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6月18日に谷川岳の奥の院古道を歩く―かつての参拝道が復活

2022-06-19 | 登山

復活した谷川岳の奥の院古道は、富士浅間神社に向かって左側からはじまる


山行日 2022年6月18日(土)日帰り
天気 薄日が差す曇り
山域 谷川連峰
メンバー 単独
コース&タイム
我孫子駅5:11=5:43上野6:14(とき301)=6:57高崎7:11=8:18水上駅8:23ー9:09富士浅間神社9:12ー10:45鉄塔(1134m)11:00ー12:19天神山(1502m)ー展望台13:00ー天神平ー13:37田尻尾根分岐ー14:51田尻尾根入口ー15:10土合駅15:34=15:48水上駅15:53=高崎駅(新幹線)=上野駅経由=18:43我孫子駅


<わたくしの好きな山登り

6月18日に谷川岳の「奥の院古道」を歩いてきた。現地の案内板によると、この道は「室町時代頃より谷川岳の奥之院への参拝道として活用」とある。

奥の院古道とは、谷川富士浅間神社から天神山に至り、そこから天神尾根を伝わって谷川岳のオキノ耳にある奥の院までの道である。天神山から先は多くの登山者が利用する一般登山道になっているので、復活した参拝道は廃道となっていた神社から天神山までの道となる。

たしかに国土地理院地図やガイドブックには、神社から天神山までの道の記載はない。2万5千図をみると、神社から天神山へは明瞭な尾根が続いているのがわかる。バリルートをそこそこに歩いているわたくしからすれば、ルートがわかりやすい尾根といえる。近年復活したというのだから、登山道として整備したということなのだろう。

5月の山行からはや1カ月、6月はどこを歩こうかと思い悩んでいるときに、昨年山仲間から聞いたこの古道を思い出した。どこに行こうと思いつかないので、それならというわけで腰を上げることにした。谷川岳は2016年10月に2度目の主脈縦走から歩いていない。谷川岳は、若いころに主脈縦走と馬蹄形縦走をしてから離れ、50歳前後からふたたび歩くようになった。歩きなれた山域といえる。それもあって6年ぶりに谷川に行くことにした。

半世紀以上も山をやっていると、古道を歩くことはある。記憶に残るのは2000年10月に歩いた“八十里越”だ。越後と会津を結ぶ32キロの街道であるがいまは登山の対象になっている。この八十里越ですぐに思い浮かぶのが越後長岡藩家老の河井継之助。いま上映中の司馬遼太郎原作「峠」の主人公で、役所広司が演じている。幕末、新政府軍に敗れて会津に逃れた道だ。

梅雨の時季だから気になるのは天気。梅雨晴れとはいかないものの、この日ならと選んだ。谷川岳は年中天気が悪い山。晴れ間は期待していなかったが、この日は薄日が差す天気に恵まれた。暑く、これでもかと汗を絞られた。もともと晴れ男だ。いや、年を取ってから天気のいい日しか歩かないから当然ながら晴れの日になるのだが。

今回のコースは、スタートが水上駅、神社から奥の院古道を登り天神山へ、下りは田尻尾根をとり、ゴールは土合駅。


復活した奥の院古道(神社から天神山)を歩いての感想。
1、尾根を忠実にたどる。最初から最後まで急斜面の直登の道である。
2、神社から送電鉄塔のある1134mへの道と、この鉄塔から天神山への道とでは様相がかなり異なる。
2-1、前者は、最初の30から40分は急斜面の直登だ。道は巡視路として以前から歩かれていたようで幅広の道で歩きやすい。初級コースといえる。
2-2、後者は予想していた以上に手ごわい。主に整備されたのはこの道だろう。とにかく急斜面が続き、トラロープが延々と続く。バリルートだろうと準備した。だが刈り払いがしてあるので道に迷うことはない。手を焼いたのが急斜面とやせ尾根である。気が抜けない、緊張を強いられる、体力気力を全開させなければ身が危うい、そんな道だ。緊張面でいえば西黒尾根や厳剛新道よりもずっと厳しく、中級以上のコースというのがわたくしの感想である。


コースの詳報

水上駅から歩く。駅の標高は430m、目指す天神山は1502m、標高差は1000mを超す。駅から谷川温泉までの道はなんどとなく歩いている。谷川富士浅間神社も3、4回は行っているだろう。神社までは迷うことなく行ける。

谷川温泉からの爼グラ。


神社への道は谷川温泉を右折して天一美術館の方向へ。

すぐに天一美術館の入り口、その奥に神社の鳥居が見えてくる。

神社の鳥居と石段。

野暮用があり、天一美術館のほうの道を選ぶ。美術館の隣りの建物に用事がある。ここはかつての共同通信の谷川保養所。わたくしは60歳までこの会社で月給取りをしていた。
月給取り仲間でワンゲル部をつくり、この保養所が“ベースキャンプ”となっていた。わたくしはもともと単独行。仲間に入ったのが50過ぎ60前になる。それからたびたびこの保養所の世話になった。

2015年に閉鎖になった。いまの姿がどうなっているのかを見たかったのである。建物は取り壊されることなく残っていた。玄関先は雑草が茂り無人のようだ。

この保養所の前から俎グラがみえる。朝にその姿を見るのが好きだった。

富士浅間神社は保養所の目と鼻の先にある。手前左の手水舎の水は飲めると聞いた。ブランド谷川の水である。ザックのなかの2リットルの水をすべて入れ替えた。

神社の標高は600m。駅からここまであまり高度を稼いでいないことがわかる。

神社に参拝し、左側にある古道に足を踏み出した。



最初から急斜面の直登である。水上駅から歩いてきたのでウオーミングアップはできているとはいえ、足首が痛くなるほど。

30から40分ほどがんばるとベンチ。ここで急斜面は終わりか。いや違った。この先も急斜面が続く。

ヤマツツジ。谷川岳の稜線はいまが花盛りだが、この道は標高が低いので花は終わっている。

ブナの大木が所々に。

1130mの送電鉄塔に到着。眺めがいい。古道で展望がいいのはここと、ゴールの天神山だけとなる。15分休憩。

ホワイトバレーの向こうに武尊山や赤城山。子持山から吾妻耶山も。



爼グラから万太郎山

鉄塔の先から道は一変して厳しい。
道幅は急にかなり細くなる。鉄塔から少し下ると道は左に折れる。赤テープがこれでもかとあり、道に迷うことはない。それに刈り払いされているからルートは明瞭だ。

1200から1400mのあいだは急斜面のうえにやせ尾根。トラロープがどこまでも延々と張られている。よもやここまで緊張させられる道とは思ってもみなかった。とても参拝道とは思えないほどのかなり急坂だ。全力で慎重に行くしかない。とにかく手ごわい道である。

こんな道がつづく。

熊の巣穴か。その入り口に大きな糞。クマよけ鈴を大きく鳴らす。

ギンリョウソウを見るのは久しぶり。

平坦な道になってきたと思って顔をあげたら、そこは天神山の頂上だった。やっと無事についた、そんな思いを抱いてしまうほどの難路であった。やれやれと胸をなでおろした。

山頂のすぐ下には奥の院古道の道標。

侵入注意! この先は天神平散策道ではありません。ロープウエイに乗る場合は引き返してください、との掲示板。たしかに侵入したら遭難まちがいなしだろう。ここからの下りは、登りよりもかなりきびしい。

天神山と展望台で45分の大休憩。
天神山とリフト展望台からの谷川連峰の展望を楽しんだ。梅雨の時期にこれだけ見られれば文句はない。谷川岳のトマノ耳からの展望はお気に入りだが、ここからだってさすがにいい。6年ぶりの眺めにしばし見とれた。

谷川岳と天神尾根



爼グラ、オジカ沢の頭、谷川岳

笠ケ岳、朝日岳、白毛門

天神平から

武尊山、赤城山、子持山、吾妻耶山などぐるりと見渡せた。

いよいよ下山開始。リフト展望台から天神平に下り、田尻尾根分岐を目指す。

天神平のシラネアオイ。

天神尾根の田尻尾根分岐。下山は田尻尾根を下って、土合駅に向かう。

田尻尾根は、工事がすすんで沢の渡渉がなく、濡れないで歩くことができた。

田尻尾根の出入り口となる西黒沢橋。

水上駅を8時23分に歩き始め、ゴールの土合駅には15時10分についた。

年を取ると山に行くたびに筋力の低下を感じる。わかりきったことだが加齢が原因だ。行動中も、家に帰ってきてからもけいれんに悩まされる。5月の丹沢のときはひどかった。これほどの痛みを感じたのにはショックをうけた。こんかいも覚悟していた。その兆しはあったものの、筋肉痛だけでけいれんはなく朝を迎えることができた。ほっとしている。

歩きながらふと思ったことが二つ。ひとつは、古道を整備した関係者の苦労には頭が下がること。とくに鉄塔の先から天神山までの間の刈り払いとトラロープ張りは命がけであったろう。もう一つは、急斜面の連続するの道が、はたして
奥の院への参拝道だったのだろうかと。だから復活させたんだとわかっていても、参拝で奥の院へ行くのも命がけだったろう。特に復活させた道のうち、鉄塔から天神山まで区間は。

急に歩こうと思いついた谷川岳の奥の院古道。話のタネが一つ増えた、そんな感じの山旅であった。


      
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