新しい時代の古い言葉
「こないだ京都にいったら、鴨川の岸辺にアベックがずらーと並んでいて壮観だった」と話したら、若い連中が顔を見合わせてクスクス笑う。
「なにがおかしいだい」むっとして聞くと「アベックなんて一体、いつ頃の言葉なんですか」と、いたわるような口ぶりである。
「アベックって、あのアベックじゃないか。ほら若い男性と女性がー」「それをいうならカップルとおっしゃってください」と。
五木寛之さんの今日も風に吹かれて「こころの散歩」という本の「新しい時代の古い言葉」に載っていた。
なるほど、われわれの年になると抵抗があるわけではないが、アベックがカップルでなくアベック、身近には、ズボンをパンツと呼ぶらしいが、パンツとはいわずごく普通にズボンという。
パンツはブリーフとかトランクスというが、どうもわれわれの年代には馴染まない。下着はやはりパンツと呼びたいしパンツの上にはくものはズボンと言いたい。
最近呼び名だけでなく、シャツの着方からして世代間に大きな差異がある。裾を外に出したまま着ている若者が多い。昔なら「だらしない」と一喝された。
真似をして多少は流行を意識したいと思いシャツの裾をズボンの外に出してみるが、どうもやっぱりだらしない気がしてまた中に入れる。
最近あまり使われなくなった言葉といえば、チャックというのがある。いまはジッパーというのが普通らしい。
バンドがベルト、喫茶店がカフェ、デザートがスィーツ、数え上げればきりがない。この年になると新しい時代にまだ古い言葉に頼っていることが多い。
な~んて若ぶったところで・・お里が知れる。(失礼)