■今日VJU図書館で夢中で読んだ本。香川孝三という神戸大学の先生がベトナム公使として赴任した1年間の労働法研究生活をまとめた本だが各分野がよくまとまっていて読みやすいし興味深い。恩師の石川吉衛門先生(有斐閣の労働組合法の著者で中央労働委員長を勤めた)が2005年に亡くなれたことが書いてあったので驚いた。
石川先生の授業は司法試験勉強中に東大にもぐりこんで聞いていた時期があった。受験科目に関係なかったが、会社を辞めて司法試験の勉強をはじめたばかりだったので、先生の最初の授業で話された労働組合の話があまりにショッキングだったのが忘れられない。東大の卒業生は入社すると社長から「次の労働組合委員長に立候補しろ」といわれる。「君たちはこれが信じられるか!私の講義を聴いたらそれがわかる。」というので、地方大学工学部卒で「組合」のことなど何も知らず、入社後、会社の当時の「同盟」第二組合から妙な嫌がらせや共産党員だとの風評を流されたりして嫌になってやめてしまった当方としては、、これじゃあ東大生にかなうはずはないなぁ、、と思った。後日、親友に組合つくりを提案すると彼はすぐに出世した。
そんなこともあって、香川教授は年も同じぐらいで60過ぎでベトナム公使として赴任しているので親近感を持った。よく1年でここまで研究できるものだなと思った。
ベトナムでの裁判制度。結社の自由はないが、ストライキがみとめられていること。特に労働力輸出として実習生送り出しのこと、人身取引人身売買(トラフィッキング)、ジェンダー問題(ドイモイによる貧富格差増大を解消する視点に気づかされる)などの記述がまとまっている。