北海道の釧路湿原で、プロの自然観察ガイドをお務めになっている安藤誠さんのお話を伺いました。
東京農工大学大学院技術経営研究科教授の松下博宣さんが、11月8日に開催した「寺子屋セミナー」に出席しました。松下さんはMOT(マネジメント・オブ・テクノロジー、技術経営)を教えている方です。
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今回は“釧路湿原の自然起業家”というタイトルでゲスト講師をお呼びになりました。その講師は、釧路湿原でプロのガイドを仕事としている安藤さんです。松下さんは自然大好きのサイクリスト(自転車愛好者)で、今年の夏に北海道を自転車で回った時に、釧路湿原で安藤さんに自然ガイドしていただいたことが今回の寺子屋セミナーにお招きするきっかけになったようです。今回、安藤さんのお話を伺って、プロの仕事とは何かを伺った気がしました。
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自然ガイドは、最近は日本の各地の森や湿原などで数多く活躍されています。多くがボランティアベースで、実費プラスアルファと低価格でガイドしていただけます。これに対して、山岳ガイドはプロのガイドですから、それに見合った対価がかかります。安藤さんも、日本のプロの山岳ガイドのようにプロのガイドです。北海道認定のアウトドアガイドの資格をお持ちです。なかなか取得が難しいガイド資格だそうです。日本では、億円単位の保険をかけられる数少ないガイドの一人だそうです。欧米などの有力な自然ツアー会社は億円単位の保険をかけられるガイドでないと、ツアー客を送り込んでこないそうです。素人は簡単には入れない釧路湿原を、安全に快適にツアーする自然ガイドを提供してるとのことでした。
安藤さんが住む北海道阿寒郡鶴居村(つるいむら)の雪裡原野北は、50キロメートル四方に他人が住んでいない原野だそうです。経営する宿の「ヒッコリーウィンド」の目の前には、タンチョウが遊ぶ自然を広がっているそうです。釧路湿原には1000年間も、人間が入ったことがない原野も残っているとのお話でした。真冬はマイナス30度以下になる原野だからこそ、本州の山野とは異なる自然が残っているのだとのことです。
安藤さんは、ガイドがいないと入れない特別地区の原野などに自然観察ツアー客をお連れします。カヌーなどで、二泊三日の小旅行などをするそうです。安藤さんはツアー客を迎えると、その人物を観察し、その方が120%満足する自然観察ツアーを組み立てるそうです。一人ひとりに最適な自然観察の内容を企画し、自然に触れて本当に良かったと思ってもらうツアーを実践しているそうです。プロのガイドの矜持(きょうじ)です。ツアー客がつい笑ってしまうような大自然に接することができるなど、これまで普通の方が体験したことのないガイドを実践しています。
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(上記の写真は安藤さんのWebサイトから)
安藤さんのお話をうかがって、プロの仕事人はみな同じ能力を持っていると思いました。例えば、プロの料理人は、お客と話をしながら、その方の体調や好みを聞いたり推定したりして、その時の旬の食材でその方が元気になる料理を出します。お客は、食べて良かったと実感することで、元気になるのがプロの仕事です。対価も、満足感の中の一要素です。
今回の講演で、タンチョウやヒグマ、エゾフクロウなどの写真を見せていただきました。写っているものは、撮影者である安藤さんに相手の動物が安心し親近感を見せているものです。これだけでも感心する内容です。それに加えて、安藤さんがすご腕の写真家であることも分かりました。カメラメーカーのニコンの認定のカメラマンだそうです。どうしてこんなにすごい写真が撮影できるのかが分からないような、プロの高度なテクニックを見せていただきました。例えば、原野に立つ木の背景に夕日が映り、遠くの山が写り、そして満天の星々が写っている写真は、どうしてこんなにいろいろな要素が多く同時に写せるのか分かりませんでした。
松下さんが今回の寺子屋セミナーのタイトルを「釧路湿原の自然起業家」とされた理由は、安藤さんが国土交通所省、経済産業省、農林水産省が認定する地域資源活用計画事業認定事業者として旅行者に向けて釧路湿原体験観光プログラムを実践し、地域興しを図っているからです。自然大好きと自然保護をどう両立させるかを、プロとして考えている方です。
今回の講演で「好きなことを仕事にするのは‥‥」という聴講者からの質問に対して、安藤さんは「伝えたいものがあれば、好きなことを仕事にすればいい」とお答えになりました。プロとしての見識がでた答えでした。また、アイヌの方々のタンチョウやヒグマとの接し方、とらえ方など、ふだんは気が付かない視点をいくつも教えてくれる講演でした。
東京農工大学大学院技術経営研究科教授の松下博宣さんが、11月8日に開催した「寺子屋セミナー」に出席しました。松下さんはMOT(マネジメント・オブ・テクノロジー、技術経営)を教えている方です。
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今回は“釧路湿原の自然起業家”というタイトルでゲスト講師をお呼びになりました。その講師は、釧路湿原でプロのガイドを仕事としている安藤さんです。松下さんは自然大好きのサイクリスト(自転車愛好者)で、今年の夏に北海道を自転車で回った時に、釧路湿原で安藤さんに自然ガイドしていただいたことが今回の寺子屋セミナーにお招きするきっかけになったようです。今回、安藤さんのお話を伺って、プロの仕事とは何かを伺った気がしました。
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自然ガイドは、最近は日本の各地の森や湿原などで数多く活躍されています。多くがボランティアベースで、実費プラスアルファと低価格でガイドしていただけます。これに対して、山岳ガイドはプロのガイドですから、それに見合った対価がかかります。安藤さんも、日本のプロの山岳ガイドのようにプロのガイドです。北海道認定のアウトドアガイドの資格をお持ちです。なかなか取得が難しいガイド資格だそうです。日本では、億円単位の保険をかけられる数少ないガイドの一人だそうです。欧米などの有力な自然ツアー会社は億円単位の保険をかけられるガイドでないと、ツアー客を送り込んでこないそうです。素人は簡単には入れない釧路湿原を、安全に快適にツアーする自然ガイドを提供してるとのことでした。
安藤さんが住む北海道阿寒郡鶴居村(つるいむら)の雪裡原野北は、50キロメートル四方に他人が住んでいない原野だそうです。経営する宿の「ヒッコリーウィンド」の目の前には、タンチョウが遊ぶ自然を広がっているそうです。釧路湿原には1000年間も、人間が入ったことがない原野も残っているとのお話でした。真冬はマイナス30度以下になる原野だからこそ、本州の山野とは異なる自然が残っているのだとのことです。
安藤さんは、ガイドがいないと入れない特別地区の原野などに自然観察ツアー客をお連れします。カヌーなどで、二泊三日の小旅行などをするそうです。安藤さんはツアー客を迎えると、その人物を観察し、その方が120%満足する自然観察ツアーを組み立てるそうです。一人ひとりに最適な自然観察の内容を企画し、自然に触れて本当に良かったと思ってもらうツアーを実践しているそうです。プロのガイドの矜持(きょうじ)です。ツアー客がつい笑ってしまうような大自然に接することができるなど、これまで普通の方が体験したことのないガイドを実践しています。
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(上記の写真は安藤さんのWebサイトから)
安藤さんのお話をうかがって、プロの仕事人はみな同じ能力を持っていると思いました。例えば、プロの料理人は、お客と話をしながら、その方の体調や好みを聞いたり推定したりして、その時の旬の食材でその方が元気になる料理を出します。お客は、食べて良かったと実感することで、元気になるのがプロの仕事です。対価も、満足感の中の一要素です。
今回の講演で、タンチョウやヒグマ、エゾフクロウなどの写真を見せていただきました。写っているものは、撮影者である安藤さんに相手の動物が安心し親近感を見せているものです。これだけでも感心する内容です。それに加えて、安藤さんがすご腕の写真家であることも分かりました。カメラメーカーのニコンの認定のカメラマンだそうです。どうしてこんなにすごい写真が撮影できるのかが分からないような、プロの高度なテクニックを見せていただきました。例えば、原野に立つ木の背景に夕日が映り、遠くの山が写り、そして満天の星々が写っている写真は、どうしてこんなにいろいろな要素が多く同時に写せるのか分かりませんでした。
松下さんが今回の寺子屋セミナーのタイトルを「釧路湿原の自然起業家」とされた理由は、安藤さんが国土交通所省、経済産業省、農林水産省が認定する地域資源活用計画事業認定事業者として旅行者に向けて釧路湿原体験観光プログラムを実践し、地域興しを図っているからです。自然大好きと自然保護をどう両立させるかを、プロとして考えている方です。
今回の講演で「好きなことを仕事にするのは‥‥」という聴講者からの質問に対して、安藤さんは「伝えたいものがあれば、好きなことを仕事にすればいい」とお答えになりました。プロとしての見識がでた答えでした。また、アイヌの方々のタンチョウやヒグマとの接し方、とらえ方など、ふだんは気が付かない視点をいくつも教えてくれる講演でした。