ハーモニー/なかむらたかし、マイケル・アリアス監督
原作はSF界では有名らしい伊藤計劃。ぜんぜん知らなかったが、これを書いた後死んだという。彼の作品は3作アニメ化されたそうで、その中の一つだ。
どうも未来の物語のようで、人々は病気で死ぬことは無くなっている。それはユートピアなのだが、そういう中にあって若い3人の女の子が自殺を図る。いわゆる反逆を起こす訳だ。結局首謀者の一人だけが死んだようだが、月日が流れて生き残った二人が会食している時に、さらに事件が起こるのであった。
とにかくこの自殺の場面が気持ち悪くて具合が悪くなってしまった。最悪である。内容的には、まあ、そんなものかという感じだろうか。自分の好きに生きるというのは、あんがい難しいことのようですね。自殺が題材である上に、同性愛問題なんかもあって、ちょっと取っ付きにくいアニメ作品である。ストーリーもなんとなく観念的で、謎解きの面白さはあっても、それでぐいぐい引っ張るという感じでもない。未来的なデザインはいいのかもしれないが、そういう絵の魅力で見せるという作品でもなさそうだ。アニメ好きの若い人にとっては、いい作品なのかもしれないが。
集団で自殺が連鎖することを、「若きウェルテルの悩み」から取ってウェルテル効果と言っていた。僕ら世代だと岡田有希子のような事だが、当時は僕もへえ、と思っていたくらいで、すぐに忘れてしまった。大人たちはそれなりに衝撃を受けていたようで、そういうあたりがテロの効果といったところだろうか。映画の方は、ひとの生きるという意思を自由に操れるようなテロが起こるという設定になっていて、恐ろしいのだが、その目的自体は、やっぱりよく分からないのだった。そういうあたりがもう少し説得出来たら、作品としては良かったのではなかったかな、と思いました。