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茶語花香

人生は旅なり。
中国茶をはじめ、花のある暮らし、読書、旅などを中心に、日常の出来事を綴ります。

落花無言 人澹如菊

2014-11-05 11:05:42 | 茶語・茶ノ史

スーパーに食用菊が並ぶこの季節に、
つい手を伸ばしました。

中国の食文化では、菊花茶はありますけれど、
料理の食材として使うのは、日本独自かもしれません。

東北青森を訪れた時、菊の花びらをふんだんに使った菊鍋の美しさに感動し、
南部方言と思われる「おぐらみ」という言葉に、心が響きます。

中国古典文学の世界では、
菊を称賛し詠む歌が非常に多いです。

妖艶すぎず
華やかすぎず
淡泊な香りを放ちつづ、品格が漂う

中国の古典にある菊のイメージ。

台湾茶人李曙韻氏の言葉の数々に、しっくりくるものが多いのです。
李氏が台湾活動の拠点もこの「人澹如菊(ren2 dan4 ru2 ju2)」と名づけています。
茶人のあるべき姿を物語っている気がいたします。

言葉の出処は、唐の詩人司空図『詩品二十四則』の「典雅」から。
その言葉の前半と合わせますと、こうなります。

落花無言 人澹如菊
luo4 hua1 wu2 yan2 ren2 dan4 ru2 ju2

昔の文人は、
咲き終わる花の命を
惜しむような感性の持ち主が多いかもしれません。

そのような時代に生きた司空図氏は、
落花に嘆くように悲しんだりしないように
一輪の菊のように淡々と生きよ

と詠いました。

食用菊を調理する前に、
一つ好きな言葉を思い出しました。

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日展2014へ

2014-11-03 22:07:50 | 展示会・イベント

毎年欠かさず行く美術展ー日展。

洋画、日本画、工芸美術、彫刻、書を一度に鑑賞できるのが魅力的。

名の知れた芸術家の作品もいいけれど、美術を日々の趣味として愉しまれる方々の作品は、もっと親近感があっていい。


構図に深みがあって、静けさの一枚。絵葉書を購入。


色彩の柔らかい作品は、遠くからでも目に映る。眺めていて、心が洗われる。

絵心のある方々、発想が豊かな方々、心より仰ぐ。

工芸美術の部では、特に印象に残る二点があった。

「流紋」-竹の趣を生かし、波のうねりと飛沫を表現した竹作品が、
素朴で、日本らしい精緻な工芸美術で、大変気に入った。

「渇きの惑星」-釉薬の二重掛けにより大地の無数の裂け目を表現する土の造形。自然破壊に警鐘を鳴らす作者の求めてやまない気持ちが、渾身のアートへ。


日曜日なら、親子鑑賞教室もやっているようだ。
新国立美術館中庭の紅葉も、色づきはじめた。

日展2014 新国立美術館

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今宵は上海蟹

2014-11-01 19:14:44 | 料理・点心・菓子

今宵も上海蟹。今年これで三回目。
上海蟹(中国語名:大閘蟹da4 zha2 xie4)を選ぶ際の心得は

九雌十雄(jiu3 ci1 shi2 xiong2)

旧暦の九月では雌の蟹が旬
旧暦の十月では雄の蟹が旬

それぞれミソの一番のった時期は、一ヶ月ずれますから。

十五分ほど蒸し上げると、綺麗な赤になりました。
買ってきた時、まだ息をしていたので、
ちょっと心が痛みます。


今回買ってきたのは雌ばかり。
すべてこのぎっしり詰まったミソのため。
十一月に入るにつれ、雌のミソよりは、
オスの白い卵が楽しみ。

上海蟹を堪能する時、欠かせないのは、
生姜の千切りがたっぷり入った、
温められた黒酢の伝統たれ。

今晩は、家族のリクエストで、
もう一度蟹の身とミソのたっぷり入った蟹粉豆腐を作りました。

東洋医学では、蟹は「大寒」(体を非常に冷やす)食材だと分類されています。
今宵の飲杯に入ったのは、お茶ではなく、蟹の「寒気」を補ってくれる熱燗にした紹興酒。

フカヒレや燕の巣をはじめ、海産や高級食材を取り入れる潮州料理では、食事を堪能した後、運ばれてくる、小さくてかなり濃く淹れられる本場の単そうを思い出します。
それにちなんで、今日は、食後濃いめの鳳凰単そうを淹れました。口に残る海鮮のくさみが、引き潮のように消えていきます。

「どれだけ上海蟹が好きなのか」と尋ねられます。
いいえ、そればかりではありません。
これは...故郷を離れた私にとって、
一種のセレモニーの気がします。
この季節に、上海蟹の産地「陽澄湖」への蟹グルメツアーが恋しいです。

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