東京工業大学の講義「新エネルギービジネスとコミュニケーション」を聴講し始めました。
6月10日木曜日から21日月曜日までのウイークデーの夜に開講される集中授業です。この講義は「エネルギー分野で異業種間コミュニケーションできる人材を育てる」ことが狙いだそうです。この狙いは複層的です。「企業のニーズと地域のニーズに基づくコミュニケーション」という二つのニーズを考えることも狙いだそうです。
講義の主宰者・企画者は、2009年11月に横断組織として設立された環境エネルギー機構の西條美紀教授です。原籍は留学生センターに所属し、東工大で科学技術コミュニケーション論を展開している中心の方です。

その西條教授が企画し、企業の方々をゲスト講師としてお呼びしてお話を伺います。午後6時から7時を間30分までの講義で、大学院の修士課程の学生の方が多く受講しています。社会人の方もいますが、ほとんどが東工大大学院の方のようです。
「新エネルギービジネスとコミュニケーション」という講義内容は、カリキュラムのタイトルからは、最初は全貌(ぜんぼう)がつかめませんでした。第1回目の西條教授ご自身による講義全体の狙いの説明を伺って、中身を自分なりに理解しました。
現在の複雑な社会システムの中で生きるには、コミュニケーション能力が重要になります。今回の講義は社会システムを「エネルギー」という切り口で考えてみましょうということのようです。そのためには、コミュニケーション能力が重要になるとのことのようです。
日本はエネルギーの大部分を輸入に依存している先進国です。「石油などの化石燃料は約30年で枯渇する」と言われ続けています。少なくとも石油はかなり掘り出し、新しい油田を探し続けています。このため、かなり採取した油田からさらに採油する仕組みを導入したり、足場の悪い海底油田などにも頼る必要が出て来ています。その結果の一つが、米国メキシコ湾の原油流出事故です。米国は油田の代わりに、オイルサンド(原油がしみ込んだ石や砂など)を原油源にする計画も進めています。
最近の日本での便利な生活はエネルギー多消費に支えられています。このため、日本は石油やLNG(液化天然ガス)を輸入し、発電源や自宅の熱源として利用しています。その一方で、新エネルギー源として太陽光発電や風力発電、地熱発電などのシステムの事業化を強力に推進しています。燃料電池や海洋温度差発電の製品化も図っています。特に、家庭用燃料電池は世界で初めて日本企業が製品化しました。詳細は公表できませんが、太陽光発電の研究開発プロジェクトや海洋温度差発電の要素技術開発などの評価にかかわった経験を持っています。実は今、バイオマス・エネルギーの研究開発など「グリーンイノベーション」の一部を評価している最中です。
新エネルギー製品・事業の研究開発では、事業化を目指す企業などと、それを使うユーザーである住民などとは、持っている知識量に大きな差があります。例えば、燃料電池を普及させるには、その原料となる水素ガスの供給システムが社会インフラストラクチャーとして必要になります。水素ガスの大量製造法として、製鉄メーカーの転炉を使う方法の要素技術は、ある程度確立されています。この方法以外にも、水素ガスを安く、安定して供給する方法が研究開発されています。
こうした要素技術の研究開発や事業化の進行と同時に、例えば燃料電池の事業化では、水素ガスに依存する未来社会の是非、具体的な例では水素ガスを身近に置くことの是非などを議論し、ユーザーのコンセンサスを得る必要があります。ユーザーという曖昧な表現ではなく、地域住民のコンセンサスを得ることが重要になります。
日本は温暖化ガスの削減を熱心に図っています。京都議定書を踏まえて、民主党の鳩山由紀夫前首相は「温室効果ガスを1990年比で2020年までに25%削減する」と宣言しています。このために、企業と地域住民は具体的に何をするのか議論する必要があります。新エネルギーの実用化と温暖化ガスの削減を同時にどのように進めるか、この連立方程式を解く必要があります。
こうした時に大事なことはコミュニケーションです。西條教授によると、地域住民などのユーザーが連携するにはコミュニケーション・デザインが重要になります。「誰と一緒にどうなりたいのかという、目的」「そのために何をするのかという、計画」、そしてその計画を実行して「どうなったかという、反省」「何をどう変えるかという、修正」をしっかり考えないと、お互いにコミュニケーションはとれません。「話せば分かる」というデザイン無しのコミュニケーションは、鳩山前首相の行動をみれば、その結果は明らかです。
西條教授の研究グループは、静岡県掛川市で新エネルギー、特に太陽光発電システムが普及する際の住民に対するアンケート調査を始めているそうです。太陽光発電システムを導入した住民に「発電性能の自己診断に必要な情報提供」などをアンケート調査されているとのことです。住民の相互扶助による環境教育など、市民と行政、企業、大学の連携による地域の問題を解決するやり方を研究されているとのことです。
複雑化する社会システムを個人としてどう理解し、行動していくかは大きな課題です。その時に重要となるのは、きちんと議論できるコミュニケーション能力です。

講義「新エネルギービジネスとコミュニケーション」は、企業や大学などの外部講師が「コンプライアンスの取り組み」「企業倫理と技術者倫理」などの広範囲なテーマも講義されます。複雑な社会を理解するきっかけを与えてくれそうです。かなりの難問が次々と提示され、考え出すきっかけを与えてくれます。この講義ではディスカッションの場が設けられ、多様な意見をぶつけ合うことが重視されています。
イノベーションを起こすには、いろいろな人と話し合い、様々な連携を実現することが不可欠です。コミュニケーション能力がイノベーターには重要となります。
6月10日木曜日から21日月曜日までのウイークデーの夜に開講される集中授業です。この講義は「エネルギー分野で異業種間コミュニケーションできる人材を育てる」ことが狙いだそうです。この狙いは複層的です。「企業のニーズと地域のニーズに基づくコミュニケーション」という二つのニーズを考えることも狙いだそうです。
講義の主宰者・企画者は、2009年11月に横断組織として設立された環境エネルギー機構の西條美紀教授です。原籍は留学生センターに所属し、東工大で科学技術コミュニケーション論を展開している中心の方です。

その西條教授が企画し、企業の方々をゲスト講師としてお呼びしてお話を伺います。午後6時から7時を間30分までの講義で、大学院の修士課程の学生の方が多く受講しています。社会人の方もいますが、ほとんどが東工大大学院の方のようです。
「新エネルギービジネスとコミュニケーション」という講義内容は、カリキュラムのタイトルからは、最初は全貌(ぜんぼう)がつかめませんでした。第1回目の西條教授ご自身による講義全体の狙いの説明を伺って、中身を自分なりに理解しました。
現在の複雑な社会システムの中で生きるには、コミュニケーション能力が重要になります。今回の講義は社会システムを「エネルギー」という切り口で考えてみましょうということのようです。そのためには、コミュニケーション能力が重要になるとのことのようです。
日本はエネルギーの大部分を輸入に依存している先進国です。「石油などの化石燃料は約30年で枯渇する」と言われ続けています。少なくとも石油はかなり掘り出し、新しい油田を探し続けています。このため、かなり採取した油田からさらに採油する仕組みを導入したり、足場の悪い海底油田などにも頼る必要が出て来ています。その結果の一つが、米国メキシコ湾の原油流出事故です。米国は油田の代わりに、オイルサンド(原油がしみ込んだ石や砂など)を原油源にする計画も進めています。
最近の日本での便利な生活はエネルギー多消費に支えられています。このため、日本は石油やLNG(液化天然ガス)を輸入し、発電源や自宅の熱源として利用しています。その一方で、新エネルギー源として太陽光発電や風力発電、地熱発電などのシステムの事業化を強力に推進しています。燃料電池や海洋温度差発電の製品化も図っています。特に、家庭用燃料電池は世界で初めて日本企業が製品化しました。詳細は公表できませんが、太陽光発電の研究開発プロジェクトや海洋温度差発電の要素技術開発などの評価にかかわった経験を持っています。実は今、バイオマス・エネルギーの研究開発など「グリーンイノベーション」の一部を評価している最中です。
新エネルギー製品・事業の研究開発では、事業化を目指す企業などと、それを使うユーザーである住民などとは、持っている知識量に大きな差があります。例えば、燃料電池を普及させるには、その原料となる水素ガスの供給システムが社会インフラストラクチャーとして必要になります。水素ガスの大量製造法として、製鉄メーカーの転炉を使う方法の要素技術は、ある程度確立されています。この方法以外にも、水素ガスを安く、安定して供給する方法が研究開発されています。
こうした要素技術の研究開発や事業化の進行と同時に、例えば燃料電池の事業化では、水素ガスに依存する未来社会の是非、具体的な例では水素ガスを身近に置くことの是非などを議論し、ユーザーのコンセンサスを得る必要があります。ユーザーという曖昧な表現ではなく、地域住民のコンセンサスを得ることが重要になります。
日本は温暖化ガスの削減を熱心に図っています。京都議定書を踏まえて、民主党の鳩山由紀夫前首相は「温室効果ガスを1990年比で2020年までに25%削減する」と宣言しています。このために、企業と地域住民は具体的に何をするのか議論する必要があります。新エネルギーの実用化と温暖化ガスの削減を同時にどのように進めるか、この連立方程式を解く必要があります。
こうした時に大事なことはコミュニケーションです。西條教授によると、地域住民などのユーザーが連携するにはコミュニケーション・デザインが重要になります。「誰と一緒にどうなりたいのかという、目的」「そのために何をするのかという、計画」、そしてその計画を実行して「どうなったかという、反省」「何をどう変えるかという、修正」をしっかり考えないと、お互いにコミュニケーションはとれません。「話せば分かる」というデザイン無しのコミュニケーションは、鳩山前首相の行動をみれば、その結果は明らかです。
西條教授の研究グループは、静岡県掛川市で新エネルギー、特に太陽光発電システムが普及する際の住民に対するアンケート調査を始めているそうです。太陽光発電システムを導入した住民に「発電性能の自己診断に必要な情報提供」などをアンケート調査されているとのことです。住民の相互扶助による環境教育など、市民と行政、企業、大学の連携による地域の問題を解決するやり方を研究されているとのことです。
複雑化する社会システムを個人としてどう理解し、行動していくかは大きな課題です。その時に重要となるのは、きちんと議論できるコミュニケーション能力です。

講義「新エネルギービジネスとコミュニケーション」は、企業や大学などの外部講師が「コンプライアンスの取り組み」「企業倫理と技術者倫理」などの広範囲なテーマも講義されます。複雑な社会を理解するきっかけを与えてくれそうです。かなりの難問が次々と提示され、考え出すきっかけを与えてくれます。この講義ではディスカッションの場が設けられ、多様な意見をぶつけ合うことが重視されています。
イノベーションを起こすには、いろいろな人と話し合い、様々な連携を実現することが不可欠です。コミュニケーション能力がイノベーターには重要となります。
様々な分野からメンバーが集まりコミュニケーションデザインを検討しています。劇の演出家の平田オリザさんも、このセンターの教授です。