東の空の赤い星
夕方日が沈んで、暗くなると、東の空から赤く輝く星が上ってくる。あの星は何だろう?
あの星は火星である。1月28日、2年2ヶ月ぶりに地球に最接近する。赤く見えるのは、地表表面に酸化鉄を多く含んでいるからである。
火星の接近は、2003年8月27日の「大接近」が記憶に新しい。このとき、火星と地球の距離は5576万kmまで近づいた。今回は、9933万kmまで接近する「小接近」である。
2003年の接近では、視直径(見かけの直径)は最大25.13秒角まで大きくなった。今回の接近では、視直径は14.1秒角と、約半分ぐらいの大きさだ。それでも、望遠鏡では十分に火星の表面の模様が観察できる。双眼鏡でも丸い姿が確認できる。
火星の接近と地球
火星に大接近と小接近があるのはなぜだろう?
地球の軌道はかなり円に近いのだが、火星の軌道は少しつぶれた楕円形をしている。また、会合周期がちょうど2年ではなく、2年2ヶ月であるため、火星と地球が接近する位置は毎回ずれていく。そのため、火星が太陽に近いときに地球との接近が起こると地球との距離が近くなり(5500万km程度)、火星が太陽から遠いときに地球との接近が起こると、地球と火星との距離は遠くなる(9900万km程度)。
また火星の1日は地球とほぼ同じ24時間39分35.244秒であるが、1年は686.98 日で地球の約1.9倍だ。また、直径は地球の半分ほどで、表面の重力の強さは地球の40%ほどしかない。火星の表面積は地球の約 1/4、質量は地球の約 1/10 に過ぎないが、火星には海がないため、その表面積は地球の陸地の面積(1.5億平方km)とほぼ等しい。
火星の大気にメタン発見
火星の大気は希薄である。地表での大気圧は約750Paで、地球での平均値の約0.75%に過ぎない。逆に大気の厚さを示すスケールハイトは約11kmに達し、およそ6kmである地球よりも高い。これらはいずれも重力の少なさに起因している。
火星の大気は希薄なために熱を保持する作用が弱く、その結果火星の温度は低い。火星の表面温度は最高でも約20℃である。火星大気の組成は二酸化炭素が95%、窒素が3%、アルゴンが1.6%で、他に微量の酸素と水蒸気を含む。
2003年、地球からの望遠鏡による観測で火星の大気にメタンが含まれている可能性が浮上し、2004年3月のマーズ・エクスプレス探査機の調査によって大気の解析が行われ、事実上その存在が確認された。現在観測されているメタンの量の平均値は体積比で約11±4 ppb である。
火星にメタンが存在することは非常に興味深い。なぜならメタンは火星の環境では不安定な気体なので、それが存在するということはガス源が火星に存在する(または、少なくとも最近100年以内には存在していた)ことを示唆するからである。ガスの生成源としては火山活動や彗星の衝突、あるいはメタン菌のような微生物の形で生命が存在するなどの可能性が考えられているが、いずれも未確認である。
1月30日 月とランデブー
2010年1月の火星接近は、一番地球に近づく28日でも9933万kmと距離が大きく、明るさはマイナス1.2等にとどまる。それでも、全天で一番明るい恒星のシリウスに匹敵する明るさなのですぐに目に付く。シリウスの白と火星の赤が対照的で美しい。また、ほとんど点に近いシリウスの光が気流によって激しくまたたくのに対して、最大で14.1秒角と小さいながらも視直径のある火星は、肉眼ではそれほどちらつかないのが印象的である。
最接近直後の1月30日には、火星が衝になる。衝は、火星は地球から見て太陽と正反対の位置に来る。太陽系を上から見ると、太陽と地球と火星が一直線上に並ぶこと。衝の夜には火星は満月のすぐそばに見え(約7度)、寄り添いながら夜空を横切る天体ショーが見られる。
参考HP 国立天文台・アストロアーツ ・Wikipedia「火星」
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