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モダニズムは・切ない

鎌倉の近代美術館で開催中の建築家・坂倉準三(1901-69)の展覧会に行く。
じっくり見ていたら2時間半も経過、大慌てで鎌倉駅に向かう(足痛)。
・・・湘南方面に行った本来の目的を見失ってるな。

坂倉さんの建築はとにかくセンスの良い一流品である。
しかも独特のへんちょこりんな癖も顔を出すし、
戦後モダニズム建築の精華であることは間違いない。
60年代の作品など、ジャパニーズモダン爆発でたまりません。

たまらないのですが・・・。

民間の建築(一流企業の研究施設など)はさすがにメンテナンスも良く、
往時の輝やきを保っているように思えたのですが、
メンテナンスの悪い公共建築群は正直、厳しい印象でした。

モダニズム建築って、やっぱり出来た時が最高で、
時間の流れのなかで熟成できる建築ではないのではないか。

出来た時が輝いているだけに、よりそういったことを感じさせたのかもしれません。

ところで、坂倉さんの大きな特徴は、都市的スケールの建築を手がけたこと。
井の頭線の渋谷駅、JRをまたぐ東急東横店、地下鉄銀座線に沿って駅前広場を渡る歩廊、
といった渋谷駅の一連の施設も(その先には東急文化会館があった)。
新宿駅西口の、地下から大きく空が見える地下コンコース、小田急百貨店、モザイクモールも。

僕らの馴染みのインフラが、じつは坂倉さんの手によるものだったりする。


八幡宮側の看板にフィーチャーされた新宿西口広場の俯瞰写真(090625追加)


プラネタリウムが眩しい、在りし日の東急文化会館。左に宙を走る「地下鉄」銀座線、
その手前下はいつの間にか地上レベルになるのがこれまた不思議だった空中歩廊。


そして坂倉さんは住宅もたくさん手がけていて、名手も多く育てている。
家具もそうだ。

もう少し長生きをしていたら、いったいどんな建築を見せてくれたのだろう?
あるいは輝ける都市を無心に追求することが叶わない時代を見ずにすんで、
幸せだったのだろうか?
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