アドレナリン・ドライブ/矢口史靖監督
おそらく営業で先輩と一緒に運転中に、先輩のいじめの所為でやくざの車に軽く追突してしまう。事務所に呼ばれ恐喝を受けるが、その時事務所でガス爆発が勃発。ちょうど痛めつけられて床に転んでいたために爆発の影響が少なく若い男は難を逃れ生き延びるのだが、ちょうど救急車で救助されるヤクザと、これもちょうどその場に居合わせた別の病院の若い看護婦と救急車に乗せられてしまう。ところが運ばれている途中のヤクザが目覚め暴れて救急車は事故を起こし、やくざが持っていた2億円を若い男と看護婦は持ち逃げして逃避行に出るのだった。
まあまあ面白そうな展開になるのだが、基本的に演出の所為なのか、若い二人(というか特に男の方だが)が頭が悪すぎて、そのために命がいくつあっても足りないような危機が続く。一ミリも同情の余地が無いアホさ加減で、当然見ている方はイライラする。けれどまあギャグとコメディなんで大目に見て展開に付き合うのだが、結局グダグダは延々と続いて、これって学生が作った映画だったんじゃないか、と最後には考えてしまった。矢口作品とはわかっていたけど。
矢口監督は「ひみつの花園」とか「ウォターボーイズ」とか「WOOD JOB!」とか面白い作品はちゃんと撮っており、ヒットメイカーなのではあるが、独特のわざとらしさが消えなくて、このような作品も撮ってしまうようだ。今作品は「ひみつの花園」系列ともとっていいお金にまつわるコメディなのだけれど、「ひみつ」の方は西田尚美のちょうど天然系の演技もあって、荒唐無稽な話が成功していたのだが、これはちょっとうまくいってないようだった。いや石田ひかるはそれなりにいいと思うが、女性以外が天然系になると、うまく話が進まないという感じだろうか。でもまあ結局見てしまったし、終わり方は良かったね、という感じなので許してしまうよりないのかもしれない。今の時代から見た当時の古さも、感慨深いものがあるわけだし。
女の人が眼鏡をはずして服を着替えると別人のようになるというのは、漫画ではよくある話だが、実写だとあんまりうまくいかないものだ。しかしながらこの映画は、そういうところは上手くいっている。そういう願望が、ひょっとすると僕らの中にはあるのかもしれなくて、それがお金の影響だというのであれば、やっぱりちょっと面白いかもしれない。