2016年4月29日に発行された朝日新聞紙の朝刊の経済面に掲載された連載「けいざい+ 東芝の迷宮・8 パソコン事業 小さすぎた実力」を拝読しました。
連載8回目の解説は、東芝が不正な会計処理をした総計2249億円内の約4分の1を占めたパソコン事業の不正の実態解明です。今回引責辞任した歴代の3社長は東芝のパソコン事業の栄光の時代をいつまでも夢見ていたことが示されます。
朝日新聞紙のWeb版である朝日新聞 DIGTALでは、見出し「東芝の迷宮・8 パソコン事業 小さすぎた実力」と報じています。
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この記事では、東芝がパソコン事業で行った不正会計のやり方を明らかにします。東芝は自社のノート型パソコン「dynabook」の製造を台湾のパソコン生産メーカーに委託しています(日本のパソコンメーカーは現在、人件費の安い台湾企業に製造を委託しています)。
2001年3月に設立された東芝の子会社の台湾にある東芝国際調達台湾社は、同社が仕入れた部品を、委託先のパソコン生産メーカーに販売します。この時に、実際より高値で販売します。そして、製造委託したパソコン完成品を買取ります。部品を実際より高値で販売する“マスキング”という手法で、部品の売上げを高くみせています。
実際には、パソコン完成品を買取るときに、その“高値分”を上乗せして買取っています。このやり方は「バイセル」という取引です。これによって、パソコン事業での利益かさ上げによる不正額は税引き前損益ベースで合計578億円に上りました。
東芝は1985年にIBM PC互換ラップトップ・パソコン「T1100」を世界で初めて商品化し、現在のノート型パソコンという製品分野を創出します。東芝は、このノート型パソコンの開発によって、デスクトップ型ではない市場で優勢をとる戦略をとります。
このノート型パソコンの開発する直前まで、日本市場ではワードプロセッサーという日本独自の製品で、東芝は「Rupo」を販売し、当時の富士通やNEC、パナソノック(当時は松下電工)とワードプロセッサー市場でし烈な販売競争をしていました。
この日本語ワードプロセッサーという製品も東芝が初めて実用化しました(東芝の青梅工場に第一号が展示されています)。実用化では日本の他社に先駆けるとの自負を持ち、「T1100」を世界で初めて商品化します。実は、この「T1100」は米国国防省が一定数量をまとめ買いするという裏技によって、製品価格を抑えたとの伝説があります。
製品価格が高く収益率が高かったノート型パソコンの事業で東芝は成功します。この時に貢献した西田厚聰さんはその事業実績から常務、上席常務、執行専務を経て、2005年に社長に就任します。しかし、この時の高収益には、「バイセル」という不正取引があったと推定されています。
日本では、ノート型パソコン市場を築き、電気メーカー各社は事業収益を上げます。例えば、ソニーは一時、画像・音楽処理などに優れた「VAIO」というノート型パソコンで市場をリードします。
ところが、2007年1月に米国のアップル社が「iPhone」というスマートフォンを発売すると、ユーザーの中にはノート型パソコンを使わない者が増えます。この結果、ノート型パソコン市場は潮目が変わり、急速に市場が縮小します。
この結果、例えばソニーはノート型パソコンの「VAIO」事業を他社に譲ります。これに対して、東芝は昔の栄光に惑わされ、ノート型パソコン事業の再建を模索し続けます。こうしたことが、長年の会計不正処理の根底にあると推定しています。
連載8回目の解説は、東芝が不正な会計処理をした総計2249億円内の約4分の1を占めたパソコン事業の不正の実態解明です。今回引責辞任した歴代の3社長は東芝のパソコン事業の栄光の時代をいつまでも夢見ていたことが示されます。
朝日新聞紙のWeb版である朝日新聞 DIGTALでは、見出し「東芝の迷宮・8 パソコン事業 小さすぎた実力」と報じています。
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この記事では、東芝がパソコン事業で行った不正会計のやり方を明らかにします。東芝は自社のノート型パソコン「dynabook」の製造を台湾のパソコン生産メーカーに委託しています(日本のパソコンメーカーは現在、人件費の安い台湾企業に製造を委託しています)。
2001年3月に設立された東芝の子会社の台湾にある東芝国際調達台湾社は、同社が仕入れた部品を、委託先のパソコン生産メーカーに販売します。この時に、実際より高値で販売します。そして、製造委託したパソコン完成品を買取ります。部品を実際より高値で販売する“マスキング”という手法で、部品の売上げを高くみせています。
実際には、パソコン完成品を買取るときに、その“高値分”を上乗せして買取っています。このやり方は「バイセル」という取引です。これによって、パソコン事業での利益かさ上げによる不正額は税引き前損益ベースで合計578億円に上りました。
東芝は1985年にIBM PC互換ラップトップ・パソコン「T1100」を世界で初めて商品化し、現在のノート型パソコンという製品分野を創出します。東芝は、このノート型パソコンの開発によって、デスクトップ型ではない市場で優勢をとる戦略をとります。
このノート型パソコンの開発する直前まで、日本市場ではワードプロセッサーという日本独自の製品で、東芝は「Rupo」を販売し、当時の富士通やNEC、パナソノック(当時は松下電工)とワードプロセッサー市場でし烈な販売競争をしていました。
この日本語ワードプロセッサーという製品も東芝が初めて実用化しました(東芝の青梅工場に第一号が展示されています)。実用化では日本の他社に先駆けるとの自負を持ち、「T1100」を世界で初めて商品化します。実は、この「T1100」は米国国防省が一定数量をまとめ買いするという裏技によって、製品価格を抑えたとの伝説があります。
製品価格が高く収益率が高かったノート型パソコンの事業で東芝は成功します。この時に貢献した西田厚聰さんはその事業実績から常務、上席常務、執行専務を経て、2005年に社長に就任します。しかし、この時の高収益には、「バイセル」という不正取引があったと推定されています。
日本では、ノート型パソコン市場を築き、電気メーカー各社は事業収益を上げます。例えば、ソニーは一時、画像・音楽処理などに優れた「VAIO」というノート型パソコンで市場をリードします。
ところが、2007年1月に米国のアップル社が「iPhone」というスマートフォンを発売すると、ユーザーの中にはノート型パソコンを使わない者が増えます。この結果、ノート型パソコン市場は潮目が変わり、急速に市場が縮小します。
この結果、例えばソニーはノート型パソコンの「VAIO」事業を他社に譲ります。これに対して、東芝は昔の栄光に惑わされ、ノート型パソコン事業の再建を模索し続けます。こうしたことが、長年の会計不正処理の根底にあると推定しています。