脚本 宮藤官九郎
出演 市川染五郎
中村七之助
中村勘太郎
シネマ歌舞伎を見るのはこれがはじめてなんですが、他にも劇団新感線の劇シネってのがあります
劇場の舞台を映画で見るというものですが、まぁ舞台の生の臨場感には敵わないけど、そのかわり役者の細かい動きや表情なんか見れてまた違った楽しみ方があっていいですね
で、今回見たのが「シネマ歌舞伎 大江戸りびんぐでっど」という歌舞伎座サヨナラ公演で上演された出し物で、なんと歌舞伎とゾンビ!
(あらすじ)
江戸時代の大江戸。くさや汁を浴びた死人が“ぞんび”として生き返る事態が発生し、人間にかみついては増え続ける“ぞんび”に江戸の町は大騒ぎ。
そんな中、くさやの名産地・新島出身の半助(市川染五郎)は、くさや汁を体に塗ることで彼らを従わせることに成功し、“ぞんび”を働かせる人材派遣会社“はけんや半助”を起業する。
まさか歌舞伎の出し物にゾンビがでるとは夢にも思わなった。
しかもホラー映画のパターンを押さえてるし、またMJの「スリラー」や「ET」「奇跡の人」などのパロディも出てくる。
冒頭に井之上隆志が中村勘太郎にゾンビ=らくだに関する逸話を話すところなんかホラー映画のオープニングっぽいし、障子から無数のゾンビの手が飛び出てくる場面は完全にロメロ監督の「死霊のえじき」!
この場面だけでもホラー映画のゾンビを意識した舞台である事がよくわかる。
腕がもげたり、頭が吹っ飛び、内臓を食らいつくゾンビ・・・そんなゴアな描写を喜劇タッチながらも歌舞伎座の舞台で出てくるなんてエライ事ですね~
ホラーファンとしてはそれだけで十分ですよ。
また坂東三津五郎なんかゾンビ相手に切って切って切りまくる、ナルシスト全開のサムライ(後にゾンビになる)を実に楽しそうに演じてるし、中村扇雀は年増な遊女ゾンビをコミカルに、そして中村勘三郎はゾンビ音頭を踊りまくる・・・主要キャストは市川染五郎や中村七之助を中心とした若手にまかせ、ベテラン勢が脇を固めるという次世代の歌舞伎座を意識したかのような配役はサヨナラ公演にある意味相応しいのかもね。
また中村獅童は出番は一場面だけだけど、お得意(?)のかぶり物を披露してくれる。
江戸に溢れかえったゾンビで人材派遣会社を作ってしまうと言ういかにもクドカンらしい発想は現代社会の問題とリンクさせてるのも単にパロディだけで終わらせない。
ま、内容よりも名だたる歌舞伎役者たちが、ほんと楽しそうにゾンビを演じてるのが感動的で、ゾンビが舞台狭しと溢れかえり踊り出す「りびんぐでっど~」という♪ぞんび音頭がしばらく耳に残る怪作歌舞伎!
でも歌舞伎っていろんな物を取り入れる事が出来るジャンルらしいから、そういう意味ではゾンビが歌舞伎座に現れても全然OKでしょう!?
でも歌舞伎ファンのお年寄りは驚いたやろな~
★★★★ 2010.10.27(水) MOVIX八尾 シアター3 19:00 H-4