イスラーム国による邦人人質殺害警告事件が起きたことで、その周辺で様々な意見がみられる。ただどうする? のみの便乗お騒がせもあるけれど、ショッキングな事件に戸惑うことは普通の反応だろう。これで否応なくテロとの戦いに事実上巻き込まれてしまった日本という図式に、どう考えたらいいのか分からない人も多いのではなかろうか。
映像の真偽の問題などもあるが、日本人が最低二人は拘束されているらしいという事実も、やはり混乱の原因だ。現在のところ身代金の馬鹿げた額もあって、ただ殺されることだけを待っているという状態なのだが(しかしそのまま殺されるかは未知数だ)、交渉でどうにかなるとかどうとかいうが、それは一方的に相手が決めることに過ぎないだろう。
しかしながらそれでも身代金を払うべきだという意見もあるのかもしれないが、払えないということ以上に、それは最も危険な行為だという認識もすべきところだろう。犯人の要求に応じる、さらにこれほどの高額に応じるということになれば、このテロは大成功ということになるから、さらにまたこのような事件を繰り返す動機になるだろう。また、本当にお金がわたるようなことになると、当然武器などを購入する資金などに流れるわけで、多くの人を事実上殺す手助けをするという意味にもつながる。もっと多くの人を殺していいというシグナルということであって、そうやってもっと血を流せという解釈にしかならない。要するに、そういう道はもともと無い選択ということになると思われる。
また、事実上巻き込まれた感がある為に、さらに介入するという道が開けているということも考えられる。そういう部分には議論が必要だが、それはさらに集団的な自衛権とは何ら関係が無い。国際社会では集団的自衛権はどこの国でもそもそも持っているものだ。日本にだけないというのは、著しくバランスの悪い妙な国内だけの論理に過ぎない。そんなことを気にしてこんなことをやっているのなら、彼らはイスーラム国では無く日本人だろう。
もともとイスラーム国は、多くのイスラム教の人間にとっても敵である。そこのところを今一度認識しなおす必要はあるだろう。過激な一部の人には共感があるのかもしれないが、イスラム教の人間が、このような卑劣な行為を支持しているような誤った考えこそ改めるべきだろう。テロの目的はそのような憎悪の連鎖が第一であろう。
さらにこのような影響をくみ取れるようにできるだけショッキングに演出しているわけで、実際にこの事に反応して、政権批判をしたり、西側諸国との協調関係を緩めるなどのニュアンスが伝わることが、さらにテロを助長することにつがなることを考えるべきだろう。彼らはテロが成功することを願っているわけで、それはテロによる影響力が及ぶことを指している。政府の足かせになる議論が国内的に沸騰する事とは、事実上イスラーム国との協調の意味と同じであるということを、まずは理解すべきだ、という事になるだろう。