AWA@TELL まいにち

南山大学で、日本語教育に携わる人材の養成を行っています。ホームページも是非ご覧ください。

フリガナの功罪

2019年01月10日 | 日本語教育
日本語教育実習のときに、

初級の学習者さんでも漢字を積極的に使っていこう、という話をしたことがあるのですが、当然フリガナが必要になります。

フリガナの位置は、ワープロソフトであれば標準で文字の上につくのですが、文字の下にフリガナをつけないと、フリガナを読んで下の漢字を見ない、ということが常態となってしまうことがあって、

文字の下にフリガナをつけよう、ということを結構話していたのですが、

夜間中学校の支援に伺って、教科書の問題を解いている学習者さんから、漢字の読み方についての質問を受けていたのですけど、フリガナは、やっぱり厄介なものだよなということを再認識しました。


「分速」という言葉がまず読めなくて、授業でもらったプリントを一生懸命見て、「プンソク」となんとか、近い読み方までたどり着いたのですが、意味が分からない。

漢字を見て読んでいるのではなくて、フリガナだけ読んでいるわけ。だから、加工されていない教科書になると、途端に読めなくなっちゃう。

漢字の読み方を答えた後で、その学習者さんが「速さのことだ」と気づくまでの長さといったら。

「速」という漢字、単に「ソク」という音で覚えているだけで、それが「ハヤサ」であるとは認識してないのよね。


フリガナをつけて、音読できたから理解できた、なんて乱暴なことを考える指導者はいないと思うんですが、

読めたらわかると思い込んでいる人も多いわけで。


フリガナをつけて、当座、その漢字の読みをクリアしたんなら、その漢字の意味も扱う時間を近くに取らないとね。

てなことを、つらつら思いました。


いや、文章の理解は難しい。改めて思いました。

認知の勉強、し直さなきゃなあ。

現場と本と、行ったり来たり。
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