カワセミ側溝から

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犯人は調子に乗りすぎだけれど…   刑事コロンボ・ルーサン刑事の犯罪

2014-07-28 | コロンボ

刑事コロンボ・ルーサン刑事の犯罪/バーナードLコワルスキー監督

 実際に米国の人気番組なのか知らないが、刑事ドラマの主人公とコロンボが対決するという図式。一種の自虐的なパロディにもなっていて、実際の捜査を、ドラマで殺人に慣れている刑事役にやれるのか、という笑いを取っている。しかし同時にそれはコロンボ自身にも言えることで、なんとなく重層的に自虐的なわけである。コロンボの方もこれを利用して、犯人に語るに落ちる作戦を取っているように見える。もしくはこれを利用して、会いに行く口実を作っている風だ。いつもはしつこく会いに行くので犯人に嫌われっぱなしなのだが、この場合は犯人は調子に乗って犯人探しに高じているという感じだ。観ていて痛々しい。
 それにしてもトリックには偶然の要素も多いし、捜査が始まってからもいろいろと工作をするなど、やはりどこか頓馬な感じもする。言っちゃ悪いが、犯人の程度はかなり低いという印象さえ残す。コロンボはわざと遊んでやっているんじゃないかと疑いたくなるほどだ。関係性やアリバイについても、なんだか本当に危なっかしい。計画は成功するのだけれど、それこそ上手く行き過ぎただけのことではなかろうか。
 話の筋とはまったく関係ないが、コロンボが犯人を落としたあとに、急に言葉遣いを変えるのも気に食わない。犯人だから横柄に扱っていいとも思えないし、手のひらを返したように馬鹿にしているようにも見える。日本のドラマではよくあることだが、犯人に向かって急にタメ口になるような警官の姿が描かれることが多いが、そういう態度が犯罪者に暴力をふるったりなどにつながるのではないかと疑っている。被害者ならともかく、第三者がそのようにしていいと思うのは、人間的な弱さや差別意識の現われだろう。コロンボは紳士的だからいいのであって、このあたりは日本側製作者の誤りなのではあるまいか。
 被害者は多少横柄な人間だったのかもしれないが、夫は浮気をしているし、目をかけている人間から殺されてしまったわけだし、なんとなく同情してしまうところがある。射撃の名手だったから一撃で死んだ(恐らく即死)ということくらいしか、浮ばれるところが無い。コロンボがこれに同情して態度を変えたという考えも出来ないではないが、なんとなく後味が悪いのだった。
コメント
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