先月の博多21の会(福博振興部会)での会員向けリモート卓話「近現代史の中の博多商人」で紹介させていただいた明治末の「福岡市案内記(1910年)」。2020年の現代からちょうど110年前、天神地区で開催され天神発展のきっかけとなった「第13回九州沖縄八県連合共進会」の際に刊行された博多の観光案内&老舗商店・企業の広告集。当時としてはとても貴重、商店の店頭や販売商品が写真入りで紹介されています。
今回「福岡市案内記(1910年)」の写真入り商店広告ページを、アーカイブサイトに公開しました。現在まで盛業中の百貨店・岩田屋をはじめ、銘酒「綾杉」や平助筆・復古堂、吉塚時代の「吉塚うなぎ屋」、明治元年創業の岩崎建設など150点を超える商店・企業が掲載されています。ちなみに、現在まで使用されている福岡市のシンボルマークはこの前年に制定されたもので、「フ」を9つ組み合わせた印象的なマークは表紙デザインに使用されています。
博多21の会・福博振興部会での会員向けリモート卓話では、これ以外にも明治から昭和にかけて発行された「福岡市案内」「はかた土産案内」「福岡県案内」などの行政が刊行した公式資料をはじめ、民間で発行された「博多のうわさ」「博多春秋」「博多余情」などの雑誌、さらに名店会・博多抜天会の季刊冊子「博多ばってん」などの情報誌も活用して、博多商人ならではの時代を生き抜く技や共同宣伝、時代に応じて業態を換えて盛業中の企業を紹介。
ZOOMを活用したリモート卓話は初めてでしたが、意見交換や質問対応もスムーズに進みました。どこに居ても卓話に参加できるので、今後いろんな活用方法も見えてきて有意義な1時間でした。
戦後の「博多ばってん」はイメージ広告の創成期の写真広告。明治30年創業のウエダ洋品店さん(博多駅地下街で盛業中)の広告には、稲尾和久さんら西鉄ライオンズの選手たちが毎号モデルとなっていて興味は尽きません。上の写真の文具「とうじ」さんの写真は、卓話に参加していただいた冬至社長によれば「男子学生2人は私の兄だよ」とのことで、万年筆のイメージ広告写真撮影の舞台裏まで知ることができました(笑)。
平成のはじめまで季刊で発行されていた「博多ばってん」、私は初期の50冊ほどを入手しているので、順次デジタル化を進めて公開したいと準備中です。資料からは、宣伝手法の変遷や最先端の表現が垣間見れ、地方ファッションの変遷まで解読できるのですが、東京はともかく福岡など地方のその類の資料は少なく、活用方法の情報蓄積も含めてアーカイブ化に取り組み開始。その第一弾が「福岡市案内記(1910年)」です。
記念フォトブック「福ビルと天神の60年〜さよなら福岡ビル・再開発記念フォトグラフ」残数わずか!
LOVE FM 76.1MHz 「JAL九州歴史ロマン街道」2020年4月より9月まで第2クール放送(毎月第3・第4・第5土曜日13:00〜13:30)。コロナ禍の影響で一旦放送は終了されました。
新刊Vol.24「天神大牟田線80th 歴代車両図鑑」等フォトブックシリーズ全27冊通販ページ
にしてつWebミュージアム(企画構成を担当)
西日本鉄道創立110周年記念誌『まちとともに、新たな時代へ』第1部は「天神発展史」
アーカイブ画像ライブラリー(アンティーク絵葉書に観る懐かしの風景・町並みアーカイブス)
KBC「栄光の西鉄ライオンズ」DVD紹介の特設ページ(企画構成・台本・監修を担当)