秘境という名の山村から(東祖谷)

にちにちこれこうにち 秘境奥祖谷(東祖谷山)

奥祖谷春点描

2010年03月03日 | Weblog
雑木林の山道はあまり急坂なところはなくていい気持ちで歩きやすい
久しぶりに今日は最高の散歩だ。
この暖かさに小鳥も活発に飛び跳ねしている、なかには追いかけも
しているようだ。
雑木林が微かに途切れた彼方には肥ぐろがポツンと立っている畑が
見えていたが、誰かが作っているのであろう。

中ほどまで降りてきたようだと一息ついて汗をぬぐい、ミソサザイが
綺麗な囀りに耳を傾けていると、微かにではあるが落ち葉を踏みしめて
登ってくるような足音が聞こえた。

どうもふたりのような感じだが、姿が見えないので今ごろ登ってくる
なんて誰だろうと訝りながら丁度いい具合に道が広くなっているのを
幸いと休憩しようと決めていた。

やがて雑木林に見え隠れしながらふたりのご婦人が確認されたが
小声で話に夢中になっているのか、このわたしには未だ気がついて
いなかったかもしれない。

ふたりは土地の人で無いことは一目で判っていた、どうも母親と娘の
ようであった。
ふたりともすらりと背が高くて、綺麗なひとであった、母親のほうは
年恰好70歳まえであろうか、長年着慣れたであろうセンスの良い
登山服とトレッキングシューズにハンチング帽子の上品そうなひとであった

一方娘のほうはまだ40にはなっていないのではないか想われたが、顔立ちの
きりっとしたひとであった、一目で綺麗なひとであった。
これまた登山服とトレッキングシューズ姿であったが、まだ何回も着てない
のだろう真新しい感じだが、センスの良さは母親譲りであろうか、つばの広い
帽子が似合っていた。ザックは赤い可愛らしいのを背負っていた。

わたしはあまり接近して驚かしてもいけないと思いわざとらしく咳払いを
すると、ふたりは近づきながら直ぐにわたしを認めて少し驚いた様子であったが
母親の方が微笑みながら軽く会釈をした、わたしも挨拶をしてから

「いまからまだ奥の方へ行かれるのですか」と声をかけると
「はあ、もうすこし上の方まで歩いてみましょうと娘と一緒に来たのですよ
お天気が良いので気持ちがよろしゅうございますものね」
母親は屈託のない笑顔になって答えてくれた。
「ほんとに今日はお天気がよろしいから散歩にはいいですね、気をつけて
行っていらっしゃいませな」と云って歩き出した。

しばらく降りてから、あれ、奥のほうは行き止まりになっていたのだが
あの人たちは知っているのだろうか、しまった、お知らせすれば良かった
のにと今ごろ気づいたがどうしようもないことであった。
まあ日暮れにはまだ大分時間もあることだし、あの格好では山なれた親子
であろうと少し安心もした。

わたしは心地よい疲労感を覚えながら麓近くまで降りてきた、遠くに
二三軒の集落が見えてきて、生活の匂いがしてくるとなぜかほっとした。

程なく日当たりのよいちょっとした斜面に福寿草の花が綺麗に咲き誇って
いるところで一休みをしてお茶で喉を潤した。















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