NEST OF BLUESMANIA

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音盤日誌「一日一枚」#130 フレディ・キング「FREDDIE KING(1934-1976)」(Polydor 831 817-2)

2022-03-24 05:09:00 | Weblog

2002年12月7日(土)



フレディ・キング「FREDDIE KING(1934-1976)」(Polydor 831 817-2)

(1)PAC IT UP (2)SHAKE YOUR BOOTIE (3)TAIN'T NOBODY'S BUSINESS IF I DO (4)WOMAN ACROSS THE RIVER (5)SWEET HOME CHICAGO (6)SUGAR SWEET (7)TV MAMA (8)GAMBLING WOMAN BLUES (9)FARTHER ON UP THE ROAD

フレディ・キング、RSO時代のコンピ盤。77年、彼が亡くなった翌年にリリースされた追悼盤でもある。

レオン・ラッセル率いるシェルター・レーベルのもとを辞したフレディは74年、RSOへと移籍する。2年後に急逝、そこが結局、彼の終の住処(ついのすみか)となってしまった。

この一枚は移籍第一弾のアルバム、「Burglar」以降のレコーディングから、未発表音源も含めて9曲がセレクトされている。

(1)は、「Burglar」のトップに収録のナンバー。tRICK bAGもレパートリーにしている。恋人との破局を迎え、「じゃ、オレが出て行くわ」と、荷物一式をまとめて家を出て行く男の歌。

タイトでファンキーなビートに乗せて、おなじみのテンションの高いヴォーカル、すすり泣くようなシャープなギター・プレイを聴かせてくれる。ブルースというよりは、ファンクな一曲。

(2)は、これまたファンキー路線なオリジナル・ナンバー。アルバム未発表。

声を張り上げず、抑え目のヴォーカルがどことなく、先輩のアルバート・キングに似ている。クレジットにはないのだが、女性シンガーとの軽妙かつ色っぽい掛け合いも、また聴きもの。

(3)は未発表のライヴ音源から。ここでは一転、昔ながらのR&B調で。もちろん、ベッシー・スミスがオリジナルの、ブルース・クラシック中のクラシックだ。

どちらかといえばミディアム・テンポで演奏されることの多いこのナンバーを、思い入れたっぷりにスローでキメている。

歌もギターも、実に見事な「タメ」だ。ギターのソリッドな音色が実にイカしている。

(4)もライヴ録音。(3)(4)の2曲はともに75年、テキサス州ダラスで収録されている。

こちらは、シェルター時代の73年リリースされたアルバム「WOMAN ACROSS THE RIVER」のタイトル・チューンの再演。

ミディアム・スローのファンク・ブルース。頻繁なテンポ・チェンジが特色だ。

フレディの売り、ハードなシャウトも、泣きのギターも全開、コテコテな一曲なり。

(5)は74年録音。ごぞんじロバート・ジョンスンの代表曲。その後、ライヴでもしばしばプレイしていたようなので、フレディお気に入りの一曲なのだろう。バンド・サウンド、ややアップ・テンポで演奏。

ここでのギター・ソロは、非常にキャッチーにまとまったものなので、なにかブルース・ギターをコピーしてみようかという方には、格好のネタかも知れない。

(6)は、フレディを師と仰ぐ、エリック・クラプトンのバンドを迎えての74年のレコーディング。(アルバム「Burglar」収録。)

これまたファンク・ブルース路線の一曲。クラプトンの歯切れのいいリズム・ギターに乗せて(なんという贅沢!)、思い切りスクウィーズするフレディ。

もちろん、クラプトン、ジョージ・テリーも、ソロをとる。それぞれの個性が出ていて、なかなか面白い。

(7)もまた、74年、マイアミにての録音。クラプトン・バンドとの共演。アルバム未収録。

当時、レーベルが同じということもあって、彼らは非常に親しい付き合いをしていたようだ。ちょうど、クラプトンがアルバム「461オーシャン・ブールヴァード」を発表したころだ。

こちらはオーソドックスなミディアム・テンポのシャッフル。フレディのオリジナル。

クラプトンは「マザーレス・チルドレン」「アイ・キャント・ホールド・アウト」等でもそうだったが、そのころスライド・ギターに凝っていて、ここでもその達者なプレイを聴くことが出来る。

もち、フレディのめいっぱいスクウィーズの効いたギターもいい。エンディングは「HIDE AWAY」風フレーズでキメてくれます。

(8)もまた、クラプトン・バンドとの共演。フレディ自作の、9分近いスロー・ブルース。74年録音。

曲想としては、B・B・キング、そしてオーティス・ラッシュで有名な「GAMBLER'S BLUES」あたりの影響が強そうな一曲。

冒頭で延々と展開される、フレディの345と、クラプトンのストラトの絡みが実にスリリングだ。

それぞれの音色の微妙な違いを、聴きとってみてほしい。

後半もエンドレスで展開する、泣きのギター・ソロには、ただただ、涙、涙である。

以前、クラプトンの「BLUES」をレビューしたときに、スロー・ブルースの垂れ流しは感心しない、みたいなことを書いたのだが、フレディ・キングくらいの腕前のひとになると、けっこうそれも許せてしまう気がする(笑)。

やはり、借り物ではない、自らの身体がブルースと化したひとの演奏は、いくら延々とソロを聴かされても「冗長」と感じないから、まことに不思議ではある。

ラストの(9)は、クラプトン・バンドのステージにゲストで出演したときの、ライヴ録音。

76年11月15日、ダラスにての収録だから、彼が同年12月28日に亡くなる直前のパフォーマンスといえる。そういう意味でも、実に貴重なテイクだ。

曲はクラプトンが好んで演奏し、いまやおなじみとなった感のある、ボビー・ブルー・ブランドの代表曲。

リード・ヴォーカルはクラプトン。フレディはクラプトンのギター・ソロを引き継いで登場、張りとツヤのある345の音色で、われわれを魅了してくれる。

中間部の、リズム抜きでの「カラミ」も、なんともカッコよろしいし、後半ソロでのハジケぶりもナイス。

最高のライヴ・パフォーマンス、これは必聴でっせ。

というわけで、アルバムからの編集盤というよりは、未発表テイク中心なのだが、いずれも名演ぞろい。晩年とはいえ全然枯れちゃいないフレディの、ハイ・テンションなヴォーカルとギターがフルに楽しめる。

クラプトン・バンドのサポートもあって、かなりロック寄りなサウンドに仕上がっています。ロック・ファンにも超おススメ。

やっぱ、フレキンは28年後の今も、聴くものを必ずや熱くさせまっせ!

<独断評価>★★★★☆


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