カワセミ側溝から

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

犯人捜しはやはり観察と推理力だ   見えない目撃者

2022-03-05 | 映画

見えない目撃者/森純一監督

 主人公の女性は、やっとの思いで警察官になった矢先、車の運転中弟の不注意で事故にあい、失明する。その事故で弟も焼け死んでしまう。それで警察官としての職は失い母と二人暮らしで、パソコンで何かの仕事をしている様子。そんなある日、盲導犬と一緒に歩いて帰宅途中、車とスケボー青年の接触事故に遭遇する。近づくと車の中から女性の声で助けを求める声が聞こえる。戻ってきた運転手は、目の不自由な様子の女性をやり過ごして、そのまま立ち去ってしまう。事件性が高いと感じ警察に訴えるが、目の見えない「目撃者」の証言を真に受ける警官は少なく、表面的に受け付けるのみで捜査は打ち切られてしまう。どうしても引っかかる女性は、独自に当時スケボーで事故にあったはずの青年を探し出し、手掛かりを探ろうとするのだったが……。
 若い女性を狙った連続誘拐殺人事件が起きているわけだが、警察は、なかなか犠牲者すら特定して割り出すことすらできない。また、連続する事件の関連性もよく分からない。犯人は実に巧妙に犯行をミスリードしていき、捜査は何度も行き詰まる。そういう中スケボー少年とともに犯人を追う盲目女性は、犯人の手中に取り込まれてしまう。
 原作は韓国映画らしい。中国版のリメイク作品もあるということで、日本版とともに自国リメイクをしても「売れる」と判断された題材なのだろう。実際のところ様々な仕掛けが序盤から立て続けに展開され、目の離せないスリルのある物語になっている。警察の捜査や人間関係などに、多少突っ込みどころはあるにせよ、物語が大きく破綻するものではない。むしろ否応なくサスペンスの伏線になっていて、娯楽作として非常に面白くできている。これでもか、というようにたたみ掛けるような危機的な展開があるので、観終わった後には、本当にほっとしてしまった。僕のつれあいはめったに僕の観ている映画を最後まで観ないが、この作品は我慢せずに最後まで楽しく(楽しい作品とは違うけど)観たようだ。そういう意味では、日本映画には珍しい、ちゃんと面白い娯楽映画かもしれない。
 しかしながら映画に出ているキャストを見て、つれあいは途中で犯人は割り出すことができたという。僕にとっては意外性のある仕掛けだったけれど、そういう意味では分かりやすいネタバレが含まれていることになる。たとえそうであっても面白いのだから、実にえらいストーリーである。続編は作りにくいかもしれないが、この名探偵は今後も「あり」なのではないだろうか。
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