マリーのアトリエ

札幌時計台近くのハンドメイドショップ、マリヤ手芸店のスタッフブログです。

80年前のリボン刺しゅう

2009-01-08 08:39:34 | Legacy of Mariya
マリヤ手芸店の3階にはギャラリーがあって、
様々な手工芸作品の展示スペースとしてご利用頂いています
2009年の年明けは、1月4日から27日まで、
マリヤ手芸店の創設者、本間テイさんの作品を紹介する、
特別展を開催しています



本間テイさん(1898~1977)は日本画、刺しゅう、染織工芸などを学んで、
良家のお嬢さんなどに、その技法を教えていたのがマリヤ手芸店の始まりだったそうです。
当時は一般には入手困難だった、輸入物の刺しゅう材料や染料などを使っていて、
生徒さんにその材料をお分けいていたのが、だんだん本格的な手芸店となっていきました
マリヤは、現在でも普通の糸針ボタンなどの洋裁関係は扱っていない
不思議な手芸店なのですが、創業当時からマニアックだったんですね



本間テイさんが制作された、すばらしい手工芸作品をマリヤでは大切に保存して、
毎年、ギャラリーに展示して皆さまに見て頂く機会を設けています。
(虫干しも兼ねているそうです
今回は、リボン刺しゅうの力作をご紹介しますね
ミレーの「落穂拾」をすべてリボン刺しゅうで刺した作品です(1930年作)



細かい色の濃淡がきれいですね
輸入物の生成りのシルクのリボンを、すべて自分で染色したそうです。
科学染料が出たばかりの頃で、工場などでしか手に入らなかった
ドイツの化学染料を小分けしてもらったんですって
80年ほど経っていますが、今も美しい色合いがそのまま残っています



色だけでなく、落穂の枯れた感じやスカートのひだ、遠くの馬の描写など、
リボンの風合いをうまく使って表現しています。
今は、リボン刺しゅうっていうと、お花のモチーフをちょこっと刺す程度ですよね。
こんな風に、全面リボンで埋めつくした絵画のような作品は、
大変貴重なのではないでしょうか



薔薇」(1927年作)
こちらも自分でリボンを染色して刺した作品です
薔薇や葉の微妙な色合いが、美しいです
手工芸の歴史を垣間見ることができる、本間テイさんの力作ばかりですので
機会があったら、ぜひ見にいらしてくださいね


コメント
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