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どうなる?有明海「諫早干拓事業」 住民と漁民、県と政府の対立

2010年05月07日 | 環境問題
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 潮干狩りと干潟
 ゴールデンウィークみなさんどう過ごしましたか?わが家では、近所で潮干狩りができるところが見つかったので、アサリを取りに出かけました。潮干狩りといえば千葉の富津などが思い浮かびますが、何と横浜や川崎でもアサリの獲れるところがあるのです。知っていましたか?

 川崎はかわさきの浜、横浜は海の公園どちらも人工の海浜なんだそうです。ただし、人気のスポットなので、朝早くでかけないと駐車場がいっぱいになります。さて、潮干狩りのできるところは、流れの少ない内湾の河口付近にできる干潟ですが、最近、干潟の水質をきれいにする浄化作用が注目されています。干潟は大切に保護しようというのが最近の考えです。

 干潟で問題になっているところがあります。諫早湾干拓事業の問題です。長崎県の諫早湾は、有明海の中央部西岸からさらに南西側に入りこんだ湾です。遠浅の干潟を利用して、古くより干拓が行われてきましたが、1989年より着工した国営諫早湾干拓事業が、有明海全体を含んだ環境保全上の争点となっています。

 漁民側は干拓事業により、漁獲量が激減したことを主張、一方農地を購入した、農民や地域住民は反対、干拓は狭い日本の土地を広げるだけでなく、塩害・水害を防ぎます。今日は諫早湾の問題に迫ります。

 「諫早湾干拓事業」漁民は即時開門要求
 4県漁民が集会国営諫早湾干拓事業(長崎県)で、政府、与党の検討委員会が潮受け堤防排水門を早期に開門すべきだとの報告書を赤松広隆農相に提出したのを受け、佐賀、長崎、福岡、熊本4県の有明海沿岸の漁業関係者や支援者約50人が5月8日、佐賀市で集会を開き、国に即時開門を実施するよう求めた。

 長崎地裁で開門を求めて係争中の馬奈木昭雄原告弁護団長は「防災対策など、できることをやった上での開門を強く要求する。アセスメントは開門調査をしながら進めればいい」と強調した。

 佐賀県選出の大串博志財務政務官も「鳩山政権で政治決着をつけようと動きだした。私も生涯の仕事として頑張りたい」と表明、会場から拍手が起きた。

 今後の活動として、ファクスで意見を赤松農相に送るほか、5月8日に潮受け堤防の前で即時開門を求め海上抗議行動を、5月24日には国会の前で座り込みを行うことを決めた。

 赤松農相は4月28日、「検討委の結果を尊重する」として、5月中旬にも開門を正式表明する考えを示している。(2010/05/08 共同通信)

 「諫早湾干拓事業」住民は断固阻止
 去る5月1日、国営諫早湾干拓事業(諫干)を巡り、排水門開門に反対する「断固阻止緊急総決起集会」が、諫早市の諫早公園であった。干拓地周辺住民ら約2000人(主催者発表)が参加した。

 商工団体などでつくる「諫早湾防災干拓事業推進連絡本部」の主催。政府・与党の検討委が有明海の異変調査のため開門調査実施が妥当とする報告書を赤松広隆農相に提出し、近く農相が開門を表明するとみられる中、地元の反対を訴えるため緊急に開いた。

 まず、検討委メンバーで民主党の西岡武夫参院議員が「私が止められなかった。申し訳ない気持ちでいっぱい。日本の宝の干拓を私は守ります」とあいさつ。中村法道知事は「有明海異変は諫干だけでなく複合的要因がある。長崎県が被害者になってはいけない」と語気を強めた。住民代表たちは「開門すれば生活が脅かされる」などと意見発表した。(毎日新聞 010年5月2日)

 諫早湾の干拓事業とは何か?
 1989年より「国営諫早湾干拓事業」の工事が行われ、1997年4月14日に潮受け堤防が閉じられた。それにより、かつては「宝の海」と言われた有明海に海底への泥の沈殿、水質汚染が生じて有明海全体が死の海と化し、二枚貝タイラギが死滅、奇形魚の増加、海苔の色落ちなど重大な漁業被害が発生したとして、自然保護団体のみならず、沿岸の各漁業協同組合の猛反対にあっている。

 しかし、干拓の工事前に漁業補償として、総額279.2億円が支払われたことにより、各漁協の漁業権は消滅(潮受堤防内八漁協)又は一部放棄・制限されている。加えて魚類の漁獲減少や水質汚濁には、海苔養殖業者が消毒目的に散布した酸や化学肥料による影響との主張もあり、海苔養殖業者と他の漁業者との紛争も発生している。

 なお、諫早湾沿岸におけるタイラギの漁獲不振は締め切り前から始まっており、1993年から休漁となっている。また、有明海は閉鎖的浅海であり、もともと河川から流れてくるリンや窒素によって栄養過剰になりやすい環境にあり、赤潮が発生しやすい。その原因は干拓事業よりも、有明海に注ぐ生活排水の影響が大きい。しかし、干潟の浄化作用が機能しなくなった損失は大きい。(Wikipedia)

 判決と開門への気運
 2008年6月27日佐賀地裁は干拓事業と漁業被害と関連を問う裁判で漁業被害との関連を一部認め水門5年間開放するよう命じる判決を言い渡した。公共事業に対しノーを突きつけたものだった。 これに対して国側は控訴し、未だ水門は開門されてきた。

 2010年4月27日、諫早湾の潮受け堤防排水門を開門するかどうかを議論していた農林水産省と与党の検討委員会は、長期の開門調査を実施すべきだとする報告案をまとめた。

 これを受け、赤松農相は近く実施の方針を表明する。長期開門されれば、1997年の湾閉め切り以来初めて。有明海の漁業被害の原因と指摘されてきた同事業は、閉め切りから13年を経て大きな転換点を迎えた。

  関係者によると、開門期間は少なくとも1年以上。閉め切り後、干拓地での農業が始まる以前の2002年に1か月間の開門調査をしているが、検討委は、一定期間以上開門しなければ有明海の漁業への影響を調べられないと判断した。同事業をめぐっては、有明海に漁業被害が出ているとして、佐賀地裁が2008年、5年間の常時開門を命じたが、国が控訴していた。同省は控訴の取り下げや和解も検討する。

  一方、開門した場合、周辺地域への水害や塩害が懸念されており、同省では、来年4月までに開門の影響を調べる環境影響評価(環境アセスメント)を並行して実施、対策をとった上で開門を進めたいとしている。ただ、佐賀、熊本、福岡の3県が開門に賛成する一方、干拓地を抱える長崎県は強く反対しており、実際の開門時期は不透明だ。 (2010年4月27日 読売新聞)  

 

宝の海を取り戻せ―諌早湾干拓と有明海の未来
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日本の干拓地
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