アバウト・タイム~愛おしい時間について~/リチャード・カーティス監督
実は前にも観たらしいのだが、ほとんど忘れていて楽しんで観た。アマゾン・プライムの所為である。つれあいにどおりでなんか観たことある、と言われたが、それなりに面白かったのでいいではないか。
21歳になると、自分の思った過去にタイムトラベル出来る能力を遺伝的に持つ男の話である。父にそう教えられ、父もそうであるらしいのだが、後に死ぬ。そこのあたりは、過去にばかり戻っても仕方ない気分になるという事だろう。過去に戻ってやり直すことで、何か上手いことが無いか。それは恋愛においては、かなり有利だという事は分かる。そうして能力を使ってもうまく行かない経験と、上手くいく経験を積む。要するに結婚もする。子供も生まれる。
過去に戻って未来を変えると、当然いいことばかりでは無いこともある。ある日妹が交通事故を起こすが、この原因は付き合っている男が悪い所為だとして、妹と一緒に彼氏と付き合う前にタイムトラベルする。それで妹はうまく行くが、自分の娘だった子供は、男の子になっていた。そういうことも起こってしまう。
基本的にはコメディだが、過去に何度も戻っていい経験を積んで、人生を何度も楽しんでいるという事になる。しかし父が死ぬのは何故だろうか。それは大好きな父が死ぬ未来で無いと、三番目の子供には会えないからである。
まあ、毎日を大切に生きよう、というありきたりの真理にたどり着くわけだが、それはなんだか東洋的な考え方のように思っていたが、英国でもそうなんだな、と思った。そうしてそういう考え方が非常に英国的であることも、観ていてよく分かる。だからなおさら面白いと思うのかもしれない。これはあんがい普遍的な物事の捉え方なのであろう。さらにやはり僕らは、タイムトラベルは出来ない訳だし。
過去をやり直したいという事はたくさんあったが、本当に戻りたいかどうかはよく分からない問題だ。戻れないから考えても仕方ないが、その為に何かよくないことが同時に起こりそうな恐怖も感じる。それはそれで取り返しがつかない気もするし、そのバランスの選択を自分で行うことの罪も感じる。この映画の東洋と違うところは、恐らくその罪悪感であるような気もする。その為か、何かとても後味はいいものになっている。そういう意味では、さらに考えさせられるものがあるようにも思ったのだった。