秘境という名の山村から(東祖谷)

にちにちこれこうにち 秘境奥祖谷(東祖谷山)

奥祖谷冬風景

2008年12月29日 | Weblog
奥祖谷山麓夜話
奥祖谷の庵にコールマン200Aの暖かいほんのりとした灯りが部屋を照らしていた
外は凍て付いた帳に包まれて静かだ。
「世は経済消費至上の崩壊でごった返しているよな、膨らんだフーセンが針の一突き
で破裂したね、脆いものだね、元々物質社会は本質的に幻想の世界だがね。」

「ところで奥祖谷もようやっと伝統文化を大事にしてゆこうと機運が出てきたね
手始めに茅葺き民家の葺き替えや修理が始まったな」

「東洋文化研究家のアレックス カー氏が奥祖谷釣井集落に茅葺き民家を修理して
「ちいおり」と称して居を構えて日本文化を見直そうと世界に発信し始めて久しい
またhideさんが村おこしをしながら自分も楽しもうと「てんご新聞」を発行し始めて
14,5年が過ぎて土地の人たちも目覚め始めたようだね。」

「話は変わるが、奥祖谷の山歩きはどうなのかな、ずいぶん山の自然が荒れ始めている
様な気がするのだがね」

「そうだな、ネット社会で山の情報はあっという間に広がるからな、此処4,5年で
むかしの50年分を圧縮したよなものだよね。荒れるのは当たり前だね。」

「特に1,2年前からHPの内容ががらりと変わったね、GPSのトラックログを公開
するからね、藪こぎも簡単に歩けるもんなあ。
GPSは持っていれば安全に繋がるからいいと思う、トラックログも自分が歩いた軌道が
残り次の登山に繋げていけるから素晴らしいと思うよ。
ただ残念なのはネットに公開する必要があるのだろうか?疑問に思うんだよな
公開によって手っ取り早くて、労せずして楽に藪こぎルートや未公開のルートを誰もが
歩き登山ルートを広げて自然が荒らされてゆくことに気づかないのだろうかね。」

「剣、祖谷山系で云えることは高知側はほとんどが国有林で保護され、立ち入り禁止
になっているようだね、だから通常ルートの登山がほとんどなんだろうね。
それに対して祖谷の方は民間の山持ちが多いから規制が効かないようだね、それで
歩き放題ってことだな。
普通なら人様の持ち山を歩かせて貰っているのだから、そっと歩くよなあ、、、、、、、、」

「うん、そうだなあ、、、、、山歩きは何なんだろうね、、、、、原点の想いはなんだろう?」

「うん、、、、、難しいことだが、ひとつ云えることは趣味の一つだろうね、色々言い方は
あるだろうが、結局のところは自己満足の趣味だろうな、大方の人はそのように想って
いると思うんだがね。」

「まあ、一概には云えないが、、、、、トラックログなど公開することないね
自分の自己満足のためにのみ締まっておくべきだな」

「僕は最近ある人からメールで頂いたが、その方は徳島の人から
「自分自身に心に残る山歩きができれば良いではないか」という言葉を貰って自分のHPの
運営方法を見直したそうだ、心ある人もいるのだから心強いよ。」

「そうだな、悲観することもないが、道のりが遠いよ、皆に理解してもらうのは?」

「自分自身に心に残る山歩きができれば、それで良いではないか、それ以上必要ないではないか」

奥祖谷の夜はしんしんと更けてコールマン200Aのランプの灯りが苦悩する友達と僕を
仄かに映し出して、それぞれが瞑想の世界に沈んでいった。

コメント
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