たびびとの写真帳

*小さな旅の思い出写真集*

旅先・散歩中の心に残る写真が中心です。
旅の思い出・滝・風景・花の写真など。

「月待の滝」 (茨城県)

2017年05月02日 | 写真

 

  福島県との県境にも近い茨城県久慈郡大子町川山嵯峨草の地にここ数年来毎年通っている魅力的な滝がある。その滝は「月待の滝」(つきまちのたき)で、久慈川の支流大生瀬川が複雑な形状の岩壁を流れ落ちる。古くから安産、子育て、開運を祈る二十三夜講の場として信者が集まりその月が出るのを待ったことからその名がつけられたという。また二枚目の写真でわかるようにこの滝は岩盤の下部が深くえぐれていて、滝水の裏側に入り込むことができることから「裏見の滝」の別名もある。

 

 この写真で見ると滝水は三筋になって流れ落ちている。奥の小さな細い流れが「子滝」で、一枚目の写真のように正面から見ると、左端の流れがいったん中段の滝つぼに溜まってから方向を変えて小さな滝になり隣の親滝に寄り添うように流れ落ちている。そして手前の落差の大きい二筋の流れが「夫婦滝」と 呼ばれる。

 

晩秋の頃には滝前のイロハモミジがきれいに色づく。

 

 奥久慈大子の郷といえば真っ先に日光の「華厳の滝」、熊野の「那智の滝」と並ぶ日本三名瀑の一つ「袋田の滝」を思い浮かべる。「袋田の滝」から北へ車で走ればわずか10分程度しか離れていない「月待の滝」は知名度では劣るものの、古くから女性に縁が深い祈りの場として知られ、またその名のゆかしさからも静かな北茨城の名所となっている。 

 

 ゆっくり時間をかけて撮影を済ませ、滝前の珈琲と蕎麦の名店「もみじ苑」で滝を眺めながらひと休み。いつもいろいろな滝を訪ねているが山の中が多くて、これほど滝のすぐ近くにのんびりできる店がある撮影場所は少ない。この滝の脇には大きな水車がある。この水車小屋はそば粉製粉、手打ち、珈琲焙煎室として使用されている。ご主人は二本の深い井戸を掘削し名水を汲み上げて自家焙煎珈琲にも蕎麦にもこだわり、また全国の名のある蕎麦店を行脚して研修を重ねた人だという。実に居心地のよい場所で訪れる人にとってはありがたいことだと思う。

                             (2017/4/25 撮影)    


国見の棚田

2017年05月01日 | 写真

 2017/4/25:栃木県那須烏山市の「国見の棚田」を久しぶりに訪れた。関東地方で「日本の棚田百選」に選定されているのはこの「国見の棚田」と近隣の栃木県茂木町にある「石畑の棚田」、そして千葉県の「大山千枚田」の三ヶ所だけで比較的少ない。「国見の棚田」へ行くには那珂川の流れる平坦な土地から国見峠へ通じる急な山道を上がる。前回4年前に訪ねた時には国見峠への上り口を探すのにずいぶん時間がかかったが、今回はその折の記憶をたどりながら順調に到着することができた。

 国見集落は国見峠の直下で周辺の木々はまだ芽吹いて間もない季節で、白いヤマザクラが目立っていた。到着してまず驚いたのだが、一枚目の写真で見るように棚田の上部の田んぼ10枚くらいはほとんど手付かずの荒地になっていた。下のほうに作業用の軽トラックが見えたので左へ迂回して狭い坂道を下りていった。 

 

 棚田の坂道の中ほどまで下りてみると、地元の方が三人で手前の田んぼに苗を植えつけてほとんど終わるところだった。左手奥の棚田のいちばん下の部分が見えるところに車を停めて右にカーブしている棚田の下部の様子を見ると、上部と同じように半分くらいの田んぼは休耕田になっていた。その後上まで歩いてきて地元の方に挨拶をしていろいろとお話をうかがった。4年前のほぼ同じ時期に訪ねてきて写真を撮った時には休耕田は少なくて、「こいのぼり祭り」もやっていて見物客も多かったことなど思い出話をした。やはりこの山里でも高齢化が進み、棚田の維持もイベントの開催もとても無理になってきたというようなお話を聞くことができた。

 近年では全国的に「オーナー制度」を導入して、いわば「棚田のレンタル」を展開しているところが多くなっている。田植えや稲刈りの時期には団体や個人のオーナーが近隣各地からたくさん集まって、農家の人たちの指導を受けながら昔ながらのやりかたで作業に取り組む様子が見られる。しかし、棚田の規模や立地条件、交通の便などさまざまな事情により、そのような方式を採用することはどう考えても無理な場合もあるだろう。

 

この写真からもわかるように、この国見の集落は相当標高も高い。

 

ここから三枚の写真は4年前に訪れた時に撮影したものでとても懐かしい。

  (2013/4/29 撮影)

  

 

4年前には棚田の上部まで田植えの準備がされていたことがわかる。