先日、ずっと探していた幻の「船越鉄道」株主名簿を入手しました。
日清戦争の頃、筑豊炭田の石炭を博多経由で船越(糸島市船越)まで運ぶための鉄道計画。戦後不況などで計画は頓挫し、熱を入れていたという紙与呉服店(渡辺通りに名前を遺す)3代目・渡辺與三郎は、責任をとり「與八郎」へ改名するきっかけとなった未成線計画。
参照:にしてつWEBミュージアム「特集・渡辺與八郎の未来都市」船越鉄道と博多絹綿紡績
600名を超える株主や引き受け株数を見ると、色々な人間模様も見えてきます(^.^)。名簿の筆頭には黒田長成公、次からは昨年の大河ドラマ「青天を衝け」に登場した渋沢栄一をはじめとする東京の面々が名を連ねて…。とくに渋沢栄一については、船越鉄道の発起&支援には欠かせないとの判断から、福岡へ招いて計画地や終点・船越湾などの視察を計画するも、計画反対派の妨害に遭って視察等が叶わなかったという逸話も。
熊本出身の大阪毎日新聞社・本山彦一(春のセンバツ高校野球創始)、松方幸次郎(九州電気軌道、松方コレクション)、廣岡信五郎(朝ドラ「あさが来た」廣岡浅子主人)…。日本の近現代史と偉人好きにはたまらない名前が連なります。
福岡人のページにも明治の偉人がズラリ。磯野七平(二代福岡市長、磯野鋳造所)や太田清蔵(4代目・博多絹綿紡績、博多湾鉄道、代議士)、中尾卯兵衛(成田屋・綾杉酒造)、安川敬一郎・松本潜(安川財閥)ら。
復古堂・河原田平助、河内卯兵衛(筑前参宮鉄道、福岡市長)はじめ、それぞれ逸話多しの博多商人たちも…。名前を見ているだけでワクワクしてきます。
時間をかけて名簿に記載のある方々を観察して、今秋の刊行を計画している拙著「渡辺與八郎の未来都市(仮)」に生かそうと思っています。