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歴史的建造物の残し方

先週末、千葉でちょっと変わったシンポジウムが開催された。
議論になっているのは検見川送信所(1926年竣工・逓信省設計、担当:吉田鉄郎)なのだが、
一応、地元、行政、議会とも「残す方向で・・・」ということにはなってきており、
以前の危機的状況を知るものとしてはかなり嬉しい状況ではある。
で、今回のシンポジウムのタイトルが「指定文化財か、登録文化財か」

なんでこういうシンポになったかというと、
某職能団体が「市指定文化財にして」と言う要望書を出しているんだけど、
市は「国登録文化財でどうでしょう?」という雰囲気らしく、
じゃあ、どっちがいいのかみんなで考えましょう、ということで。

当日は文化庁建造物課OBの堀さんや、千葉市美術館で旧川崎銀行千葉支店
鞘堂保存」という荒業(?)で保存した大谷研OBの岡部さんがパネリストとして参加し、
文化財保護法の枠組みや考え方、歴史的建造物を現在の法規や、
安全性、快適性といった性能面での要求にフットさせる方法について
実際に鞘堂(市指定文化財)を見学したあとに説明を行うという構成。

次の予定があったので延長戦で実施された質疑応答までは聞けなかったのだけれども、
お二人からは基本的に「どっちでもいいじゃん」というコトが言われていたように思う。
要は、残すのにはどちらの制度の方が使い勝手が良いかで決めればよいということ。
あとは素直にそう言えない地元の状況があるのか、と言うことだけだと思いました。

あの時代にあの手法で残したものを指定文化財にしたのはかなりの英断で、
相当先進的なことだと思うので(国にも活用して残すという考え方が今ほどなかったはず)、
今回も千葉市が大胆で意欲的な取り組みを進めることに期待したいっす!
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春がきた

今日の東京は強い風。
春一番との話もあり。
そして・・・

くしゃみが出る
眼が痒い
だるいねむい

の春。

一昨日医者に行って処方箋を出して貰い、先ほどようやく薬局にてゲット。
ちょっと出遅れて鬱、早目が効果的なんです>抗アレルギー剤。

鬱(紙)鬱(紙)
ピンク・フロイド

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ギルモアのブルースギターが冴え渡るこのアルバム、
ベースがトニー・レビンだったりして音楽的なクオリティ(演奏力や構築性)は高いです。
でもこれがフロイドか、という意見もありましたね、当時。
でもツアーは大成功、儲かったもの勝ち、勝てば官軍な展開になりました。
安心して聞けることは間違いないです(苦笑)。
ヒプノシスが手がけたジャケットは秀逸。CGなんて××喰らえ、ですわ。
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40年代「クラシック音楽」の立位置

「クラシック音楽の政治学」をパラパラと読む。

クラシック音楽の政治学クラシック音楽の政治学
渡辺 裕

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もともとは収録論文である「戦時下のオーケストラ」(戸ノ下達也)を読みたくて借りたのだが、
残念ながら当該論文は状況整理にとどまり、「政治学」と言うところまでは話が進まない。
ただ、同書の別の論文と併読すると、一つの奇妙な事態が浮かび上がってくる。

基本的な認識として、戦前期のクラシック音楽の受容については、
・愛好家の多くは旧制高校から大学へと進学することで
 新興の中産および上流階級を形成しつつあった人々(の一部)
・新しい「教養」であると同時に、階級的上昇の記号
という捉え方(若林幹夫「距離と反復」より)で問題はないようだ。
また、加藤はレコード売上高の増加に比して演奏会に中年層の参加が少ない点に着目し、
・一度大学から離れるとクラシック音楽から離れる傾向が見られるのは、
 クラシック音楽愛好がおもに大学において(社会的な)意味を持つ趣味だったから
であると分析している(加藤善子「クラシック音楽愛好家とは誰か」)。
つまり、演奏会においてクラシック音楽を楽しみたい、という層は極めて限られていたことだ。

以上を確認した上で、今一度戸ノ下論文に戻ることにする。
戸ノ下によると、特に1942年以降、国策宣伝を目的とした演奏会が煩雑に開催され、
オーケストラの活用が目立つようになったとのことだ。
また、音楽文化協会を通じた楽曲の献納活動や音楽挺身隊の活動も盛んに行われたという。

さて、戸ノ下は「戦時下において音楽は、時代の流れに翻弄されながら国民意識高揚・
国策宣伝・教化動員としての役割を担う一方で、国民に安らぎや慰めを提供していた」
と書いているが、ここでのクラシック音楽(界の人々)の位置は微妙である。
先に示したように、クラシック音楽を安らぎや慰めとして求めている層は
極めて少数であり、当然ポピュラー音楽のほうが需要があるはずである。
ポピュラー音楽といっても浪曲等の邦楽ももちろんあるが、英米由来のものは、
特に1941年末の対米英開戦以降は非常に難しい状況におかれたと考えられる。
その空隙をついて、国家の活動に非常に積極的にコミットしたのではないか。
演奏会において邦人作曲家の新曲が多数取り上げられていたこと(*1)や、
ポピュラー音楽サイドから見た統制の在り様など、傍証と思われることは色々あるようだ。

21世紀になって大分経つ。
この論文、注を含めて読んでいくと、いろいろなことをかなり慎重に書いているようにも感じられる。
「戦前期の音楽(そして音楽だけでなく広く文化領域も同様だが)を考える際には、
ホンネとタテマエが交錯する二面性や矛盾、されに戦前から戦後への連続性の反面で
戦前と戦後の断絶といった要因を総合的かつ多面的に捉え、
歴史に位置づけたうえで正負正面から評価すべき」(戸ノ下)
との視点で大胆に切り込んだ論考が読んでみたい。

・・・ってもしかしてこれかな?(うぐ、図書館にない。。)
音楽を動員せよ―統制と娯楽の十五年戦争 (越境する近代 5) (越境する近代) 音楽を動員せよ―統制と娯楽の十五年戦争 (越境する近代 5)
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*1:「近代の超克」みたいな文脈もあるのか、ちょっと興味あり、ですが、自分の理解力を超えてるな、きっと。
   いずれにせよ、国家の後押しがなければ演奏どころか作曲自体が実現しなかったのではないかと。


参考:
小関康幸さんという方のHPにこのようなコンテンツがあります。
→ 昭和戦中期の音楽雑誌を読む
「音楽文化」誌の変わり身の早さにはビックリ。
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倒産の嵐、か・・・。

先月末、静岡県にある地元大手の住宅会社が倒産し、破産手続きに入った、
と思ったら、先週には新興マンションディベロッパーも倒産し、こちらは会社更生法の適用を申請。
住宅を建てるのか買うのかでは民法上いろいろ違うと言う話は前に書いた気がするけど、
倒産の場合はどうなのだろうか。

一般には倒産、倒産、と言うけれども、どうもこれは法律用語ではなく、
要は「資金繰りが出来なくなって、結果、事業が継続できなくなった状態」ということみたい。
実際の倒産手続きには、再建するか、清算するか、という目的によっていくつかあるらしいけど、
上記の「破産」は清算型、「会社更生」は再建型、ということになるらしい。
で、今回は「請負契約×破産」と「売買契約×会社更生」というパターン。

まずマンションで「売買契約×会社更生」の場合はどうなるかと考えてみると、
マンションの買い手としては会社更生手続きに入った会社からマンションを買うのは嫌、
という気持ちにもなろうが、会社が存続していて、工事も完成させる、と言われてしまうと、
契約解除をしようとすると、手付金の放棄、オプション工事代金分の支払、
といったことが要求され、無傷で解約とは行かないのが通常らしい。
(要は自己都合という形でしか解約できない)
とすると、出来ることはあとは予定どうり工事が完成し、
会社が無事再生することを祈るのみ、となってしまう。

では注文住宅の「請負契約×破産」の場合はどうかというと、
請負契約を解除して他の建設会社に工事を引き継がせることになるのかな、と思っていたのだけど
(民間工事請負契約約款では破産法上の支払停止があった場合は契約解除できるとされている)
ところがどっこい、裁判所が破産手続きの開始決定をすると(昔の破産宣告)、
双方債務未履行とか言うことになって、管財人にしか解除権がなくなってしまうのだそうだ。
請負契約の場合、通常は発注者はいつでも工事契約を解除できるので(損害賠償は必要)、
危なそうだ、と分かったらさっさと契約を解除してしまうことも考えられるけど、
それが前から分かっていれば世話はない訳だし、出来高と支払高の関係もあるから、
おいそれと契約解除の決断が出来る訳もないのが通常かと。

そうするとあとは管財人の出方待ち、とういことになる訳だけど、今回のケースでは
スポンサー企業に工事を継承させるので原則解除には応じない、当然追加負担は発生する、
どうしても解約したい場合は払いすぎた分は最高2割しか返せない、
逆に支払が少ない場合は差額は請求します、と言っているらしい。
しかも異常に前払い金が多いケースが多いらしく(しかもつなぎ融資利用だったり!)、
7割も払っているのに着工すらされていないケースもあるとのことで、
施主としては非常に苦しい判断を迫られる状況になってしまっていると思う。


余りに危ない会社は別として、今の時代
「倒産しない会社を見分ける」というのは不可能に近いと思うので、

□ 完成するまで自分のものにならない青田買いの売買契約・・・手付けはミニマムに
□ 出来たところまでは自分のものに出来る請負契約・・・出来高に応じた支払+完成保証
*工事途中の建築物の所有権については民法上諸説あるそうですが、とにかく自分のものとするしかないんで、
 いざと言う場合は引き渡し証明みたいなものを捥ぎ取るしかないです、施主としては。


といったところがせいぜいの防衛策なのでしょうか・・・。

売買契約の場合でも、破産してしまったら戻ってくる額は相当減ってしまうと思われるので、
どちらの場合でも、清算形でなく再建形の倒産手続きの方が良いようには思うんで、
今回のいきなり破産、というのもどうかと思うのだけれども。
銀行とか、どういう考えだったんでしょうかね??

う~ん、厳しい時代だなあ。

あ、あとそれこそどうでもいい余談ですが、どちらの案件にも同じ弁護士事務所が係わっていました。
調べてみると、弁護士100人以上を擁する大事務所で、
企業関係の案件を得意とするいくつかの弁護士事務所が合流して今の形になったみたいです。
士業も今は組織の時代なのね・・・。ちょっと考えよう。
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わ、ぜいむしょからお手紙

郵便受けにぜいむしょからのお手紙。
うげ?と思ったけれど、かくていしんこくの戻りの連絡。
早くやれば早くかえってくるのねぇ。むふふ。
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