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あれから一週間。

先週の水曜日(2007年5月30日<大安>)、マリーザ・モンチのコンサートに行ってきました。
各所のコンサート評にもあるように( ex)hayataoさんの「カリオカ的東京生活」)、
とても素晴らしいコンサートでした。
高くて細い体から伸びた長い腕と、とても大きく見えた手の不思議で優雅な動きも堪能。
ところが私はなんとなく不完全燃焼。ぷすぷす。なんですよお。

というのはですねえ、オーチャードホールだったんですよ、会場が。
で、ブラジルの歌姫とかいうキャッチでやるから
こっちはややお上品モードで聴きに行った訳だったのですよ。

しかしっ!

最初っからブラジル人密度濃いとは思っていたんですよねぇ。
暗闇の中で一曲目が始まった時点でもう(もちろん日本人も含め)会場大興奮状態な訳です。
で、うるさいんだよ、盛り上がっちゃってさー、こっちはマリーザの声でしっとりとろけたいんだよ。
・・・と思っちゃったのね、だってオーチャードホールだからさ。
これがいけなかった。
とにかく一曲ごとに大声をかけるは拍手のタイミングは早いはおしゃべりはするは、
お前ら酔っ払ってるだろ、つう感じなんですが、じつは彼らが正解だったのかもね。
やっぱラテンなんだからお酒のんで楽しく見なきゃね、という究極の状態は
最後の方の曲でマリーザがちょっと招きよせるような仕草をした時にやって参りました。
別に「煽った」という様な動きじゃなかったのだけれども、
テンション高まりきっていた会場はもう総立ち、2階席も総立ち&踊りまくり。
(オーチャードでありなの?・・・あ、すみません私共もつい・・・)
そしてアンコールで会場が暗くなれば携帯をペンライト変りに振り、
・・・そしてストロボの嵐!(当然撮影禁止です)
これがまた綺麗なんだよ(爆)
だいたいマリーザもバンドも会場のテンションの変化ぐらいで
演奏がブレるようなやわなアーティストである訳もなく、
じつにしなやかに受け流して美しい声と姿を我々の前に見せつけていってくれたのでした。

と言う訳で、最初っから全開モードで行けば良かった、という反省、
オペラグラスを忘れたという初歩的ミス、
名古屋ではオールスタンディングの会場でやったことを知らなかったこと(くそーブラジルよりは近いぞ)
だいたい東京で2日しかやらないのにケチって1日しか行かなかったこと、
などなど、情報を掴み損ねた初来日から15年にしてようやっと再来日したと言うのに、後悔ばっか。

うぐう、いつかはブラジルで聞いてやる!

と密かに心にちかっている今日この頃でがあるんだけれども。

そんな訳で、こんだけ盛り上がるんだったらオーチャードはないよな、と思ってゼップ名古屋を羨ましく思っているのですが、
(ゼップの様子は「smashingmag」にレポートがありました。7割ブラジル人だったとか)、
ブラジルでマリーザのライブを見た羨ましい方のBLOGを見ると、本場だからと言ってそうそうハイテンションな状況でもないらしい。
→ 古瀬香織さんのBLOG「サンパウロの達人
劇場も様式系の立派な劇場ってことは格式高いのかな?
日本公演だってチケット安くなかったけど、雰囲気みるとオーチャードという選択は妥当な気も。

あとあのPAってどうなんですか?ウチの妻は音がいいって言ってて、確かに悪くはないんだけど
なんとなく平板で音の分離というか粒立ちが悪くありませんでした??
バンドは9人編成でマリーザ自身もギターなどを弾くので相当厚く緻密な音が鳴っていると思うのですが
(楽器の編成もチェロあり、バイオリンあり、フリューゲルホロンあり、と結構変っている)
せっかくのオーチャード(ホールアコースティックが優れたホールだと思いますが)なのになんか音でかすぎだし・・・。
といいつつ、あの盛り上がりだったらしょうがないか、とも、
この辺り、受け手としての消化不良がありありな感想だよなー。


あ、主催者関係の方(たぶん)のBLOGはこちら、セットリストや滞在レポなどもあります。
→ 「中原仁のCOTIDIANO
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鬼門埼玉だけど好調に近代建築巡り(その3)

さて、秩父セメント終了後はさっくと市内へ。
お花畑駅から秩父駅にかけてのエリアには登録文化財になっているものも含め、
結構な数の近代洋風建築や町家が残っていているはず。
短時間でどれだけ見つけられるか、いざっ!!
  
まずは有名どころを三軒ご紹介。
左はこれは是非見たい、と思っていた旧秩父国際劇場。
現在は建材屋さんが使用中、手前のステンドグラスの建物も同じ建材屋さんが使用中。素晴らしいです。
秩父国際劇場は裏も必見!!謎の集合住宅となっておりますよ。表より萌えました。
真ん中は秩父鉄道・お花畑駅のトラス。
この駅舎は登録文化財なんですが、一般のヒトには「え~なんでこれが文化財なの」
と言われてしまいそう度68パーセントな物件です。
外観は全く絵になりません(笑)。でも古いんだよ。これぞ登録文化財!
(このトラスが見所らしいですよ!!)
右は旧埼玉県繊維試験場秩父支場本館。現在は「ちちぶ銘仙館」という観光施設として活用中。
えりゃぁドイツっぽくてカッコええ物件ですね。これも登録文化財(指定にしてよ!)。
次は秩父神社参道沿いにある近代建築なんですが、特にここの四つ角は4件中3件が近代建築なのでもうメロメロです。
  
左からカフェパリー(登録文化財、これは角から2軒目)、バーペンギン、小池煙草店(登録文化財)、
写真あげてませんが、角のもう一つの物件は安田屋で、これも登録文化財。ここは伝建か?
さて、参道のお花畑駅よりにはもう一軒洋館がありまして、それが下左の片山医院。
  
さて、お花畑駅から西に向かうと道路沿いにはこの通り、素敵なお医者さんが2軒並んでおります。
病気になったときどの医者に行くか迷いますね(笑)。
この先の国道299号線は古の(?)秩父往還で、道沿いに多数の町家物件があります。(旧国際劇場もこの通り沿い)
さくさくっと歩いただけで(銘仙館だけは少し離れているけど)これだけ見れちゃうんだから凄いところです。
が、裏道はもっと面白かったのであった。
(続く)
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「20世紀の権力とメディア」を読んだ

1920~30年代のドイツ文化と言えば平井正さん、ということになるのでしょうか。
平野甲賀さん装丁の「ダダ/ナチ」全三冊シリーズとか、著書多数です。
ですが・・・初めて読みました、いや~お恥かしい。
だって平野甲賀の装丁苦手なんだもん(なんのこっちゃ)。
その本は
20世紀の権力とメディア―ナチ・統制・プロパガンダ」(1995)
って最初に読めよって感じのズバリなタイトルですね。

で、この本は図書館の検索で引っかかって偶然存在を知ったのですが
(出版している「雄山閣」って大学の人文系の教科書出してる会社ってイメージ?)、
面白かったし分かりやすかったし大変勉強になりました。
ラジオ、イベント(党大会、焚書等)、映画といった「メディア」とナチがどう向き合ったか、
よく整理された形で分析されていて、全体の見取り図を得るのに好適な著作でした。
映画についても(平井先生も相当なフリークらしく、ドイツ映画のHPもお持ち)
「ナチ「映画」なるものが、芸術の政治化という現代大衆文化の徴候的な現象として、
 時代に大きな傷跡を刻印したという認識が一般化したために、
 あたかもナチ「時代」の映画がこうした映画一色であるかのような錯覚を与えてきた。
 実際にはナチ時代に制作された映画1150本の中、
 純然たるプロパガンダ映画はせいぜい5パーセント程度で、
 上述のような映画は、当時製作された映画の中ではむしろ例外に属する。」
 (強調は引用者)
との認識に立って数々の映画を分析するなかで
ナチの文化統制のあり様を明らかにしていくプロセスは圧巻です。
(この「統制」っていうのが強制だけではなくて
 共通の土壌を上手く救い上げ、自発的に協力させ、それでも駄目な相手は暴力で、
 というなかなか巧みな支配なんで恐ろしい訳ですが)

翻って戦前日本のおける統制はたぶんもっと素朴で野卑なものだったと思うのですが、
(もしかしたらドイツの「第一次大戦期の」映画統制の理念に近い??)
「外地」においては通用する訳も無く、多様な試み/綻びが見られるようです、
という話の出発点は実は「満映/華映」なんだけれども。
なんか良い本ないかなあ。

関連エントリー→ ナチ時代の娯楽映画って面白いらしい
平井さんの本を読むとこちらの著者は異分野の著作に疎いのかも?との疑惑も。
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