いつのまにか8月も残りわずかとなった。広島市内の大規模な土石流による甚大な被害の報道に胸が痛む毎日である。天候は相変わらず不順で、千葉では今日も明日も雨模様の予報となっている。子どもたちがさわやかな夏空の下で水遊びを楽しむ時間があまりにも短い夏休みだったように感じる。
セミたちも夏の終わりが近いのを感じてか鳴き声も一段とにぎやかになっている。セミの一生についてはいろいろな説があるが、一般的には地上に姿を現して成虫となるまでに地中で3年から7年くらいは幼虫として生きているといわれる。アブラゼミは6年くらいだそうだ。もっとも長いものでは、アメリカでの研究でわかったところによると17年もの長い間土中での幼虫生活を続ける種もあるという。木の幹に産み付けられた卵から幼虫となってその木の下の地中にもぐり、樹根から栄養分を吸い取りながら生き続ける。地上に出て木の枝や葉に止まり成虫になって飛び立ってからはだいたい一週間から二週間でその一生を終えるといわれている。オスゼミは夕刻になってもまだメスゼミを求めて鳴き続けている。
朝の散歩中にふと見上げると、よく茂ったハクモクレンの葉に木漏れ日が差していた。その葉の裏側に7匹のセミの抜け殻が残っていた。葉脈に爪を立てた跡が他にも何ヶ所もあり、風に吹かれて落ちたものもあると想像すると、この写真の3枚の葉には地中から這い上がった10匹以上の幼虫たちが仲良く並んで「旅立ち」の時を迎えたのであろう。俳句の季語としてもよく使われるが、並んだ「空蝉」をみつめているとセミたちの一生に深く思いを寄せずにはいられない。