カワセミ側溝から

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

あんな時代のフライト群像劇   ハッピーフライト

2022-03-11 | 映画

ハッピーフライト/矢口史靖監督

 パイロットには階級があるらしく、新人からベテランに上がる試験のようなフライトを兼ねて、ハワイ行定期便の運航をすることになっている。このフライトに新人のスチュワーデスさんと、飛行機の整備士の話が同時進行的に重なる。そうして飛行中に実際に機体が不調になってしまうのだった。
 最近はコロナ禍ですっかり飛行機は乗らなくなってしまったが(それにしても航空会社どうなってしまうんでしょうね。航空会社に限らない問題だけれど)、飛行機を定期的に定時運行することが、これだけ大変なんだ、というドキュメントにもなっている。空港では様々な人々が働いていて、飛行機が安全に飛ぶために力を尽くしている。時にはハイテクで、時にはアナログで、妙な人たちがいることもあるが、適材適所で力を出し合うことで、なんとかなっている。それは社会の縮図でもあり、空港の業務は、それを階級的にあらわしたモデルであるようだ。子供たちはその仕事の一端を垣間見て、将来大人になったときに、それらのどこかの仕事を選択することになる。それは、現段階では、憧れ、ということになろう。
 しかしながら、そういう仕事の一部に対して、妨害する要素もあるわけで、そういうリスクが様々に絡んでいることも見て取れる。職場の中では厳しい局面が当然あるが、同じく厳しい仕事をこなそうとしても、同僚自体がリスクになっている場合もある。映画の中では、それが大事には至らないのであるが、これが本来的な事故の原因であれば、新人のミスで済まされない、まさに日本の上下関係が生んだ事故とも捉えることができるのではないか。日本人はちゃんとまじめに仕事をしているとお互いに思っているかもしれないが、時間を守ることがリスクになっているとしたら、それは本末転倒ではなかろうか。
 基本はコメディ映画なのだが、それはある意味で成功もしていると思うが、ちょっと中途半端な気もしないではない。中心人物の恋愛であるとか、本当の意味で運ではないサクセス・ストーリーが無ければ、なんだか物足りないものがあるのかもしれない。今となっては時代性もあって、こんな時代もあったかもな、という感じでもある。世の中は、この頃と何かが完全に変わってしまったのかもしれない。そういう意味では、もう撮られることの無い映画なのかもしれない。
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