上げて合図をした。その姿を一通り見て、夫は出かけた。
小夜子は家の中に戻ると、洗濯物の続きと布団を干した。
一時たって、近くのスーパーに買い物へ出かける。
今日の晩ご飯何にしようかなと野菜売り場を見ていると、話しかけられた。
「こんにちは。久しぶりです。」振り返ると、パーカーを来た背の高い男の人がいた。小夜子が頭の中で誰だったかなと考えていると、「和也です。中学同級生の。」と付け加えた。
「あー。あの和也君。久しぶり、元気だった?」
「元気でしたよ。小夜子さんも元気そうで。」和也がかごの中の野菜を見て、続けた。
「今日は、仕事休みで、妻と実家に帰って来た所なんだ。」
「そうなんだ。私は、結婚して、旦那とこのスーパーの近くに住んでるよ。」
「そっか。小夜子さんも結婚したんだよな。今幸せなの?」和也の言い方に戸惑いを隠せなかった。今幸せなのかと聞かれて、少し悩んだ。別に幸せって行ったら幸せだけど、幸せってどんな事をいうのかしらと思って答えた。
「幸せっていったら幸せだよ。一応専業主婦をさせてもらってるから、夫には感謝しないといけないね。」
「そっか。」和也が、寂しそうに頷いた。
「和也君は幸せなの。」と聞き返してみた。
「俺も幸せって言ったら幸せなのかも。」と和也が笑った。笑った時の口元のシワが中学の頃の和也を思い出された。
「お互い頑張ろうね。」と小夜子が言うと、もう一度和也が苦笑して、「それじゃ」とお互い別れた。
帰り際、中学生の頃を思い出していた。初恋の先輩の事や、女友達の事、和也からもらったラブレターの事。和也は、今どんな生活をしてるのだろう。幸せなのかと言う問いが、分かったような分からない様な気がした。
和也も歳を取った。小夜子も歳を取っている。
中学生の頃は何でも楽しかった。大人になったら哀しい事が確かに増えたけど、それ以上に幸せを感じる瞬間は沢山ある。
家に着くと、息子が帰っていた。
今日は、入学式があったので早かったのだ。息子は、母親がいない事をいい事にゲーム機を取り出して、セットしている。
小夜子の顔を見ると、ギクッとして、勉強をしている振りをした。その姿を見ると愛おしくてたまらない。
「ゲーム対戦しよっか。」小夜子が息子の隣に座り言った。
「お母さん下手くそだからな。相手になんないよ。」ニコヤかに息子がゲームの操作をした。
「それ行くぞ。」負けじと小夜子がテレビ画面に向かって操作をする。サーカーゲームで息子から一点入れられた。
「くそー。もう一度。」息子がご機嫌に操作を教えてくれた。
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