その昔、アニメーション作品はまだ「テレビまんが」と呼ばれていました。
完全に子ども向きのメディアとされ、映像分野の中でも格下だった頃に西崎義展という男がまさに革命を起こしました。
氏はプロデューサーとして腕を奮い……といえば聞こえは良いのですがとにかくやりくちが悪辣で圧倒的なコミュ力の高さでいい調子に他人を乗せ金を集めまくり、その出資者が大損しようともどこ吹く風とばかり彼の前にはいつも金(多額の借金も含めて)がありました。
集めた金で何人もの女性をとっかえひっかえはべらせ不動産や大型クルーザーを買い、最後にはそのクルーザーから海に落ちて死亡となったその時も「ついにあいつが刺された」と誰もがそう思ったそうです。
氏に芸術的才能はさほど無かったようですが、その金への嗅覚と派手好きブランド好きは今につながる大きな功績も残していました。
「テレビまんが」であった「宇宙戦艦ヤマト」にオーケストラで演奏されるような壮大な劇伴曲をつけたのです。
それが無ければアニメ作品の音楽の歴史は以降どうなっていたのでしょうか?
さすがにいつまでもそのままということは無いにせよ、数年は遅れていたのは間違いないと言われています。
(企画段階ではバルバスバウも無く戦艦長門をでっぷりとしたようなカタチだった宇宙戦艦ですが、松本零士先生が描く宇宙に惚れこみ引き入れたことにより一気にデザインが洗練されたのも西崎氏の才覚によるものですね)
昨日、サントリーホールで「宇宙戦艦ヤマト」の演奏会があったので聴きに行きました。
演奏するのは「シエナ・ウインド・オーケストラ」
シエナと言えばレナード・バーンスタイン最後の弟子(とネスカフェゴールドブレンドのCMで言ってた)「佐渡裕」さんが指揮を振ることも多い吹奏楽団ですね。
ぼくも佐渡さんとシエナのファミリーコンサートに子ども連れて行ったことがあります。
最近はアニメコンテンツのオーケストライベントも多いのですが、今回は吹奏楽です。
ヤマトは今では海上自衛隊演奏隊の定番となっていて、海外艦の寄港や出港の際には「行進曲軍艦(いわゆる軍艦マーチ)」と共に演奏されるほど吹奏楽とも相性が良いですからね。
演奏会の翌日となった今でも心と体が震えっぱなしです。
最高でした!
ヤマトはどの曲も身体に染みついているのですから。
今回は純粋な演奏会でありフィルムコンサートでは無かったのですが、それでも演奏中にはずっとそこは大宇宙でした。
ガミラス国歌「ガーレ・ガミロン」も(心の中で)高らかに歌いました!
作曲者の宮川泰氏の息子でありリメイクヤマトの2199以降作品の音楽を担当している宮川彬良氏による指揮。
彼のMCではずっとお父様への尊敬(そして嫉妬)が溢れていました。
彬良さんはウチの娘が小さい事は「クインテット」いつも見ていましたから、アキラさんの音楽を聴けて嬉しかったな。
ヤマト艦載機コスモタイガーIIの発進シーケンスで流れる曲にウルトラシリーズにおける防衛隊メカの発進シーンの「ワンダバ」コーラスを合わせたのって天才じゃん!
このビジュアルがもう素晴らしい。
スターシャさんとテレサさんに導かれるヤマト、キリシマ、アンドロメダの新旧3戦艦、そして駆逐艦ユキカゼの艦隊が描かれています。
残念なのはこのビジュアルのグッズが発売されていなかったこと。
アニメのライブイベントならクリアファイルやタペストリー、この絵のキャラや艦艇の画像データをそれぞれに分けアクキーや缶バッチにだってなるよ。
もっと商魂たくましくやって欲しかったー
オーケストラももちろん良いけれどぼくはやっぱり吹奏楽の音がより好きなんだなと再認識しました。
来年1月の「ラブライブ!」のオケコン再演が終わったらこんどはウィンドオーケストラでも演って! お願い!!
2年前の公演のダイジェストがシエナ公式より公開されています。
シエナ・ウインド・オーケストラ第51回定期演奏会「ヤマト祭り」
クラシック専門ホールとして作られたサントリーホールで開催されたことはヤマトファンとしても誇らしいけれど、今度は本港すぐの立地の横須賀芸術劇場でもやらない?
ロケ的に。