2002年8月3日(土)
「GOODBYE」(Polydor 531815)
(1)I'M SO GLAD (2)POLITICIAN (3)SITTIN' ON TOP OF THEWORLD (4)BADGE (5)DOING THAT SCRAPYARD THUNG (6)WHAT A BRINGDOWN
今日の一枚はクリームの、解散記念アルバム。
彼らは68年10月、全米解散ツアーを行い、その短い2年ほどの活動にピリオドを打つのだが、この一枚にその解散ツアーのライヴ録音と、スタジオ録音の両方をおさめている。
(1)から(3)はロサンゼルスのフォーラムでのライヴ、(4)から(6)がスタジオ録音となる。
「FRESH CREAM」にも収録されていた(1)は、スキップ・ジェイムズの原曲を大胆にアレンジ、アップテンポのハードロックへと生まれ変わらせたものだが、この生演奏も実に鬼気迫るものがある。三人が持てるテクニックを最大限に出してぶつかり合うガチンコ勝負。まさに「戦争(BATTLE)」である。
ややラフな印象も否めない(1)に続いては、ミディアムテンポの(2)。「WHEELS OF FIRE」にも収録されていた、へヴィーな一曲である。こちらのほうが、クラプトンのソロもじっくり腰を据えた感じで、出来はいい。
(3)は同じく「WHEELS~」から、ハウリン・ウルフのカバー曲を。思い切りねばっこいブルースの歌とベースを聴くことが出来る。聴いた後は、いささか胃にもたれそう(笑)。
(4)からはガラリと趣きが変わる。(4)はその後もクラプトンの重要なステージ・レパートリーとなったバラード。
契約の関係からか、「ランジェロ・ミステリオーゾ」なる変名でリズム・ギターを弾いているのは、今は亡きジョージ・ハリスン。
曲も彼とクラプトンの共作。これが実に美しいメロディで、本盤のベスト・トラックではないかと思う。
とりわけ、ブレイク後の、レスリー・スピーカーを通したハリスンのアルペジオがたとえようもなく、良い。
クラプトンも、クリームでははじめてきちんとした単独リード・ヴォーカルをとっており、その出来もいい。
しかし続く(5)には「ン?」と頭をひねらざるをえない。ブルース=ブラウン・コンビによる作品だが、メロディ・ラインはッやたらハネるようなクセの強いものだし、いかにもアルバムを完成させるために、やっつけ仕事で書いたような印象あり。
おまけに、クラプトンはろくにソロをとっていない。
(6)はベイカーの作品。トラフィックやブラインド・フェイスにも通ずるものがある、R&B風サウンド。
ちょっと前衛的な曲を書くことの多いベイカーの作品にしては、「まとも」な構成のナンバーといえそう。
以上、ライヴとスタジオのサウンドにはかなりギャップがあるものの、なかなか充実した内容の一枚。
とりわけLAでの、「WHEELS~」のライヴにも迫る大熱演ぶりは、一聴に値いするだろう。
<独断評価>★★★☆