出版社の主催で村上春樹が質問に答える形式のサイトが立ち上がった。これまでにもあったが、何年ぶりのことだろう。このやり取りはこれまでのように、やはり後に出版されることになるんだろう。
実をいうと、やはり十年くらい前にこういうのがあったので、せっせと質問した覚えがある。3回取り上げてもらって、一つはカットにも取り上げてもらった(水丸さんもありがとう)。大変にいい思い出だ。質問が載っている本も本棚にあるはずで、探すのが面倒だから探せないが、あることを知っているだけでしあわせである。
で、今までの質問をぱらぱら(実際はマウスをぐりぐり)眺めていたら、デッケンズのデビットカッパーフィールドの登場人物の名前であるユーライア・ヒープのことが書かれてあった。僕はこの小説を読んだことが無かったから知らなかったが、ユーライア・ヒープなら知っている。なぜなら有名なロックバンド名だから。ググったら有名な話らしいから、まったくうかつだったな。それにしても世の中には知らないことであふれている。そういうのも、気恥ずかしいけど、仕合せですね。
さて、こういうのを見ていると、確かに面白いのだけど、だんだん調子が出てくるというか、最初の頃のお答えのものからするとだんだん妙な方向に行っているような印象を受ける。最初の人は待ってました!という焦りと気合が空回りしている感じなんだが、結局村上氏ははぐらかしているので上手くかみ合ってない。たぶん、こういうトーンですよ、という事を伝えているということなんだろう。そうしてだんだんそういうのを飲み込んで質問している人も出てくる。これにも結局はぐらかしているのだけれど、そうそう、そういう感じだぜ!というような雰囲気は出てきていると思われる。もしくはそういうものからお答えするという事でもあるんだろう。妙なことを言う人がもっと増えるといいですね。
村上春樹みたいなビッグネームだから成り立つ企画ではあるけど、質問を受けて答えるというのは、少しうらやましい気もする。嫉妬という事ではないんだが、そういう感じだとネタが尽きないという事だろうか。
でもしかしこれと言って何の変哲もない質問も数多くあるわけで、ギャラがどれくらいかは知らないけど、そういう質問にはすべて目を通すと言っているのだから、やはりそれなりに大変な作業という事なんだろう。質問は今月末で終了するけれど、答えるのはしばらく続けるらしい。やはり、大変なんだろうな。今のところ質問するかどうかさえ決めていないが、せっかくだから運試しをするかどうか、といったところだ。
それにしても世の中には色々な仕事があるもんだな、とつくづく思う。もちろんこのような作業が、おそらく創作上何かの役に立っているとか、少なくともやってもいいという何かの気分のようなものがあってのことではあるんだろう。そういう作業にせっせと協力する喜びもまた然り。そうしてそれを眺めて楽しんでいるという事だから、商売が見事に成立しているわけだ。ネットのみのマネタイズというのは大変に困難だと言われるが、やはりできる人にはできるという事なんでありました。