市川市内の京成中山駅から中山法華経寺の参道を歩き途中の塔頭寺院の庭園で草花の撮影をした後、法華経寺境内へ入りしばらく散策した。境内の白梅・紅梅は見頃を迎えていた。他には満開の日本水仙が見られたくらいで他には早春の花をみつけることはできなかった。午後の日差しはまぶしかったが、この日は一日中冷たい北風が吹き続けていた。法華経寺の裏門から住宅街の路地へと入り「市川市東山魁夷記念館」へ通じる坂道を上って行った。
大本堂の大屋根を背景に入れて見頃が近づいているピンクの枝垂れ梅を一枚撮影した。
枝垂れ梅のすぐ脇に濃いピンク色の紅梅がきれいに咲いていた。
花壇の日本水仙はもう蕾が一つもないくらいで日差しを浴びて風に揺れていた。
「市川市東山魁夷記念館」に到着。午後三時をかなり過ぎていて日は西に傾き日陰の風が冷たかった。いつも目印にしている入り口の太陽光発電装置のついた風車が勢いよく回っていた。
とても雰囲気のよい建物が4棟並んでいる。右端一、二階が美術館。中央の塔は一階が玄関、二階は休憩室になっている。その左手はお土産品販売店でその奥がイベントホールになっている。さらにその左側に隠れている建物はカフェレストランが入っていてその奥にこじんまりとした庭園がある。
2015年度の「展覧会」は「通常展」のほかには、これまでに「記念館開館10周年記念展」が四回、「東山魁夷と昭和日本画の礎」と題する特別展が一回のあわせて五回がすでに終わっていて、現在は六回目の「東山魁夷 心象の世界」と題する開館10周年記念展が開催されている。期間は2月28日(日)まで。
美術館一階には東山魁夷の生涯を物語るさまざまな記念品が展示されている。壁面のあちこちには、東山魁夷の心象の世界を表す名言が記されていて、立ち止まって静かにその言葉をかみしめ、周囲に展示された記念品や解説・年表などを見つめる。「自然は心の鏡」「私は生かされている。野の草と同じである。路傍の小石とも同じである。」「人はみな旅人である。」「風景は心の祈り」などなど。
二階には木版画とリトグラフによる風景画の名作19点が展示されている。大事な記録としてそれらの作品の画題をここに記しておきたいと思う。「二つの月」「白樺の丘」「北国の森」「朝静」「山湖遥か」「月唱」「冬華」「白夜光」「雪の城」「夕静寂」「雲立つ峰」「雪野」「冬樹」「星の夜」「緑の微風」「聖夜」「夕紅」「月光」「夕星」(以上19点)これらの中では、雪景色、霧にかすむ樹林、山中の滝、湖畔の風景などが特に印象的である。
*2015年度最後の記念館開館10周年記念展「東山魁夷 白い馬の見える風景」が3月4日~5月15日の期間で予定されている。湖畔や森の中などに白い馬を一頭入れて描いた人気の連作をまとめて鑑賞できるまたとない機会なので、カレンダーに書き込んでおいて忘れずに期間内に出かけたいと思う。
東山魁夷(明治41年生まれー平成11年5月6日没):横浜に生まれ終戦の年(昭和20年)に千葉県市川市に居を移した。昭和22年に千葉県の鹿野山からの九十九谷の眺望を描いた「残照」が第3回日展で「特選」に入賞し戦後の再出発として特筆すべき作品となった。そのことにより風景画家として歩むことを決意し、「大自然と共に在ることの悦びを謳うこと」をテーマとして、風景との対話から多くの名作を世に送ることとなった。昭和53年には市川市に終の棲家を建て住み着くこととなった。文化勲章授章。市川市名誉市民。 (2月12日 たびびと)
**市川市東山魁夷記念館HP: http://www.city.ichikawa.1g.jp/higashiyama/