かなり面白い資料を入手!昭和10年の「熊本逓信局管内送電線路及発電所図」です。
現在の九州電力、西日本鉄道などの前身である赤印(60サイクル)の東邦電力(松永安左エ門)と緑印(50サイクル)の九州水力電気(麻生太吉、村上巧児)の電力覇権争いの貴重資料、当時の勢力図がわかります。
北九州・筑豊は九水(子会社の九州電気軌道、旧博多電気軌道を含む)の独壇場、福岡・筑後・佐賀は東邦(九州電灯鉄道、九州鉄道、西部合同瓦斯他)優勢ながらも、福岡市に関しては九水が東側を抑えています。
この図、広げると駅貼りの一番大きなポスターほどの大判、細かく調べれば当分楽しめそう……。
那珂川沿いの美野島堰界隈を散歩すると、この図に表されている電力勢力争いに絡んでいそうな古い電力境界碑があります。(下の写真)右は九州電力に統合されてからのものですが、電力の境界を表しているようです。ちゃんと調べたいなと思いつつ、さてどうしたものか。
さらに、送電線の勢力争いの名残りといえば、西鉄福岡市内線の痕跡がある「馬出電停跡」そばにある古い電柱もそうですね。
松永安左エ門が開業した福博電気軌道時代を経て、電車の設備が西鉄になってからも電柱そのものは東邦電力を経て九州配電と日本発送電の再編で九州電力になるまで、松永派のものでした。
馬出地区に2本残る東邦電力時代からの電柱、移築した1本を含めて福岡市内線の痕跡であることは確かですが、所有はずっと九電という次第です。
西日本鉄道は成立時の村上巧児以降、昭和期の社長の大半が、村上の後輩である旧九州電気軌道&九州水力電気出身者。西鉄ライオンズ全盛期を演出したのもそうです。逆に九州電力は松永安左エ門の後輩である旧東邦電力出身者が大半を占め、戦時下の企業統合により誕生した電気(九州電力)・ガス(西部ガス)・交通(西日本鉄道)のルーツは調べるほどに面白いですね。