●トンの屋台にはじめて見るけどちょっと小太りで子連れの人なつっこそうな女性が来ていてシンさん(チャイ・ロイを僕に飲ませようとした張本人)と友人らしく、やたら僕になれなれしい。そして誘われて夜、カラオケにいくことになった。
常連のこの前バイクを盗まれたシェフのやさおとこ君と、いつものトック・ラオ氏。が1台のバイクで、僕は2人の女の子と一緒に彼女のバイクの後ろに乗った。つまり4人乗りだ。そして夜の街中をひとしきり走って立派なカラオケにはいる。エレベータから降りて部屋に入ると、あのニャチャンのカラオケのように豪華でギンギラの部屋だ。前面と部屋の背面の壁にモニターがあって中央のテーブルにビールやフルーツが山盛り。
皆が歌うのはベトナムの民謡っぽい歌で、男も女もうまい。とくに女性では歌手並みのソプラノで歌う人がいる。その時だけは、ベトナム語の発音は小鳥の鳴き声のように聞こえる、という話が本当に思える。彼女もうまかった。僕にも歌えというがベトナムの歌は知らない。すると日本にあるような膨大な歌詞リストをもってきた韓国、中国と日本の歌が並んでいて、やっと陽水を見つけたのでワインレッドの心をオーダー。
ミニター速度と伴奏があわず苦労しても音階がとれないが、どうせ誰も知らないんだから、と大声張り上げ、皆も大喜び。そのうち酔いもまわってきた。ぼくは彼女の手を取って踊っているうちに彼女は相当酔いが回ったようでトイレに駆け込む。
シンさんが入ってきて、少し一緒に歌ったが子供の1人を連れて帰った。もう相当彼女の酔いがまわったのでお開きとなり、彼女どうするのかと思うとちゃんとバイクに乗り、僕にも乗れという。ぼくも乗ろうとすると、家の方向が違うらしく、さすがにほかの2人は僕を彼らのバイクにのせて、かの女たちだけで帰らせることになった。それでも分かれ道のところで僕を下ろし、ちょっと待てと言って2人は彼女の後を追いかける。さすがにベトナムとだといっても危険なことを放置はしない。そういう実際的な危険の対応は日本以上だ。
しばらくして彼女の安全を確認したのか2人は戻ってきたが3人でしばらく走るとバイクがガス欠。歩くことに。帰って玄関のシャッターは当然しまっているので、ツウに電話するも出てこない。守衛のタンを呼ぶとすぐ開けてくれた。守衛室に行くと玄関のモニターにぼくがちゃんと映るようになっているわけだ。
僕のiPhonに彼女の電話番号が入っていた。そういえばグーグル翻訳で歌詞番号を入れてと打ち間違えて、電話番号を教えてと打ってしまったらしい。楽しかったよとショートメイルした。
後日、アパートオーナーの2人から、僕の夜遊びの、おしかりがあったようだ。その後、彼女は見かけない。