「むささび橋」を渡るとコース中一ヶ所だけの休憩所「むささび茶屋」がある。朝早いため茶屋はまだ閉まっていたが、ここからは対岸断崖上の道を「虹見の滝」「虹見橋」まで戻ることになる。その茶屋付近に水芭蕉の群生地がある。
近づいてみるとまだ花は見当たらず、やはり咲くのは連休明け頃だろうと思った。
朝日を浴びて光る水芭蕉の葉がきれいでしばらくながめていると、葉陰に隠れていたほんの数輪の花が見えてきて感激した。花の姿がきれいに見えた一輪をしゃがみこんで何枚も撮影した。このコースは茶屋での休息時間を入れても普通に歩けば2時間もかかることはないが、あちこちでゆっくり撮影したためずいぶん時間がかかった。
断崖で危険な場所には手すりがあり足元が不安定な場所には木道が設置されている。
「虹見橋」に戻り朝日を浴びて輝く「虹見の滝」を橋の上から撮影した。右上に見える「龍王神社」には鬼怒川・川治の二つの温泉の守護神「龍神像」が祀られている。朝日は右上方向まで上っていた。この方角からの光線では滝に虹はかからない。虹を見るには日差しを背にして滝に向き合うことが第一条件だが、時間帯、水しぶきの程度、日差しの角度や強さなどの関係で虹がかかるかどうかはとても微妙でなかなか思い通りにはいかない。特にこの「虹見の滝」の場合は、これまで数回訪れたがまだ一度も「虹を見た」ことがなかった。
その経験から今回はこの日差しなら右上の「龍王神社」の向こう側の位置へ行けば虹が見えるかもしれないと思い急いでその位置まで移動した。
9:52 撮影
初めて「虹見の滝」に虹がかかるのを見た。滝の下半分が神社のある断崖の陰になってはいるが、どうにか虹色が浮かび上がっていた。「龍王峡を歩く-I」の一枚目の写真(午前6:09撮影)を撮影した位置からほんの5mほど神社から離れたごく狭い位置からだけ虹を見ることができた。ためしにその位置からわずかに左右に動いただけでも虹は消えてしまった。こちらは計算づくで動き回ったのだが、偶然この虹を見た人はほんとうに幸運だったと思う。この滝は流れのすぐ前に高い断崖がそびえているため、虹を見るのはきわめて難しい。
撮影を終えて時計を見ると、驚いたことにこの日は午前6時ごろから10時ごろまで歩き回り、水芭蕉群生地や滝の前で粘ったりして4時間も過ごしたことになる。