研究生希望の留学生の方へ

毎年、数名の方から研究生希望のメールをいただきます。

インターネットで名前を見つけてご連絡をいただきます。

お断りすることも多いのですが、

それは、その方ご自身や、その方の民族、宗教、国籍が嫌いだというのではありません。

むしろ、私は多くの方に日本で勉強する機会を持って欲しいと思っています。


少し長くなります。


私が、学部生だった時はもちろん、博士課程に在籍していた頃も、

留学生は、経済的に非常に困難な状況にある人が多く、

アルバイトをしたり、

国民健康保険の掛け金を払わずに過ごしていたり、

食事を抜いたり、

そんな生活をしている友達もいました。


それでも、自分のしたい勉強ができている留学生は、それなりに生活を楽しんでいました。

ただ、一人、

ファインセラミックの研究がしたいと留学してきたのに、

なんの手違いか、

陶芸の先生の指導を受けることになってしまった留学生がおり、

毎日、とても退屈そうに過ごしていた友達がいました。

彼は、大学院での2年間、

生活費や学費を使って何をしていたのだろう、と今でも思います。

日本のアルバイトでの収入は、決して高額のものではありません。


その彼のことが頭から離れず、

研究生希望の連絡をいただくと、

必ず、当然ではありますが、勉強したいことを細かく尋ねます。

私が指導できる範囲のことであれば、喜んでお引き受けしますが、そう出ないことも多いのです。

研究分野やテーマが、私の守備範囲を超えていた時は、正直にそれをお伝えして、

より良い先生を探して欲しいと伝えます。

その時、

先生の指定するテーマで頑張ります

という方もそれなりにいらっしゃるのですが、そういう方は基本的にお断りしています。

その方本人が、したくもない勉強をするためにアルバイトをするとか、

ご両親が一生懸命働いて送ってくださる学費を使うことに

抵抗があるからです。

せっかく、日本を選んで留学しようと考えてもらえているのですから、

少しでも、自分の夢を叶えるお手伝いがしたいです。


研究生をお断りするたび、そんなことを思います。