このところ雨の日が続いたのでいつもは水量が少なくてなかなか写真にならない房総の滝の様子を見に出かけた。千葉県君津市「清和県民の森」の奥にある「豊英大滝」は、このブログにもこれまで何度も掲載したことがあるが、千葉県ではいすみ郡大多喜町の養老渓谷最深部「粟又の滝」と並ぶスケールの大きな滝で、水量が多いときには相当の迫力がある。
それだけではなく千葉県の滝では唯一の「ひょんぐり」も見られるので、いつも雨の後出かけるのを楽しみにしている。滝の岩盤の一部が凹状にえぐれていて、水流が強ければそこから水が勢いよく跳ね上がることを滝仲間では「ひょんぐり」と呼んでいる。「豊英大滝」の「ひょんぐり」は滝全面のほんの一部にその形が見られるのだが、その規模が大きくてとても見ごたえがあるような滝の場合は「ひょんぐり滝」という分類名をつけることもある。もっともその数はきわめて少なく山中深いところにあるのでなかなか近づくことができない。
この写真では、その小さめな「ひょんぐり」部分がよくわかるように最接近して見上げるアングルで撮影した。この日は期待通りとても房総の滝とは思えないほど水量が豊かで迫力があり、いつもはほんの小さな「ひょんぐり」もなかなか立派に見えた。滝写真マニアのささやかな楽しみの一つである。
このところ雨模様の日が多い。気候温暖な房総でも気温がかなり下がってきて厚物の上着が欠かせなくなってきた。
近隣の植物園や公園では、咲いている秋バラも少なくなって寂しい雰囲気になっている。雨の日の散歩でほんの少しだけまだきれいに咲いているバラを探して歩いた。
<一枚目>:「ローラ」1981年フランスで作出された。橙朱(濃い目の橙色)の大輪(約13cm)の花が鮮やかに目に映る。写真でわかるように花びらの裏が白っぽい色なのが特徴になっている。作出されたその年(1981年)にJRC(日本バラ会)で金賞を受賞している四季咲きの人気品種。たまたま雨が止んで雲の切れ間から日が差した一瞬にシャッターを切った。
<二枚目>:「アンジェラ」1984年ドイツで作出された。四季咲きのつるバラで濃いピンクの花(約6cm)がたくさん咲く。とてもじょうぶで病害虫に強く育てやすいので家庭の庭で育てるのにも適している人気品種。雨の滴がきれいに光る濃いピンクの花とつぼみが美しくみとれてしまった。
「サンシュユ」:中国、朝鮮半島に広く分布する落葉低木。江戸時代中期に日本に渡来し、最初は小石川後楽園に植樹された。春先に葉が出る前に黄色い花が咲きそろって春を告げ、夏には緑色の艶のある実をつける。その実は秋になると真っ赤なきれいな色となり目を楽しませてくれる。春先から初冬の季節まで長く楽しめることから庭園樹として国内で広く栽培されるようになった。
もともとサンシュユは観賞用としてではなく古くから薬用として大いに役立ち大事にされてきた。その実は主として「薬用酒」に用いられ、滋養強壮、補腎、止血、疲労回復、腰痛、利尿などの薬効があるといわれる。
コスモスの「向日性」:「向日性」とは植物の一部が太陽の光に反応してその方向に角度を変えることをいう。花の場合は特にヒマワリ(向日葵)の向日性がよく知られていて、子どもたちも学校の花壇やヒマワリ畑、ヒマワリの迷路などで実際に見て知っていることが多いと思う。ところが他の花はどうかというとなかなかすぐには思いつかない。「マリーゴールド」の名は聞いたことがあるような気がするが他はほとんどわからない。
千葉県佐倉市ふるさと広場はオランダ風車のある広場としてよく知られているが、この広場は春にはチューリップ、秋にはコスモスが一面に咲きそろい見渡す限りの見事な景色が楽しめることで人気がある。毎年そこへ写真を撮りにでかけているが、今年は到着したのが午後3時ごろの時間帯で太陽は西へ傾きかけていてめずらしく風はまったく吹いていなかった。この場所は印旛沼の畔でいつも風が吹いていることが多く、茎が細くて長いコスモスがかなり揺れ動いていて撮影には苦労するが、この日は写真でわかるようにヒマワリの花が揃ってはっきりと左奥西方の太陽の方角を向いていた。花を撮影するときはまずほとんどの場合花の「顔」にピントを合わせるが、すべての花が背を向けている眺めはなかなかめずらしいので急いでシャッターを切り続けた。
また逆に太陽の光に背を向けてしまう「背向性」(背光性)を持つ植物もあるといわれるが、これまでまだはっきりと観察したことはない。
DIC川村記念美術館庭園は紅葉の遅い千葉県内でも一足早く秋色に染まり始めている。散策路を歩きながら広い庭園内のあちこちで秋景色を楽しむことができる。
散策路脇の斜面にリンドウのつぼみがたくさん見られる。ほんの一、二ヶ所で咲き始めていたリンドウをみつけて撮影した。下旬ごろにはほとんどが咲きそろうのではないかと思う。
降りしきる雨の中でのカメラ散歩中にふと見上げると、すっかり落葉した木の枝にかわいらしい赤い実がたくさんついていた。この木には「アメリカヤマボウシ」と書かれた札がつけられている。
「アメリカヤマボウシ」:ハナミズキの一種。明治時代に尾崎行雄東京市長からアメリカに桜の苗木が贈られた返礼として日本に贈られた。花も紅葉も赤い実もきれいで庭木として広く用いられるようになった。別名「アメリカハナミズキ」。「ハナミズキ」と「ヤマボウシ」はよく似ていて見分けが難しいこともあるが、「ハナミズキ」は、4~5月ごろに葉より先に花だけが咲く。一方「ヤマボウシ」は、すこし遅れて5~6月ごろに葉が出たあとに花が咲くことから見分けができる。
見事に紅葉した「ニシキギ(錦木)」が雨に濡れてひときわきれいに目に映った。「ニシキギ」はニシキギ科ニシキギ属の落葉低木で、「モミジ」や「スズランノキ」と並び「世界三大紅葉樹」の一つに数えられている。大規模庭園・公園用として、また家庭の庭、生垣などにも広く用いられている。
DIC川村記念美術館庭園(千葉県佐倉市坂戸)が秋色に染まり始めている。園内のモミジや落葉樹の葉が色づき、散策路脇のたくさんのリンドウの花芽もふくらんできている。さわやかな秋晴れの日には気持ちよく散策を楽しむことができる。
美術館の展示室では「絵の住処(すみか)ーー作品が暮らす11の部屋」と題する企画展が2016年1月11日までの予定で行われている。館内十一の「部屋」(展示室)に分かれていて、印象派をはじめとするヨーロッパ近代絵画の名作を集めた部屋をはじめとして、見ごたえ十分の展示を楽しみながらゆっくりと巡ることができる。
ホームページ:http://kawamura-museum.dic.co.jp
広々とした庭園の奥まった位置にあるテラス(休憩舎)の周りには数株の「十月桜」があり、今見頃を迎えている。
「十月桜」:花期は10月中旬ごろから翌1月中・下旬ごろまでと3月中旬ごろから4月上旬ごろまでの二度咲き。花弁は八重で花びらは5~18枚。淡いピンク色の花と濃いピンクのつぼみが可憐で、思わず立ち止まってカメラを構える人が多い。
「冬桜」:同様に秋から冬にかけて咲き混同されやすいが、「花弁が一重で花びらは5枚」という点が異なっている。十月桜も冬桜も総称して「冬桜」と呼ばれることもある。群馬県藤岡市鬼石(おにし)に冬桜の名所がある。
「ジャルダン・ドゥ・フランス」:「フランスの庭」の意味で1998年にフランスで作出された。秋の日差しをいっぱいに浴びてサーモンピンクの花がとりわけきれいに目に映った。庭園を明るくしてくれる四季咲きの人気品種。じょうぶで家庭の庭でも育てやすい。作出年以来各種国際コンクールで金賞を受賞している。
花びらにとまっている小さな昆虫は見るのが初めてで、ウェブサイトの昆虫図鑑でずっと調べているがまだみつからない。
11月に入り各地で菊花展が行われている。東京都内では、毎年恒例の「亀戸天神菊花展」や「湯島天神菊花展」などどこもにぎわっている。また秋咲きのバラも今が見頃で、千葉県内でもあちこちのバラ園や植物園などで秋バラがきれいに咲きそろっている。
写真のバラは絞り模様のつるバラで、「フォース・オブ・ジュライ」という名札がつけられていた。この品種のバラは1999年にアメリカで作出されたもので、その鮮やかな赤と白の模様をアメリカ国旗のイメージに重ねて名づけたものだという。「フォース・オブ・ジュライ」は7月4日のアメリカの独立記念日を表している。
半八重咲きの花つきが非常によい完全四季咲きのバラで、春以後も次々と咲いてとても育てやすい品種であるといわれている。 (千葉市都市緑化植物園にて)
「竜頭の滝」:湯ノ湖から落差60mの湯滝となって流れ落ち、湯川となって戦場ヶ原を貫流した水が男体山大噴火により流れ出て固まった溶岩の上を210mにわたって流れ落ちる滝で、どこから見てもたいへんな迫力がある。滝の上部を橋の上から見ると、その彼方に中禅寺湖も望める雄大な景色である。またよく整備された長い側道からは、変化に富んだ滝の中間部の姿を楽しむ事ができる。そして最下部の滝正面の姿と滝つぼは、江戸時代までさかのぼる長い歴史を持つ「竜頭之茶屋」の滝見スペースからゆっくりと眺めることができる。「竜頭の滝」の名は、その最下部を竜の頭に、長い流れの部分を胴体にみたててつけられたという。
一つの滝だけでいくらでも時間をかけて撮影を楽しむことができるという点ではとてもありがたい滝だと訪れるたびに思う。とりわけ初夏のころ、薄紫色のトウゴクミツバツツジが滝周辺に咲き乱れる季節はすばらしく、時間のことなど忘れてしまうほどである。初夏だけではなく、毎年のように秋にも真冬にも撮影に通い続けている。
10月18日、19日の奥日光は、最深部の湯元・湯ノ湖周辺では紅葉はまだとてもきれいだったが、不思議なことに標高はやや下がる戦場ヶ原や竜頭の滝周辺ではすでに晩秋の雰囲気で、上の写真でも見られるように紅葉は完全に盛りを過ぎてしまっていた。どういうわけだかよくわからないが、竜頭の滝あたりは毎年紅葉が早いような気がする。
奥日光赤沼車庫から歩き始めて約2kmほどで「青木橋」に着いた。この地点が赤沼から湯滝までのコースのほぼ中間点になる。この小さな木製の橋を渡るといくつかベンチのある休憩スペースがあり、その奥は湯川とは少し離れてアップダウンもある山道に入ることになる。今回はここで少し休憩して赤沼へ引き返す予定になっていた。
<写真一枚目>:まずは青木橋の上から下流方向の景色を撮影した。左上に歩いてきた木道が見える。逆光で木々の紅葉が輝いていた。川底には水草や水藻がよく茂っている。
<写真二枚目>:振り向いて上流方向も撮影しておくことにした。ここが最後なのでアングルも変えて何枚か撮影しているうちに・・・ふと、川底の川藻がおもしろい形をしていることに気付いた。周囲にいたハイカーたちもだれも騒いでもいないし、多分そのように見えたのは自分だけかもしれないが、どうも巨大な魔人の影のように見えてしかたがなかった。こんなことを口走ると笑われるかもしれないので黙っていたが、帰宅してからパソコンで整理していて何度も開いて見たが、やはりこの形はまるでアラジンのランプの魔神・ジーニーのように見えてきてしまった。
6月に訪れた時には、たもとにズミが咲いているこの橋の写真を何枚か撮影したことがある。(6/14の更新記事「ズミの咲く頃」に青木橋の写真掲載)その折はまったくそんなことには気付かなかった。これもささやかな旅の楽しみの一つで、また来年初夏の頃ここを歩く時に忘れずそっと覗き込んでみたいと思う。
「戦場ヶ原」の木道を歩いていると、撮影を予定している地点のほかにも四季折々の景色や眺めが目に留まって思わず立ち止まりカメラを構えることが多い。晩秋の頃は花はほとんど見かけることはないのだが、撮影枚数はいつも相当多くなる。
この一枚の写真は、木道脇ではどこでも見かけられる特にめずらしい眺めではないが、たまたま木陰に光が差し込んで光っている部分に目が釘付けになり迷わずシャッターを切ったものである。左端手前のシラカバの根元はとても複雑な形をしている。自然林ではいろいろな樹木が自然のままに成長し、競り合ってからみあい曲がりくねっている姿はごく普通に見られる。
その木々の合間に毎年枯れ枝や落ち葉がたまり、苔が生え、そこに落ちた木々の種子が芽を出す。やがて周りの木々は朽ちてその新芽がどんどん成長する。このような場所を「発見」すると、次回訪れるときにはその場所を探すのが楽しみになってくる。
奥日光戦場ヶ原を流れる「湯川」の岸辺や水中には、いたるところに写真で見られるような流木や倒木が自然のままに横たわっている。またそこから新しい生命が芽生えてたくましく成長している姿も見られる。写真を撮りに来た人たちはあちこちで立ち止まり撮影に熱中している。ハイキングの団体客が多い時には広い木道でも三脚を立てることは無理だが、平日や雨天時などで空いているときはゆっくりと撮影を楽しむことができる。
また、木道からせり出した休憩や撮影に適したスペースが何ヶ所も作られているので、川岸や湿原側により近寄って景色を楽しんだり写真を撮ったりすることもできるのがとてもありがたい。
<「湯川」の流れ>
奥日光「湯ノ湖」⇒「湯滝」⇒「戦場ヶ原」⇒「竜頭の滝」⇒「中禅寺湖」⇒「華厳の滝」⇒「大谷川」⇒「鬼怒川」⇒「利根川」⇒「太平洋」
*「湯川」は奥日光を貫流して中禅寺湖から日本三名瀑「華厳の滝」となって流れ落ち、一級河川「大谷川(だいやがわ)」となって日光市内を流れ、やがて利根川支流の「鬼怒川」に合流し「利根川」から太平洋へと注いでいる。