カワセミ側溝から

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

かっこよすぎるがそれでよし   居眠り磐音

2022-03-15 | 映画

居眠り磐音/本木克英監督

 原作小説がある(けっこう続いているシリーズもの)。般若と誤読されることが多いが、イワネと読む。そういうところはなんとなくめんどくさいが、ネットでは間違って検索してもちゃんと磐音に行きつく。要するに間違い検索が常態化して検索エンジンが適応している例なのだろう。
 江戸で剣修行を修めた豊後の藩の三人の若者が帰郷するが、そこで家に帰りつく前に嘘の情報を信じた男がそのまま妻を殺してしまい(それにしても何の言い分も聞かないままである)。それが妹であった一人が遺体を引き取りに行って殺した仲間を殺してしまう。そうして狂暴化して(致し方ない)、それを最後に磐音が討たなければならなくなってしまう。磐音もやはり、その後殺した友人の妹をめとることになっていたため、いたたまれなくなって脱藩のような形になり、そのまま江戸へ戻ってウナギを割いて暮らすことになる。しかしそこの長屋の大家の口利きで、ある両替屋の用心棒にならないか、という話に乗るのだったが……。
 お話は芝居がかっているのだが、芝居だからだんだん気にならなくなる。主人公の磐音が、まっすぐすぎる理想的な武士で、腕もめっもう強い。だから成り立つ人情劇ミステリであるけれど、江戸期の経済と権力闘争の中にあって、ヤクザな対抗勢力との戦いは命がけになっていく(まあ、最初からそんな感じだけど)。残された婚約者の没落残酷物語も交えて、江戸の世の中は妙なことになる訳だ。
 因果な世の仕組みになっている江戸時代は、人の命の軽い残酷な階級社会である。そこでは結局は剣による強さがモノを言っていて、自分の命が守られなければ、どうにもならないようだ。磐音は危ない場面がありながらも、生きていける力がある。しかし人生の選択においては、大きな過ちを犯してしまったようだ。しかしながら性格がいいので、どうやら救われる立場のようだけれど……。
 本当にこれでよかったのかよく分からない物語だが、本来は続き物で、この後にも磐音の長い人生が続いていくものと思われる。その断片の一応終わりの物語なのだろう。でもまあ、時代劇はこうでなくちゃね、という要素は確かにあって、これはこれでいいのかもしれない。また、柄本佑をめぐる肉親関係演技合戦にもなっていて、芸能人っていうのはこういう演技外の縮図も描けて面白いのかもしれない。なんだか頑張ってるな、おやじ。って感じですかね。
コメント
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