日産自動車の“自動走行車”のニュース報道は、8月27日の新聞紙の夕刊の報道やテレビのニュース番組での報道から始まり、その後はテレビの情報番組などでも取り上げられ、“自動走行車”の登場が近いとの印象を与えました。
日産自動車は電気自動車「リーフ」に距離センサーや視覚センサーとしてのCCD(電荷結合素子)カメラなどを車体の各所に取り付け、このセンサーからの情報を基に、搭載したコンピューターによる人工知能が道路辱状況、障害物、標識などを識別して、どう走るかを判断しているそうです。CCD(電荷結合素子)カメラはアラウンド・ビュー・モニターになっています。
日産自動車は「2020年までに発売する」と発表したそうです。日産自動車は米国カリフォルニア州で開催した大規模イベント「日産360」で、“自動走行車”の走行振りを公表しました。
今回の“自動走行車”のお披露目を米国で開催したことがポイントです。日産自動車は現在、“自動走行車の要素技術について、米マサチューセッツ工科大学(MIT)、米スタンフォード大学、米カーネギーメロン大学、英オックスフォード大学、東京大学などの国内・国外の大学や研究機関と共同で研究開発しています。米国で発表することで、世界各国の研究機関や研究開発型ベンチャー企業などと共同研究開発を図りたいと公表したことを意味します。
トヨタ自動車も、2013年1月に米国ラスベガス市で開催された世界最大のエレクトロニクス展示会「International CES 2013(CES)」の会場で、無人での自動運転を実現する実験車を発表し、話題を集めました。
これまでの報道によると、トヨタ自動車は“自動走行車”を研究開発している米国グーグル社(Google)と共同研究開発を模索しながら、実現しなかったようだと考えられています。グーグル社は2010年ぐらいから“自動走行車”の研究開発を本格化し、一部では公道走行の許可を取り付けています。
未来に登場する“自動走行車”が“自動車”開発の延長線にあるのか、ロボットに近い人工知能応用の延長線にあるのか分からないからです。“自動走行車”の実現までには、どのぐらいの要素技術を束ねる必要があるのか、研究開発費と事業経緯費は不透明です。
その要素技術は部分的に実用化されています。赤外線センサーやレーザーセンサー、CCDカメラなどによって、道路の前方に何か障害物がないか、先行車との距離が適切かどうかなどを判定する要素技術は既に、高級車を中心に搭載されています。ただし、ブレーキをかけるかどうかの最終判断は運転者に任されています。
部分的には、富士重工業の「Eye-Sight」という自動ブレーキ技術が話題を集めました。実際には、ドイツのフォルクスワーゲン社とスエーデンのボルボ社、ドイツのメルセデス・ベンツ社などがオプション装備として一足早く実用化しています。対象自動車の走行スピードが比較的ゆっくりしているなどの条件での下で、作動します。
日本では最近は、軽自動車にも比較的低価格の自動ブレーキ機能を搭載し始めています。
また、乗用車の各所にCCDカメラを取り付けて周囲の状況や相対的な位置情報を基に、車庫入れや路上駐車の支援をする機能も、部分的には実用化されています。
“自動走行車”の研究開発に火をつけたのは、米国防総省の研究支援組織であるDARPA(Defense Advanced Research Projects Agency)が主催した自動運転車競技です。2003~2007年の5年間に開催しました。
“自動走行車”という解がどの辺りにあるのか、人類はどう活用できるのかなど興味は尽きません。