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家族にちょうどいい?待望の手が届くミニバンHV、ホンダ「フリードHV」登場!

2011年11月30日 | テクノロジー

科学大好き!Yes,We Love Science!最近気になる科学情報を、ピックアップ!わずか1分見るだけで、科学がわかる!


 ミニバン、ハイブリッド登場
 Hondaの新型フリードシリーズに、ハイブリッドが追加され、5ナンバーサイズのミニバン/ハイトワゴンとして、初めてのハイブリッド車が誕生した。これまでは、ミニバンをハイブリッドにしても、電池やモーターを搭載するため、重量が大きくなり、燃費が期待するほど向上しないことから、ハイブリッドのメリットがないということで、他社はどこも成功していなかった。

 HondaのハイブリッドはTOYOTAのようなシリーズ、パラレル方式ではなく、パラレル方式。モーターはエンジンの補助役なので、付属品も少なく、コンパクトで軽量、6~7人乗り、ミニバンタイプで、24.0km/Lの低燃費を実現できた。家族で出かけるファミリーカーとして人気が出そうだ。

  Hondaの「フリード」は、コンパクトなボディサイズに、ゆとりの室内空間や大容量の荷室空間があり人気の車種。快適な走りと低燃費を両立させ、求めやすい価格に設定したハイブリッド車「フリード ハイブリッド」「フリード スパイク ハイブリッド」を追加して、「フリード」「フリード スパイク」をマイナーモデルチェンジし、10月28日(金)に発売した。(Honda ニュースリリース 2011年10月27日)

続きはこちら → http://blog.livedoor.jp/liberty7japan/ 新型フリードにハイブリッドタイプ 

参考HP Honda ニューリリース

ハイブリッドカーはなぜ走るのか―知っておきたい低燃費技術の基礎知識
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日経BP社
ホンダフリード&フリードスパイクハイブリッドのすべて (モーターファン別冊 ニューモデル速報)
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COP17開幕!ポスト京都か議定書延長か?米国・中国に削減義務は?

2011年11月29日 | 地球温暖化

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COP17南アフリカで開幕
 地球温暖化対策の新たな枠組みを話し合う国連の会議、COP17が日本時間の11月28日午後、南アフリカで始まった。先進国だけに温室効果ガスの削減を義務づけた京都議定書の期限が来年末に迫るなか、再来年以降の枠組み作りに向けた議論がどこまで進むかが焦点。

 地球温暖化対策を話し合う国連の会議、COP17は、南アフリカの都市、ダーバンでおよそ190の国と地域が参加し、2週間の日程で開かれる。会議は日本時間の午後5時半すぎに開催国、南アフリカのズマ大統領が全体会合に出席し開幕した。会議の最大の焦点は、先進国だけに温室効果ガスの削減を義務づけた京都議定書の期限が来年末に切れるなか、再来年以降、各国がどのような枠組みで取り組みを進めるかだ。

 事前の交渉では、京都議定書の継続を求める途上国と、中国など主要な排出国も参加する新たな枠組みを求める先進国の対立が解けず、交渉は難航している。全体会合で国連のフィゲレス事務局長は「温暖化の被害を受けている人たちのために具体的な行動を起こさなければならない」と各国の協力を呼びかけた。京都議定書の期限が目前に迫り、温暖化対策が後退することへの懸念が高まるなか、新たな枠組み作りに向けて各国が歩み寄ることができるのか交渉の行方が注目される。(NHK news 11月28日)

続きはこちら → http://blog.livedoor.jp/liberty7japan/ 

参考HP cop17

正しく知る地球温暖化―誤った地球温暖化論に惑わされないために
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誠文堂新光社
この真実を知るために地球温暖化 改訂版―何が起きるのか?どう克服するのか? (ニュートンムック Newton別冊サイエンステキストシリーズ)
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ニュートンプレス

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「好奇心(Curiosity)」という名の火星“生命”探査機、打上げ成功!

2011年11月27日 | 宇宙

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 今回は生命を探す旅
 米航空宇宙局(NASA)は米東部時間11月26日午前10時2分(日本時間27日午前0時2分)、火星無人探査車「キュリオシティ」をアトラス5ロケットでフロリダ州ケープカナベラル空軍基地から打ち上げた。

 探査車は2012年8月に、地形の変化に富んだ「ゲール・クレーター」に到着、ドリルを取りつけたロボットアームや、車体に内蔵した分析機器を使って、生命の痕跡を探す。

 探査車は自動車ほどの大きさで、重さは899キロ・グラムと2004年に着陸した探査車(170キロ・グラム)の5倍以上もある。このため、エアバッグに包んで地面に落とす方法は適さず、ジェット噴射で空中に浮かぶ降下装置からケーブルでつりさげ地面に下ろす方法を初めて採用した。(2011年11月27日  読売新聞)

続きはこちら → http://blog.livedoor.jp/liberty7japan/ 

参考HP Wikipedia

キュリオシティ NASA Mars Science Laboratory

図解 火星探検―火星人から生命探査まで
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PHP研究所
ローバー、火星を駆ける―僕らがスピリットとオポチュニティに託した夢
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既に戦いは始まっている!「冷戦時代」から、21世紀は「サイバー戦時代」?

2011年11月26日 | IT

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 サイバー攻撃とは何か?
 最近サイバー攻撃の記事が多い。よく目にするのは、米国政府が、中国から、サイバー攻撃を受けたとする記事。日本では、三菱重工業がサイバー攻撃を受けたとする記事、4月のSonyの顧客情報大量流出事件などがある。 

 2011年9月18日、日本を代表する総合機械メーカー「三菱重工業」(東京都)が第三者からサイバー攻撃を受け、最新鋭の潜水艦やミサイル、原子力プラントを製造している工場などで、少なくとも約80台のサーバーやパソコンがコンピューターウイルスに感染していたことが、関係者の証言で明らかになった。

 外部からサーバーなどに侵入され、情報を抜き取られていた痕跡も見つかり、同社は標的型攻撃によるスパイ行為の可能性が高いとして警察当局に届け出た。日本の防衛産業を狙ったサイバー攻撃の一端が明らかになるのは初めて。



 関係者によると、これまでに感染が確認されたのは、「神戸造船所」(神戸市)、「長崎造船所」(長崎市)、「名古屋誘導推進システム製作所」(愛知県小牧市)などの製造・研究拠点8か所に、本社を加えた計9か所の約80台のサーバーなど。

 これに対して、一川保夫防衛相は11月15日、三菱重工業などに対するサイバー攻撃を受け、防衛関連企業に対し、防衛機密や装備品関連など「保護すべき情報」の流出がないかを365日24時間態勢で監視することを求めると発表した。

 防衛省が防衛関連企業との間に結ぶ「情報セキュリティーの確保に関する特約条項」を改正する。このほか、サイバー攻撃を受けた際に追跡調査ができるよう、アクセス記録の保存期間を現在の「任意」から「3カ月以上」に改める。三菱重工業がサイバー攻撃を受けてから約1カ月遅れで報告したことを踏まえ、判明した場合は速やかな防衛省への報告も求める。関係者になりすましてウイルスを仕込んだメールを送りつけ、機密情報を盗み出す「標的型メール」に対応した社員教育の強化も盛り込むという。(2011.11.15 産経news)

 「中国軍」のサイバー攻撃が、日本にも?
 いったい誰が違法なサイバー攻撃をしているのだろう?米国や日本の軍事、政治関連機関へのサイバー攻撃の主要な発信源は、中国人民解放軍総参謀部第3部(技術偵察担当)として、詳細な調査結果が11月24日、米国防総省元中国部長らによって明らかにされた。日本へのサイバー作戦は同3部の指揮下にある山東省の青島や済南にある部局が通常、実行しているという。

 米国の政府、議会、軍、民間企業などへの昨年から今年にかけての頻繁なサイバー攻撃(コンピューター・ネットワークへの侵入や攪乱に対し、米国防総省は主要な発信源は中国だとする見解を再三、示してきたが、同国防総省元中国部長で中国軍事の研究家のマーク・ストークス氏らは同氏が専務理事を務める安全保障研究機関の「プロジェクト2049研究所」を通じて「中国人民解放軍の通信諜報とサイバー偵察の基盤」と題する調査報告を11月24日までに作成した。

 同報告は最近の米国や日本などの政府・軍関連機関へのサイバー攻撃は主として中国からだとの見解を踏まえて、その中国のサイバー作戦の最大の推進役は人民解放軍だとする総括を明らかにした。

 中国軍のその種の作戦は総参謀部第3部が従来の「技術偵察」の任務としての外国機関の通信傍受や暗号解読の枠を広げ、最近ではサイバー偵察、サイバー攻撃を活発にしてきた結果、実行の主役となったと述べている。

 同報告によると、対外的なサイバー作戦全体を統括するのは総参謀部第3部で北京市内海淀区の西側丘陵地帯に本部がある。傘下には合計12の作戦局や3つの研究所を抱え、総要員は13万と推定されるという。

 米国を対象とするサイバー作戦などを担当するのは第3部指揮下の作戦局のうち上海に主に拠点をおく第2局で、日本対象は山東省青島地域に数カ所の基地をおく第4局のほか、同じ山東省の済南市を本部とする済南軍区の技術偵察局が担当するとしている。済南軍区の技術偵察局だけでも約670人の専門技術者が勤務しているという。

 中国軍総参謀部はこれからの戦争やそのための体制構築にはコンピューター・ネットワークでの攻防が不可欠だとの基本認識を確立し、作戦を強化している。総参謀部の第4部も電子作戦を担当するとされるが、組織上は第3部に従属する形となっている。ただし第4部のサイバー作戦用の基地も海南島や河北省廊坊に存在するという。(産経news 2011.11.24) 

 中国外務省は関与否定
 これに対し、「三菱重工業」のコンピューターがウイルスに感染していた問題で、中国外務省は11月20日、会見で関与を否定した。

 中国外務省の報道官は「中国がサイバー攻撃の拠点だという非難は根拠がない」と述べ、関与を否定した。その上で、「中国政府はサイバー攻撃に一貫して反対し、犯罪行為として厳しく禁じている」と強調し、「中国も海外からのサイバー攻撃の被害者である」と訴えた。

 日本や欧米からは、中国国内のハッカー集団が、他国の政府機関のコンピューターに侵入したり、軍が組織的にサイバー攻撃を研究したりしていると指摘する声が上がっているが、実態は明らかになっていない。(2011年9月21日 日テレnews)

 こうした主張を、そのまま信じてはいけない。自分の国や、企業、組織が悪いことをやっている…という人は世界中にどこにもいないからだ。自分の国が正しいと宣伝するのは、当然の広報行為(プロパガンダ)だからだ。実際にやっていても本当のことを言うわけがない。

 日本は「オールJapan」で対策を!
 これに対して日本人はどうだろうか?11月17日NHK、クローズアップ現代では、「暴走するサイバー攻撃」として問題を取りあげていた。名古屋大学の高倉弘喜教授は次のように述べている。

 サイバー攻撃については、2000年後半から諸外国ではいろいろと言われてきていた。日本はたまたまことしに入って、いろんなものが出てきたので話題になっている。もともと5年か6年前には、「こういうことが起こりえる」といって、各国は備えてきていた。

 それに対して、日本というのは非常に、今までそういう目に遭ったことが、見つかったことがないので、非常にある意味、のんびりしてた。そこに、その国の安全を脅かすような非常に高度なものが出てきた。そういう意味では、日本もこれから非常に意識していかなきゃいけない、まずい状態になってきたと思う。

 もともとのハッカーというのは、例えば自分の腕を試す、自分はここまでできるんだよというので、ある意味、満足してたとこがあるんですけれども、重要な情報を買う市場が出てきた。ネット上でそういう機密情報を売り買いするという市場が出てくると、ビジネスになりますから、そうすると腕のいいハッカーはそれで稼ぎ始める。

 それがどんどんどんどんエスカレートしていくと、今起きているように国家機密だったり、国の重要産業の情報だったりが、いとも簡単に持ち出されてしまうという状態に、今、なってきていると思う。

 米国では違法なハッカーに対して、正義感の強いホワイトハッカーを企業や国家に取り込んで対抗しているが、日本の企業の体質には馴染みにくい。

 だから、日本全体、オールジャパンで対策を取っていかなきゃいけない。ハッカーが入ってくるのはある程度防ぎようがない。だから問題は、その入ってきたときに、どこまで食い止めるか。それから重要なファイルがある例えばサーバーをどうやって守るか。万が一、そのファイルを持ち出されようとしたときに、しっかり食い止められる、要はデータが外へ出ていくのをどうやって防ぐかというのが、これから重要な課題になってくる。過激化するサイバー攻撃に対する対応は、急務である。諸外国に比べて日本は遅れていると思う。

 情報社会は混沌とした世界
 こう考えると、メールやインターネットなどの情報ツールで世の中は便利になったが、これらを使って、悪用する人達もいるわけで、情報社会は混沌としているのが実情だ。

 「サイバー攻撃」には「攻撃」という言葉が使われている。国家レベルで考えれば、すでに戦争は始まっているのかもしれない。個人や組織レベルでもチェーンメールやスパムメールというのが問題になっているが、これも国家の陰謀ではないかと思える。

 実戦に役に立つ保証のない、1機で何兆もする、高性能ステルス戦闘機を購入したり、危険で破壊力の強い核兵器を競争開発するより、無料で自由に、いつでもどこでも攻撃できる「サイバー攻撃」は優れた後方攪乱戦法だと言える。

 もし、仮にある国が日本の尖閣諸島を本気で、占領しようとするとしよう。自分が某国の政府なら、相手が用心している場所を直接武力で制圧する馬鹿な真似はしない。地震で混乱したり、麻薬を国内に流通させたり、犯罪を多発させたり、サイバー攻撃したり、ありとあらゆる手段を使って、十分国力を弱らせてから、調査の名目で、どさくさに紛れて占領する。絶対に占領などとは言わない。海底のガス田調査のためと言って、共同調査しようなどと言って占領する。

 「愛国心」を中心とした国造りを
 米国も攻撃を受けている。同盟国の日本が無事なわけがない。これに対する国民の危機意識が低い。攻撃されているのは政府や政治家、大企業だけだと思っている。そして、スパムメール、チェーンメール1つで、大騒ぎしている状態だ。

 チェーンメールを本当に日本人が流しているとは思えない。何の得にもならないからだ。得するのは日本を敵国と思う国だけだ。今、日本に必要なのは、危機的な状況を正しく認識すること、そして、自分の国は自分で守る「愛国心」を中心にした教育を確立することだと思う。

 冷戦時代は終わっていない。21世紀に入ってサイバー戦争に姿を変えている。そして、20世紀の冷戦のような米国、ソ連の2大国を中心とした、対立構造も変わろうとしている。米国の国力が落ちており、米国の武力を安全保障にしていた時代が終わろうとしている。本当に自分の国は自分で守らねばならない時代がきているのに、日本は戦後65年にも渡って、自分で自分の国を守らない「実験」を続けている。

 残念ながら、この実験は失敗に終わる。憲法で不戦をいくら訴えても、日本は現に某国にサイバー攻撃を受けている。第2次世界大戦が、ドイツがポーランドを併合されて始まったように、このままでは、日本は某国に併合されてしまうだろう。今こそ、憲法を改正または廃止し、愛国心を中心とした国造りをすべきだと思う。

参考HP NHKクローズアップ現代 暴走するサイバー攻撃

核を超える脅威 世界サイバー戦争  見えない軍拡が始まった
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サイバー犯罪・サイバーテロの攻撃手法と対策
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インド洋の深海で、花崗岩でできている、ゴンドワナの地形(海台)を発見!

2011年11月26日 | 地学

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 ゴンドワナの名残か、インド洋で発見
 恐竜時代に存在した古い大陸の一部とみられる巨大な2つの岩盤が、インド洋の深海で見つかった。2つの岩盤は、微小大陸と呼ばれ、ゴンドワナ大陸の名残である可能性を持つ。ゴンドワナ大陸は当時、現在のインド亜大陸、南極大陸、オーストラリア大陸を含む超大陸であったと考えられている。

 今回見つかった岩盤は、2つ合わせて約6万平方キロ、地図の専門家には以前からそれぞれバタビア海山とグーデン・ドラーク(Gulden Draak、「黄金の竜」の意)という名で知られていた。しかしこれらの海底地形については、オーストラリアの街、パースの約1600キロ南という位置以外の情報はほとんど知られていなかった。

 この情報の空白を補うべく、最近になって世界各国から集まった科学者チームがこの付近の海底地形を探査し、最深で深さ2500メートルの海から標本を採取した。そこから意外な事実が明らかになる。今回の探査で引き上げられた標本は、大多数の海底を構成する平均的な玄武岩ではなく、花崗岩、片麻岩、砂岩といった、通常は地上の大陸で見つかる種類の岩石だった。

 今回の調査チームに加わったオーストラリアのシドニー大学の海洋地球物理学者ジョアン・ウィテカー(Joanne Whittaker)氏によると、さらに一部の標本には化石が含まれていたという。「この2つの海台が、インド亜大陸がオーストラリア大陸から離れていく時に残された、ゴンドワナ大陸の小さなかけらであることは明白だ」とウィテカー氏は断言する。

 巨大大陸は起伏に富んでいた?
 調査にあたった科学者チームは当初、これらの海台の頂上部は平らだと推測していた。これは海面より高いところに長期間顔を出していた地形が、海食により平坦になった場合の特徴だ。

 しかし、地形の探査が進むにつれ、2つの海台の地形は起伏に富んでおり、海面から海底までの深さも浅いところで1000メートル、深いところでは2500メートルと、実に多様であることが明らかになってきた。また、海台の最も高い地点は、周囲の深海から約4600メートルも隆起していることもわかった。

 これらの巨大大陸の一部から見つかった化石は軟体類の一種である海生の二枚貝で、これらの生命体が地上ではなく、浅瀬に暮らしていたことを示唆している。また、これらの化石は、最も高い地点ではなく、海台の中でも比較的水深の深い場所で発見されており、高い箇所はかつて島だったとも考えられる。ウィテカー氏も「まだ判定は難しいが、これからその可能性を探るのは間違いない」と述べている。

 いまだ残るゴンドワナ大陸分裂の謎
 ウィテカー氏を含む調査チームはさらに今後、今回採取した岩石の標本を、最も近い陸地である西オーストラリア州の海岸の海底部分から採取した岩石と比較する予定だ。この調査は「(ゴンドワナ大陸の)かけらの正確な来歴を明らかにする」のに役立つとウィテカー氏はみている。ウィテカー氏はさらに、約1億3000年前、ゴンドワナ大陸が分裂しインド洋が形成された経緯について、詳細はほとんどわかっていないと付け加えた。

 現在インド亜大陸を形成しているゴンドワナ大陸の一部は、アジア大陸と衝突してしまったため、この分裂の経緯には今後も永久にわからない部分が残るとみられる。「インド亜大陸では、(ゴンドワナ大陸に)相当する岩石は、もはや判別がつかないまでに破壊され、ヒマラヤ山脈のどこかに押し込められているだろう」とウィテカー氏は推測する。

 今回調査の対象となった海台の上をかつて恐竜が徘徊していた可能性については、これらの地形が海面から顔を出していたことがあるのか、もし出していた場合はその時期はいつかという問題にかかっている。「それはまだ誰にもわからない。(現時点では)あらゆる可能性がある」とウィテカー氏は述べている。 (Richard A. Lovett for National Geographic News November 22, 2011)

 ゴンドワナ大陸とは何か?
 ゴンドワナ大陸 (Gondwana)は、プレートテクトニクスにおいて、過去に存在したと考えられている超大陸。名前の由来はインド中央北部の地域名で、サンスクリット語で「ゴンド族の森」を意味する。現在のアフリカ大陸、南アメリカ大陸、インド亜大陸、南極大陸、オーストラリア大陸や、アラビア半島、マダガスカル島を含んだ、かなり大きな大陸であった。

 ゴンドワナ大陸は、約6億年前に、ロディニア大陸が分裂して誕生した。北半球の低緯度地域から、南極まで広がっていた。石炭紀に当たる、約3億5,000万年前から3億年前には、地球が寒冷化したため南極とその周辺に大規模な氷河が発達した。しかし、それ以外の時期はおおむね暖かかったため、氷河は存在しなかった(逆の言い方をすれば、ゴンドワナ大陸南部が南極にあったことで氷河が発達して寒冷化をより進行させ、後にゴンドワナ大陸が北に移動して南極から離れたことなどもあって氷河が消え、温暖化をより決定づけたとも言える)。

 石炭紀の後期には、ゴンドワナ大陸は北上して、赤道付近にあったローラシア大陸と衝突し、パンゲア大陸の一部となった。さらに数千万年後にはパンゲア大陸はシベリア大陸とも衝突し、地球上のほぼ全ての陸地が1つの超大陸となった。

 しかし、ジュラ紀中期の1億8,000万年前頃になると、パンゲアは再びローラシア大陸とゴンドワナ大陸に分裂した。

 さらに、ゴンドワナは現在のアフリカ大陸、南アメリカ大陸などを含む西ゴンドワナ大陸と、南極大陸、インド亜大陸、オーストラリア大陸を含む東ゴンドワナ大陸へと分裂した。

 白亜紀に入ると、西ゴンドワナ大陸はアフリカ大陸と南アメリカ大陸に分裂し、その間に大西洋が成立した。また、東ゴンドワナ大陸は、インド亜大陸及びマダガスカル島と、南極大陸及びオーストラリア大陸の2つに分裂した。白亜紀後期には、インド亜大陸とマダガスカル島が分かれ、インド亜大陸はユーラシア大陸に向けて急速に北上を開始した。

 恐竜絶滅後、新生代に入ると、南極大陸からオーストラリア大陸が分裂し、北上を始めた。インド亜大陸は北上を続け、およそ4500万年前にユーラシア大陸に衝突し、ヒマラヤ山脈を形成した。その証拠として、ヒマラヤ山脈の山頂付近には、海洋生物の化石が多数発見されている。また、大西洋は広がり続けた。こうして、現在の大陸配置が成立した。(Wikipedia)

参考HP Wikipedia ゴンドワナ大陸 National Geographic news ゴンドワナの名残か、インド洋で発見!

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古代文明の謎はどこまで解けたか〈1〉失われた世界と驚異の建築物・篇 (Skeptic library (07))
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古川さん、帰還!ISS長期滞在記録165日!宇宙医学実験の成果は?

2011年11月25日 | 宇宙

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 「冷たくて新鮮な空気はすばらしい」
 氷点下18度という凍える寒さの中、古川聡さん(47)ら3人の宇宙飛行士を乗せたソユーズのカプセル型帰還船が11月22日、夜が明けきらないカザフスタンの草原に着陸した。

 約5か月半ぶりの地球の感触に、古川さんは「ずっとエアコンで22~23度だったので、こういう冷たくて新鮮な空気はすばらしいですね」と笑顔で話した。日本からの報道陣に「今何がしたいですか」と尋ねられ、「お湯がいっぱい入ったお風呂につかりたい」と話した。

 着陸地点は、首都アスタナから西へ約400キロ・メートル。見渡す限り何もない荒野だ。前日に吹き荒れた雪もやみ、この日は満天の星空。着陸は通常、パラシュートなどの目印が目視できる昼間に設定されるが、今回はロシアのロケット打ち上げ失敗の影響で、捜索が難しい夜明け前の着陸となった。

 宇宙船の寿命は200日。昼間の着陸日を設定することもできたが、再延期すると、寒さがさらに厳しくなるため、危険性が増すと判断したという。

 着陸予定地点近くでは、火の玉のように見えるソユーズとISSが並走しながら上空の西南西の方向から出現。その後、ISSは上空へ、ソユーズは下方へ分かれていった。

 着陸の知らせが入ると、付近の町に待機していた救助隊や野口聡一飛行士(46)らが一斉に、ヘリコプターなどで着陸地点へと駆けつけた。朝日に照らされた帰還船から運び出された古川さんは、近くに置かれたイスに座り、簡単な診察を受けた。(2011年11月22日  読売新聞)

 ISS滞在165日、日本人最長
 ソユーズでISSを往復した日本人は、2009年12月~10年6月に滞在した野口聡一さん(46)に次いで2人目。古川さんのISS滞在は165日、ISSへの往復を含めると167日。連続滞在日数では野口さんの163日(ISS滞在は161日)を抜いて日本人最長となった。

 古川さんと、米国のマイケル・フォッサム飛行士(53)、ロシアのセルゲイ・ボルコフ飛行士(38)の3人は22日未明、ISSに残る米露の3人に別れを告げた後、ソユーズに乗り込み、同日午前5時(同午前8時)に上空約400キロを周回するISSを離脱。徐々に高度を下げ、帰還カプセルが切り離されて、午前8時(同11時)ごろ黒海の上空約100キロ付近で大気圏に突入した。

 高度約10キロでパラシュートが開き、毎秒約8メートルの速度で降下。直前、衝撃をやわらげるため地面に向けて逆噴射した帰還カプセルは、雪煙を上げて着地した。

 古川さんは6月8日、カザフスタンのバイコヌール宇宙基地からソユーズ宇宙船で打ち上げられ、6月10日からISS長期滞在を始めた。宇宙飛行士候補に選ばれて12年、47歳での初飛行は、JAXAの飛行士としては最年長。滞在中の7月には、米スペースシャトル「アトランティス」の最終便をISSで出迎えた。

 ISSでは日本実験棟「きぼう」の管理のほか、医師のキャリアを生かし、宇宙生活が人体に与える影響を自らの体で実験する一方、難病の新薬候補となるたんぱく質の結晶作成など多くの実験に取り組んだ。地上との交信イベントにも参加し、東日本大震災の被災者らにエールを送った。(毎日新聞 2011年11月22日)

 当初は、11月中旬に地球に帰還する予定だったが、8月にロシアがソユーズロケットの打ち上げに失敗。古川さんらの交代要員となる飛行士の到着が遅れた。この結果、古川さんの帰還も延長され、着陸地点との関係から、捜索が難しい夜明け前の着陸を余儀なくされた。(2011年11月22日 読売新聞)

 Dr.古川の宇宙実験完了
 11月22日、国際宇宙ステーション(ISS)からソユーズ宇宙船で帰還した古川聡飛行士(47)は同日午後、着陸地に近いクスタナイ空港での歓迎式典に参加した後、自宅がある米国に専用機で向かった。日本人としてはもっとも長い167日間の滞在を終えた古川さん。地上の重力に体を慣らすため、ヒューストンで1カ月半にわたるリハビリに入る。

 古川さんは、ISSに長期滞在した日本人飛行士の中では唯一の医師。その知識と経験を生かし、宇宙生活が人体に与える影響を自らの体を使って調べる「宇宙医学」の実験に熱心に取り組んだ。

 たとえば長期滞在の飛行士は、一般人の年間被ばく許容限度(1ミリシーベルト)近い宇宙放射線を1日で浴びる。古川さんは滞在中の被ばくを小型線量計で記録した。今後分析し、宇宙滞在が一般化する将来の被ばく防護対策に役立てる。

 また自ら脳波や心拍数などを測定し、モニター画面越しに地上の医師の診察を受ける実験もした。このシステムが確立されれば、宇宙にいながら健康を自分で管理し、カルテを共有する地上の医師の「遠隔診断」を受けることも可能になる。

 古川さんは実験の際に気づいた診断方法の改善点をアドバイスした。このシステムを計画する宇宙航空研究開発機構の長谷川義幸理事は11月22日、「古川さんはドクターとエンジニアの両方(の役割)をやってくれた」と評価した。

 古川さんは長期滞在中、毎日新聞臨時ISS宇宙支局長として、科学面でコラム「Dr.古川の宇宙支局便り」を連載。宇宙での心身の変化などについて医師の視点から発信した。最終回では「(宇宙へ行く夢がかなった今後は)経験を生かして宇宙医学研究の発展に貢献したい」とつづっている。

 「太もも上がらない」
 着陸直後に健康チェックを受けた古川さん。地上支援チームの一員として現地で着陸を見守った先輩飛行士の野口聡一さん(46)に「太ももが上がらない」と久しぶりの重力への違和感を訴えると、野口さんは「しばらくそういう状態が続くよ」と応えていた。

古川さんが取り組んだ医学実験の例
・骨粗しょう症の約10倍の速さで骨から溶け出し髪に蓄積するカルシウムの量を、出発前後と滞在中で比較分析する。
・無重力のため床に落ちずに空気中を漂う真菌(かび)が、鼻や喉の粘膜に付くかどうかを、綿棒などで採取して調べる。
・自分の心電図を作り、24時間の変化を分析、1日に16回昼夜が来るISSの環境が生体リズムに影響を与えるかどうかを調べる
・太陽の活動などで生じる「宇宙放射線」の被ばく量を小型線量計で調べ、宇宙滞在者の放射線防護に役立つデータを取得する
・自ら心電図や脳波、目や唇の画像を撮り、ISSと地上で共有。地上から病気の診断などができる仕組みづくりを目指す
・長期間の宇宙滞在で心臓のポンプ機能に支障が生じるかどうかを調べる(毎日新聞 2011年11月23日)

 古川宇宙飛行士の主な任務
 古川宇宙飛行士は、第28次/第29次長期滞在クルーのフライトエンジニアとしてISSに約5ヶ月半滞在し、「きぼう」日本実験棟での実験運用やISSの運用・維持管理を行った。主な任務は次の通り。

1.日本人宇宙飛行士による本格的な実験運用
 古川宇宙飛行士は医師・科学者出身の宇宙飛行士として、専門知識や科学者としての視点を活かしながらISSでの長期実験運用を実施した。
 古川宇宙飛行士は、「きぼう」日本実験棟船内実験室でのJAXAの実験運用以外にも、NASA、ESA、その他の国際パートナーの実験運用を担当した。また自身が被験者となって、将来の長期滞在や惑星探査ミッションに向けた有人宇宙技術の開発実験に参加した。

2.日本人2人目のソユーズ宇宙船フライトエンジニア
 古川宇宙飛行士はソユーズ宇宙船フライトエンジニアとしてソユーズ宇宙船に搭乗し、ISSに打ち上げられた。今回違う点は、ソユーズTMA宇宙船が改良されており、デジタル化された新型2号機となるソユーズTMA-02M宇宙船に搭乗した。

3.補給物資、不要品の移送・収納作業
 古川宇宙飛行士のISS滞在中、ロシアのプログレス補給船が2回、スペースシャトルが1回(STS-135)、ISSに到着した。ISS長期滞在クルーは、スペースシャトル等で運ばれた物資を運び出して所定の場所に収納または設置したり、欧州補給機(ATV-2)とスペースシャトル(STS-135)の分離前にはISSからの不要品を積み込んだりといった作業を実施した。

4.スペースシャトルの退役
 古川宇宙飛行士が長期滞在中に飛行したスペースシャトル「アトランティス号」によるSTS-135ミッションは、物資の補給ミッションになるが、最大限物資を運搬するため、そして緊急帰還時に備えて4人という少人数で飛行した。このため、従来のスペースシャトルミッションとはやや異なり、船外活動作業やロボットアーム運用、物資の移送など作業の主体はISSクルーが担当した。この飛行を最後にスペースシャトルは退役した。

 ISS長期滞在クルーの交代
 2011年6月8日、古川宇宙飛行士は、マイケル・フォッサム、セルゲイ・ヴォルコフ両宇宙飛行士とソユーズ宇宙船(27S)で打ち上げ、6月10日にISSに到着すると、それまでISSに滞在していたアンドレイ・ボリシェンコ、アレクサンダー・サマクチャイエフ、ロナルド・ギャレン宇宙飛行士とともに第28次長期滞在クルーとしてのISS長期滞在を開始した。

 2011年9月、第28次長期滞在クルーであるアンドレイ・ボリシェンコ、アレクサンダー・サマクチャイエフ、ロナルド・ギャレン宇宙飛行士が帰還すると、マイケル・フォッサム宇宙飛行士をISSコマンダーとする3名体制での第29次長期滞在が開始された。

 2011年11月には、ダニエル・バーバンク、アントン・シュカプレロフ、アナトリー・イヴァニシン宇宙飛行士がソユーズ宇宙船(29S)でISSに到着し、第29次長期滞在クルーに加わった。2011年11月22日無事帰還した。(JAXA)

参考HP JAXA 古川聡宇宙飛行士

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エウロパに生命が存在する?カオス地形からわかる、塩類を含む海の存在

2011年11月25日 | 宇宙

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 氷の下に生命存在?
 2003年に運用を終えた木星探査機「ガリレオ」の観測結果と、地球の氷床を参考にしたモデルによって、衛星エウロパの一部には比較的浅いところに内部湖がある可能性が示された。エウロパは地下に海が存在すると考えられているが、この海が生命に適したものであるかどうかの鍵を握りそうだ。 

 木星探査機「ガリレオ」は1989年にスペースシャトル「アトランティス号」で打ち上げられ、木星やガリレオ衛星などの探査を行い、大きな成果をあげた。その中でも特に重要なものとして知られているのが、衛星エウロパの内部に大量の液体の塩水が存在しているという有力な証拠を発見したことだ。しかし、その表面を覆っている氷が非常に厚いため、内部海と地表面との間でエネルギーや物質のやり取りがなく、生命には適した環境ではないと考えられてきた。

 今回、研究チームはエウロパのカオス地形(chaos terrains)の画像に注目した。火山の上を覆っている氷棚や氷河に見られる地球の地形の形成プロセスに基づいた理論モデルを作成することで、どのようにしてこのカオス地形が作られるのか調べたのだ。

 その結果、カオス地形の地下数kmという浅いところに、液体の水でできた湖がありそうだということがわかった。また、エウロパのカオス地形は表面の氷と内部湖が混ざってできたことを示唆しており、表面にある物質などを内部湖を通じて内部海に供給している可能性がある。これまで、エウロパの内部海は厚い氷に覆われ、表面と物質の循環をしていなかったと考えられていたが、表面から物質の供給があることで、より生命に適した環境である可能性が出てきた。

 「これらの成果は、20年以上におよぶ地球の氷床や氷棚の研究の成果なくしては得られなかった」と研究チームのDon Blankenship氏は語っている。

 より詳しいことを調べるには、やはり実際にエウロパまで探査機を送る必要がある。エウロパの探査は全米研究評議会が選ぶ惑星探査ミッションの大型ミッションのうち2番目の優先順位に位置づけられており、その実現が期待されている。(2011年11月18日 NASA)

 カオス(斑状崩壊)地形
 エウロパには、これまでに取り上げた線状・帯状地形の他に、カオスと呼ばれる斑状地形が表面全体に散在している。カオスとは表面の一部が多角形や楕円形状に変形・崩壊した地形を指し、ボイジャー時代には画像解像度の低さから暗い斑点の様に見えたのでレンティキュラ(lenticulae: ラテン語で斑点の意味)と呼ばれていた。

 カオスには中央丘やクレーターリム、イジェクタといった衝突起源の地形が持つ特徴が見られないため、カオスは表面下での活動を反映した内因性の地形と言える。カオスのサイズは直径数km から数百km まで様々で、その外見も極めて多彩である。形態に従った区別として周囲よりも隆起しているドーム地形や、逆に沈降しているピット地形、起伏がほとんどなくアルベドやテクスチャだけが周囲と異なるスポット地形等がある。サイズの大きなカオスの中には、表面が多数のブロック状に破砕されまるで流氷のように表面を漂ったかのように見えるものもあり非常に興味深い。

 このような流氷状カオスを構成する破砕物は破砕前の地形が良く保存されておりジグソーパズルの様に復元できることから、表面またはその直下には比較的粘性が小さく流動性の高い物質が存在していたことを窺わせる。カオスの成因としては現在までに「ダイアピルモデル」と「局所融解モデル」が提唱されており、このモデルの違いは前者は厚い地殻を仮定し後者は薄い地殻を仮定している点にある。

 ダイアビルモデル
 前者は、氷地殻内部で発生した固相対流運動に伴う暖かい氷のプリュームやダイアピルが表面を隆起させたり、氷が表出して氷河のような外見を作り出したとするモデルである。そもそも氷地殻内で対流が駆動するためには、氷地殻が臨界レイリー数を超える必要がある。エウロパの表面温度は約100K、氷地殻の底はH2O の融点であるから、氷の粘性にも依るが少なくとも氷地殻は20km 以上の厚さを持っている必要がある。

 このモデルはダイアピル上昇によるリソスフェアの押し上げを想定しているので、ドーム地形の形成には調和的だが沈降を伴うピット地形や流氷状カオスを作り出すことは難しい。また氷地殻の厚さを大きく上回るサイズのカオスを作り出すことも困難である。

 局所融解モデル
 一方、氷地殻の局所融解によってカオスが形成したとする後者のモデルは、氷地殻底部に何らかの余剰熱が集中する状況を前提としている。具体的には内部海の海底で熱水噴出のように局所的に供給された熱が海中を上昇し、天体の回転作用で拡散を免れながら、地殻へ到達するという過程が提示されている。その熱によって地殻の局所融解が進むと、表面はアイソスタシー効果によって沈降しピット地形を形成する。

 さらに融解が進んで表面に達すると、液体水の表出とともに激しい表面破壊を起こすというシナリオである。このモデルでは、必要な熱源を確保するためにエウロパの内側を回る衛星イオで観測された表面熱流量をエウロパの軌道要素やサイズでスケーリングし、エウロパ岩石コア(岩石層と金属コアを合わせて便宜上こう呼ぶことにする)の潮汐発熱率として想定している。しかし理論的解析から岩石コアでの潮汐発熱は氷地殻でのそれに比べて小さいと考えられている上、高い内部発熱に伴って地殻の厚さが薄いという状況も前述のクレーター解析によって推定される地殻厚さと相反しており、議論の余地が残っている。また地殻の局所融解では隆起した地形を作り出すことが出来ないといった問題も抱えている。

 このように、エウロパにおいては地殻構造が決定していないために地形形成過程を1 つに制約できていないのが現状である。ただし、地殻には予測されていない不均質が存在する可能性もある上、そもそもカオスとして一括りされた地形群が全て単一のメカニズムで作られる必然性はない。ここで強調されるべき点は、どの形状のカオスを作るにも内部海の存在が必要だと言うことである。

 褐色は塩類の存在を示す
 内部海が完全に固化している場合、観測されるスケールのカオスを局所融解によって作り出すことは不可能であり、またダイアピルがH2O 層底部で生じてもダイアピルの上昇時間よりダイアピル寿命の方が短くなるため、やはり地形形成には寄与できない。

 カオスが氷地殻での何らかの熱的な異常を反映した地形であることに異論の余地はないが、地殻熱構造に寄与し得る要因として他に考えられるのは氷地殻中の不純物の存在とそれに伴う凝固点降下の影響である。リニアと同じくカオスも褐色を示すものが多く、水和塩物質の存在が示されている。

 形成直後のエウロパが次第に冷却し塩類が溶解したH2O 水の固化によって氷地殻が成長していく過程では、基本的に塩類は液体層へ追いやられ氷地殻は高純度のH2O 氷で構成される。しかし同時に、表面は小天体の衝突による継続的な塩類供給を受けている。

 内部海の存在は明らか
 塩類とH2O の固体・液体が混在する系で地殻がどのような熱的物質的構造を持つかという問題については明確な議論が無いが、氷地殻にはかなりの物質的な不均質が存在するだろう。このようにして形成した“汚れた”氷地殻の中でダイアピルが塩分濃集部に達した場合、凝固点降下によって融解を起こし流氷状カオスのような大規模な破砕が生じると考えられる。

 またダイアピルと潮汐発熱の相互作用によって地殻浅部で融解が生じる可能性もあるが、氷のレオロジーに強く依存する現象である点に注意を要する。

 以上のようにエウロパ表面の地形形成は氷地殻での潮汐変形や熱異常が主要因であり、そのためには内部海の存在が必要であることが明らかになってきた。しかし、個別の地形と内部構造との関係で見ると、地形によって必要とされる地殻の厚さが異なるということが重要な争点となっている。

 地殻の進化に従ってリニアとカオスとの間に形成年代の明瞭な前後関係が生じる可能性もあり、次世代探査で地形層序を詳しく調べることが必要になるだろう。またこれまでの研究の大部分はH2O の一成分から成る氷地殻を想定しているが、地殻中の様々な不純物の存在を考慮した地殻進化を調べることによって、地形形成論に関わる様々な問題に活路が見出されるかもしれない。

参考HP アストロアーツ エウロパの海は生命に適している? 東京大学 エウロパの表面地形と内部構造

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アジとコイが泳ぐ「好適環境水」とは何?森のマグロ・プロジェクト進行中!

2011年11月23日 | テクノロジー

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 アジとコイ、仲良く泳ぐ水槽
 「初めて見た。すごいね」2010年ノーベル化学賞を受賞した鈴木章氏が感想を述べた。それもそのはず、水槽の中を、コイとアジと一緒に泳ぐ姿を目の当たりにしたからだ。

 11月19日、岡山理科大学(岡山市)で、アジやエイといった海水魚と、ニシキゴイ、アロワナなどの淡水魚が一緒に泳ぎ回る不思議な水槽が完成した。12種約20匹が同居している。

 工学部の山本俊政准教授が、海水の約60の成分を調べ、海水魚に欠かせない最低限の成分や濃度を解明。淡水に、ナトリウムやカリウムなど数種類をわずかに加えることで、海水魚も生息できるように工夫した。

 お披露目には、同大学特別栄誉教授でノーベル化学賞受賞者の鈴木章さんも出席。興味深そうに見つめ、感心していた。(2011年11月19日  読売新聞)

 「好適環境水」は、どんな水か?
 好適環境水は10Lの水に魔法の白い粉10gを混ぜて、完成する。その成分は何だろう?山本俊政准教授いわく、「企業秘密」だとか。

 好適環境水とは、魚類の代謝に最低限必要な物質を含んだ水だ。山本准教授は、魚の浸透圧調整に深く関わるナトリウムやカリウムを含む一部の電解質を特定した。わずかな濃度の電解質を真水に加えるだけで魚類の代謝に最低限必要な物質を含む水「好適環境水」(特許出願中)を開発した。 

 好適環境水を開発するきっかけは何だろう?山本 研究室は海から35キロも離れている。その場所で、ディズニー映画「ファインディング・ニモ」で一躍脚光を浴びたカクレクマノミの大量繁殖に2005年、日本で初めて成功した。しかし、汚れた海水を浄化・再生などは常に悩みの種だった。

 そんな時、ある学生が「海産のプランクトンを純淡水で育てたい」と大まじめな顔で相談に来た。できないことを証明する体験をしてもらおうとゴーサインを出したのですが、その一週間後、彼が笑顔で「できました」と走って報告に来ました。

 「そんなバカな」。その後の実験ではまったく再現できなかったが、原因は海水タンクの洗い方が不完全で、ごく微量の海水が残っていたためと判明した。この時に「プランクトンは超低濃度の水でも、ある一定のミネラルが支配していれば生きられるのでは…」と気づいた。さらに「海水不足で苦労している専門学校での魚類の飼育にも応用できるかもしれない」と考えた。

 天然海水は60種以上の成分を含み、人工海水にも20種以上の成分が必要とされる。山本 メーカーはいかに成分を増やし、他社との差別化を図るかが開発の歴史でした。その発想を大転換した。成分を増やすのではなく、必要な成分は強化するが不必要な成分は徹底して減らす。濃度や組成間のモル比をダイナミックに変えた何百もの水槽で実験を続けた。

 最終的に、わずか数種類の成分だけで魚を飼育できる好適環境水に到達。現在では、海水魚を飼育する上で必須とされる主要成分さえも削った「究極の好適環境水」へと進化を遂げている。

 海水の養殖との違い
 好適環境水で飼育した魚の方が代謝が良く、海水養殖より短期間で成長する。また、海での養殖には魚病や寄生虫に対応した抗生物質やワクチンが欠かせないが、好適環境水ではこうしたリスクが皆無。この施設には抗菌剤や薬の類は一切置かず、安心安全な養殖を実現している。

 海での養殖も色々問題がある。まず、薬品使用の問題が挙げられる。塩水の中にズーッとつけたままの囲い網に貝類が付着しないように、また網自体が長持ちするように、薬品が使用されている。

 その薬品が、養殖をされた魚や、海に悪影響を与えるという指摘がある。例えば、はまちの養殖で、薬の影響などで背が曲がったはまちが、魚市場で安く取引されているということも言われている。そしてその、背曲がりのはまちが、スーパーの切り身や、弁当に使われていると言う事も・・・。その点、この好適環境水での養殖は、薬不使用なので、今までの養殖からすると安全性は高い。

 エサを100%管理できるため、天然魚で問題となる水銀もほぼゼロ。しかも好適環境水は、人工海水に比べて60分の1の低コストですむ。

 また、養殖魚は市場価格の大幅な乱高下には対応できない。朝から晩まで家族で懸命に養殖に携わっているのに報われないこともある。これはおかしい。こうした水産業の現状を打破するために、好適環境水で「漁業革命」を実現したい。プラント型の養殖場を増やし、いつも安心安全な魚が天候に左右されずに安定供給できる次世代養殖が確立すれば、水産業は復活する。

 「森のマグロ」プロジェクトで町おこし
 学生の「好適環境水によるマグロの養殖に挑戦したい」との提案をきっかけに動き出した「森のマグロ」プロジェクト。陸上の閉鎖環境下で、海水を使わないクロマグロ養殖は、世界で誰も考えたことすらない画期的な挑戦であり、大胆不敵な事業だ。140トン水槽で好適環境水による飼育を始め、経過は順調。また、クエ、トラフグは商用運用を視野に、生産性の検証段階に入った。

 内陸部でのマグロ養殖のメリットは?「場所を選ばない養殖」だ。好適環境水を用いれば、どんな場所でも魚を養殖できるので、「山村を漁村」にできます。限界集落と呼ばれる地域にも産業を起こし、雇用を確保すれば、若者を呼び戻せる。廃坑や地熱、温泉水などを利用すれば、低コストでのプラント運営も可能だ。「長野マグロ」や「奈良ヒラメ」も夢じゃない。中山間部に新規事業を生み起こすためのアイテムにしたい。

 研究室に入った学生たちの目は輝いている。自分たちの研究が未来の漁業を変えるかもしれない、漁業革命へつながる実験をこの手で取り組んでいるんだ…という実感がある。山本准教授も「君たちがトップの技術者になって、海外からも高い報酬で招かれるよう、今、頑張れ」と励まし、実現させるべく指導している。

 そもそも海水とは何か?
 海水は、海に蓄積される水。水を主成分とし、3.5%程度の塩(えん)、微量金属から構成される。海洋の塩分は地球上の観測場所により3.1%から3.8%のばらつきがあり、海洋において一様ではない。とくに河口や氷河の崩落する地域では汽水化されている。最も塩分が高い外洋は紅海であり、海水の蒸発量の多さ、降水の少なさ、河川の流入、地形により海水の攪拌が少ないことなどが影響している。死海など孤立している水域においては塩分が極端に高い場合がある。

 海水の塩分濃度は測定の位置により一様ではないが、塩分の構成についてはほぼ一定である。水 96.6%、塩分 3.4%である。この内、塩分は、塩化ナトリウム 77.9%、塩化マグネシウム 9.6%、硫酸マグネシウム 6.1%、硫酸カルシウム 4%、塩化カリウム 2.1%、「その他」…となっている。

 「その他」とは、主成分の塩素、ナトリウム、硫黄 、マグネシウム 、カルシウム 、カリウム以外の物質で、炭素 、臭素 、ストロンチウム、 ホウ素 、フッ素 、リチウム 、べリリウム 、アルミニウム 、スカンジム 、チタン 、バナジウム 、クロム、 マンガン、鉄 、コバルト、ニッケル、銅 、亜鉛 、ガリリウム、ゲルマニウム、ヒ素、セレン、ルビジウム、 イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、ルテニウム、銀、カドミウム、インジウム、錫・・など、合計60種類以上もある。

 希少な微量金属(リチウム、コバルト、チタン、ウランなど)を含有しているため、現在海水からそれらを回収する技術が開発途上にあるが、極めて微量であるため、現在の所採算性のある手法は発明されていない。

 また、生体の塩分濃度は約0.9%であり、海水の塩分濃度は生体よりもかなり高い。大量に飲まない限り害はないが、塩分が多く浸透圧が高すぎるため飲用には適さない。また、体質によりマグネシウムイオンに対して敏感な場合は下痢の原因となる。(Wikipedia)

ゴートゥスクール.com 魔法の水・好適環境水が誕生 好適環境水・森のマグロプロジェクト

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カニの甲羅の有効利用法!透明化してディスプレーや太陽電池素材にも?

2011年11月22日 | 人類学

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 カニの甲羅の透明化に成功
 カニの甲羅は、「キチン」という高分子を含む。キチンは抗菌作用・生分解性をもつ高分子として、繊維、フィルム、粒状あるいは発泡素材として利用されてきた。

 また、キチンはグルコサミンという、アミノ基がついたグルコース(ブドウ糖)の重合体である。グルコサミンは軟骨成分であることから、これまでは、カニの甲羅を分解した健康食品(サプリメント)などでよく利用されてきた。

 今回、京都大生存圏研究所(京都府宇治市)の矢野浩之教授(生物材料学)は11月21日、カニの甲羅を透明にすることに成功したことを発表した。熱に強く柔らかな材料として、有機ELディスプレーや太陽光発電の素材への応用が期待できるという。英国王立化学会の専門誌「ソフトマター」に掲載される。

 カニの甲羅は、「キチン」という高分子の極めて細い繊維からできている。研究グループは、化学処理してたんぱく質などを除いた甲羅に、アクリルなどの樹脂を染み込ませると透明化することを発見した。

 この原理を応用し、たんぱく質などを除いた甲羅を粉末にして紙でろ過し、樹脂を加えて透明シートを作製。シートはキチン繊維の効果で、元の樹脂より10倍も熱に強く、ディスプレー基板にも十分な強度があるという。ガラスと違ってロール状にもでき、加工も容易だ。

 矢野教授は「カニやエビだけでなく、将来は植物繊維も利用できるだろう。バイオマス資源の可能性がさらに広がった」と話している。(毎日新聞 2011年11月21日)

 カニの甲羅のサプリメント
 グルコサミン(Glucosamine、化学式C6H13NO5)は、グルコースの一部の水酸基がアミノ基に置換されたアミノ糖の一つである。 動物においては、アミノ基がアセチル化されたN-アセチルグルコサミンの形で、糖タンパク質、ヒアルロン酸などグリコサミノグリカン(ムコ多糖)の成分となっている。

 カニの甲羅の利用法はいろいろあるが、健康食品(サプリメント)での利用が多い。最近は甘くておいしいグルコサミンとして、N-アセチルグルコサミンが商品化されている。 
 
 カニやエビの甲羅から酵素で抽出したN-アセチルグルコサミンは、酸分解して作る普通のグルコサミン(塩酸塩)より吸収が早く効果が優れている。普通のグルコサミンと違って、甘くて美味しいのでヨーグルトにかけたり、牛乳や紅茶に溶かしても、美味しく召し上がれる。サプリメントの新しい摂り方だ。

 N-アセチルグルコサミンには2つの作用がある。1つは、肌の乾燥を防ぐ作用。N-アセチルグルコサミンは、体内でヒアルロン酸に変わり、肌の乾燥を防ぐ 効果がある。ヒアルロン酸より吸収が速いので、保湿効果が早くあらわれる。 (焼津水産化学工業株式会社の調査データ)
 
 また、軟骨が磨り減った膝の痛みを和らげる効果がある。N-アセチルグルコサミンは、体内でヒアルロン酸やコンドロイチンを構成し、軟骨を補充できる。N-アセチルグルコサミンは、高齢者の膝の痛みによる歩行困難を解消する。
 
 キチンとは何か?
 キチン(chitin)は直鎖型の含窒素多糖高分子で、ムコ多糖の一種。ポリ-β1-4-N-アセチルグルコサミンのこと。語源は古代ギリシアの衣服であったキトン(chiton)に由来し、「包むもの」を意味する。

 カニやエビなどの、節足動物や甲殻類の外骨格や、軟体動物の殻皮の表面といった多くの無脊椎動物の体表を覆うクチクラや、キノコなど菌類の細胞壁などの主成分である。

 このように天然物であるキチンはN-アセチルグルコサミンだけでなく、グルコサミンをも構成成分とする多糖であり、N-アセチルグルコサミンとグルコサミンの比はおよそ9:1といわれている。キチンは天然物であるが故に、その比は由来によって大きく異なるものと考えられるが、N-アセチルグルコサミンだけで構成されるキチンは存在しないと考えられる。

 よって、キチンを化学的または酵素的に分解するとN-アセチルグルコサミンとグルコサミンを含む多様な二糖、三糖やオリゴ糖が生成する。分子式は(C8H13NO5)n、CAS登録番号は[1398-61-4]である。

 工業的には主に水産物として漁獲されるカニ類などの甲殻類の殻から得られる。生体内では、タンパク質、カロテノイドなどの色素、カルシウム塩を中心とした無機塩類などと複合した構造体を形成している。このため、塩酸による脱灰工程、アルカリ処理による脱タンパク工程、および、アルコール抽出や漂白法による脱色素工程を経て精製される。

 構造は、セルロースと類似の構造であるが、2位炭素の水酸基がアセトアミド基になっている。即ち、N-アセチルグルコサミンの1,4-重合物である。分子間、あるいは、分子内で形成される強固な水素結合により、明確なガラス転移点や融点を示さず、加熱により分解する。

 同様の理由により溶解性に乏しく、ほとんどの溶剤には溶解しない。濃塩酸や濃アルカリには可溶であるが、加水分解などの分子鎖切断による大幅な分子量低下を生じた結果として溶解するものである。 分子量低下をさほど伴わない溶媒としては、ジメチルアセトアミド/塩化リチウム、メタノール/塩化カルシウム複合溶剤系などがある。中でも前者の溶媒は非水系であるため、誘導体化、ポリマーブレンドなどに有利であり、近年、それらに対する試みや応用が盛んになってきている。

 なお、濃アルカリ水溶液中での煮沸処理などにより、脱アセチル化され、キトサンを得ることが出来る。生物資源由来の物質であり、枯渇の恐れが無い、安全性が高い、生物分解性であるなどの特徴をもつ。特に生体において容易に分解し、比較的高い強度と柔軟性を持つことから、手術用縫合糸として利用も検討された。(Wikipedia)

 キトサンとは何か?
 キトサン (chitosan) とは、多糖類の一種で、ポリ-β1→4-グルコサミンのこと。直鎖型の多糖類でグルコサミンの 1,4-重合物で、分子量は数千から数十万に及ぶ高分子である。分子式は(C6H11NO4)n、CAS登録番号は[9012-76-4]。

 工業的には主として、カニやエビなどの甲殻類の外骨格から得られるキチン(ポリ-β1→4-N-アセチルグルコサミンからなる)を、濃アルカリ中での煮沸処理等により脱アセチル化して得る。

 キチン骨格中の2位の炭素上のアセトアミド基を脱アセチル化し、遊離の第一級アミノ基に変換するが、濃アルカリ煮沸などの過酷な条件での処理をすることから、ポリ-β1→4-グルコサミン構造も鎖が切断されたり、一部変化する。

 また、キチンのキトサンへの変換(脱アセチル反応)は完全には進まず、糖鎖上に一部 N-アセチルグルコサミンを含むことが多い。キトサンの品質は、脱アセチル化の割合 (%DA) で示される。 これは NMR分光法、赤外線吸収スペクトル法 (IR)、および、コロイド滴定法などで測定することができるが、市販のキトサンの %DA は通常 60~100% の範囲にあり、70%程度(キチンがキトサン鎖中に3割残っていると言う意味)の商品が多い。

 加工が容易で、繊維、フィルム、粒状あるいは発泡素材として利用可能。生物資源由来の原料より生産されるため、資源枯渇の可能性が低い。生物分解性。化学処理により様々な機能を付与することが出来る。低毒性とされる。マウスの半数致死量(LD50、経口)は 16g/kg と報告されている。

 神経再生や皮膚再生など再生医療素材としての応用が進んでいるが、そのほかにも、ポリマーブレンドやハイブリッド材料などへの応用例も多数見受けられる。また、アミノ基の反応活性を生かした誘導体化等による更なる高機能化へのアプローチも盛んに行われている。精製された高品質なキトサンを膜や繊維、スポンジにして、医療分野での用途にも利用可能である。(Wikipedia)

Wikipedia キチン グルコサミン

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アゲハチョウは「脚」で味を見る?「ドラミング」で木を選別するしくみ解明!

2011年11月21日 | 動物

科学大好き!アイラブサイエンス!最近気になる科学の疑問を、やさしく解説!毎日3分読むだけで、みるみる科学がわかる!


 アゲハチョウの味覚遺伝子
 昆虫の味覚はどこにあるだろう?ハチやアリでは触覚にある。チョウやガやハエでは第一肢の先端にに味覚器がある。

 アゲハチョウは、ミカンの葉を前脚で叩く「ドラミング」で小さな傷を作り、その部分の味を感じて葉がミカンであることを確認して産卵する。我が家のミカンの木にはこの夏、次から次へとアゲハが産卵し、幼虫がほとんどの葉を食べ尽くしてしまった。ミカンを守るよい方法はないだろうか?

 今回、JT生命誌研究館(大阪府高槻市)と九州大などの研究チームが、アゲハチョウのメスが前足の「感覚毛」を使って、幼虫が食べられる植物を選別して、産卵する仕組みを解明した。害虫が農作物に産卵しないよう改良する方法を開発する手がかりにつながると期待される。11月15日付の英科学誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」電子版で発表した。

 アゲハチョウのうち、例えばナミアゲハのメスは、ミカン科の植物の葉に産卵する。その際、「感覚毛」で幼虫が食べられる植物を特定するが、これまで未解明だった、こうした仕組みをつかさどる遺伝子を見つけた。

 シネフリンに反応、産卵
 同館の尾崎克久研究員(分子生物学)によると、「感覚毛」の根元にある神経細胞では約1万種類もの遺伝子が働いている。このうち植物に含まれる成分を感じ取るとみられる遺伝子を特定。別の細胞で働かせてみたところ、ミカン科植物に含まれる酸味成分「シネフリン」と触れると、細胞内に変化が生じるのが見つかった。

 今度はシネフリンを塗った人工葉を準備し、そこにナミアゲハを放したところ、約7割のメスが産卵。一方、この遺伝子の機能を失わせたメスは約2割しか産まなかった。こうした実験結果から、メスがこの遺伝子の働きでシネフリンを見分け、その情報が脳に伝わることで産卵を促すと結論づけた。

 ナミアゲハ以外にも同様の手法で産卵したり、食べたりする植物を選別する昆虫は多く、こうした能力を担う遺伝子や反応する植物の成分もそれぞれ異なると見られている。尾崎研究員は「同じ方法で、他の昆虫でもこうした遺伝子を見付けていけば、遺伝子操作で農作物に産卵したり食べたりしないようにできるかもしれない」と話している。(毎日新聞 2011年11月16日)

 味覚の場所「ふ節」を特定
 ナミアゲハの味覚感覚子は、メス前脚の先端のふ節の毛のように並んでいる。味覚受容体は、味覚感覚子の中の味覚神経細胞の表面にある。アゲハチョウのメス成虫の産卵行動は、飛ぶことから始まる。主に視覚情報を頼りに葉にとまり、葉を前脚でたたく。これを「ドラミング」と呼ぶ。前脚ふ節には化学感覚子があって、葉の表面に存在する化合物を感じ取り、その組み合わせによって植物種を識別し、適切と判断すると卵を産む。その後その場を飛び去り、一連の作業を繰り返すのである。ナミアゲハについては、主な食草であるミカン科植物から、化合物10種が「産卵刺激物質」として同定されており、これらを混合すると生葉と同程度に産卵行動を誘発する。

 一方、化合物を識別する受容体の研究は、私たちの研究開始時にはまったく行われていなかった。ショウジョウバエの味覚感覚子では、感覚子内部へ数個の味覚ニューロンが軸索を伸ばしていること、その細胞膜中に7回膜貫通型タンパク質(7TMP: 7 transmembrane protein)である味覚受容体が存在することが知られており、化合物を認識しているとされている。

 チョウの前脚ふ節にある感覚子は、ショウジョウバエの味覚感覚子と同様の構造を持っているので、アゲハチョウのふ節感覚子でも、7TMP味覚受容体が働いていると予想できる。これが食草の認識と産卵行動に重要な役割を持っているだろうと考え、ナミアゲハの味覚受容体遺伝子の探索と機能解析に取り組んだ。

 発見した味覚受容体遺伝子が、チョウの体のどこで働いているか遺伝子を増幅して調べた。電気泳動のシグナルは、メス前脚ふ節にだけ検出された(左1列目のバンド)。比較に用いたリボソーム蛋白質遺伝子は全部の器官にみられるので、味覚受容体遺伝子がメスの前脚ふ節でだけ働いていることが確認できた。

 味覚受容体(7TMP)
 味覚受容体遺伝子は、発現量が極端に少ないため、他の生物でもタンパク質の機能が解明されているものはまだ少ない。しかも昆虫の化学受容体遺伝子は、遺伝子間の塩基・アミノ酸配列の類似性が極端に低いので、他の生物の受容体遺伝子を手がかりにはできない難点がある。

 そこで、メス成虫ふ節で発現する遺伝子群を片っ端から調べることにした。メス成虫ふ節のcDNAライブラリーをつくり、約1万個の配列を決定してアミノ酸配列を推定した。その中で7回膜貫通領域を含む配列を持つものをコンピュータ上で探し、候補遺伝子を絞り込んだ。

 そしてついに味覚受容体候補の7TMP遺伝子を1つ見つけることができた。得られた7TMPは、メス成虫のふ節で発現していることはわかったが、7TMPには神経伝達など化学受容以外の働きを持つものもたくさんあるので、本当に食草の認識に関わる味覚受容体かどうかを確認しなければならなかった。

 そこで「カルシウムイメージング法」を用いた。まず味覚細胞ではない培養昆虫細胞でナミアゲハ味覚受容体候補7TMPと発光クラゲから見つかったイクオリン(aequorin)という発光タンパク質を発現させる。その細胞を化合物で刺激したとき7TMPが応答すると発光タンパク質がカルシウムに反応して光るという仕組みである。

 私たちが得た7TMPは、産卵刺激物質の中のシネフリンを与えた時だけ発光した(図4)。一か八かの実験だったが、2年間大量の遺伝子を調べる実験を許されたおかげで、産卵刺激物質シネフリンを認識するナミアゲハの味覚受容体遺伝子を手にすることができた。

 RNA干渉(RNAi)で味覚を阻害
 遺伝子のはたらきを調べるには、その遺伝子のメッセンジャーRNAの発現を阻害する二本鎖RNA(dsRNA)を生体に導入するRNA干渉(RNAi)がよく使われる。鱗翅目昆虫では、dsRNAの注射によって遺伝子の発現量を抑えることはできるが、その効果が持続せず、この方法は難しいとされてきた。

 しかし私たちは、ナミアゲハ7TMPの発現量がピークになる前にdsRNAを導入し、発現レベルが低い状態にすれば、阻害効果がでるのではないかと考えた。そこで成虫だけでなく蛹からもふ節を取り出し、日を追って7TMPの発現量を調べてみると、羽化前日の蛹で発現量がピークとなることがわかった。

 そこで、羽化日を0日として-1, -3, -5, -7, -9日の蛹にdsRNAを注射で導入し、羽化直後の発現量を調べてみた結果、蛹化後の早い時期にdsRNAを注射するほどこの遺伝子の発現を効果的に抑制できる事がわかった。

 しかし、蛹化後早い時期は体が柔らかく、注射によるダメージが大きいので、蛹の死亡率がやや高まる。十分な遺伝子発現抑制効果は得られ、蛹の死亡率は低い時期として、羽化5日前が最良と考え、以後のRNAi実験では、羽化5日前の蛹にdsRNAを注射した。

 シネフリンに未反応、産卵せず
 次に、RNAi法を用いて7TMP遺伝子の発現を阻害したチョウの前脚を用い、電気生理学的解析を行った。感覚子にある神経細胞(ニューロン)が認識する化合物で感覚子を刺激すると、中枢系へ送られる電圧が変化(神経発火)するという事実を利用した。

 シネフリン受容体であるナミアゲハ7TMPの発現をRNAiで抑制すれば、シネフリンによる刺激で観察される神経発火が減少するはずである。実際にRNAi処理を施したアゲハチョウ(RNAiチョウ)の前脚では、シネフリンによる刺激に対してだけ神経細胞の応答が有意に減少した。

 正常なチョウは、葉にとまるとドラミングの直後に腹部を曲げて、プラスチックの葉に卵を産みつけて、飛び去る行動を繰り返す。一方、RNAiを受けたチョウは、飛翔・プラスチックの葉への着地・ドラミングまでは正常なチョウと同様であるが、その後ドラミングを長時間行うが、卵を産まずにいったん飛び去る。しかし、気になるのか、戻ってきてまたしつこくドラミングするが、結局産卵しないで飛び去る様子が観察された。 

参考HP JT生命誌研究館 アゲハチョウの味覚受容体

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右脳と左脳をつなぐ「Asap」を発見!昆虫とヒトの脳機能局在論

2011年11月21日 | ライフサイエンス

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 右脳と左脳をつなぐ物質
 一般的に左脳の働きがよい人は、論理的で判断力に優れているタイプ。右脳の働きがよい人は、直感的で創造力に優れているタイプといわれている。このように左脳の機能、右脳の機能が分かれているという考えを、脳機能局在論というが、逆のタイプの人もいて、科学的に証明されたわけではない。

 今回、右と左の脳をつなぐ神経回路が作られる際に中心的な役割を担う物質を、大阪バイオサイエンス研究所の榎本和生研究部長らがショウジョウバエで見つけた。人でこの回路に異常が出ると、認知機能の低下などの神経疾患を招くとされ、疾患の解明に役立つことが期待される。米科学アカデミー紀要電子版に掲載された。

 人の左脳は論理的思考、右脳は感覚的思考をつかさどる。目で得た視覚情報などを左右の脳をつなぐ神経回路「脳梁(のうりょう)」などを通じてやりとりし、処理する。

 この回路の構造が人と似ているのがショウジョウバエで、榎本部長はAsapというたんぱく質が、回路の細胞群にたくさん現れていることを発見。Asapを作れないようにすると、脳の左右をつなぐ神経細胞の一部が延ばせず、回路をうまく形成できなかった。

 Asapの遺伝子は、人の遺伝性精神遅滞疾患「オピッツ症候群」の原因遺伝子と同じ機能を持つ。榎本部長は「これらの遺伝子の機能解明が進めば、精神遅滞疾患の解明にも役立つ」とみている。(2011年11月16日  読売新聞)

 研究チームによると、このタンパク質と同じ働きを持つタンパク質は人間でも特定されており、てんかん発作などとの関連が指摘されているという。同研究所の榎本和生研究部長は「今回の発見が、てんかん発作などの症状の発症解明に役立てば」としている。(産経news 2011.11.15)

 昆虫の神経系
 ショウジョウバエは生物の実験にはよく登場するモデル生物だ。それにしても、昆虫とヒトの脳に共通点があるとは思わなかった人も多いのでは?昆虫の脳はどんな仕組みになっているのだろう?

 昆虫のからだは頭部、胸部、腹部の3つに分かれる。これに伴い、頭部、胸部、腹部に、それぞれ頭部神経節と食道下神経節、胸部神経節、腹部神経節に支配される分散構造がある。

 このような分散的な神経節構造は昆虫の神経系の大きな特徴である。各神経節は左右一対の縦連合といわれる神経束により結合され、はしご状の構造を示す。各神経節は、局所的な感覚情報処理や運動制御、記憶・学習の場として働き、脳がこれらの統合中枢として機能する。

 脳は主に,視覚・嗅覚などの頭部からの感覚情報の処理を行うとともに、胸部以下の神経節からの信号を受け、これらを処理し、新たな情報を行動指令として胸部以下の神経節に伝達する。

 情報の一部は脳内に記憶され行動指令を修飾する。脳以外の神経節は、体性感覚の処理に加え、胸部神経節では飛翔、歩行などの基本的な運動パターンをつくる。したがって,頭部と腹部を切り離し、胸部だけの状態でも、羽ばたきや歩行を起こすことができる。

 ただし、直進の歩行や飛行のパターンに限られる。歩行や飛行の開始、終了、方向転換などの行動指令は脳から胸部神経節に伝達される。また、胸部神経節にも学習能力がある。断頭したゴキブリを吊り下げ、脚がある高さまで下がると電気ショックが与えられるようにすると、30から40分でこのゴキブリは脚を次第に下げなくなる。このように昆虫では学習が胸部神経節など脳以外でも起こるのである。

 脳機能局在論
 次に、不思議なのは昆虫にもあるという左脳と右脳だ。これらはどのようなはたらきを持っているのだろうか?

 大脳および中枢神経系では、左右で異なる機能が局在していることがある。まず、腕を組んでみよう。どちらの腕が上になるか?人には利き腕と同様「利き脳」がある。腕を組んでみたとき、どちらの腕が上に来るかで、その人の利き脳、つまり左右のうちよく使っている脳が分かるという。

 右腕が上に来る人は左脳の働きがよく、論理的で判断力に優れているタイプ。一方、左腕が上の人は右脳の働きがよく、直感的で創造力に優れているタイプといわれている。

 言語野は大脳皮質の左半球にあることが多いが、右利きの人で数%、左利きの人で30~50%程度が右半球に言語野をもつことが知られている。総合的には90%以上の人では言語野は左半球にある。

 左半球に言語中枢がある場合においては、その損傷は言語ほか多くの精神機能の損傷を引き起こすことが多い。精神の主要な機能は左半球にあることが多いとされ、その場合においては左半球を優位半球、逆を劣位半球と呼ぶことがある。また右半球に言語中枢がある場合においては、これを優位半球と呼ぶことになり、どちらかが一般的に優れている、劣っているということではない。

 現在でも脳外科手術において手順を決める際によく用いられ、言語野のある半球を優位半球とすることが多い。 後天的に利き手の矯正を行った場合でも、優位半球や言語野の位置は特に変わらないことが知られている(厳密に言えば、一旦優位半球が確定した後に利き手の矯正を行った場合)。

 これら高次機能の局在が生じる原因等についてはよくわかっていない。 先天的半球欠如や、幼少時におけるてんかん治療などのための脳の部分的切除を行った場合、片方の半球に局在していることの多い機能がもう一方の半球で処理されるようになることがあることが知られている。

 脳梁を切断した分離脳患者の研究において、左右半球の関係や意識の所在などが論じられている。左脳は、思考や論理を司る人間的な脳、それに対して右脳は、五感を司る動物的な脳と言われる。左脳は文字や言葉などを認識し、右脳は視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚などの五感を認識するという。しかし、右脳・左脳論は科学的に証明されたわけではない。(Wikipedia)

参考HP Wikipedia  脳機能局在論

右脳と左脳―脳センサーでさぐる意識下の世界 (小学館ライブラリー)
角田 忠信
小学館
片づけ下手な右脳人間のための整理本―どうしてすぐに机の上がぐちゃぐちゃになるんだろう?
リー シルバー
主婦の友社

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南極にアンテナ1000本「PANSY」計画で、地球規模の気候変化観測!

2011年11月19日 | 気象

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 南極にアンテナ1000本設置
 南極に約1千本のアンテナを立て、地球温暖化などを探る世界初の南極大型大気レーダー「PANSY」計画が、始まっている。北極などの観測器とも連携し、地球規模での大気の大循環や気候変動を探るのが狙いだ。東大と2010年11月に出発した、52次南極観測隊が計画を発表した。

 この計画には、観測隊の派遣元の国立極地研究所や東大、京大など国内9大学と8研究所が参加。甲子園球場のグラウンドほどの直径160メートルの敷地内に、高さ約3メートルの小型アンテナを1045本立て、地上から高度500キロまでの大気の流れを1分ごとに観測する。建設費は約46億円。「国内でも例のない大きさ。けた違いの高精度のデータが得られる」とプロジェクトリーダーの佐藤薫・東大教授。(2010年11月15日16時15分)

 2011年3月、南極初の大型大気レーダー(PANSY)の初観測に成功した。第52次南極観測隊により2010年12月下旬からほぼ1ヶ月半の夏期間にアンテナ約1000基の設置が終了し、試験観測を行ったところ予定通りの大気乱流散乱エコーが受信された。今後、積雪の状況などを見ながら調整を行い、2012年度には世界初の南極中間圏乱流エコー観測を試みる。極中間圏雲やオゾンホールなど人間活動の影響が強く反映される大気現象の物理を解明し、気候システムにおける南極の役割を明確化する。

 PANSYレーダー初観測
 2010年12月下旬から、ほぼ1ヶ月半でアンテナ約1000基を設置し、初観測に成功した。アンテナの設置は、環境保全のため地表面の整地を行わず、直径約10cmの小さな穴を空け、そこに金属パイプを差し込むことで固定する方法をとった。この夏は、史上最低の積算日照時間を記録するなど、天気には恵まれなかったが、観測隊の粘り強い努力により予定通りほぼ全数のアンテナ設置が終了した。

 2月中旬に夏隊が帰国した後は、越冬隊により、3月25日から31日の7日間、下部対流圏を対象とする初期観測を実施したところ、良好なデータが得られた。このレーダーはビームを上に向けることで鉛直方向のドップラー風速、すなわち、鉛直風を測ることができるのが特長である。図をみると鉛直ビーム(ビーム1)の散乱信号も良好に得られており、鉛直風が捉えられていることがわかります。

 このPANSYレーダーのアンテナ全数を使用したフルシステムが稼働すれば、地上1kmから500kmの対流圏・成層圏・中間圏・熱圏 / 電離圏の観測が可能となる。これにより環境が苛酷であるため他の緯度帯に比べて遅れがちであった南極大気の観測的研究に大きな進歩がもたらされることが期待される。

 PANSYが目指すもの
 極域は季節や高度領域によって大気の大循環の終着点とも出発点ともなる、地球大気において極めて重要な位置を占めている。その大循環の主要な駆動源の一つである重力波と呼ばれる、振幅の小さく周期の短い波の作用がPANSYの観測によって初めて定量的に捉えられることになりる。

 その作用を、温暖化予測等に用いられる気候モデルに組み込むことで、大循環がより正確に表現されるようになり、成層圏低温バイアスの解決に大きく寄与する。また、南極には、オーロラ・カタバ風・オゾンホール・極成層圏雲・極中間圏雲(夜光雲)などの中緯度や熱帯にはない大気現象が多く見られる。

 このなかにはオゾンホールや極中間圏雲といった人間活動と深く関連する現象も存在する。PANSYは、このような南極の大気現象のほとんど全てを精密に観測して、極域の地球気候における位置づけを明確にし、気候の将来予測の精度向上に寄与することを目指している。

  PANSYの研究テーマ
 成層圏・中間圏温度の謎: 成層圏低温バイアスとは、現在の気候予測モデルが持つ誤差。モデルの冬から春にかけての成層圏での気温が、実際のものより低くなってしまう。大循環を引き起こす重力波効果が正確にモデルに取り込めていないためだと考えられている。

 例えば、高さ50km付近の温度の極大は、火星や金星には存在せず、地球大気にのみ見られる構造だが、地球にはオゾン層が存在し、太陽紫外線を吸収して大気を加熱するために起きる。しかし、冬の極域は一日中太陽光線が届かないのにもかかわらず、この温度の極大が見られます。

 さらに、高さ100km付近では、太陽光線が一日中降り注ぐ夏の方が、冬よりも低温になっている。ここは地球大気で最も気温の低い領域である。 

 大気重力波の中層大気での役割: 重力波とは、浮力を復元力とする大気中の小さな波。相対論における重力波とは別物である。

 山や低気圧、ジェット気流、対流などが発生源。上方に運動量を運び、大循環を引き起こす。この大循環に伴う上昇・下降流が極域の温度構造に大きく影響する。オゾンホールをもたらす極成層圏雲量の予測には重力波の大循環駆動力を定量的に知る必要がある。

 大気中の活発な積雲対流や前線、ジェット気流などは、大気重力波と呼ばれる波動を生みだしている。大気重力波は微弱なため、近年になるまで実態を把握するのが困難でした。しかし、最近ではその重要性の認識は年と共に大きくなっている。大型大気レーダーは唯一、重力波の作用を定量的に評価できる観測装置だ。 

 夜光雲の謎: 極中間圏雲は夏の上部中間圏(高度85km付近)にできる雲。太陽が沈んだ後、夜中にブルーグレーに輝いて見えるので夜光雲とも呼ばれる。

 中間圏界面と呼ばれる高さ90km付近では、夏に非常に低温となり、水蒸気が凝結して夜光雲ができる。夜光雲は19世紀終わりに初めて発見され、それ以前は存在しなかったと考えられている。つまり、夜光雲は人間活動に関連して現れた現象であり、気候変動のカナリアとも言われている。

 レーダー観測を行うと夜光雲に関連すると思われる特殊なエコー(Polar Mesospheric Summer Echo) が受信される。ハイパワーのPANSYレーダーは、PMSEをモニターできるだけでなく、周辺の流れ場も測定できるため、夜光雲の物理に迫ることができる。

 極成層圏雲の物理: オゾン破壊反応にかかわる極成層圏雲は高さ20~30kmに現れる極域固有の雲。日出前や日没後に真珠母貝のように輝いて見える真珠雲もその一つだ。冬から春にかけての極域成層圏下層は低温で、わずかな水蒸気をも凝結させ、極成層圏雲となる。PANSYレーダーによる流れとライダーによる雲の同時観測をすることで、極成層圏雲の実態を調べることができる。

 成層圏物質循環による極域でのオゾンの蓄積量は春に最大となる。ところが南極では、極夜ジェットで囲まれた極渦の内側に発生する極成層圏雲上での光化学反応により、オゾンが破壊され、オゾンホールが出現する。フロン規制により21世紀半ばにはオゾンホールは消滅すると予測されているが、対流圏に見られる地球温暖化の一種の反作用として成層圏の温度はさがり、オゾンの回復は遅れるかもしれないとの見方もある。

 したがって、オゾンホールの将来予測には、極成層圏雲の量を決める成層圏の温度を正しい評価が必要である。そして、そのためには大気大循環に大きな役割を果たすと考えられている大気波動作用の、大型大気レーダーによる定量評価が不可欠である。  

 南極カタバ風とそれにともなう対流圏循環: 南極では、大気の大循環により低緯度域から流れ込む気流が冷やされ、南極大陸の斜面を流れ落ちるカタバ風と呼ばれる現象があります。PANSYレーダーは、カタバ風がもたらす大気循環による上空の水蒸気の流れを、時々刻々に捉える。これまでは難しかった雲の生成や消滅過程、エアロゾルの輸送過程を詳細に調べることもできる。(National Institute of Polar Research, JAPAN)

参考HP 国立極地研究所:Pansy 南極大型大気レーダー初観測

南極ってどんなところ? (朝日選書)
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朝日新聞社
極地からわかる地球のひみつ (ふしぎナゾ最前線!現代科学の限界にいどむ)
クリエーター情報なし
旺文社

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地球中心部「外核」は酸化鉄(FeO)の2層構造?地軸逆転の原因か?

2011年11月19日 | 地学

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 地球中心部「外核」は2層か?
 地球中心部の「外核」という部分では、結晶構造が異なる液状の鉄が2層構造で対流している可能性が高いことを、東京工業大などの研究チームが突き止め、11月11日の米科学誌サイエンスで発表した。

 地球は外側から地殻、マントル、外核、内核にわかれ、外核は深さ約2900~5100キロで、溶けた鉄などでできている。東工大の広瀬敬教授らは、外核の温度や気圧を再現し、液状の鉄がどう変化するか調べた。地下4000キロ付近と同じ条件(240万気圧、絶対温度4000度)になると、鉄の結晶の形が変化することがわかった。

 この結果を基に、外核内の動きをコンピューターで再現すると、従来考えられていた1層ではなく、外核の中央付近を境にして、鉄が2層構造で対流している可能性が高いと判明した。

 この対流で起きる地磁気は、数万~数十万年周期で反転しており、研究は、こうした磁場変動の原因解明に役立つかもしれない。広瀬教授は「2層構造の対流が温度や気圧の差で不安定になり、周期的にその構造が崩れて地磁気の反転が起きるのではないか」と話している。(2011年11月11日  読売新聞)

 酸化鉄(FeO)の構造変化
 地球の中心には半径3500kmの金属鉄を主成分とする核があり、金属核は深さ5150kmを境に液体核(外核)と固体核(内核)に分かれている。外核の液体金属が対流することにより、地球磁場が発生している。外核の成分は溶融した状態の鉄で、30%程度の酸化第一鉄(FeO)が含まれており、地震波観測に基づいて外核の対流は一層だと従来考えられてきたが、温度圧力条件の変化に伴う成分の結晶構造の変化の影響等考慮されておらず、正確には分かっていなかった。そこで、本研究では、FeOの外核中での結晶構造の変化を調べ、その変化により外核がどのように対流しているのかを調べた。

 本研究では、大型放射光施設SPring-8の高圧構造物性ビームライン(BL10XU)において、地球外核の物理条件の範囲(227万気圧、3770K~324万気圧、4180K)で、地球外核の成分であるFeOの結晶構造がどのように変化するのかを調べた。その結果、外核中部に相当する温度圧力条件下(240万気圧、4000K)で塩化ナトリウム型構造から塩化セシウム型構造へと結晶構造が変化することを見出した。FeOが塩化セシウム型構造をとることは従来知られておらず、本研究により初めて発見された。

 この結晶構造の変化は対流の障害になり、外核の対流を変える可能性があるため、今回の結果を数値シミュレーションに取り入れ、外核の対流状況を調べた。その結果、外核の対流は、FeOが塩化セシウム型構造に変化する深度で遮断され、従来考えられていたような一層ではなく、二層対流となることが明らかになった。

 地磁気逆転の原因
 いままで外核の対流は一層だと考えられていたが、本研究により発見した構成成分の相転移を考慮すると、二層対流である可能性を示した。外核の対流運動により地球磁場は生成されている。地球の歴史を通して、地磁気の南北は平均して70万年に1度入れ替わって来た。二層対流が不安定になることにより、地磁気の逆転を引き起こしている可能性がある。

 地磁気逆転とは、地球の地磁気の向きが、かつては現在と南北逆であったとすること。1600年に、ウィリアム・ギルバートが地球は一つの大きな磁石であると主張した。1828年には、ガウスが地磁気の研究を開始した。さらに1906年には、現在の地磁気の向きとは逆向きに磁化された岩石が発見された。

 1926年、京都帝国大学(現在の京都大学)教授の松山基範が、兵庫県の玄武洞の岩石が、逆向きに磁化されていることを発見した。松山はその後、国内外36か所で火成岩の時期の調査を行い、他にも逆向きに磁化された岩石を発見した。松山は1929年、地磁気逆転の可能性を示す論文を発表した。

 当時の常識に反する考え方だったため、当時の評判はよくなかった。 その後、古地磁気学が盛んになり、年代測定の技術も進歩した。その結果、地磁気が逆転を繰り返していることがはっきりしてきた。 1964年には、アメリカの研究グループが地磁気極性の年代表を発表した。このとき、アラン・コックスは2つの「逆磁極期」(反対は「正磁極期」)のうちの1つに、松山の名前を選んだ。  

 現在、2つの逆磁極期があったことが判明している。約500万年前から約400万年前の逆転期は、「ギルバート」と名づけられ、258万年前から78万年前の逆転期は「松山」と名づけられている。

 地球の内部構造
 地球の内部はどうなっているのだろうか?大きく分けると、地殻、マントル、核に分けられる。

 地殻とは地球の固体表面を指し、マントルと同じく珪酸塩成分から成る。地殻は熱伝導でしか地球内部の熱を伝えないため、マントルの対流と比べると効率が悪く、結果的に核やマントルの冷却を遅延させている。

 組成差や構造から大陸地殻と海洋地殻に分類される。表面の55%を占める海洋地殻は玄武岩質で、厚さは平均6km、平均密度は 3.0g/cm3である。固化形成は2億年以内となる。対して大陸地殻は花崗岩質で、厚さ20-70km(平均35km)、平均密度2.8g/cm3以下と厚く軽い。

 地殻表面の構造は、プレート運動による造山運動や火山活動、大気と水による風化や浸食、堆積などによって決まる。

 マントルは珪酸塩鉱物でできており、深さ約2,900kmまで存在し、地球の体積の83%を占めている。マントル全体の化学組成は、必ずしもわかっているわけではない。上部マントルは、かんらん岩または仮想的な岩石であるパイロライトから成るとする考えが主流であるが、下部マントルについては輝石に近い組成であるとする説もあり、定まっていない。

 マントルは核によって暖められ、また自らの内部にも熱源を持つ。そのため固相のマントルはゆっくりと対流(プルームテクトニクス)をしながら熱を地殻に運んでいる。地殻に近い位置ではこのマントル対流は起こらず、地殻と一体化するようなふるまいをしておりプレートテクトニクスという水平運動を起こす。マントルの動きは不明瞭な点が多い。深発地震が700kmより深いところでは起こらない点から、対流運動が二層で独立している説も提唱されているが、一方で岩石圏の沈み込みが核付近まで起こっているとの報告もあり、地震学的トモグラフィー法などにて構造推定が行われている。

 地殻との境には地震波速度が不連続に変化する層があり、モホロビチッチ不連続面(モホ面)という。

 核は地球の中心部であり、コアとも言う。外核と内核に分かれ、液相の外核の半径は3,480km、固相の内核の半径は1,220kmである。外核は鉄とニッケルが主成分であると推定されているが、水素や炭素などの軽元素を10%以上含んでいるとしなければ、地震波速度と密度の説明ができない。

 内核は、地球内部の冷却に伴い、外核の鉄とニッケルが析出・沈降してできたとされており、現在でも成長が続いていると考えられている。ただし、内核の環境である320万気圧では金属鉄はその性質上固相を取るためともされる。地球中心部の圧力は約400万気圧、温度は物質組成とエネルギー輸送過程に依存するため正確にはわからないが、約5,000K - 8,000Kと推定されている。

 対流や地球自転などに起因する外核の金属流体の動きによって電流が生じ、この電流により磁場が生じると考えられている。これが地球磁場である。このように地球の力学的な運動と結びついた磁場発生・維持機構を、ダイナモ機構という。

参考HP Wikipedia 地球 ・Spring8 地球液体核に二層対流、地球磁場変動に影響 

地殻・マントル構成物質
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プルームテクトニクスと全地球史解読
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国内で初めて氷河認定?立山の御前沢雪渓、2年連続の流動観測!

2011年11月16日 | 地学

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 立山の氷河、国内初の認定か?
 富山県の北アルプス・立山連峰で氷河が現存することが国内で初めて確認される可能性が出てきた。立山カルデラ砂防博物館(富山県立山町)の研究チームが、雪渓内の氷塊が流動しているのを観測し、11月15日、東京都立川市で開かれた極域気水圏シンポジウム(国立極地研究所主催)で発表した。

 氷河は、一年中解けず、重みで長期間、流動する氷の塊。日本雪氷学会から認定されれば、極東アジアでは、ロシアのカムチャツカ半島とされる氷河の南限が一気に下ることになる。

 研究チームが調査した氷塊は、立山の主峰・雄山(おやま)(3003メートル)の東側斜面にある御前沢(ごぜんざわ)雪渓と、剱岳(2999メートル)北方稜線(りょうせん)の東側にある三ノ窓雪渓と小窓雪渓の計3か所。御前沢の氷塊は長さ700~800メートル、幅が最大250メートル、厚さ最大30メートル。三ノ窓は長さ約1キロ、幅100メートル以上、厚さ30メートル以上で、小窓は長さ約1キロ、幅150メートル以上、厚さ20~30メートルだった。(2011年11月15日  読売新聞)

 昨年に引き続き、移動を確認
 同博物館は昨年8月下旬~10月、御前沢雪渓で目印となるポールを氷塊に埋め込み、全地球測位システム(GPS)で動きを測定した。1か月あたり6~30センチ動いているとの結果が得られたが、学会から「観測期間が短く、誤差の範囲内では」との異論が出て認定は見送られた。

 今年は9~10月に三つの雪渓で測定。動かない岩盤上にGPSのポイントを設定して誤差も計測した。その結果、三ノ窓雪渓の2地点では約1か月でそれぞれ24センチ、31センチ、小窓雪渓の2地点では17センチ、32センチと、測定誤差(約4センチ)を大幅に上回る流動が観測された。

 御前沢では6地点のうち3地点で52日間に7~9センチと、2年連続で流動が確認された。同所の誤差は約1センチだった。カメラによる連続撮影でも、三ノ窓でクレバスが広がっていく様子や、御前沢でポールが下流側に移動していく様子が確認できた。

 同博物館の福井幸太郎学芸員(38)によると、観測した時期は氷塊を覆う雪が解けて荷重が少なくなるため、流動速度が1年のうちで最も遅い。福井学芸員は「最も遅い時期にこれだけ動いていれば、年間を通して動いているのは間違いない」としている。三ノ窓、小窓の年間の流動速度は少なくとも4メートル程度と推定されるという。

 日本雪氷学会の元会長、藤井理行(よしゆき)さんは「今年は誤差をはるかに超えた観測値で、実際に動いていることがはっきりした。学会に氷河と認められる可能性は非常に高い」と評価している。研究チームは今年度中にも論文を同学会に提出する。(2011年11月16日  読売新聞)

 氷河とは何か?
 氷河(glacier)は、山地では重力、平坦な大陸では氷の厚さと高さによる圧力によって流動する、巨大な氷の塊である。氷河は、山がちな、または傾斜した地形に、複数年にわたって氷や雪が堆積し、万年雪が圧縮されることでできる。下部には過去の氷期にできたものが融けずに残っている。氷河は侵食、堆積を活発に行い、独特な氷河地形を生む。

 地球の気温と氷河は密接な関係があり、海進、海退の原因となる。現在陸上に見られる氷河は、南極氷床、グリーンランド氷床を最大級として、総計1,633万km²に及び、陸地面積の約11%を覆う。近年は地球温暖化の影響でその縮小が激しく、問題となっている。 

 日本に氷河は残っているか?
 氷河でできる地形としては、立山連峰で、1905年(明治38年)に日本で最初に発見され学術的に記載された圏谷「山崎カール」がある。以後、多くの圏谷を含む氷河地形が国内で発見・調査され、日本に氷河時代が存在したことが証明された。

 これまで、氷河が過去にあったことを証明する地形は発見されたが、氷河自体は日本には発見されておらず、極東アジアの南限はカムチャツカ半島とされていた。

 ところが、立山の「御前沢カール」に、氷河の可能性のある「氷体」が発表された。2009年9月に北海道大で開かれた日本雪氷学会で、立山カルデラ砂防博物館の福井幸太郎学芸員(36)が発表。話題を呼んでいた。

 「御前沢カール」と呼ばれる雪渓に広がる「氷体」は、長さ700メートル、最大幅200メートル、厚さ30メートルで国内最大級。同博物館は実際に動いていることを確かめるため、10月から全地球測位システム(GPS)を使った測定を開始した。2010年10月には氷河であるかどうか結果が分かるという期待が高まっていた。

 氷河期とは何か?
 氷河期(ice age)は、地球の気候が長期にわたって寒冷化する期間で、極地の氷床や山地の氷河群が拡大する時代である。グリーンランドと南極に氷床が存在する現代、我々は未だ氷河期の中にいることになる。最後の氷河期は1万年前に終了したということになる。科学者の多くは氷河期が終わったのではなく、氷河期の寒い時期「氷期」が終わったとし、現在を氷期と氷期の間の「間氷期」と考えている。  

過去数百万年は、4万年から10万年の周期で多くの氷期が起こり、これについては研究がさかんに行われている。各氷期と間氷期ではそれぞれ平均気温が異なり、最近の氷期では年平均気温で7-8℃以上低下したというデータもあるが、「気温何度から氷期」というわけではない。その間にも小氷期、小間氷期が認められる。ヨーロッパでは「ギュンツ」、「ミンデル」、「リス」、「ウルム」の4氷期に区分されている。

 現在は間氷期?
 最近の氷期が終わったのは、1万年ほど前である。現在は典型的な間氷期が1万2000年ほど続いていると考えられているが、氷床コアデータによる精密な時期の断定は難しく、世界的な寒冷化をもたらす新しい氷期が間もなく始まる可能性もある。今のところ「温室効果ガス」を増加させている人為的な要因の方が、ミランコビッチの軌道周期のどの影響よりも重いだろうと信じられているが、地球軌道要素に対するより最新の研究は、人間活動の影響が無いとしても、現在の間氷期は少なくとも5万年は続くだろうとも示唆している。

 氷期と間氷期の変動に関連して、アメリカ国防総省が専門家に依頼して作成した地球温暖化の影響による大規模な気候変動を想定した安全保障についての報告書(Schwartz, P. and Randall, D. 2003)の存在が2004年に明るみに出て注目を集めた。 それによると、地球温暖化による海流の変化が原因で、北半球では2010年から平均気温が下がり始め、2017年には平均気温が7~8℃下がるという。逆に南半球では、急激に温度が上がり、降水量は減り、旱魃などの自然災害が起こるという。

 氷河期はなぜ起きるか?
 なぜ「氷河期」が起こるのか。これは大きなスケールで起こる氷河期についても、氷河期の中で起こるより小さな氷期/間氷期の繰り返しについても、いまだ議論されている問題である。一般的な総意としては、大気組成(特に二酸化炭素とメタンのフラクション)と、「ミランコビッチ・サイクル(英語版)」として知られる、太陽を回る地球の軌道要素(おそらく銀河系を回る太陽系の軌道も関係する)、太陽活動の減少、の3つの要素が組み合わされたものがその原因とされている。

 3つの要因のうち、最初の「大気組成の変化」は特に最初の氷河期について重要な原因とされている。スノーボールアース仮説では原生代後期の大規模な氷河時代の始まりと終りは、大気中の二酸化炭素濃度の急激な減少と、急激な上昇が原因であると主張している。残りの二つの要素については、現在最も議論が盛んに行われている。

参考HP Wikipedia「氷河」「氷河期」・ とやま雪の文化 氷河を立山で発見か?

ヤマケイ アルペンガイド8 剣・立山連峰 (ヤマケイアルペンガイド)
クリエーター情報なし
山と溪谷社
氷河地形学
クリエーター情報なし
東京大学出版会

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夏時間(サマータイム)は、いいことずくめ?省エネ・健康・経済効果も?

2011年11月16日 | 人類学

科学大好き!アイラブサイエンス!最近気になる科学の疑問を、やさしく解説!毎日3分読むだけで、みるみる科学がわかる!


 夏時間はいいことずくめ?          
 欧米の大部分で夏時間が終わるころ、毎年決まって大西洋の両側から不満の声が沸き上がる。「なぜ時計の針を元に戻すのか?」。夏時間の通年化を支持する人々はエネルギーの節約をうたい文句にしてきた。ところが最近、観光産業の起爆剤という新たな材料が浮上した。夕方の明るい時間が増えれば、公園などに人々が足を運ぶ可能性が高まるという主張だ。

 ツーリズム・アライアンスで方針決定の責任者を務めるカート・ジャンソン氏は、「簡単に言えば、観光産業にとっての端境期、春と秋が長くなる」と説明する。「夕方の明るい時間、人々は出歩き、アトラクションはまだ営業している。有効利用できる時間が増えるのは明白だ」。ツーリズム・アライアンスはイギリスで展開されている夏時間のキャンペーン(Campaign for Daylight Saving)で中心的な役割を果たす組織だ。

 ジャンソン氏は1つの調査結果を引き合いに出す。それによれば、夏時間を恒久的に維持すると、イギリスの観光産業は年間約56億ドルの収入増を見込めるという。

 アメリカ、シアトルにあるワシントン大学の環境経済学者ヘンドリック・ウルフ氏も、理にかなっていると考える。夏時間の間は、テレビ視聴などの体を動かさない気晴らしに使う時間が減り、屋外で活動的に過ごす時間が増えると統計が示しているためだ。

 「ただし、勝者がいれば、その一方で敗者も生まれるはずだ」とウルフ氏は言い添える。「1年通してとなると、映画をはじめとする屋内での娯楽は不利になるかもしれない。一方、ゴルフコースなどの屋外の娯楽施設は恩恵を受けるだろう」。

 サマータイム制度とは何か?
 サマータイムとは、簡単にいうと日の長い夏の間だけ、時計を1時間早く進める制度のことである。 福田元首相は、2008年7月の北海道洞爺湖サミット(主要国首脳会議)で、温暖化対策の一つとして、サマータイム制度の2010年導入を訴えた。

麻生太郎内閣は2009年6月28日の日韓首脳会議後、日韓同時にサマータイムを導入すれば経済効果が高いと認識を示していた。 2009年9月9日に鳩山由紀夫内閣との日韓首脳会議で日韓同時導入を韓国が提案する方向で検討していると発表した。

 何の目的でこんなことをするのであろうか?そのねらいは省エネルギー効果だ。夜は標準時よりも早く寝ることになるため、照明や冷房に使用する電力を節約できる。環境省は、二酸化炭素の排出量を年間120万トン程度、削減できると見込んでいる。

 現在、欧州や北米、南米など世界70か国以上で導入されているが、その目的も省エネルギー効果である。経済協力開発機構(OECD)加盟30か国で見ても導入してない国の方が少ない。日本と韓国、アイスランドぐらいである。

 日本でも戦後の1948〜51年の4年間、サマータイムが導入されたことがある。昭和23(1948)年4月28日、GHK(連合国軍総司令部)の意向によって、サマータイム法が公布され、5月の第1土曜から9月の第2土曜まで、時計を1時間進ませる夏時間が導入された。このときは、寝不足や通勤ラッシュの激化、働く時間が長くなったという指摘もあり、国民の評判はよくなかった。このため、昭和27年に廃止されている。

 アジアでサマータイムを導入している国はない。韓国は1987年、ソウルオリンピックを契機に欧米と歩調を合わせようと導入したが、1989年に廃止した。中国も1989〜1992年に導入した。国土が東西に広いにもかかわらず標準時間が統一されているため、地域によってはサマータイム導入で「朝なのに真っ暗」といった不都合が生じ、廃止された。

 世界がサマータイムを導入する理由
 サマータイムは1916年にイギリスやスウェーデンなど欧州の6か国で始まった。当時は第1次世界大戦の最中で、戦争に必要な燃料を少しでも多く確保するため、夜の照明に使う燃料を減らそうとした。

 導入済みの国で指摘されている効果としては、「省エネルギー」(アイルランド、米国など)、「労働生産性の向上」(イラン、スロベニア)などがある。ほかに「交通事故・犯罪の防止・減少」(カナダ、チリなど)を挙げる国もある。

 また、「他国の制度と調和することで、経済的な結びつきが強まる」(ウクライナ、ルーマニアなど)との声も根強い。欧州で、日本と同程度の緯度に位置する国々にも導入事例が多いのは、経済活動の際に利便性が高いとの理由が大きいようだ。

 北海道ではサマータイムを実験的に取り入れている所もある。その結果、働く時間が長くなったという意見がある。日本全体では2007年以降、景気低迷の長期化でエネルギー消費量が減っているために、「省エネ」の効果が出にくくなっているとの理由から、導入の時期については未定である。

 省エネルギーは幻想?
 シアトルにあるワシントン大学の環境経済学者ヘンドリック・ウルフ氏は自身の研究で、夏時間と省エネは結びつかないと示唆する多数の証拠を挙げている。むしろエネルギー消費量を増やしているかもしれない地域さえあるという。

 ウルフ氏はオーストラリアの電力に関する共同研究で、2000年のシドニー五輪の時期を対象にエネルギーの使用量を比較した。当時、一部の地域では五輪に合わせて夏時間を延長していた。

 研究の結果、「われわれは省エネルギーの仮説を否定した」とウルフ氏は言い切る。同氏によれば、夕方が明るくなって電力の使用量は減ったが、その分、朝が暗くなって電力需要が増え、減少した分が帳消しになったという。

 省エネについての結論はまだ出ていない。少なくとも一部の地域では、夏時間がエネルギーの節約につながるという研究結果も出ている。

 健康を促進?
 夏時間の通年化が一部の支持を得ている理由は、エネルギーの節約と観光業の活性化だけではない。健康上の利点を指摘する者もいる。人々が活発に動き回る時期が増えると予想されるためだ。

 一方、反対派には農業従事者が含まれる。動物や植物にとって時刻の変更は何も関係がない。農作業の多くは太陽の動きに合わせて行われており、早朝の貴重な作業時間が失われてしまう。

 健康上の利点についても評価は容易ではない。ドイツにあるルートビヒ・マクシミリアン大学ミュンヘンで時間生物学の研究をするティル・ローネバーグ(Till Roenneberg)氏は、24時間周期の体内時計は明暗によって設定されており、明るい時間を朝から夕方に移動させても適応できないという研究結果が出ていると話す。同氏によれば、夕方に明るい時間が増えると疲れがたまったり、病気にかかりやすくなったりするだけだという。

 夏時間の賛成派も反対派も、ある点では意見が一致している。年に2度時計を動かすという現在のやり方は不便で、かなり不自然な調整を強いられるということだ。(Brian Handwerk for National Geographic News November 7, 2011)

参考HP Wikipedia サマータイム National Geographic news 夏時間はいいことずくめ? 

これが正しい温暖化対策
クリエーター情報なし
エネルギーフォーラム
地域資源を活かす温暖化対策―自立する地域をめざして
和田武,新川達郎,田浦健朗,平岡俊一,豊田陽介,伊与田昌慶
学芸出版社

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