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洗剤中のアミン類が、下水処理場のクロラミンで発癌性物質に?

2010年05月31日 | 化学
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 発癌性物質ニトロソアミン
 安全なはずのシャンプーが、発癌(がん)性物質の生成につながる恐れがあることが新たな研究で明らかになった。

 アメリカの下水処理場で調査したところ、シャンプーをはじめとする家庭用製品が浄水処理過程で使用される消毒剤と反応して、ニトロソアミンという発癌性物質を生成することがわかった。ニトロソアミンはほとんど研究が進んでおらず、この物質が回り回って水道水に混入することもあり得るという。

 今回の研究でイェール大学チームは、ニトロソアミン類のN-ニトロソジメチルアミン(NDMA)に注目した。アメリカ環境保護庁(EPA)はNDMAを“ヒトに対しておそらく発癌性がある(Probable human Carcinogen)”化学物質に分類している。

 アメリカの下水処理場で一般的に使用されている消毒剤クロラミン(塩素とアンモニアの化合物)と、家庭用洗剤の化学物質が反応した際に、少量のニトロソアミンが生じる。クロラミンは、最近、アメリカの水道水に用いられるようになった物質である。従来の塩素消毒で生成されるトリハロメタンなどの有害物質が問題になり、EPAが基準を定めて以来、下水処理にも利用されている。

 まだ結論は出ていないが、「新たな問題が浮上したことは確かだ。それも深刻化している。クロラミンによるものだ」と、マサチューセッツ大学アマースト校の環境工学者デイビッド・レックハウ氏は今回の研究を聞いて指摘する。

 ニトロソアミンの発生源
 ニトロソアミンの発生源は加工肉製品やたばこの煙など多岐にわたるが、水道水に含まれるニトロソアミン誘引物質については長年謎だった。

 しかし、これまでの化粧品の研究から、第四級アミンという物質がニトロソアミン生成の一因である可能性が示唆されていた。家庭用洗剤にも含まれている化合物である。

 ニトロソアミンのさらなる発生源を探すため、研究チームはコネチカット州の下水処理場3カ所で、処理水に含まれる第四級アミンとニトロソアミンを測定し、クロラミンによる処理前後の相対量を解析した。

 また、家庭用製品から無作為に4製品(シャンプー2種類、食器用洗剤、洗濯用洗剤)を選び、ニトロソアミン生成を誘引する化学物質を含んでいるかを調べた。調査対象製品は、米ユニリーバ社製のシャンプー“Suave”(スアーブ)とP&G社製のシャンプー“Pantene”(パンテーン)、同社製の食器用洗剤“DAWN”(ドーン)、洗濯用洗剤“Cheer”(チアー)である。

 第4級アミン類
 調査の結果、ニトロソアミン類の一種NDMAを生成する第四級アミンは、さまざまな製品に大量に使われているため、処理過程で完全に除去されるわけではないことがわかった。

 例えば、下水処理場の1施設あたり80%の住民が調査対象のシャンプー“Suave”を毎日一定量使用すると、処理水に最大3%のニトロソアミンが含まれることになるという。食器用洗剤“DAWN”の場合は“Suave”の約36倍のNDMAを生成する。「Environmental Science & Technology」誌1月19日号に掲載されている。

 洗濯用洗剤“Cheer”やシャンプー“Pantene”など一部の製品では確認されなかった。この結果は暫定的なもので、ニトロソアミンを生成する家庭用製品を特定するものではない。

 今回の研究に携わったイェール大学の化学工学者ウィリアム・ミッチ氏は、第四級アミンは処理課程で除去される場合と、生物学的変化を生じて第三級アミンになるものがあると指摘する。第三級アミンはニトロソアミンをさらに多く発生させる物質である。

 「問題はこれらの誘引物質の多くが高分子の有機化合物(ポリマー)であることだ。現在の分析方法ではポリマー濃度の測定には限界があるため、確かなことがわからない」と同氏は言う。ポリマーは基本となる単純な構成単位が繰り返し結合してできた鎖状の分子である。

 「だからこの点でも今回の結果は忠告にすぎない。ポリマーの第四級アミンを測定して関連性を示すことはできないからね」。 (National Geographic News May 3, 2010)
 
 アミン類とは何か?
 洗剤やシャンプーに含まれているアミン類が下水処理場で普通に使われる、消毒剤クロラミンと反応して、発がん性物質、ニトロソアミンを生成するとは驚きである。

 アミン類とは何だろう? 

 アンモニアの水素原子を炭化水素基で1つ以上置換した化合物の総称である。置換した数が1つであれば第一級アミン、2つであれば第二級アミン、3つであれば第三級アミンという。また、アルキル基が第三級アミンに結合して第四級アンモニウムイオンとなる。一方アンモニアもアミンに属する。

 こうしたアミン類は何に使われるのだろう?

 2級アミンである、DEA(ジエタノ-ルアミン)や3級アミンである、TEA(トリエタノールアミン)に合成され、さまざまな化粧品・洗剤などのの製造時にpH調整剤として使用されている。例えば、スキンローション、アイジェル、モイスチャー、シャンプー、シェービングクリーム等である。

 クロラミンとは何か?
 それでは、消毒剤クロラミンとはなんだろう?

 クロラミン (chloramine) または窒素上に塩素原子を持つ窒素化合物である。 アンモニアの水素原子を塩素原子で置き換えた化合物にはモノクロラミン(クロロアザン、NH2Cl)、ジクロラミン(ジクロロアザン、NHCl2)、トリクロラミン(塩化窒素、NCl3)の3種があり、単にクロラミンといった場合は普通モノクロラミンのことを指す。

 ジクロラミンは不安定な化合物であり、単離することができない。化合物群の呼称のクロラミン、モノクロラミン等は慣用名の無機化合物に対する呼称であり、~アミンとつづられるが狭義には有機化合物のアミン類を含まない。

 低濃度のモノクロラミンは塩素の代用として水道水の消毒に用いられる。塩素よりも安定で消費者のもとに届くまで消散することがない等の利点から、モノクロラミンの使用は増加しつつある。比較的無害な炭化水素であるメタンなどの有機化合物の存在下でもクロロホルムや四塩化炭素などのハロメタン類を生成させず、塩素のように不快な悪臭を生じさせないので水道水の味が良くなるとされる。

 観賞魚などを飼育する場合、モノクロラミンは魚に有毒なので水道水から取り除かねばならない。 塩素は数日間放置することによって揮発するが、モノクロラミンは揮発性が少なく、より安定なため、観賞魚店などで手に入るチオ硫酸ナトリウムなどの薬剤で除去しなければならない。

 ニトロソアミンとは何か?
 次に発がん性物質、ニトロソアミンとは何だろう?

 ニトロソアミン (nitrosoamine、nitrosamine) とはアミンの誘導体のうち、アミン窒素上の水素がニトロソ基に置き換わった構造をもつ化合物群のこと。中には発がん性などの生理活性が知られる物質がある。

 ニトロソ基は -N=O という構造を持つ基であり、この基を持つ有機化合物をニトロソ化合物(nitroso compound)という。ニトロソ化合物は R−N=O 構造を有する有機化合物である。

 ニトロソ化合物には発癌性をもつものがある。中華人民共和国河南省安陽市、林県、広東省汕頭市周辺には食道癌や胃癌の患者が多いが、この地域の漬物などの食品中に含まれるニトロソアミンなどのニトロソ化合物が影響しているともいわれる。

 また、魚介類に多く含まれるジメチルアミンが、ハム、ソーセージなどの発色剤、保存料として使用される亜硝酸ナトリウム等と化合して発癌性のあるニトロソジメチルアミンとなることも指摘されている。

 シャンプーの問題成分
 シャンプーや洗剤などにそんな危険な物質がひそんでいるとは知らなかった。さて、シャンプーや洗剤の成分は何だろう?

 水を基材に、ラウレス硫酸ナトリウムといった洗浄剤、増泡剤、保湿剤、キレート剤、香料、防腐剤が成分である。

 これらの成分のうち、他に問題な成分ないのだろうか?

 シャンプーで避けたほうがよい成分に、ラウリル硫酸Na、ラウリル硫酸カリウムなど、「ラウリル」と「硫酸」がつく成分がある。石油系合成界面活性剤のひとつで、表示指定成分である。また、同じ石油系のラウレス系(ラウレス硫酸Na、ラウレス硫酸TEAなど)の界面活性剤が、成分表示の上のほうに来るものも避けたほうがよい。

 なぜ避けたほうがよいのかというと、これらの界面活性剤は、洗浄力が強すぎるため、頭皮や髪そのものに必要な脂質まで取り過ぎてしまうから。皮膚に残りやすく、毛根などに悪影響をおよぼすこともある。パーマやカラーのくり返しなどで傷んでいる現代人の髪は、髪を守っているキューティクルがはがれたり、ささくれたりしているので、髪の内部の栄養が抜けやすくなっている。そこに洗浄力の強いシャンプーを使うと、シャンプーするたびに髪の傷みが激しくなることになる。

 しかしこれらの成分は、市販のほとんどのものに含まれている。洗浄力が高くて泡立ちやすく、原料が安価で大量生産が可能であるため、価格競争の激しい市販品で使われることが多いのだ。主成分がよくないと、どれだけツバキ油やホホバオイルといった髪によい成分を配合しても、洗浄成分の影響力が強すぎるために、効果はマイナスになってしまう。

 シャンプーのおすすめ成分
 ではどんな成分のシャンプーがよいのだろうの?

 アミノ酸系、ベタイン系など、両性界面活性剤をつかったシャンプーがおすすめ。例えば、「ココイル加水分解コラーゲンK」など、さまざまな成分があり、どんどん進化していくので、よい成分を列挙して覚えておくより、「避けたほうがよい成分」を覚えて、消去法で選ぶほうが楽。美容室でおすすめされるシャンプーは、このタイプが多い。

 これらの成分が主成分になっているシャンプーを、両性系とか、アミノ酸系、ベタイン系とよびます。洗浄力が優しいため、髪の汚れは落としてくれますが、必要以上に髪の成分を流出させない。また、汚れを落としながら、髪の栄養となるたんぱく質の成分を髪にくっつける効果があるので、洗浄と一緒に、傷んだ髪を修復することができる。傷んだ髪にはトリートメントと考える人がほとんどですが、よいシャンプーは、泡立てて放置すれば、栄養補給もできる。

 

参考HP Wikipedia「アミン」「クロラミン」「ニトロソアミン」 「ラウリル硫酸ナトリウム」・正しいシャンプーの選び方「成分表示

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トキの自然繁殖今年は断念 中国は成功!原因は天敵や低温?

2010年05月30日 | 環境保護
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 放鳥トキ、今年の自然繁殖断念
 今年のトキの自然繁殖は残念ながら失敗に終わったようだ。日本のトキの放鳥は、2008年に10羽、2009年に20羽、佐渡で放鳥された。その中の何組かがつがいとなり、巣を作り産卵や抱卵が観察されたが、ヒナがかえることはなかった。

 一方、5月24日の新華社電によると、中国陝西省政府は、同省寧陝県で野生復帰を目指して放鳥されたトキの卵が22日、ふ化して2羽のひなが生まれたことを明らかにした。

 中国で2007年以降3回にわたって放鳥された計40羽から、野外での繁殖が確認されたのは初めて。同省自然保護区・野生動物管理所の責任者は「2代目のひなが野外で誕生したことは、トキが絶滅の危機を脱したことを示唆している」と話している。

 誕生した2羽の父親は同県内で生まれた野生のトキ、母親は人工繁殖後に放鳥されたトキ。このペアのほか、6組のペアも産んだ卵を温めているという。(5月24日 時事通信)

 トキ野生復帰への道 
 さて、今年のトキ野生復帰への取り組みをたどってみよう。

 2010年3月11日、日本では2010年秋の第3回放鳥に向けて訓練のため、トキを入れていた順化ケージ内でトキ9羽が死んでいたことが発見された。日本の野生繁殖に暗雲が立ちこめた。

 環境省はケージ内の足跡から、トキを襲ったのはイタチ科のテンと判明したと発表した。テンがどこから侵入したのかは不明で、同省は同日朝から現地調査を始めた。専門家を集めて今後の対策も検討するが、原因が判明しない限りトキの訓練は当面見合わせる考え。今秋の放鳥が見送られる可能性も出てきた。

 原因究明に相当な時間がかかるとみられ、トキの放鳥前の訓練に十分な期間が取れない上、死んだ9羽に代わるトキを、限られた個体から再選定する必要があるためだ。

 仮に中止になれば、国の保護増殖計画も見直しを迫られる。環境省は人工繁殖したトキを2008年から2回、計30羽放鳥。26羽の生存が確認され、今秋の21羽の放鳥が加わることで、来春に初のペア誕生を目指していたが、その可能性は低くなる。(2010年3月11日 読売新聞)

 放鳥トキ初の産卵、自然界で31年ぶり
 一方、うれしい報告もあった。環境省は3月29日、新潟県佐渡市で放鳥され、巣を作ったトキのペア1組が産卵したことを発表した。

 3歳の雄と1歳の雌のうち必ずどちらか1羽が巣に残って座り込む様子が観察されており、卵を温める「抱卵」とみられるという。産卵は、自然界のトキとしては31年ぶりのことであった。

 これまで巣作りが確認された放鳥トキは計3組。佐渡トキ保護センターの飼育記録などによると、トキの雌は1日おきに4個ほどの卵を産むという。(2010年3月29日  読売新聞) 

 トキの赤ちゃん誕生、いしかわ動物園
 さらに、佐渡トキ保護センター(新潟県佐渡市)から移送され、石川県能美市の「いしかわ動物園」で分散飼育されているトキのつがいが産んだ卵から、3月25日にひながかえった。飼育員から馬肉やコマツナを混ぜた人工飼料を注射器で少しずつ与えられ、元気に鳴き声を上げた。

 同動物園によると、26日、27日にもひながかえり、合計3羽になった。ひながかえったのは8歳雄と6歳雌のペア、他に5歳雄と3歳雌のペアもおり、こちらの方も3個が有精卵でひながかえりそうだという。

 同動物園は3月29日から、午前11時半と午後2時半の2回、園内の動物学習センターに設置された大型モニターで給餌風景のライブ映像の公開を始めた。(2010.4.28 産経ニュース)

 難しい野生のふ化 専門家「一歩前進」
 一方、野生のつがいの方は今年6組ペアができて営巣した。産卵したのは4組みであったが、いずれも、ペアが留守の間に、カラスに襲われたり、無精卵だったりしてかえることはなかった。今年は天候が不順で低温のため、成長が止まった可能性もある。野生の繁殖がいかに難しいかがわかるが、専門家は「想定された事態」と受け止める。

 トキは通常、一つの巣に3~4個の卵を産み雄と雌が交代で卵を温め、約28日でひながかえる。佐渡トキ保護センターの集計では、2007~2009年に飼育下で産卵した288個のうち有精卵は146個で、さらにふ化するのは半数余りにとどまる。

 中国のトキ保護に詳しい環境文化創造研究所(東京)の蘇雲山・主席研究員によると、中国で1981年から20年間に野生下で巣立ちしたのは1巣当たり1.87羽だった。人工飼育後に放鳥した場合では1.57羽と野生より低かった。

 野生復帰を目指して放鳥されたコウノトリも初年度は産卵のみで、ひながかえったのは2年目だった。山階鳥類研究所の尾崎清明副所長は「卵に異常を感じて捨てたのだろう。ひながかえる直前まで抱卵できたのは一歩前進だ」と話す。(毎日新聞 2010年4月29日)

 

参考HP トキファンクラブ・環境省「トキ保護の取り組み

蘇るコウノトリ―野生復帰から地域再生へ
菊地 直樹
東京大学出版会

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トキ永遠なる飛翔―野生絶滅から生態・人工増殖までのすべて (ニュートンムック)
近辻 宏帰
ニュートンプレス

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不思議?から科学は始まる!「70年飲食していない男」の考察

2010年05月29日 | 環境問題
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 「70年飲食していない男」のその後
 インドの研究機関で検査をされていた「70年間何も飲み食いしていないと主張する男性」が、15日間の検査入院を経て退院した。当初、主張の真相は疑われていたのだが、検査期間中一切飲み食いをしなかったことが実証され、関係者らは驚きを露(あらわ)にしている。

 4月22日(現地時間)、インドのアーマダバードの病院で、防衛研究開発機構により検査されていた、プララド・ジャニさん(82歳)。彼はこの70年間、飲まず食わずで健康に過ごして来たと言う。その主張が正しいものであるかを確かめるために、検査入院していた。30名の職員と監視カメラにより、24時間体制でジャニさんは監視されていた。

 彼には一切の食事が与えられていない。また、水に接触する機会も、「うがい」と「入浴」だけであった。トイレには1度も行っていない。そのような状態でありながら、ジャニさんは健康そのもの。心臓・肺などの臓器、脳波・血圧などの診断が行われたが、全く異常が見られなかった。さらに、驚くべきことにジャニさんの健康状態は、40代の男性程度に健全であると分かった。

 しかし、15日間の検査報告に関して、疑いを持つ声もある。実は今回、別の監視グループを院内に入れるように、申し出ていた医師がいた。インドではたびたび『神秘的な力』の科学立証が行われているが、でっち上げの報告もたびたび起こっている。検査がインチキかどうか確かめるために、医師は監視グループを参加させるように再三にわたって訴えていた。しかし、申し出は最後まで認められなかった。頑な(かたくな)に監視が拒否されたため、2週間の不食はウソだったと言うのだ。

 この異論に対して、15日間見守り続けた医師らは、「インチキと言われているが、インチキ以上の神秘がジャニさんにはある」と語っている。2週間の不食の真偽について、今後も議論が続きそうだ。(ロケットニュース24 2010/05/11)

 不思議こそ科学の始まり
 何とも不思議な話だが、科学的に考えるととても真実とは思えない。仮にそれが真実だったとしても、一般の人にはあてはまらないことなので、あまり役には立たない。ただ、世の中には現代科学で証明できない謎があるのは確かである。だからこそ、謎を解くために科学は存在し続ける。

 もし、何も食べずに生きていくことができるのなら、現在飢えている8億人の食糧問題は一挙に解決する。また、人類が計画している火星旅行では往復520日間かかるという。その間の食糧の問題も解決、長期宇宙計画が可能になる。

 また、遺伝子で生物のからだはできているから、将来、遺伝子組み換えにより、食べずに生きる遺伝子を持つ動物など、新たな生物が造られる可能性もある。ここでは、単に可能性を否定するだけでなく、あらゆる可能性を考えてみたい。

 独立栄養生物、従属栄養生物
「現在、地球に存在している生物は大別して二種類に分けることができる。それは独立栄養生物、そして従属栄養生物である。植物の多くは独立栄養生物だが、それらは太陽や空気といった無機物から栄養を生産し、光合成というプロセスを経てエネルギーを得ることが出来る。

 そしてもう一方、人間を含む動物の大半は従属栄養生物に属しているが、これは他の生物から栄養を摂取して生きているわけだ。従って、何も食べない「不食」を実行している人々は、人間というよりは植物に近い存在であるといえる。

 プララド・ジャニさんも何も飲まず食わず...だとしても、水を浴びたり、太陽の光は浴びているはずだから、光合成している可能性はあるのではないだろうか?

 チューブワーム
 海洋科学の分野で20世紀最大の発見は、1938年の生きたシーラカンスの発見、そして1977年の熱水噴出孔と化学合成生物群集の発見だ。チューブワームという生物は、熱水噴出孔周りの生物社会では重要な位置にある。チューブワームは寄生生物のように養分を直接体組織に吸収する。チューブワームには口も消化管もなく、バクテリアを体内に寄生させる。チューブワームの体組織1gあたり1000万のバクテリアが寄生しているという。

 チューブワームは先端の赤い冠毛状の部分で硫化水素・酸素・二酸化炭素などを取り込み、特殊なヘモグロビンと結合させて、ワームと共生するバクテリアに供給する。その代償にこのバクテリア(イオウ酸化微生物)は有機化合物を合成してワームに供給する。深海には光はないので、この合成は光合成ではなく、化学合成という。

 チューブワームが体内にバクテリアを寄生させているように、人もバクテリアを腸に寄生させている。通常、人の腸内バクテリアは、食事後余った養分を食べて消化を助けるはたらきをする。このとき、もし化学合成を行うバクテリアがいたら不食でも生きていけないだろうか?

 バクテリアとの共生
 近年の栄養学によれば、人体に必須とされるB12ビタミンは動物性食物の中にのみ存在していることが確認されている。従って、菜食主義は人間にとって本来は不適切な状態であると言えるはずなのである。しかしまた最近行われた報告によれば、そうした事実にも関わらず、菜食主義を実践している人々の身体から十分なB12ビタミンが存在していることが発見されている。

 この結果は研究者らを悩ませたが、更なる研究の結果、それらのビタミンは腸内のマイクロフローラ(常在細菌群)の活動によって合成されていることが明らかになりつつあるという。また更に別の研究では、人間の腸は、アミノ酸を合成する微生物を増やすことが可能であるという新たな事実も報告されている。

 そういえばタンパク質を摂取しない牛や馬はどうやって自らの体をつくっていいるのかという問題があった。草食動物には胃がいくつもあり、その中で微生物を繁殖させている。これら微生物のつくるタンパク質が、重要なタンパク源になっていることが分かっている。

 世界中にいる?不食を実行している人達
 「彼は毎朝必ず太陽をまばたきせずに一時間ほど凝視するの。それが彼の主食なのよ。たまにコーヒー、お茶とか水分を取りながらね。」と話すのは、彼の妻Vimlaさん。

 インドのケララ南部に在住する日光研究者兼機械エンジニアのヒラ・ラタン・マネクさんは、1992年から断食を開始し、1995年にヒマラヤに巡礼に出かけた帰り道から不食をスタートさせて、現在でもほとんど何も食べない生活を続けている。

 マネク氏によれば、本来人間が食物から得るべきエネルギーを、日光から直接摂取しているという。そして現在、氏のこうした能力は科学者らによって"HRM現象"と名づけられ、研究が行われている。

 日光から得られるエネルギーがマネク氏から心身の疾病を遠ざけ、幸福と活力を与えているという。この方法では、意識的な断食・不食・微食をするのではなく、日光によって空腹感が遠ざけられ、結果的に不食を行う形になるという。このことは、マネク氏のホームページSolar Healing Center でも紹介されている。(不食微食やってみるブログより)

 何とも不思議な話だが、粗食は長生きの秘訣という研究結果もある。今後も食を科学的に探求することが、人にとって大切なことに疑う余地はない。

 

人は食べなくても生きられる
山田 鷹夫
三五館

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なぜ「粗食」が体にいいのか―「食生活」ここだけは変えなさい! (知的生きかた文庫)
帯津 良一,幕内 秀夫
三笠書房

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国難迫る!すべてはこの国の存続が優先、一致団結せよ日本!

2010年05月28日 | 環境問題
科学大好き!アイラブサイエンス!最近気になる科学情報を、くわしく調べやさしく解説!毎日5分!読むだけで、みるみる科学がわかる!
 北朝鮮魚雷問題の影に
 日本をめぐる国際情勢が混沌としている。特に北朝鮮魚雷問題で朝鮮半島では緊張が続いている。この事件では46名の韓国将兵が亡くなった。韓国は今度、北朝鮮の挑発行為があれば即刻、報復することを明言している。米国や日本などは韓国への支持を表明した。

 韓国は中国へも援助を直接求めているが、中国がとても韓国を支持するとは思えない。中国の共産党機関誌では北朝鮮は、中国のお荷物であるなどと批判を述べている。それを真に受け、日本のマスコミも「中国も困っている」などと報道しているが、中国の言うことを鵜呑みにしてはいけないと思う。

 中国は中国共産党一党独裁の国であり、自由な発言ができないことは、Googleが撤退したことからもあきらかだ。たしかに経済は自由化したが、表現・思想の自由がない国である。もし、中国が民主主義の国になって、投票で代表者を選び、政治に参加させる議会制民主主義などになれば話は別だが、現状は一党独裁である。

 日本も一党独裁の国だった
 一党独裁の何が悪いか?それは、反対者はことごとく粛正されることだ。自由のなくなることだ。日本では「貧富の差が激しい」などといわれているが、現在の中国は日本の比ではない。中国国内では毎年何百という、暴動が発生している。

 同じ独裁国家である北朝鮮が今なくなれば、中国のまわりは民主主義の国ばかりになる。中国としては、そんな状態は絶対に避けたい。従って、この問題では、国連安保理の北朝鮮の制裁決議に拒否権を発動する。

 私は中国国民のすべてが悪いとは思っていない。訪問すれば情に厚い親切な人達が多い。問題なのは政治的指導体制だけである。これは、かつての日本もそうだったからよく分かるのだ。太平洋戦争が始まる直前の日本は軍閥が力を持ち、反対意見を自由に述べることはできなかった。反対意見を述べようものなら粛正された。

 そして軍事費だけが増えていき、日本はついに戦争へ突入した。今中国では同様のことが起きている。毎年増え続ける軍事費、空母艦隊を建設している中国が、太平洋を制圧しようとしているのはあきらかだ。

 日本の安全保障こそ最優先
 もちろん、中国一般国民はそんなことは考えてもいない。独裁体制が国内の矛盾を拡大化政策に駆り立てるのである。もし太平洋を制圧されたら、いつでも海上封鎖できる。これにより、日本の中東からの石油供給はストップする。となればいつでも日本を植民地化できるのである。

 今回、ようやく鳩山首相は日米共同声明を発表後、普天間基地辺野古移設案を閣議決定した。今朝の朝日新聞ではそれが一面に掲載された。これに対し沖縄の住民の怒りの記事は三面であった。これが逆でなくてよかった。日本のマスコミもまだ何が大切か分かっているようだ。ようやく混迷した米軍基地移設問題も方向性が見えてきたが、予断は許さない。

 心配なのは国民が平和ボケしており、お笑い番組などに洗脳されて、安易な発想しかできないことであるが、その番組やニュースを提供する、マスコミも同様なのかという問題があった。しかし、まだ何が大切かわかっているようだ。そう「国」が最優先なのだ、国がなければマスコミもないし、お笑い番組もない。学校もないし、これまでの楽しかった日常もないのである。

 日本の繁栄・発展を誇れる国へ
 私としても科学技術が好きであり、科学技術でこの国に貢献したいと考えている。戦争なんか始まったら、体力に自身のない私は緊張感だけで、真っ先に腹が痛くなって死ぬであろう。だが、その科学技術も国がなかったら何もないのだ。どうか国民の皆さんそこを分かってほしい。中国の大半の人達は、南京大虐殺があったにもかかわらず、日本に敵対意識を持っていない。

 その証拠に、日本の繁栄の象徴である銀座に訪れる、中国富裕層は年々増えている。日本が憧れの地だからである。しかし、中国の政治的指導部はまだ野心を捨てていない。軍事費を増加させ、国内の矛盾をどうするか模索中だ。

 ですからみなさん、中国に民主主義が始まるまでが目標です。この国の未来を考え、一致団結して安全を確立し、今一度、繁栄発展させていこうではありませんか?世界に誇れる国にしていこうではありませんか?

 日本は議会制民主主義の国です。国の安全保障のために、必要な政党に投票することができます。ぜひ、次期参議院選挙のときには、もっとも適切な安全保障を考えている、幸福実現党に投票しましょう。


 関連するニュース
 鳩山首相、福島担当相を罷免-普天間、辺野古移設を決定


 政府は5月28日夜、首相官邸で臨時閣議を開き、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の代替施設を「名護市辺野古」周辺に移設する対処方針を決定した。鳩山由紀夫首相は、閣議での署名を拒否した福島瑞穂消費者・少子化担当相(社民党党首)を罷免。

 首相は記者会見で、公約の「5月末決着」が果たせなかったことを陳謝しながらも、続投を表明した。一方、社民党は連立政権から離脱する方針を固めた。これにより政権基盤が弱体化し、夏の参院選にも大きく影響するのは必至だ。

 首相は臨時閣議後の会見で、「沖縄県民の理解を得られなかった。福島担当相を罷免せざるを得ない事態に至り、誠に申し訳ない」と陳謝。一方で「今後も命懸けで取り組む」と言明し、混乱を招いた責任を取り辞任する考えがないことを強調した。(時事通信 2010/05/29)

 

参考 書籍 危機に立つ日本 民主党亡国論 幸福実現党宣言

暴走国家・北朝鮮の狙い
李 英和
PHP研究所

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そうだったのか! 中国
池上 彰
ホーム社

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何とブルーレイの200倍!高密度記録媒体「5酸化3チタン」発見!

2010年05月27日 | 化学

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 新素材「5酸化3チタン」 
 先日、東京工業大学応用セラミックス研究所の北野政明・特任助教、原亨和・教授らは酸化チタンを筒の内径が約5ナノ(10億分の1)メートルサイズのナノチューブ状にすることで、触媒機能を大幅に向上できることを発見した。

 今回、新しい酸化チタンの性質が発見された。東京大学の大越慎一教授(物性化学)は、DVDやブルーレイよりも、格安で大量生産でき、記録密度もはるかに高い、酸化チタン「5酸化3チタン」を発見した。次世代の光記録材料として注目されている。

 この「5酸化3チタン」は、光を当てるだけで電気を通しやすい状態と通しにくい状態を行ったり来たりする金属酸化物を、大越慎一・東京大教授(物性化学)らのチームが発見した。光を使って情報を記録するDVDやブルーレイディスクの材料に比べ、格安で大量生産でき、記録密度もはるかに高いという。23日付の科学誌「ネイチャー・ケミストリー」(電子版)に掲載された。

 大越教授らは、おしろいの原料や光触媒として広く使われている酸化チタン類に着目。チタン原子3個と酸素原子5個が結合した「五酸化三チタン」のナノ結晶(粒径8~20ナノメートル、ナノは10億分の1)を作り、性質を調べた。

 この結晶は、電気を通しやすい黒色の粒子で、紫外線-近赤外線に相当する波長のレーザー光を当てたところ、結晶構造が変化し、電気を通しにくい半導体的な性質に変わった。その逆の変化が起きることも確かめた。最も一般的な「二酸化チタン」のナノ粒子を、炉内に水素を吹き込みながら加熱することで、この結晶を簡単に作る方法も開発した。

 DVDやブルーレイディスクには、ゲルマニウムなどレアメタル(希少金属)の合金が使われている。今回発見した金属酸化物は、価格が約100分の1で安全性も高い。光記録材料として使えば、ほぼ同じ強さの光でブルーレイディスクの約200倍の情報を記録できるという。

 大越教授は「今後、実用化に向けて企業と共同研究していきたい」と話している。(毎日新聞 2010年5月24日)

 光でON-OFFする金属酸化物
 光相転移材料(および光相変化材料)の研究は、学術的にも産業的にも重要な課題の一つである。現在市場で使用されているDVDやブルーレイディスクなどには、光相変化材料として、カルコゲン(例:ゲルマニウム・アンチモン・テルル:GeSbTe)などが用いられているが、高価で希少な元素から成るという弱点がある。

 今回、大越教授らは、界面活性剤を用いた化学的ナノ微粒子合成法により新種の金属酸化物(ラムダ型五酸化三チタン:λ-Ti3O5)(以下、ラムダ型酸化チタンと称す)の合成に成功した。このラムダ型酸化チタンは、金属的な性質を示す黒色の物質で、室温で緑色レーザー光(波長=532 nm)あるいは紫外線レーザー光(355 nm)を照射すると、ラムダ型からベータ型五酸化三チタン(β-Ti3O5)へと光相転移を示す。

 一方、青色レーザー光 (波長410 nm)を照射すると、逆相転移を起こしてラムダ型に戻る。また、この光相転移は、ある条件下での1種類のパルスレーザー光を繰り返して照射するだけでも、λ相→β相→λ相→β相→∙∙∙と繰り返し相転移することが可能である。

 観測されたラムダ型酸化チタンの光誘起金属-半導体転移は、エネルギー的に準安定な状態にあるλ-Ti3O5と隠れた真の安定相であるβ-Ti3O5との間の光による相転移現象に起因することが熱力学的理論計算より明らかとなった(図3)。

 本物質は、現在使用されているDVDやブルーレイなどの光記録メディアにおける実用的な光書き込み動作条件(動作温度、短波長光によるデータの書き込み、適切なレーザー強度閾値)を満たしている。

 また、10 nm程度の微結晶を大量にかつ安価に合成することが可能であり、次世代高密度記録材料に有望であると期待される。加えて、別の合成方法として、光触媒として用いられているアナターゼ型TiO2ナノ粒子を水素気流下で焼成するだけでも、このλ-Ti3O5を得られることがわかっている。(東京大学プレスリリース 2010.5.24)

 記録媒体とは何か?
 フロッピーディスクやCD、MD、MO、DVD、BD、フラッシュメモリなど、データを記録しておくためのしくみを記録媒体という。磁気的、または光学的に記憶を行なうものが主流であるため、薄い円盤(ディスク)状のものが多い。

 このうち光記憶媒体とは、MD、MOなどの光磁気ディスク、CD、DVD、BDなどの光ディスクのことをいう。光記憶媒体は、どんな仕組みになっているのだろう?

 光磁気ディスク
 書き込みにはレーザ光と磁気、読み込みには磁気を使用する。光磁気ディスクでは、200℃になると外部の磁気の影響を受けやすくなる材料が使われており、書き込みではまずレーザ光で記録膜の温度を200℃まで上げ、磁気の影響を受けやすくする。

 次に磁石を使い、磁性体の向きを変えデータを書き込むす。読み取りでは弱いレーザ光を当て、磁化方向により反射光の波の振動方法が変わる性質を利用し、磁性体の向きの変わったデータを読み取る。  
 
 光ディスク
 書き込み、読み込み共にレーザ光を使用する。光ディスクは層で出来ており、このうちの記録層にデータを記録するためのピット(くぼみ)が刻み込まれる。このピットとランド(平面)にレーザ光を照射し、その反射した光の量により、記憶データを検知する。

 記録する方法には、有機色素の記録膜にレーザ光を当て熱し、化学変化を起こしピットを刻む方法と、有機色素の代わりに相変化という物質を使用し、当てるレーザ光を制御することにより結晶状態と非結晶状態を作りだし、ピットを刻む相変化記録方式がある。

 

参考HP Wikipedia「酸化チタン」「記録媒体」 ・東京大学プレスリリース「光でON-OFFする金属酸化物を発見!

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酸化チタンとは何か?「チタニアナノチューブ」で高効率触媒効果!

2010年05月26日 | 化学
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 酸化チタンの触媒効果 
 酸化チタンとは何だろう?酸化チタンは、白色の絵の具や殺菌効果などを利用した化粧品や食品添加物、日焼けどめなど幅広い用途を持つ物質である。有名なのは「光触媒」とも言われるように、化学反応を促進する「触媒」の機能を持つことが知られている。例えば東京ドームの屋根などに使われていて、有機物などの汚れは、光があれば分解するはたらきがある。

 ただし、化学工業で広く用いることができるほど触媒能力は高くなかった。東京工業大学応用セラミックス研究所の北野政明・特任助教、原亨和・教授らは酸化チタンを筒の内径が約5ナノ(10億分の1)メートルサイズのナノチューブ状にすることで、触媒機能を大幅に向上できることを発見した。

 さらに重要な特徴は室温でも触媒として十分な機能を持つことで、燃料や樹脂,医薬品,洗剤などさまざまな化学品を合成する際に用いられるフリーデルクラフツアルキル化反応で実際に確かめたところ、従来の触媒は100℃の熱を加えなければならないのに対し、室温で働き、効率も3倍以上高まることが分かった。

 酸化チタンは地球上に豊富にあり、ナノチューブ状の酸化チタンはアルカリ水溶液中で加熱するという簡単な方法で合成できる。より高性能の酸化チタン・ナノチューブ触媒を開発することで、化学品生産に要するエネルギー使用量と二酸化炭素(CO2)の排出量を3分の1以下に削減できる、と研究者たちは言っている。(サイエンスポータル 2010年5月13日)

 常温触媒で省エネ効果を高める
 社会を支える化学品は触媒を使って生産されている。触媒を機能させるには熱エネルギーが必要であり、より少ないエネルギーで高速で働く触媒を開発すれば,エネルギー消費とCO2排出を削減できる。

 固体酸触媒は燃料や樹脂、医薬品、洗剤などの化学品の生産に必要不可欠な物質であり、さまざまな固体酸触媒を用いた化学プラントが現代社会に必須の化学品を生産している。化石資源の高騰・枯渇、地球温暖化が深刻化する近未来に向け、一層の省エネルギー、CO2排出削減が必要となる。このため、より高活性な固体酸触媒の創出が社会と産業から求められている。

 原教授らはCO2を中心とする温室効果ガスの大量排出産業である化学工業で、少しでもCO2排出削減につながる技術開発に取り組んでいた。特に触媒を使った化学反応では触媒を機能させるために熱を使うので、室温で優れた機能を発揮する触媒の探索に力を入れていた。各種の候補を検討する中で、もともと光触媒として有名な酸化チタンを取り上げた。

 酸化チタンだけでは化学反応の触媒としては十分な性能ではなかったが、これをナノレベルにして、しかも丸めてチューブにすれば、別の機能が生まれると考えた。試してみると、室温で実用に十分な触媒機能があることを発見した。

 チタニアナノチューブとは何か?
 この地球上に豊富に存在し、入手が容易で安価なチタニアをアルカリ水溶液中で加熱することにより、ナノチューブ状のチタン酸化物(チタニア)が合成できる。チタニアナノチューブはナノサイズのシート状のチタニア(酸化チタン)を筒状に丸めた形状であり、筒の内径は約5ナノメートルである。

 チタニアナノチューブは簡便な方法で合成できるため低コストで大量合成が可能であり、資源量が2番目に多い遷移金属であるチタンから構成されているため、実用的観点からも極めて有望である。

 この固体触媒は分離・回収・再利用にエネルギーを必要とせずに既存のどの固体酸触媒よりも高い酸触媒性能を発揮でき、さらに室温で高効率に反応を進行させることができるためCO2排出削減に貢献できまる。

 今後、チタニアナノチューブが高い酸触媒性能を有するメカニズムを明らかにすることにより、さらに高性能なチタニアナノチューブの開発を目指し、環境調和型の触媒プロセスを構築する。(東京工業大学プレスリリース 2010/05/12)

 酸化チタンとは何か?
 酸化チタンとは主に、二酸化チタンのことで、組成式 TiO2、式量 79.9 の無機化合物。チタンの酸化物。

 二酸化チタンは、フッ化水素酸,熱濃硫酸および溶融アルカリ塩に溶解するが、それ以外の酸,アルカリ,水および有機溶剤には溶解しない。

 白色の塗料、絵具、釉薬、化合繊用途などの顔料として使われる。これはチタン白(チタンはく)、チタニウムホワイトと呼ばれる。また光触媒など機能材料として使われている。絵具として他の色と混ぜて使った場合、日光に長期間さらされると光触媒の作用によって脱色したり、絵具が割れてしまったりする場合がある。

 人体への影響が小さいと考えられているため、食品や化粧品の着色料(食品添加物)として利用されている。微粉末は紫外線の散乱剤として日焼け止め、サンスクリーン剤にも使われる。 

 1972年、東京大学の本多健一と藤嶋昭は、「酸化チタンを用いた水の光分解」に関する論文をネイチャー誌に発表した。これは、粉末状の酸化チタンを水中に入れ、光を当てるとそれだけで、水素と酸素に分解され、それぞれの気泡が発生するというもの。これが世界で初めて発見された「光触媒」であった。(Wikipedia)

 

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第24回ノーベル生理学・医学賞 W・アイントホーフェン「心電図」

2010年05月25日 | 科学全般
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 心電図とは何か?
 心電図とは何だろう?心電図とはそう病院に置いてある、心臓の電気的な活動の様子をグラフの形に記録することで、心疾患の診断と治療に役立てるものである。

 心電図は1903年にオランダの生理学者ウィレム・アイントホーフェンによって検流計で測定された。彼はこの業績によって1924年、ノーベル生理学・医学賞を授与されている。

 およそ10年前、それまではテレビドラマでしか見たことのない装置を、初めて間近で見る機会があった。それは、親戚の危篤の場でのことであった。

 そのとき見た彼は、40度もの体温があり、体は真っ赤に腫れ上がっていた。もうすでに意識はなく、ただ呼吸をし延命装置をつけた状態で、心臓は動いているのは心電図でわかったが脳死の状態であり、いわゆる植物人間であった。

 性格のよい彼はいつも笑顔を絶やさなかった。たよりになる兄貴的な存在で誰からも慕われていた。たのまれるといやとはいえず、上司に言われるがまま、夜勤を何日も続けた。そして、突然倒れ病院に運ばれた。くも膜下出血であった。

 彼の父親は「うちの子は殺された...」と無念そうにつぶやいていた。やがて延命装置は外され、返らぬ人となった。今は無事に天国に返っているだろうか?

 心電図のはかり方
 心電図をはかるにはどうするのだろう?健康診断のとき、心電図検査をしたことがある人は覚えているかもしれない。仰向けになり、安静にした状態で、手首、足首の内側、胸部の所定の位置にペーストを塗り、電極を付ける。このとき電極は両手首、両手足の4ヶ所、胸部は心臓のまわりに6ヶ所付ける。

 心電図計の肢誘導、胸部誘導のスイッチをonにして、モニターの心電図波形をみる(まだ記録は始めない) 次に、筋電図や交流雑音の除去,基線の調節を行なう。そして、記録を開始する。先ほどの電極の種類をいくつか組み合わせて、合計12種類の波形が記録される。

 標準肢誘導(I,II,III)単極肢誘導(aVR,aVL,aVF)胸部誘導(V1-V6)の順番に記録する。各誘導5心拍以上記録し,T波とP波の間の平らな部分に1mV波形(キャリブレーション)を入れる。
 
 最後に、電極を患者さんから取りはずし,ペーストをきれいに拭き取る。

 心電図の見方
 心電図をとると、独特な波形が見られる。この波の高さと幅が心臓の動き方と相関しており、それぞれの波に意味がある。基本的な所見をとる手順を述べる。

1.調律・心拍数に関して
 P波とP波の間隔、R波とR波の間隔を計測し、その逆数から心房拍数、心室拍数を求める。間隔は3心拍を平均する。心房細動などP波がないときはPP間隔は記載しない。
PP間隔(秒)、RR間隔、心房拍数(60~100)、心室拍数(60~100)を記載する。
調律の判定をする。これは正脈か時に不整脈か、絶対的不整脈かを判定する。

2.QRS平均電気軸と移行帯を測定する
 電気軸は-30から100が正常で、移行帯はV3あたりならOK。

3.基本測定
 PQ時間、QRS幅、QT時間
4.波形
P波電位(0.25以下)と振幅(0.10以下)、Q波、異常Q波は幅が0.04以上か振幅がR波の1/4以上である。QRS波、特にRV5+SV1が3.5をこえる、またはRaVLが1.2を超える場合は心肥大を疑う。また低電位がないかも調べる。ST、ST上昇、ST下行がないか?T波は高くないか(12mV以上、これは高カリウム血症を疑う)、陰性T波はないか?これは心筋症や心筋虚血を疑う。U波はないか?U波は低カリウム血症の陰性U波は心室負荷、心筋虚血を疑う。

 不整脈はないか?徐脈、頻脈、心室性期外収縮、上室性期外収縮、心房細動、心房粗動、その他。
5.総合所見を述べる。

 ウィレム・アイントホーフェン
 ウィレム・アイントホーフェン(Willem Einthoven、1860年~1927年)はオランダの医学者。1903年に心臓から電気が発せられていることを発見し、心電図法(ECG/EKG)を発明した。その功績で、1924年にノーベル生理学・医学賞を受賞した。受賞理由は「心電図法の発明」 。 

 彼は、オランダ領東インド諸島(今のインドネシア)のジャワ島のスマランで生まれ、オランダのライデンで亡くなり、ウーグストヘーストのHaarlemmerstraatwegに有る改革派教会に埋葬されている。

 

参考HP Wikipedia「心電図」「ウィレム・アイントホーフェン」 ・ハート先生の心電図教室「基本心電図波形

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循環器・救急医のための心電図の症例集
大柳 光正
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第24回 ノーベル物理学賞 M ・シーグバーン「X線分光学の発見」

2010年05月24日 | 科学全般
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 X線とは何だろう?
 X線とは紫外線や赤外線と同様の電磁波である。可視光線の波長が0.000001 m (1μm)ぐらいであるのに対し、 X線はより短く0.000000000001 m~ 0.00000001 m (0.01- 100 Å)程度の波長である。

 1895年レントゲンによってX線が発見されてから今日まで、X線は工業から医療まで幅広くの利用されている。どんなものに使われているだろう?

 例えば医療で、X線を体に通せば、透過して内部のようすがよく分かる。これをX線透過法という。例えば結晶に当てれば、X線は散乱し、結晶に特有の散乱光を観察でき、物質中の結晶情報を得られる。これをX線回折法という。

 X線回折で用いるX線は、その波長が結晶中の原子やイオンの間隔と同程度であるということが重要である。(X線回折で最も多く用いられているX線管球は1.5418Åの波長を持つ銅管球がもちいられている。)

 例えば物質にX線をあてると、元素固有のX線(2次X線)を発生する。そのX線を検出する事により元素情報を得ることができる。これを蛍光X線分光法という。

 月探査機「かぐや」では、太陽からのX線を受けて月面から放射される2次X線を観測し、月表面の元素(アルミニウム、シリコン、マグネシウム、鉄等)の分布を調べた。月を周回しながら、物質分布の地図を作り上げることができた。


 
 X線と安全性
 このように便利で多様な用途のあるX線であるが、放射線の一種で危険性もある。X線の性質を認識して扱うことが、大切である。 放射線には他にγ線、β線、α線などがある。

 α線やβ線はエネルギー的に弱い線なので、透過力は小さく、薄い紙やプラスチック板を通ることはできない。X線やγ線は透過力が大きく、紙やプラスチック板をも通過してしまうが、鉛の板を通過することはできない。そこで、X線回折装置は鉛で覆われており、外にX線が漏れないようになっている。

 X線装置を使用している者にはX線をどれくらい浴びているかを示すフィルムバッチという物の着用を義務付けられていて、一ヶ月でどの程度浴びているかを知ることが出来る(通常、この結果はX線を浴びていないという結果が得られる)。また、定期健康診断で血液検査も行なっている。

 親子でノーベル物理学賞
 ところで、親子でX線などの電磁波の研究をして、2人ともノーベル賞をとった人がいる。それは誰だろう?

 スウェーデンの物理学者、マンネ・シーグバーンとカイ・シーグバーン親子である。マンネ・シーグバーンは「X線分光学」の研究。カイ・シーグバーンは「光電子分光学」の研究であった。親子でノーベル賞をとった人達は他に5組いるが、電磁波研究では彼らだけである。

 ちなみに他の親子受賞者は、ピエール・キュリー、マリ・キュリーとイレーヌ・ジョリオ=キュリーの親子、ジョセフ・ジョン・トムソンとジョージ・パジェット・トムソンの父子、ヘンリー・ブラッグとローレンス・ブラッグの父子、ニールス・ボーアとオーゲ・ニールス・ボーアの父子、アーサー・コーンバーグとロジャー・コーンバーグの父子、ハンス・フォン・オイラー=ケルピンとウルフ・スファンテ・フォン・オイラーの父子の5組み。

 マンネ・シーグバーンとは?
 カール・マンネ・イェオリ・シーグバーン(1886年~1978年)は、スウェーデンの物理学者である。X線分光学の分野の研究で1924年のノーベル物理学賞を受賞した。受賞理由は「X線分光学における発見」である。

 スウェーデンのエーレブルーに生れ、ルンド大学にて学んだ。1907年から1911年までヨハネス・リュードベリの助手を務め、リュードベリが亡くなった後は1920年にルンド大学の物理学教授になった。1923年からはウプサラ大学の教授になり、翌年の1924年にはノーベル物理学賞を受賞した。

 X線分光学の分野でX線装置の改良などに業績をあげ、その後研究の分野を原子物理の分野に移して1939年にサイクロトロンの建設をおこなった。国際的にも活躍し、1938年から1947年まで国際物理学会の会長を務めた。その後、ストックホルムにてこの世を去った。

 息子のカイ・シーグバーンも、1981年にノーベル物理学賞を受賞している。

 マンネ・シーグバーンとリーゼ・マイトナー
 
親子でノーベル賞の栄誉に輝いたシーグハーンであるが、残念なエピソードもある。

 1938年、核分裂の発見者である、女性物理学者リーゼ・マイトナーが、オーストリアがドイツに併合され、ナチスの迫害を避けるために、スウェーデンに移らざるをえなくなった。

 このときに、ストックホルムのマンネ・シーグバーンをたより、彼のもとで原子物理の研究を続けたが、シーグバーンの女性に対する偏見のためか、ほとんど無視され充分な援助は受けられなかったという。

 同年、マイトナーは共同研究者であった、オットー・ハーンから「ウランの原子核に中性子を照射しても核が大きくならず、しかもウランより小さい原子であるラジウムの存在が確認された。何が起きているのか意見を聞きたい」という手紙を受け取った。

 マイトナーは、甥で物理学者であるオットー・ロベルト・フリッシュと共に核分裂が起きた事を証明して、連名で発表。関係者から賞賛された。なお、これが核兵器の開発につながっていく。

 1944年ハーンはノーベル化学賞を受賞したが、ハーンはナチスの圧力に負けユダヤ人であるマイトナーを外した為、彼女は受賞を逸したという。しかし、マイトナーは、核分裂の概念の確立者であるのは間違いない。

 もし、このとき彼女が核分裂を発見せず、発見が少しでも遅れていれば、1945年広島・長崎で原子爆弾が落とされなかったかもしれない。彼女の業績は素晴らしいものであるが、歴史の皮肉を感じざるを得ない。

 

参考HP Wikipedia「X線」「蛍光X線分析」「マンネ・シーグバーン」「カイ・シーグバーン」「リーゼ・マイトナー」 

X線・放射光の分光 (分光測定入門シリーズ)

講談社

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リーゼ・マイトナー―嵐の時代を生き抜いた女性科学者
R.L. サイム,米沢 富美子
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銀河から放り出された「超巨大ブラックホール」の正体は何か?

2010年05月23日 | 宇宙
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 ブラックホールとは何か?
 ブラックホール (Black hole) は、重力が強く、光さえも抜け出せない時空の領域のことを指し、その中心に特異点が存在する。大質量の恒星が超新星爆発した後、自己重力によって極限まで収縮することによって生成したり、巨大なガス雲が収縮することで生成すると考えられている。

 ブラックホールの境界は、事象の地平面 (event horizon) と呼ばれる。一般相対性理論では、厳密にはブラックホールは、『時空の他の領域と将来的に因果関係を持ち得ない領域』として定義される。

 21世紀初頭現在、ブラックホール自体を直接観測することはまだ成功していないが、周囲の物質の運動やブラックホールに吸い込まれていく物質が出すX線や宇宙ジェットから、その存在が信じられている。

 銀河の中心には、太陽質量の106〜1010倍程度の超大質量ブラックホールが存在すると考えられており、超新星爆発後は、太陽質量の10倍〜50倍のブラックホールが形成すると考えられている。

 20世紀末には、両者の中間の領域(太陽質量の103程度)のブラックホールの存在をうかがわせる観測結果も報告されており、中間質量ブラックホール (IMBH) と呼ばれている。

 そして2010年5月、銀河の中心にある超巨大ブラックホールなみの強力な X線を発生する天体が発見された。不思議なことにこの天体、銀河の中心ではないところにあった。この天体の正体は何だろう?

 銀河から放り出された超巨大ブラックホール
 銀河から高速で遠ざかる、超巨大ブラックホールと思われる天体が発見された。このブラックホールは、より小さなブラックホール同士が合体して形成されたあと、これまでの住処から放り出されてしまったようだ。

 わたしたちの天の川銀河をはじめ、多くの銀河の中心には超巨大ブラックホールが存在していることはすでに知られている。

 活動するブラックホールでは、その中心に向かって物質が落ち込みながら激しく熱せられるために、周囲から強いX線が放射される。そのようなブラックホールが潜む銀河の中心をX線で観測すると、ちりやガスなどを見通して、ブラックホールの周辺領域とブラックホールの存在を明るい点としてとらえることができる。

 オランダ・ユトレヒト大学の大学生Marianne Heida氏は、オランダ宇宙研究機関(SRON;Netherlands Institute for Space Research)で、数十万個のX線源と数百万個の銀河の位置とを比較するプロジェクトを進めていた。Heida氏はカタログ中のある銀河を見て、銀河の中心から外れた場所に、X線で輝く恒星状の明るい点が存在していることに気づいた。その明るさは超巨大ブラックホールに匹敵するものであった。

 このような大質量の天体を放り出すような現象としては、ブラックホール同士の合体が考えられる。近年のコンピューターシミュレーションによると、合体前の2つのブラックホールがどのような速度と角度で自転していたかという要素が、合体後のブラックホールの速度を大きく決めるようだ。今回発見された、銀河中心から外れたところにある超巨大ブラックホールと思われるX線源も、このような過程で形成され高速で移動するようになった可能性がある。

 Heida氏の研究によって、ほかにも似たようなX線を放射する天体が数多く発見されており、NASAのX線観測衛星チャンドラによる観測が待たれている。観測によって、この不思議なブラックホールがほかにも発見され、合体前のブラックホールの特性を知る手がかりが得られるかもしれない。

 また、ブラックホールが合体する際には重力波が放射されると考えられているが、将来打ち上げ予定の人工衛星LISAによって重力波を検出し、ブラックホール同士の合体現象そのものも観測できるようになるかもしれないという。次の発見が楽しみである。(2010.5.13 AstroArts)

 ブラックホールの発見と歴史
 現代的なブラックホール理論は、アルベルト・アインシュタインの一般相対性理論が発表された直後の1916年に、理論の骨子であるアインシュタイン方程式をカール・シュヴァルツシルトが特殊解として導いたことから始まった。

 1970年代に入るとX線天文学の発展によって、X線源が普通の恒星と連星を作っているX線連星が多数発見されるようになった。連星の公転周期を観測するとその星の質量を見積もることができ、またX線の明るさの変動のタイムスケールからX線源の大きさを推定できる。

 これによって、X線連星の一つであるはくちょう座X-1がブラックホールの有力な候補として初めて確定し、その後も同様の天体が発見されている。

 1990年代になると、銀河中心部から放出される電波の観測や、我々の銀河系の中心近くの恒星の運動の長期にわたる追跡観測が行われ、これによって、数多くの銀河の中心部に太陽質量の数百万倍から数十億倍という大質量のブラックホールが存在することが確認されている。このことから、宇宙に無数に存在する銀河の大部分の中心核には超巨大ブラックホールがあると考えられている。

 銀河系の中心部にある電波源複合体いて座A*には、太陽の370万倍の質量を持った巨大なブラックホールが存在すると多くの天文学者によって考えられている。1995年には、M106 銀河の中心に太陽質量の3,600万倍の質量のブラックホールがあると推定された。同様にして、21世紀初頭までに多くの銀河の中心部に106-8太陽質量の超大質量ブラックホールが存在すると推定されている。

 成長するブラックホール
 こうして、ブラックホールは直接観測することはできないが、近くの物質をのみこむときに X線を発生するので、その存在が明らかになった。そしてそのX線の強さによって、大きさも推定できるようになった。近年発見されている、超巨大なブラックホールはいったいどうやってできたのだろうか?

 これについては次のような仮説が提唱されている。

 銀河どうしの近接遭遇や衝突などによって銀河内部で爆発的な星形成(スターバースト)が起こり、これによって若くて密度の高い星団が大量にできる。このような星団には重い星が大量に含まれるため、高密度な環境ではこのような星同士が合体してさらに大きな星となり、ますます合体しやすくなるという合体不安定という過程が進行する。

 こうして作られた重い星の寿命は非常に短いので早い時期に超新星爆発を起こし、太陽の数十倍から100倍の質量を持つブラックホールが誕生する。これらの合体によって103太陽質量程度の中間質量ブラックホールが星団内にでき、このような星団がいくつも銀河の中心に向かって沈む。沈む途中で星団自体は潮汐破壊され、中間質量ブラックホールが銀河中心にたまり、互いに合体して大質量ブラックホールとなる。

 2005年にはチャンドラX線観測衛星によってM74銀河にも約10,000太陽質量という中間質量ブラックホールが発見されており、今後観測データが蓄積されることでこの仮説の妥当性が検証されていくものと考えられている。

 2008年には OJ 287というクエーサーが太陽質量の180億倍と1億倍という、極めて質量の大きなブラックホール同士の連星系であることが判明した。このような巨大なブラックホールは、銀河同士の衝突により核である大質量ブラックホール同士が合体して生じるのではないかと考えられている。

 

参考HP Wikipedia「ブラックホール」・アストロアーツ「銀河から放り出された超巨大ブラックホール 

カラー図解でわかるブラックホール宇宙 なんでも底なしに吸い込むのは本当か? 死んだ天体というのは事実か? (サイエンス・アイ新書)
福江 純
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天の川の真実―超巨大ブラックホールの巣窟を暴く
奥田 治之,小山 勝二,祖父江 義明
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風雲急を告げる!北朝鮮魚雷・普天間基地問題と中国軍事演習

2010年05月22日 | 環境問題
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 北朝鮮の魚雷問題
 日本を巡る国際環境が混沌としてきた。ここ数ヶ月で今後の日本に大きな影響がありそうなので、現時点での状況を把握しておきたい。

 北朝鮮の魚雷による、韓国の哨戒艦沈没事件がほぼ明らかになった。一方、北朝鮮の国防委員会は声明で、調査結果を「捏造(ねつぞう)」と決めつけ、制裁などに対しては「全面戦争を含む強硬措置」で応えると宣言した。

 金正日(キム・ジョンイル)総書記はこの事件の後、中国に訪問し中国首脳らと会談した。5月6日付の英紙フィナンシャル・タイムズ・アジア版は、昨年実施したデノミネーション(通貨呼称単位の変更)の失敗や、韓国の哨戒艦沈没事件などを受け、金正日総書記は中国からの「経済、政治的な支援を補強しようとしているようだ」とする専門家の分析を紹介した。以前から、中国と北朝鮮の親交はあきらかである。

 韓国の金泰栄(キムテヨン)国防相は、韓国哨戒艦「天安(チョンアン)」沈没原因を北朝鮮の魚雷攻撃と断定、「北朝鮮に対し応分の代価を支払わせる」と語った。韓国の李明博(イミョンバク)大統領は、国家安全保障会議を招集し、「天安」沈没問題を国連安全保障理事会に提起する。

 日米両政府も、日米外相会談などを通じた協調対応を本格化させる。鳩山首相も、来日するクリントン米国務長官との会談し「北朝鮮に対してどういうメッセージを出すかということになる」と述べ、国連安全保障理事会の制裁決議をにらみ、共同歩調をとる考えを示した。

 しかし、見通しは明るくない。国連の常任理事国である中国が賛成するはずがないからだ。国連も終戦後65年たち、世界の情勢は大きく変化した。現実に即して有効に機能しなくなっている。見直す時期が来ていると思う。

 一方、沖縄の米空軍嘉手納基地は最新鋭ステルス戦闘機「F22」12機が来週後半、米本土から同基地に派遣されると発表した。ここにきて沖縄の米軍基地の重要性が再認識されている。



 普天間基地移設問題
 5月21日、クリントン米国務長官は都内で岡田克也外相と会談した。米軍普天間飛行場の移設をめぐり、クリントン氏は名護市辺野古のキャンプ・シュワブ沿岸部に移設する現行案を軸とする解決を重ねて要求。岡田、クリントン両氏は5月末決着に向け努力する方針を確認した。

 社民党の福島瑞穂党首は同日の会見で、辺野古周辺を埋め立てる案が閣議で提示された場合、署名を拒むと明言。平野博文官房長官は、日米合意前に与党党首級の基本政策閣僚委員会を開く意向を示したが、与党内の了解を得る見通しは立っていない。

 クリントン氏は現行案を念頭に「米軍の運用上有効で、政治的にも持続可能な解決策を追求している」と強調。「基地のある地域社会のインパクトを最小限にとどめたい」とし、地元合意の重要性を示唆した。

 岡田氏は5月28日に発表する方向の合意文書について「大きな方向性を見いだしたい」と表明。会談後の会見で「まず日米間で合意案をつくり、その上で沖縄の皆さんに理解してもらう努力をする」と、日米政府間の合意を優先させる考えを示した。

 鳩山由紀夫首相も同日、官邸でクリントン氏と会談。首相は、韓国の哨戒艦沈没を踏まえ「北東アジアが緊張している現在こそ、日米同盟が重要だ」と月内合意の重要性を指摘した。会談後、首相は記者団に、訓練の県外分散移転に関し「沖縄の過重な負担を極力国民で分かち合うことが大事だ」と指摘した。(沖縄タイムス 2010年5月22日)

 日米同盟の重要性
 ようやく鳩山首相もアジアの緊張関係に気がついたのか、日米の同盟関係の重要性を述べていたが、今さらという感じがする。彼は首相になる前は「なぜ独立国である日本に、米軍基地があるのかわからない」というから、国際感覚のない首相を我々は選んだことを後悔せねばならない。

 国家のリーダーたるべき総理大臣が、沖縄の過重な負担を気にされるのは結構なことだが、まずは国の過重を気にしていただきたい。米国の「TOYOTA」叩きは、態度のはっきりしない日本への報復である。温室効果ガス25%削減目標も素晴らしいが、我が国の経済界は、この過重な目標のために悲鳴を上げている。  

 ここにきてようやく、岡田外相も「まず日米間で合意案をつくり、その上で沖縄の皆さんに理解してもらう努力をする」と、日米政府間の合意を優先させる考えを示した。憲法9条のため自前で軍備を持てない日本にとって、日米関係の堅持が最優先事項である。国の存続が危ぶまれる状況があるのに、沖縄普天間基地の県外移設は二の次であると思う。

 不可解なマスコミ報道
 話を少し前に戻す。4月12日、普天間基地の問題で、バラク・オバマ米国大統領は、米国ワシントンで鳩山首相と非公式で会った。「昨年11月の会談で、私を信じてほしいと言った。しかし何の進展もない。最後まで実現できるか」と極度の不信感を示した。
 
 こうした状況の中で不可解な現象が起きた。それは4月5日中国で、日本人4人が覚醒剤の密輸の罪で死刑判決を受け、刑が執行された前後、中国の港を出港した10隻の艦船が、4月10日ごろ沖縄本島と宮古島の間の公海上の、排他的経済水域を白昼堂々と横切り、東シナ海から、太平洋に達し11日洋上補給を行った。

 この沖縄の米軍基地問題を決める、重要な時期に、重要な中国の問題行動が沖縄近海で起きているのに、マスコミはこのことを一切報道しなかったのである。

 防衛省はこのことをしっかり報道したが、マスコミは一切ニュースにしなかった。この意味が分からない。私も最近、人に聞くまで知らなかった事実である。Googleで検索してみても、このことを取りあげたのはジャーナリストの「櫻井よしこ」氏ぐらいであった。なぜマスコミは、国民に正確な情報を知らせなかったのであろうか?

 報道すれば、沖縄の基地問題なんか1秒でケリがつくではないか。櫻井氏は自身のブログで、次のように述べている。

 中国の太平洋軍事演習の意味
 中国艦隊は10日に沖縄本島と宮古島の間を通過したが、7日から9日までの間、東シナ海の中部海域で艦載ヘリの飛行訓練を行った。日本近海での軍事活動であり、当然、海上自衛隊は護衛艦2隻とP3Cを派遣し、監視体制を敷いた。

 すると、中国海軍のヘリが低空飛行で海自の護衛艦に異常接近した。その距離、わずか90メートル、高さは30メートルで、護衛艦のマスト近くに迫った。完全に侮っているのである。これが、世界第二の軍事大国にのし上がった中国の、現時点における実相である。そして、力のない国は、中国が以降、常に行うと宣言しているこの種の傍若無人の振舞いに耐え続けなければならないということだ。

 ここに至るまでに中国がどれほどの軍拡を重ねてきたか。軍事情報が不透明なために、正確には把握出来ないが、日本の防衛予算がGDP(国内総生産)の1%未満であるのとは対照的に、中国は少なく見積っても3~4%である。中国の軍事費は発表数字の2~3倍と見られており、実際にはもっと膨大な予算が注ぎ込まれている。過去21年間、2桁の伸びを続けた中国の軍事費は現在、21年前の実に22倍に膨れ上がった。

 中国の長期戦略
 留意すべきは、この異常なる軍拡が明確な戦略に基づいて推進されてきたことだ。防衛政務官の長島昭久氏が指摘する。

 「1980年代に、小平の右腕の中国海軍提督の劉華清が長期戦略を打ち出しました。まず、沖縄諸島から先島諸島、台湾、フィリピン、ボルネオに至る線を第1列島線と定義し、2010年までにこの海域から米軍の影響力を排除するというものです。次に、2030年までに空母部隊を完成させ、小笠原諸島からグアム、サイパン、パプアニューギニアに至る第2列島線の海域の制海権を確立する。さらに、2040年までに、西太平洋とインド洋から米国の支配権を削ぐというものです」

 「中国はこの長期計画から外れることなく、人類史上、どの国も行ったことのない凄まじい軍拡に邁進してきた。それぞれの目標は、達成時期は多少遅れがちながらも着実に実現されてきた」と、長島氏は語る。

 日本列島が存在する西太平洋、日本の生命線であるシーレーンが通るインド洋を、確実に自分の海にするという大目標を具現化しつつある中国の前で、日本がなすべきことは余りにも明らかである。それはいま根本から揺らいでいる日米同盟を立て直し、日本の防衛力を強化する具体策を打ち出し、実行することだ。(櫻井よしこブログ 「日本は即備えよ、中国海軍の脅威」)

 

参考HP 防衛省「中国海軍艦艇の動向」・櫻井よしこブログ「日本は即備えよ、中国海軍の脅威」 

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人は創造主になれるか?DNA合成、増殖する「人工生命」誕生!

2010年05月21日 | ライフサイエンス
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 人は創造主になれるか?
 人工的に合成した細菌のゲノム(全遺伝情報)を別の細菌の細胞に組み込み、生きた細菌を作ることに成功した。この成果は、米国のクレイグ・ベンター博士が率いる研究チームが2010年5月20日付の米科学誌サイエンス(電子版)に発表。

 すでに人類は、2003年にはウイルスを人工的に作ることに成功。 2008年1月には、細菌のDNAを人工的につくり、細菌に移植することに成功している。この人工DNAの移植も米国のクレイグ・ベンター博士が率いる研究チームが成功している。クレイグ・ベンター博士は、ヒトゲノム解読の先駆者でもある。

 生命をデザインするすばらしい成果である。創造主は遺伝子操作によりあらゆる生命を造ったという説もある。人類はまさに「創造主の領域に近づいた」といえるかもしれない。

 将来はポケモンのような、人工的なペットなどの高等生物の造形も可能になるかもしれない。具体的には、まず、バイオ燃料を製造したり、有害物質を分解したりする有用な微生物作成などに利用したい。

 だが、人工的な生物を環境中で利用した場合、ほかの生物や自然環境にどのような影響を与えるのか未解明な点が多い。生物兵器開発に利用される恐れも指摘され、十分に安全対策を考えていく必要がある。

 遺伝子の化学合成と組み換え
 研究ではまず、牛の感染症を起こす細菌「マイコプラズマ・ミコイデス」のゲノムをコンピューターでデータ化。この情報に基づき、改めて「ミコイデス」のゲノムの断片を化学合成した。この断片を大腸菌と酵母に入れて遺伝子組み換えでつなぎ合わせ、ゲノムをまるごと再現した。

 完成した人工ゲノムを、よく似た細菌に移植したところ、移植された細菌が人工ゲノムの作用で「変身」し、「ミコイデス」のたんぱく質を作るようになった。細胞の「ハードウエア」にあたる細胞質は、移植先の細胞を流用しているが、「ソフトウエア」のゲノムが人工ゲノムに入れ替わったことになる。同研究所は移植を受けた細菌を「合成細胞」と呼んでいる。

 この技術を応用すれば、望みのゲノムを設計して微生物に組み込み、現存しない「新種」を生み出せる可能性がある。石油大手エクソン・モービルはバイオ燃料を大量に生産する藻を作るため、この研究に資金を提供。製薬大手ノバルティスもワクチン開発のスピードアップに利用しようと研究を始めた。(2010年5月21日  読売新聞)

 人工生命とは何か?
 人工生命(Artificial Life)を Alife と呼ぶことがある。手段によってそれぞれ、「ソフトAlife」(コンピュータ上のソフトウェア)、「ハードAlife」(ロボット)、「ウェットAlife」(生化学)と呼ばれる。厳密にはこれらの工作物を生物として認めるかどうかについては生命の定義にも拠り疑問も残るが、生命の様に振舞いをする物をもってこのように定義する。

 主に「生命とは何か」という哲学的な命題に端を発する学術分野で、研究対象は大まかに、コンピュータ上に形成されるソフトウェア、既存の細胞機構に類似した機構を採用したウェットウェア、機械類で形成されたハードウェアの存在様式が想定されている。

 ウェットウェア
 今回、単細胞生物の一つである、人工の細菌を生み出すことに成功した。この細菌は、外部からのエネルギーを得て、自分の構成要素を環境から取り入れ、自己複製的に分裂する。

 すでに、2003年の段階で塩基配列より人工ウイルスを約2週間で合成することには成功している。ただしウイルスは他の生物細胞内に侵入して自身の複製を行わせないと増殖できないため、生命の範疇に含めるかどうかには議論の余地がある。

 これは米代替バイオエネルギー研究所が1200万ドルの予算で2002年から行っている研究の一端で、5386塩基対を持つ物だが、単純な微生物(単体で生存・繁殖する能力を持つ)は100~1000倍の遺伝情報を持つ。

 将来的にはナノマシン技術の一つとして、特定の機能を持たせた人工単細胞生物の医療分野における活躍も期待されているほか、特定の物質を分解ないし無毒化する機能を持つ人工微生物による環境保全や、所定の分子構造を持つ生産物(燃料用アルコールから医薬品まで、様々)をもたらすことも期待できる。

 「ウェットウェア」すでに環境流出?
 ただ、人工ウイルスでも既に問題が指摘されている。韓国より報告のあったブタの遺伝情報のサンプルから、十数年前に開発された人工ウイルスの遺伝情報が検出されたというものだ。

 ウイルスは感染の過程で宿主の遺伝情報に自身の遺伝情報を書きこむため、進化学にもウイルス感染による遺伝子書き換えの影響を指摘するウイルス進化説があり、もし人工ウイルスが環境中に流出した場合、どんな生物に感染しうるのかや、どんな影響があるのかが予測しがたい。

 なおバイオテクノロジー的な技術によって改変された生物(LMO:Living Modified Organism)の漏出に関しては生物の多様性に関する条約に含まれる「生物の多様性に関する条約のバイオセーフティに関するカルタヘナ議定書(通称:カルタヘナ議定書)」において監視対象として制限されているが、生命そのものを製作した場合に於いても、同様の監視と漏出防止のための努力が求められよう。

 また人工微生物もナノマシン同様に、グレイ・グーの可能性が指摘できる。特に単なる機械装置とは違って、人工生命が環境中にある素材から自己複製が可能な場合、予め無限増殖を予防する措置も必要と考えられている。(参考:Wikipedia)

 

参考HP Wikipedia「人工生命」 ・アイラブサイエンス「人工生命誕生!細菌ゲノムの完全合成

人工生命―デジタル生物の創造者たち
スティーブン レビー
朝日新聞社

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造船から解体再利用まで「シップリサイクル条約」とは何か?

2010年05月20日 | 環境保護
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 鉄のまち室蘭の取り組み
 北海道の室蘭市は、天然の良港を活かし、鉄鋼業(新日本製鐵や日本製鋼所)の企業城下町として、よく「鉄のまち室蘭」と称されてきた。造船、石炭の積み出し、石油精製などで発展した、北海道を代表する重化学工業都市である。

 最近は造船業でにぎわいを見せたが、受注は減少し景気は低迷している。室蘭工業大学の清水一道准教授は街おこしの一環として、余剰船舶の解体及び再利用を含めた、システムの研究を行っている。

 室蘭港を中心に、製鉄、製鋼、造船のまちとして発展してきた北海道室蘭市において、環境保全型の船の解体を行い有効資源として再利用することが、具体的に可能なのか、それはまた産業として成立するのか、という研究会を、産学官が連携し発足致した。

 世界に冠たる造船国である我が国が、“人間にも環境にも優しい"シップリサイクルシステムを確立できるよう、全国各地域と連携しながら取り組む。日本は世界でも有数の造船・海遠国。私たちには環境汚染を食い止め、資源を有効活用するために、シップリサイクル問題を解決する責務があると考える。

 世界の船舶の35%を日本で製造しており、実際に日本が所持している、あるいは運航している船舶は、世界の15%を占めている。日本は、船舶を“製造する国”“使用する国”として、途上国におけるシップリサイクル問題への国際的な貢献が求められている。(室蘭工業大学 清水一道LABO)


 シップリサイクル条約の採択
 老朽船舶の解体は、過去には我が国でも実施されていたが、1970 年代から新興工業国として台湾や韓国が担うようになり、1980 年代には中国がこれに参入、1990 年代からはインド、パキスタン、バングラデシュといった国々が主役を務めるようになった。

 しかし、後発のこれらアジアの国々では、労働者の安全や環境対策などが疎かで、多数の死傷事故が発生することとなり、人権団体や環境団体が海運国や造船国の責任を指摘するようになった。

 こういった船舶解体(シップリサイクル)に関する問題は国際海事機関(IMO)を始め、国際労働機関(ILO)やバーゼル条約締約国会議などの国際機関で取り上げられ、それぞれ任意のガイドラインを作成するなど取り組みが進められたが、2005 年末の第24 回IMO 総会において新規条約の策定作業の開始が決議された。

 日本は世界有数の海運・造船国としての自負からこの起草作業に当初より深く関与しており、2008 年10 月の第58 回海洋環境保護委員会(MEPC58)において条約案は承認され、2009 年 5月15日に香港において「2009年の船舶の安全かつ環境上適正な再生利用のための香港国際条約(仮称)」(通称:シップリサイクル条約)として採択された。

 シップリサイクル条約の概要
 本条約は、序文(Preamble)の下に条文本文(Articles)として第1条から第21条までが規定されている。また、条約本文には附属書(Annex)として、船舶、船舶リサイクル施設、通報についての要件を示した規則(Regulation)と、付録(Appendix)として有害物質リストと各書式が規定されている。さらに、これに条約の統一的な運用を支援するために任意の指針類(Guidelines)が用意されている。

 船舶に関する要件において、最も重要なことは船舶の一生を通じ、条約で定める有害物質の搭載・使用を禁止・制限し、船舶に含有される有害物質の量や所在を記述したインベントリ(Inventory of Hazardous Materials)を作成・保持・更新し、最終的に船舶リサイクル施設に引き渡すことである。

 船舶リサイクル施設も、施設の運営計画を策定し、関係指針に沿った安全や環境要件を遵守できることが担保されて初めて締約国であるリサイクル国の政府から承認を受けられることになる。船舶リサイクル施設は各船舶のインベントリに基づき、有害物質をどのように処理処分するかを明記した「船舶リサイクル計画」を作成する必要がある。施設が特定の有害物質を処理処分できない場合には有害物質を事前に本船から除去する必要がある。

 これらの準備作業の後、船舶リサイクル施設までの最終航海計画を立て、主管庁等から最終検査を受け、「リサイクル準備国際証書」を受領することで、本船は船舶リサイクル施設へ向かうことができる。船舶リサイクル施設は本条約に従って「リサイクル準備国際証書」を保持する船舶しか受け入れてはいけない。

 本条約は、①15ヶ国以上が締結し、②それらの国の商船船腹量の合計が世界の商船船腹量の40%以上となり、かつ、③それらの国の直近10年における最大の年間解体船腹量の合計がそれらの国の商船船腹量の3%以上となる国が締結した日の24箇月後に効力を生じることとなっている。

 船舶解体の歴史
 船舶解体は、ヨーロッパの帆船時代には造船などと同じく河岸などにある製材所で行われ、20世紀の終わりまでは先進国、とりわけ日本の造船所などで行われていた。第二次世界大戦後、日本では大規模な造船ラッシュになったこともあり、各国で不要になった戦時中の軍艦などが数多く持ち込まれ、解体された。特に、アメリカからアルゼンチンやチリなどへ輸出された旧式戦艦の多くは、日本で解体された。皮肉なことに、大艦巨砲主義時代の戦艦のうちかなりの数が戦後の日本で解体され、最後を迎えていった。

 20世紀の終わり以降は、事情が変わっている。多くの船舶は、インドのグジャラート州・アラン(Alang)や、バングラデシュのチッタゴンなどの発展途上国の遠浅で干満差の大きな砂浜において、無数の未熟練労働者によって、トーチやハンマーなどの簡単な道具を使い人海戦術で解体されている。

 船主は、解体に伴うコストを軽減・忌避するためバングラデシュなどに船を輸出し、現地の解体業者は、解体した船の残骸をスクラップとして売却している。現地では重要な資源となっており、バングラデシュでは鋼材供給の80%が船舶の廃材による。

 まるで船の墓場
 解体される船舶は最後の航海で、満潮を利用して砂浜に全速力で乗り上げて放置される。となる遠浅の広大な浜辺では、タンカーなどの廃船数百隻が幽霊のように浮かび、大型動物の死体のように、少しずつ解体され分解してゆく非現実的な光景が見られる。

 しかし鉄の船を切り刻み、スクラップを人力で担いで陸地に運ぶ作業は危険なため、ある一つの会社だけで、年間360人以上の割合で多くの死者を出している。安全対策は貧弱で作業員はヘルメットをかぶるものは少なく、ほとんどが素手に素足で作業する。危険ではあるが、「飢餓で死ぬより働いて死んだ方が良い」とし、労働希望者は多数存在する。

 また、直接事故死にはいたらずとも、船舶にはPCBや水銀・鉛・アスベストなどが使用されているほか重油などが残留しているため、解体作業員の健康は蝕まれ、周辺の街の住民にも大きな健康被害が懸念されている。解体は波打ち際で行われるため、多くの有害物質や重油が海に流失していることも懸念材料である。

 2004年からの新造ラッシュに建造された船舶が、解体時期を迎える2030年頃には、世界的な船舶解体ヤードの不足が懸念されている。(Wikipedia)

 

参考HP Wikipedia「船舶解体」・清水一道研究室「シップリサイクル」 

リサイクル―回るカラクリ止まる理由 (シリーズ・地球と人間の環境を考える)
安井 至
日本評論社

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<読む・知る・使える>リサイクルのことがわかる事典

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これは珍らしい!なぜ?木星のストライプが1本消滅

2010年05月19日 | 宇宙
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 巨大な惑星
 太陽系最大の惑星「木星」。地球との比較では質量は318倍、直径は11倍、体積は1,300倍ほどある。多くの人が木星のことを「恒星になり損ねた星」と表現している。

 木星は約10時間と太陽系内で最も自転が速い惑星でもあり、遠心力によって赤道方向に膨らんだ楕円体をしていることが望遠鏡で見ても容易にわかる。木星は厚い大気を持つガス惑星で、その組成は大半が水素である。また、観測しにくいが環を持つことも確認されている。

 木星の大気は水素が81%、ヘリウムが17%、メタンが 0.1%、水蒸気 0.1%、アンモニア 0.02%、エタンが 0.0002%となっている。これらの気体が渦巻いてできる表面の模様は独特である。

 特徴的な模様として大赤斑(だいせきはん)の存在がよく知られている。これは地球の2倍ほどの大きさがある木星大気の渦であり、大気の自転とは逆方向に動いている。ジョヴァンニ・カッシーニによって1665年に発見されて以降、約350年間存在し続けているが、どのようなメカニズムで長期間にわたって存在し続けているのかは解明されていない。

 1998年から2000年にかけて、それまで存在していた3つの「白斑」が合体大型化し、これが2005年末から赤く色づき始めたことが観測された。このいわば「中赤斑」とでも呼ぶべき「オーバルBA」は大赤斑のやや南にあり、2000年代末にも変わらず存在し続けている。「嵐」の勢力が強くなったために赤く色づいたのだろうと考えられているが、今のところ詳細はわかっていない。

 木星のストライプ1本消滅
 さて、木星の表面で印象的なのはこの大赤斑と太いストライプである。ところが、5月に入って、南のしま模様が完全に消滅したことがわかった。20年に1度程度しか起きない珍しい現象とあって、天文ファンらの関心を集めている。

 木星の表面を望遠鏡で眺めると、赤道近くを南北平行に走る2本の濃い色のしま模様と、巨大な赤い斑点が目立つ。5月に入ってから、南半球のしま模様が完全に消え、赤い巨大な斑点だけがぽつんと取り残されて見えるようになった。

 国立天文台によると、しま模様は、木星上空を覆う雲の成分の違いで現れると考えられているが、南のしま模様だけが消えた原因は不明という。

 しま模様が消える現象は、1970年代と1990年代にも観測されたことがあるという。(2010年5月19日12時23分  読売新聞)

 木星の大気
 木星の大気の組成は、太陽の大気と似ていて主に水素とヘリウムである。大気層を降下すると、圧力と温度が上昇し、水素ガスが圧縮されて液化する。表面から約4分の1の深さでは、水素が金属状態になって導電性を持っている。この金属層では、木星の高速回転によって駆動された電流が強力な磁場を生じさせている。中心では、地球と同サイズの氷岩から成る固い核が強い圧力で支えられていると考えられる。

 木星の非常に大きな磁場の強さは、地球の磁場のほぼ2万倍である。木星の磁気圏(磁力線が惑星を極から極へ向かって丸く囲んでいる領域)で捕捉されているのは、無数の荷電粒子である。木星の環と衛星は、磁場に捕捉された電子とイオンから成る強力な放射線帯に囲まれている。このような荷電粒子と磁場で構成されている木星の磁気圏は、太陽に向かって100万キロから300万キロも風船のように膨らんでいて、その反対側では円錐状の尾が土星の軌道にぶつかるまで10億キロ以上も先細りしながら延びている。

 NASAの宇宙探査機ボイジャー1号によって1979年に発見された木星の環は驚きだった。扁平なメインの環と内側の雲のような環(かさ、と呼ぶ)は両方とも、小さくて色の暗い粒子からできている。3番目の環はその透明性からゴッサマーリング(クモの糸の環)と呼ばれ、実際にはアマルティア、テーベ、アドラステアという3つの小さな衛星からの非常に小さな漂流物で構成された3つの薄い環である。木星の環系を形成しているのは、惑星間の流星体が木星に近い4つの小さな衛星に衝突したときに巻き上げられたちりである可能性がある。メインの環の源はおそらく衛星メティスだろう。木星の環は、太陽光が背後から当たっているときだけ見ることができる。

 1995年12月、NASAの宇宙探査機ガリレオは木星の大気にプローブ(大気の探査機)を降下させた。このプローブは、木星の大気を初めて直接測定し、その値を収集している。プローブをリリースした後、ガリレオは木星とその最大の衛星についての多年にわたる調査を開始した。ガリレオがその29周回目に入ったとき、宇宙探査機カッシーニが土星へ向かう途中で重力アシストを目的に木星に近づいていた。この2機の宇宙探査機は、磁気圏、太陽風、環、および木星のオーロラを同時に観察していた。(Wikipedia) 

 

ピアノアンサンブルピース Oピアノピース.02 JUPITER 組曲「惑星」より 木星のテーマ

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遠い惑星―木星・土星・天王星・海王星・冥王星 (星と星座と宇宙の旅)
瀬川 昌男
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「放流やめて!」 日本に熱帯魚が生息する「タマゾン川」とは?

2010年05月18日 | 環境問題
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 おさかなポスト
 東京と神奈川の境界を流れる多摩川の中・下流域で、外来魚が次々と見つかっている。観賞魚ブームを背景に飼育しきれなくなって捨てられ、越冬するケースもあるという。見かねた地元住民は、魚を引き取って飼育先を探す「おさかなポスト」を設置、放流しないよう呼びかけている。人間のエゴが生んだ珍現象を追った。

 おさかなポストがあるのは、多摩川沿いの稲田公園(川崎市多摩区)。川崎河川漁協総代の山崎充哲(みつあき)さん(51)が2005年、漁協のいけすの一角に設置した。

 ポストは奥行き7メートル、幅4メートル。胴長姿の山崎さんが先のとがった口をつかんでその魚を引き上げると、1メートルはある巨体で水面をたたいた。北米原産の古代魚・ロングノーズガーパイク。1匹は2月に網にかかり、もう1匹はポストに“投函(とうかん)”された。ノコギリのように鋭い歯は、ナイロンの網さえ引きちぎる。

 「多摩川は外来魚のデパート。アマゾン川をもじって『タマゾン川』とも呼ばれている」。山崎さんは嘆いた。スポッテッドガー、グッピー

 多摩川に熱帯魚
 高度成長期に家庭排水の垂れ流しで水質悪化が深刻化した多摩川。下水処理場の整備が進んだおかげで水質が改善し、10年ほど前からアユが遡上(そじょう)するようになった。一方で、熱帯魚なども見られるようになった。処理水の大部分は温かい家庭排水で、川の水温も上昇。環境の変化も生息を後押しする。

 山崎さんが捕獲した外来魚は、グッピーやエンゼルフィッシュといった代表的な観賞魚から、ピラニアやアロワナなど約200種に上る。一部は繁殖し、水温が比較的高い処理場付近で越冬しているとみられる。

 おさかなポストには、春の引っ越し時期を中心に年間約1万匹が寄せられるという。山崎さんが自宅でいったん保護した後、趣旨に賛同したポストの会員や学校に引き取ってもらう。

 それでも放流は後を絶たない。ガーパイクがつがいで泳ぐ姿も確認され、体内からアユも見つかった。国内では確認例がほとんどなかった病気も出ている。「ガーが大繁殖するんじゃないかと心配だ」

 捨てられるペット
 世界各地から数百種の魚を輸入、販売している都内最大級の観賞魚専門店「トロピランド町屋店」(荒川区)。600本の水槽が並ぶ店内では、いけすで暴れたガーパイクの仲間のアリゲーターガーパイクが、1980円で売られていた。まだ10センチ弱の稚魚だが、値札には「軽く1メートルを超すので、ゆとりをもって大きな水槽で飼いましょう」と注意書きもある。

 店員の太田智之さん(35)によると、一部の観賞魚は飼育が難しいことを口頭でも説明しているが、客の責任感は薄いという。「多くの人はインテリアやアクセサリー感覚。絵画のようなものだ」と肩を落とす。

 では、飼うのをやめるときはどうするのか。関係者は「水洗トイレに流したり、生ゴミと一緒に捨てたりする人もいるが、そうできない人は、川にこっそり流しているようだ」。

 8日午後7時、山崎さんの携帯電話が鳴った。「飼えなくなった魚を引き取ってもらえるんですか」。3時間後、川崎市の小田急生田駅で落ち合うと、学生風の男性が青い発泡スチロールの箱を抱えていた。中には体長約30センチの外国産ナマズ。男性は「水槽も小さくなって、これから引っ越しもある……」と話した。「安心して」と声をかけると、男性は涙を浮かべた。

 最近は不況やリストラによる転居で、ポストを使う人も目立っているという。「ペットがかわいそうだからといって、放流するのは『無知なる善意』だ」。子どものころから多摩川で遊び、アユの遡上を喜ぶ山崎さんは語気を強めた。

 おさかなポストの利用は無料。ただ、熱帯魚はそのまま入れると死ぬ可能性もあるため、山崎さんは事前に電話連絡(090・3209・1390)を求めている。

 引き取りシステム確立を
 熱帯魚の輸入が盛んになったのは、1960年代から。当初は飼育機材も高いため富裕層の趣味にとどまっていたが、1990年代にブームが到来。熱帯魚が主人公のディズニー映画「ファインディング・ニモ」(2003年)で人気に拍車がかかった。低価格化などにより、近年は「子どもがお年玉で飼い始める」(専門店)ほど愛好家のすそ野が広がっている。

 放流問題を受け、卸売業者などでつくる「日本観賞魚振興会」は2007年から観賞魚の引き取り事業を始めたが、小売店の協力は十分得られていないのが実情だ。

 市販の観賞魚は、ブラックバス(オオクチバス)のように在来種の生態系を損ねる「特定外来生物」に指定されていないため、法的に飼育や放流の規制がない。環境省は「実害の報告はほとんどない」として、河川に生息する観賞魚の実態調査はしていない。

 外来魚問題に詳しい東京海洋大の丸山隆助教(魚類生態学)は「飼育には倫理上の責任も伴うのに、本来は生き物を趣味にしない人まで観賞魚ブームに乗った。放流は現実逃避の手段だ」と批判。「民間業者の引き取り事業には強制力がなく、うまくいかない。行政も協力しシステムを確立すべきだ」と話す。(毎日新聞 2010年5月16日)

 多摩川の貴重な干潟環境
 多摩川(たまがわ)は、山梨県・東京都・神奈川県を流れる多摩川水系の本流で一級河川。東京都と神奈川県の県境としての役割も担う。県境全長138km、流域面積1,240km²。堤防はあるものの、首都圏の一級河川でありながら護岸化されていない部分が多く、川辺の野草や野鳥が数多く見られる自然豊かな河川である。

 この河口付近では、かつては海苔の養殖や貝捲き漁が盛んに行われていた。 高級海苔の代名詞として呼ばれた「浅草海苔」は、かつて養殖されていた浅草付近の市街地拡張に伴い養殖漁業が周辺地域に移っており、18世紀初頭には品川・大森での養殖が盛んであったが、河口付近では明治 4年に大師河原(現在の川崎市川崎区)で養殖が始まり、産した海苔は「大師のり」と呼ばれ高級浅草海苔として取引されたという。

 また、河口付近の遠浅の海ではアサリ、ハマグリ、バカガイ(アオヤギ)が大量に獲れ、羽田・大森ではウナギ、カレイ、コチ、ギンポ、アイナメ、エビなどが水揚げされる、豊かな漁場であった。

 ところが、昭和になると京浜工業地帯の一角として鶴見寄りから進められた埋め立てが河口付近まで及ぶとともに、工場廃液による海の汚染が進み、昭和30年代になると獲れた魚が油臭くて買い手がつかなかったという。また昭和44年になると多摩川河口付近でも埋立計画が立ち上がったことを受け、河口付近の沿岸漁業は昭和48年に漁協が漁業権を手放すことで終焉となった。

 しかし、今なお多摩川河口には僅かながらも貴重な干潟環境が残っている。 こうした環境は、今や東京湾内では当地のほかに三番瀬、谷津干潟、盤洲干潟(小櫃川河口付近)、富津干潟など限られた地域に残るのみであり、しかも東京湾内の西岸では唯一の天然干潟でもあることから2000年代に入ってから詳細な調査が進められており、「日本の重要湿地500」に選定されるなど希少かつ貴重な環境として認識されている。春秋の渡り期の種数・個体数が比較的多い。RDB種のセイタカシギが記録されている。 (Wikipedia) 

 

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5月16日金星と月が大接近!金星探査機「あかつき」とは?

2010年05月17日 | 宇宙
科学大好き!アイラブサイエンス!最近気になる科学情報を、くわしく調べやさしく解説!毎日5分!読むだけで、みるみる科学がわかる!
 金星と月の天体ショー
 5月16日の日曜日の夕方、細く美しい月と、ひときわ明るく輝く天体が寄り添う天体ショーが観察できた。あの明るい天体は何だろう?

 そう、宵の明星「金星」である。今、金星がが夕方の西の空で明るく輝いている。今月は、先月よりも日の入後の高度が高くなっているので、見つけやすい。明るさもマイナス4等と、さらに明るくなってきた。

 太陽と月、および人工衛星や流星などの突発的な現象を除けば、星のように輝く天体の中で一番明るいのが金星である。星座を形作る星々の中で一番明るい、おおいぬ座の「シリウス」と比べると、なんと最大で20倍もの明るさになる。

 人気が高いのは、1か月に1度のペースで見られる「三日月との接近」である。とくに5月16日は、細い月が金星にくっつきそうなほど近づいた。

 よく晴れた五月晴れの宵闇に、輝く月と金星はなんともいえないほど美しかった。日本では、金星と月が接近する様子しか観察できなかったが、東南アジアでは、金星が月にかくされる「金星食」が観察できたという。

 次回の天体ショーは5月20日。月はだんだん金星から離れていくが、今度は火星に近づく。8月13日 には、三日月と金星・火星・土星を合わせた4天体の接近ショーが見られる。 

 金星の謎に挑む「あかつき」
 さて、美しい金星に向け惑星探査機「あかつき」が打ち上げられる。

 日本の惑星探査機は、2003年に火星軌道への投入が失敗しており、あかつきが成功すれば史上初めて。金星は、地表の温度が約460度に達し、上空では秒速100メートルの暴風が吹き続ける。その謎の解明に挑む世界初の「金星版気象衛星」として、海外からも注目されている。

 上空の暴風は「スーパーローテーション」(超回転)と呼ばれ、その風速は自転速度の60倍にもなる。なぜ地面との摩擦で減速せず、高速を維持できるのかが大きな謎だ。また、大気の96%は温室効果ガスの二酸化炭素で、それが高温を引き起こしている。しかし、大気の成分が、大きさの似た地球とまったく違っている理由はわかっていない。

 これらがわかれば、地球が現在のような穏やかな大気の状態になれた原因を解明する手がかりにもなる。

 あかつきは、今年12月に金星へ到着し、赤外線や紫外線など様々な種類の光を使って、金星大気の全容に迫る。気温や雲の動き、大気の成分などを、地表付近から高度90キロ・メートルを超える上空まで高さごとに調べる。

 あかつきを運ぶH2Aロケットには、世界初の宇宙ヨット「イカロス」も相乗りする。14メートル四方の帆に太陽からの光を受け、そのエネルギーでヨットのように航行する。宇宙機構は、将来の探査機への活用を目指している。(2010年5月15日13時33分  読売新聞)

 金星探査機「あかつき」とは何か?
 金星探査機「あかつき」(PLANET-C)は、宇宙航空研究開発機構 (JAXA) 宇宙科学研究本部 (ISAS)が計画している金星探査機。火星探査機「のぞみ」(PLANET-B)に続く日本による惑星探査計画で、金星の大気の謎を解明することが目的。

 金星は「地球の兄弟星」と言われてきた。その理由は、金星の大きさや太陽からの距離が地球に近い惑星と考えられているからである。ところが実際には、金星は高温の二酸化炭素に包まれ、硫酸の雲が浮かぶ、地球とはまったく異なる環境だ。

 なぜそうなったのか原因がわかってくれば、地球の誕生や気候変動を解明する手がかりが得られるはず。つまり地球環境を理解する上で最も重要な探査対象なのである。

 この「あかつき」は、そのような金星探査の時代の先駆けとなるもの。計画では、約半年かけて金星の軌道に到達する予定だ。

 赤外線でより詳しく金星の素顔を調査
 「あかつき」は、金星表面からの距離300kmから8万kmまで変化する楕円軌道に投入される。この距離の違いを利用して、金星全体の気象現象や地表面を広い範囲で調べたり、金星から宇宙空間へと逃げ出す大気の観測や雲のクローズアップ撮影を行う。

 また金星表面には毎秒100mにも達する「スーパーローテーション」と呼ばれる暴風が吹き荒れているが、これまでこの自転速度の60倍にも及ぶ風速が発生する原因は気象学的にも理由がつかず、金星最大の謎とされてきた。「あかつき」では、雲の下の大気や地表の様子までを赤外線による観測を行ってその謎の解明に迫る。

 その他、これまで確証のつかめなかった金星での雷の放電現象や、火山活動の有無等を調査することもミッションに含まれている。この計画によって、日本は惑星探査の新たなパイオニアとなることを目指す。

 「あかつき(PLANET-C)」は、ハレー彗星を観測した「すいせい(PLANET-A)」、火星を目指しながらも、目的を遂げられなかった「のぞみ(PLANET-B)」に続く3機目のJAXA惑星探査機。2010年に打ち上げられ、太陽系を半周した後、年内に金星に到着し、金星をめぐる軌道に入る。「はやぶさ(MUSES-C)」でJAXAが習得した惑星間航行の成果が生かされる。(プロジェクトマネージャー中村正人)

 

参考HP JAXA「あかつき特設サイト」・AstroArts「金星を見よう」 

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