たびびとの写真帳

*小さな旅の思い出写真集*

旅先・散歩中の心に残る写真が中心です。
旅の思い出・滝・風景・花の写真など。

「空 蝉」

2014年08月27日 | 写真



 いつのまにか8月も残りわずかとなった。広島市内の大規模な土石流による甚大な被害の報道に胸が痛む毎日である。天候は相変わらず不順で、千葉では今日も明日も雨模様の予報となっている。子どもたちがさわやかな夏空の下で水遊びを楽しむ時間があまりにも短い夏休みだったように感じる。

 セミたちも夏の終わりが近いのを感じてか鳴き声も一段とにぎやかになっている。セミの一生についてはいろいろな説があるが、一般的には地上に姿を現して成虫となるまでに地中で3年から7年くらいは幼虫として生きているといわれる。アブラゼミは6年くらいだそうだ。もっとも長いものでは、アメリカでの研究でわかったところによると17年もの長い間土中での幼虫生活を続ける種もあるという。木の幹に産み付けられた卵から幼虫となってその木の下の地中にもぐり、樹根から栄養分を吸い取りながら生き続ける。地上に出て木の枝や葉に止まり成虫になって飛び立ってからはだいたい一週間から二週間でその一生を終えるといわれている。オスゼミは夕刻になってもまだメスゼミを求めて鳴き続けている。

 朝の散歩中にふと見上げると、よく茂ったハクモクレンの葉に木漏れ日が差していた。その葉の裏側に7匹のセミの抜け殻が残っていた。葉脈に爪を立てた跡が他にも何ヶ所もあり、風に吹かれて落ちたものもあると想像すると、この写真の3枚の葉には地中から這い上がった10匹以上の幼虫たちが仲良く並んで「旅立ち」の時を迎えたのであろう。俳句の季語としてもよく使われるが、並んだ「空蝉」をみつめているとセミたちの一生に深く思いを寄せずにはいられない。

湯川の自然(奥日光)

2014年08月20日 | 写真



















 栃木県奥日光最深部・湯元の「湯ノ湖」から落差60mの「湯滝」となって流れ落ち、戦場ヶ原に沿って流れる「湯川」は、更に「竜頭の滝」となって豪快に流れ落ち「中禅寺湖」に注いで日本三名瀑「華厳の滝」となり日光市街へと流れる。

 湯川沿いの戦場ヶ原の木道を歩いていくと河岸や流れの中にたくさんの大木が倒れ込み、長い年月の間に朽ちかけたものも多く見られる。ここは国内でも有数の国立公園内で木道の整備以外はそれらの倒木には一切人の手が加えられることはない。大自然の営みで倒木自体はやがて朽ち果てて行くであろうが、倒木の一部からは草木の種子が芽を吹いてたくましく緑の茂みを再生している姿があちこちに見受けられる。高層湿原の戦場ヶ原の四季の景色の美しさはいうまでもないが、こういった自然の営みが目に入るとつい足が止まってしばらく眺めたり写真を撮りたくなる。川岸で倒木に押しつぶされ流れの中に押しやられているレンゲツツジもたくましく生き続け今年もきれい花を咲かせていた。大自然の中にいるとその大きな力を体全体で感じ取ることができる。

8月の浜離宮庭園

2014年08月15日 | 写真
















 汐留のビル街を背景に広がる浜離宮の庭園のお花畑は、春には菜の花、夏には濃淡のキバナコスモス、秋にはコスモスが咲き乱れる。猛暑が続く都会の中でしばし気持ちを安らげることができる空間として訪れる人が絶えない。いつ訪ねても外国人観光客の姿も多い。

 さすがにこの時期は花が少ない。広々とした庭園内を一周してみたがキバナコスモスのほかには、二枚目のサルスベリ(百日紅)の花、三枚目の散策路脇に群生するヤブミョウガの花と実、四枚目の立秋も過ぎて満開のオミナエシ(女郎花)の花を楽しむことができた。オミナエシにはめずらしくモンシロチョウが舞っていて、しばらく撮影を続けた。

 浜離宮は新橋駅から徒歩で20分、東京メトロ大江戸線汐留駅からだと徒歩で10分もかからずいつも快適な時間を過ごすことができる。キバナコスモス畑の奥の船着場へ向かい遊覧船の発着時刻を頭に入れておくと、散策後に両国・浅草方面へのクルーズを楽しむこともできる。

「日本丸」総帆展帆

2014年08月09日 | 写真




        


        


         








         


「日本丸総帆展帆(にほんまるそうはんてんぱん)」:このタイトルでなんだろうと思われた方も多いことと思います。実はこの私も去る7月21日の海の日に、千葉から横浜まで早朝JR横須賀線を利用して初めてこのイベントを見学しにでかけました。

「日本丸」とは上の写真で見ておわかりのように美しい帆船です。横浜みなとみらい博物館前の「日本丸メモリアルパーク」に繋留されています。帆船日本丸は、1930年(昭和5年)に建造された船員を養成する練習帆船で1984年(昭和59年)に引退するまでの54年間に11500名もの実習生を育てあげました。この間、地球を45.5周する距離(183万km)を航海し、帆を広げたその美しい姿は「太平洋の白鳥」と呼ばれていました。

1984年に横浜市に誘致され、翌年から船内まで一般公開されています。全国から応募し訓練を受けたとてもたくさんのボランティアの協力ですべての帆を広げる総帆展帆のイベントを年に12回実施するほか、青少年向けに海洋教室が開催されています。

 **毎回約100名の訓練を受けたボランティアの皆さんが作業にあたります。写真一枚目から男女多数のボランティアの皆さんがいっせいに4本のマストに上り始め、下から見ても目もくらむような最上段まで全員が位置について、指揮者の合図で全員ヘルメットを右手で高々と掲げ敬礼をしてから作業が始まります。なんとおそろしいことに、誰一人命綱はつけていません。かなりの数のシニアの方や女性の方も混じっていました。カメラを構えて手が震えるような一時間以上の長い長い感動の光景を撮り続けました。猛暑の一日でしたが暑さも忘れて夢中でシャッターを切り続けました。最後の写真のように29枚のすべての帆が張られ風を受けてはためく姿は本当に美しく堂々とした姿でした。

 下記のとおり来月以後も年内にまだ5回、このイベントが開催されます。まだ一度も見た経験のない方で横浜までさほど遠くない方はぜひとも一度おでかけください。すばらしいです。私はよく晴れた秋の日にできればもう一度行きたいと思っています。

 **年内の「日本丸総帆展帆」の日程です。

 9月7日(日)・9月23日(日)・10月13日(祝)・10月26日(日)・11月9日(日) 以上5回チャンスがあります。もちろんとても危険が伴う作業なので、悪天候の場合は中止になることもあります。
  
**作業開始は午前10:30 です。詳しくはウェブサイトで「日本丸総帆展帆」を検索して調べてからお出かけください。