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ゴム膜型圧電素子で人間発電!呼吸運動で発電、充電できる?

2010年03月05日 | エネルギー
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 圧電素子で夢の技術
 圧電素子とは、何だろう?電子ライターやコンロでカチカチいう物質、あれが圧電素子である。圧電素子は圧電体に加えられた力を電圧に変換する、あるいは電圧を力に変換する、圧電効果を利用した受動素子で、ピエゾ素子(Piezoelectric element)ともいわれる。水晶振動子も圧電素子の一種である。

 主な圧電体として、水晶(SiO2)酸化亜鉛(ZnO)ロッシェル塩(酒石酸カリウム-ナトリウム)(KNaC4H4O6) チタン酸ジルコン酸鉛(PZT:Pb(Zr,Ti)O3)ニオブ酸リチウム(LiNbO3) タンタル酸リチウム(LiTaO3)などがある。

 この圧電素子を使って、歩いたりジョギングしたりする「エネルギー」を電気に変えられないか?そうすれば、人間活動がそのまま発電につながる。しかし、あのカチカチ音を鳴らしながら発電するのは実用的ではない。

 新しい素材は、固いチタン酸ジルコン酸鉛のセラミックを、薄く膜状にして、シリコンゴムに貼り付けたもの。これなら人の体にフィットする。すでに自動車は動きながら、同時に発電もしている。人も活動しながら発電する、そんな夢の技術が開発された。 

 呼吸運動で発電、携帯にも充電
 米プリンストン大などが、圧力をかけると電気を発生する圧電素子をシリコーンゴムのフィルムの上に生成することに成功した。このフィルムは人間の体に埋め込んだりはり付けたりでき、呼吸や歩行の運動から得た電力で携帯電話や心臓ペースメーカーなどを充電することも期待される。専門誌「ナノレター」電子版に発表した。

 圧電素子は、ガス台の点火装置や圧力センサーなどに広く使われているが、材料は硬いセラミック。製造にも高温が必要で、プラスチックやゴムの上に作れない。

 そこで研究チームは最新の半導体製造技術を応用。高効率の圧電素子に使われるチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)の薄膜をシリコーンゴムの上に「印刷」し、圧電素子の性質を示すことを確認した。

 美容整形などに使われるシリコーンゴムは軟らかく安全で、体に埋め込んだりできる。チームは、実際に電力を取り出して携帯電話などを動かす実験を準備中だ。

 論文によると、人間が呼吸するときの肺の運動では1ワット程度、歩くときに足の底が床を踏む運動では67ワットほどのエネルギーが発生する。後者の1~5%を回収できれば携帯電話程度は使えるという。

 JR東日本は、自動改札を通る乗客が床を踏むときのエネルギーを圧電素子で取り出す「発電床」の実験をしたことがある。 (asahi.com 2010年3月2日)

 チタン酸ジルコン酸鉛
 チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)は三元系金属酸化物であるチタン酸鉛とジルコン酸鉛の混晶である。東京工業大学の高木豊、白根元、沢口悦郎らにより1952年に発見された。

 結晶構造はペロブスカイト構造である。この構造は立方晶系の単位格子をもち、立方晶の各頂点に金属Rが、体心に金属Mが、そして金属Mを中心として酸素Oは立方晶の各面心に配置している。

 酸素と金属Mから成る MO6 八面体の向きは金属Rとの相互作用により容易に歪み、これにより より対称性の低い斜方晶や正方晶に相転移する。このとき、圧電性、強誘電性、常磁性などをもつ。この性質を利用して、アクチュエータやセンサなどの圧電素子に多く用いられている。また、強誘電性を用いた強誘電体メモリ (FeRAM) に用いるための研究も活発である。

 圧電フィルム(エピゾフィルム)
 従来、圧電効果をもつ材料として一般的にPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)に代表されるセラミックが多く使われてきた。

 セラミックはアラーム音を出す小型スピーカー等の用途には適しているが、固くて屈曲性、加工性も悪いため大面積で使えないという欠点があった。

 これに対し、株式会社東京センサでは、圧電効果を有するプラスチックPVDF(ポリフッ化 ビニリデン)からつくられた、ピエゾフィルムを開発した。従来のピエゾセラミック等と比較して、すぐれた柔軟性、耐衝撃性、耐高電圧性、耐水性、化学的安定性を備えている。加工性が良く、大面積で薄膜化が容易な圧電素子である。

 大きな圧電定数等を特徴として持つため、各種センサやトランスデューサ、アクチュエータ、低音響インピーダンス等幅広い応用が可能だという。

 

参考HP Wikipedia「圧電素子」「チタン酸ジルコン酸鉛」「ペロブスカイト構造」・株式会社東京センサ「エピゾフィルム 

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