パーカー/テイラー・ハックフォード監督
パーカーは主人公の名前。ジェイソン・スティサム主演のアクション・スーパーマン映画。悪人チームで遊園地の売上金強盗を成功させたものの、次の大きなヤマを狙ってこのまま一緒に組もうとパーカーに持ち掛ける。彼らの仲間の一人の行動に腹を立てていたパーカーは、無碍もなくこの計画を断る。しかしそれを裏切りと捉えられ、撃たれて車から放り出される。結果的には瀕死の重傷を負い、どういう訳か奇蹟的に助かる。しかし、わけまえの金は奪われているわけで、彼らのグループへの復讐を誓う。そうなのだが、彼らは単独の犯罪グループではなく、彼らの一人は仁義なき凶悪なマフィア組織の親戚の人間だった。パーカーはマフィアの強靭な殺し屋とも戦いながら、自分の仁義に架した困難なミッションを果たそうとするのだったが……。
強すぎてハンディ・キャップが必要と考えたのだろう。主人公はやたらと怪我をしまくる。普通に考えると、戦闘途中に大けがを負うこと自体致命的で、このような命がけの行動をとる鉄則にかけるとも思われるが、観ている側からすると、これがとてつもなくスリルを感じさせられる仕掛けになっている。とにかく痛そうだというのはあるんだけれど、まあ、マゾなので仕方ない。いや、マゾではないのだが、マゾ的なのだ。
仕事をやる準備段階で、次々に犯罪を重ねながら行動していくわけで、車を盗むのは比較的簡単に順番にやっていっているのだが、調べたり、捏造したりする足跡をたどられることはあるわけで、そういう接点で度々危機に瀕する。まあそれくらいでなくちゃ面白くないというのは分かるけれど、途中で奇しくも相棒にならざるを得ない女性との関係は、自然に悟られたという点では、行動の汚点のようなものではなかろうか。こういうアクションに色を添えて盛り立てるためだったとしても。
ともかく盛沢山に面白さを詰め込んだという感じで、犯罪の手口をはじめ、さまざまなサスペンスが味方にも敵にも襲ってくる。人はたくさん死ぬが、ものすごい怨恨を残すような感じではなく、平和といえば平和である。警察だけは、周りで派手に騒いでいる割には、なんとなく影が薄いだけで。
こういう映画は、いったん頭を空っぽにするというか、思考をあまり働かせずに見るための映画なのだろうと思う。実際面白いし、痛そうだけど結果的に強靭な人間にとってのダメージなんてたいした事なさそうだし、観ているこちらが呻きながら耐え忍べばいいのだ。
それにしてもこれくらい稼いだのだから、もう仕事はやらなくていいんですよね。しかし待っていたら、追ってくる人もいるだろうし、観ている人の期待もあるから、仕事しなくちゃならないんだろうな。お疲れ様です。