163日間ISS長期宇宙滞在
国際宇宙ステーション(ISS)に5カ月半滞在した飛行士の野口聡一さん(45)らを乗せたソユーズ宇宙船が2日午前9時25分(日本時間同日午後0時25分)、カザフスタンの草原地帯に着陸した。野口さんの宇宙連続滞在は163日となり、昨年3~7月に137日滞在した若田光一さん(46)を抜き、日本人最長を更新した。
着陸後、船外に出た野口さんは、座って健康状態をチェックされながら手を振って笑顔を見せた。帰還の感想を尋ねられ「ハッチが開いた瞬間、土と草のにおいが強烈だった。(地球の空気は)おいしいですよね」と日本語で答えた。手渡されたリンゴをかじり、「重い。ニュートンになった気分だ」と語った。携帯電話で家族に「帰ってきたからね。生きているよ」と話した。
野口さんは2005年にも米スペースシャトルで13日と21時間余り飛行しており、宇宙で過ごした総日数は計177日余りとなった。野口さんは今回の滞在中、日本実験棟「きぼう」のロボットアームに取り付ける小型のアームを組み立てたほか、微小重力を利用した新材料の開発に取り組んだ。
4月にはシャトルで山崎直子さん(39)が到着。初めて宇宙で日本人が2人になった。山崎さんとは一緒にすしを握ったり、琴と横笛で「さくらさくら」を演奏したり。宇宙を身近に感じてもらえるよう、簡易ブログ「ツイッター」に1200回以上、写真や文章を投稿した。
シャトルが退役するため、日本人飛行士は今後もソユーズで地球とISSとを往復する。11年に古川聡さん(46)、12年に星出彰彦さん(41)の飛行が決まっている。2人とも宇宙で長期滞在予定だ。(asahi.com 2010年6月2日)
宇宙連続滞在が、日本人最長の163日となった、野口さんが無事帰ってきてホッとしたところだが、人類はどうして宇宙で長期滞在するのであろうか?
そう、将来の宇宙長期旅行計画に備えて、実験をしているのである。現に米国は火星には2030年半ばに有人飛行計画をしている。
203X年火星旅行
オバマ米大統領は15日、航空宇宙局(NASA)ケネディ宇宙センターで演説し、2030年代半ばまでに月より約200倍遠い火星の軌道に人を送り込むことを柱とする新たな宇宙政策を発表した。オバマ大統領は今年2月、ブッシュ前政権が進めていた有人月探査を含む宇宙計画を撤回したが、それに代わる新たな目標を明らかにした。
オバマ大統領は「私は、我々が火星の周回軌道に人を送り込み、そして無事に地球に戻せるようになると信じている。その先には火星への軟着陸がある」と演説した。その前段階として、2015年までに30億ドル(約2800億円)以上を投資して新たな大型ロケットを設計し、その後建造に着手。25年までに月より遠い宇宙空間への有人飛行を行い、さらに火星と地球の間に横たわる小惑星帯に宇宙飛行士を送ると述べた。
合わせてNASAの予算は今後5年間で60億ドル(約5600億円)増額すると発表。「今後数年間で、宇宙開発関連での1万人以上の雇用を創出する」と説明し、前計画の撤回以来、フロリダ州などのNASA関連企業などで出ていた雇用不安の払拭にも努めた。(毎日新聞 2010年4月16日)
520日間隔離実験
さて、火星旅行の実現化が現実味を帯びてきたが、火星と地球間を往復する時間はどのくらいかかるのであろうか?
正解は520日。ロシアでは往復するのに520日かかる火星への有人飛行を想定し、狭い空間に長期閉じこめた場合の人への影響を調べる、ロシア宇宙庁主導の実験「火星500」の被験者7人が18日、決まった。
ロシア通信などによると、被験者はロシア人4人、フランス人、イタリア人、中国人各1人の7人。27~38歳の男性で、6000人を超す応募者から選ばれた。6月3日に実験が始まる。
7人は、モスクワ市内の医学生物問題研究所に作られた広さ約500平方メートルの摸擬宇宙船内で520日間、共同生活を送り、長期隔離が免疫や精神状態などに与える影響を調べる。
ロイター通信によると、被験者の1人は「火星探査の礎の一部となれれば光栄」と意気込みを語っている。(2010年5月19日 読売新聞)
宇宙に暮らす―宇宙旅行から長期滞在へ (ポピュラー・サイエンス) 松本 信二 裳華房 このアイテムの詳細を見る |
宇宙で過ごした137日 僕の「きぼう」滞在記 若田 光一,朝日新聞取材班 朝日新聞出版 このアイテムの詳細を見る |