5月のはじめ頃だったでしょうか。
しばらく乗ることもなく庭の片隅に停めておいた、
ばぁばのバイクのかごのヘルメットの中にキセキレイの巣を発見しました。
翼と尾が黒褐色、お腹が黄色のスズメほどの大きさの鳥で、
「チチッ、チチチッ」と高くてきれいな声でさえずります。
どうも卵を温めている様子。
親鳥が巣を離れたスキに、卵が6つあることを確認しました。
5月7日、孵化しました。
もごもごと動く、小さな塊は見るからにか弱く、今にも壊れそう。
ふんわりとした灰色の産毛に覆われてはいるものの、体全体が黄色い。
くちばしを開けて、必死にエサを求めています。
それまでじっとじっと卵を温めつづけていた親鳥は一転、
エサを探しに飛び回っています。
毎春、ツバメのひなが生まれた直後にカラスやヘビにやられつづけているわが家。
どうか無事に育ちますように。
子ども達も心配でならない様子で、日に何度ものぞきに行っています。
5月17日、孵化から1週間。
見る見るうちに毛も生え、体つきもふっくら、しっかりしてきました。
これだけ成長するには、一体どれだけ食べているのだろう…。
エサを求めて奔走する親鳥の姿に、思わず胸が熱くなります。
ひなは5羽いる模様。みんな元気に育っています。
5月20日、孵化から2週間。
日々、すざましい勢いで成長するひなたち。
ついに巣の中に収まりきれなくなって、重なるようにして身を寄せ合っています。
毛並みもしっかりとしてきて、今にも飛び立ちそうな気配。
飛ぶ姿を見せるかのように、親鳥はつがいで巣の周りをしきりに飛び回っています。
夕方、帰宅した子ども達と巣をのぞいてみると、
バイクのかごのふちに、つかまるように停まっているひなの姿が…。
そして次の瞬間、ひなが飛び立ったのです!
いつの間に「飛ぶ」ことを覚えたのでしょう。
バイクから庭の柿の木へ、見事な飛びっぷりでした。
その時点で、巣の中に残っていたひなは2羽。
しばらくしてからのぞいてみるとその2羽の姿もなく、空っぽになった巣が残っていました。
5羽のひなは無事に巣立ちました。
小さな生命が生まれ、巣立つまでの2週間。
生命の力強さ、親鳥のけなげさ、キセキレイの姿に感動しっぱなしの母ちゃんでした。
今夜はどこで過ごしているのだろう…。
外はしとしと、雨が降っています。
この空の下、これからもひなたちが無事に成長しますように…。
母ちゃん
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