ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

黒森ダム

2023-03-22 19:00:00 | 福島県
2015年12月19日 黒森ダム
2023年 3月17日 

黒森ダムは福島県西白河郡西郷村小田倉の阿武隈川水系黒川左支流大沢川にある灌漑目的のアースフィルダムです。
ダム便覧には1932年(昭和7年)に福島県の事業で竣工と記されており、県の用水改良事業等で建設されたものと思われます。
管理は小田倉水利組合が行っています。
ダムへの入り口には立ち入り禁止を示す標識があり、管理道路にはチェーンが張ってあります。
2015年(平成27年)の初回訪問時は洪水吐導流部を下流から見るのみでしたが、西郷村産業振興課の立ち入り許可を得て2023年3月17日に再訪しました。
 
栃木県那須町に隣接する小田倉地区はバブル期に大規模なリゾート開発がすすめられましたがバブル崩壊でとん挫、不似合いな4車線の道が残されています。
現在はリゾート予定跡地各所で大規模なソーラー発電所の建設が進められ、雑然とした雰囲気です。
クリーンエネルギーと言う名目で美しい自然が黒いソーラーパネルの生まれ変わるのははっきり言って違和感しかありません。
立派な道路の突き当たりから黒森川沿いのダート道を進むと黒森ダム入口に到着します。
ダム入り口にある立ち入り禁止を示す標識。
前回はここで引き返しました。


堤体直下まで進むと取水設備からの底樋管が現れます。
灌漑期は4月半ばからなので、今は利水放流はありません。


右岸から見上げる下流面
基部には石積みの擁壁がありますが、石はかなり崩れています。


左岸管理道路から
犬走を挟んで2段構成の堤体は芝生のようにきれいに刈りこまれています。
堤高20.2メートル、堤頂長170メートルの横長堤体。


天端入り口にある厳重な門扉
今回は立ち入り許可を得ての見学です。


車道一車線幅ほどの天端


天端からは那須連峰が望めます。
中央は三本槍ヶ岳、左は朝日岳。


右岸の斜樋。


天端から下流を見下ろします。
受益地となる農地は遥か下流、右手の山は栃木県と県境になります。


総貯水容量53万立米の貯水池。
4月半ばからの通水を控えてすでに満水。


上流面はコンクリートで護岸。


右岸の横越流式洪水吐。
薄く越流しています。


ダムの入り口から少し上流に進むと洪水吐減勢工の前に出ます。


ダム下流の灌漑用水路
黒川沿いの水田に灌漑用水を供給します。
左奥に堤体が垣間見えます。

3336 黒森ダム(0127)
ため池データベース 074610003 
福島県西白河郡西郷村小田倉 
那珂川水系大沢川 
 
 
20.2メートル 
170メートル 
530㎥/500㎥ 
小田倉水利組合 
1932年

鉄山ダム

2017-10-22 15:27:11 | 福島県
2017年10月8日 鉄山ダム
 
鉄山ダムは福島県南相馬市原町区馬場の太田川水系太田川源流部にある灌漑用目的のアースフィルダムです。
ダム便覧には太田川沿岸土地改良区の事業で1938年(昭和13年)に竣工とあり、土地改良区の前身となる耕地整理組合の事業で建設されたと思われます。
ダムサイトに竣工記念碑がありますが、立ち入り禁止エリアのため碑文を読むことが出ず建設に至る由来やその後の経緯などは不明です。
現在は土地改良区の統合により南相馬市土地改良区が管理を行っていますが、受益地の大半が福島第一原発事故による旧避難指示区域のため貯水は行われていません。
 
南相馬市街から県道49号を南下し、横川ダムの先を4キロほど進むと左手に鉄山ダムの堤体が見えてきます。
下流面は犬走りを挟んで2段構成、草が刈られきれいに管理されています。
水を流す農地はいまだありませんが、来るべき日に備えてきちんと管理されている様は心を打たれます。
 
天端はフェンスに囲まれ立ち入り禁止。
目の前に竣工記念碑がありますが、碑文は反対側のため読むことができません。
 
天端。
 
総貯水容量107万6000立米と灌漑用溜池としてはかなりの規模ですが、水はほとんど溜まっていません。
受益地の大半が旧避難指示区域のため震災以降は低水位での運用が続いています。。
 
右岸の洪水吐と取水設備。
 
ダム下も立ち入りできませんので底樋の確認もできませんでした。
 
追記
鉄山ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には水位低下運用により新たに洪水調節容量が確保されることになりました。
 
0474 鉄山ダム(1164)
福島県南相馬市原町区馬場
太田川水系太田川
25.2メートル
200メートル
1076千㎥/1076千㎥
南相馬市土地改良区
1938年
◎治水協定が締結されたダム

横川ダム

2017-10-22 14:01:47 | 福島県
2017年10月8日 横川ダム
 
横川ダムは福島県南相馬市原町区馬場の太田川水系太田川上流部にある南相馬市が管理する灌漑・工業用水目的の重力式コンクリートダムです。
昭和30年代半ばより当時の原町市南部地域では灌漑用水及び工業用水向けの地下水の過剰摂取による地盤沈下が顕著となり、沈下は年最大2メートルにも及び深刻な問題となってきました。
そこで福島県は地盤沈下対策事業を採択し1984年(昭和59年)に灌漑用水及び工業用水源として横川ダムが建設されました。
横川ダムは原町区988.68ヘクタールの農地への灌漑用水の供給および原町区内の工場および原町火力発電所向けの工業用水の供給を目的として運用され、現在は南相馬市が受託管理を行っています。
横川ダム運用開始に合わせて原町市は市街中心部を地下水採取規制区域に指定、その後同区域での地盤沈下は大きく改善しています。
 
原町中心部から県道49号を南西に進み県道34号を分けると横川ダム管理事務所を示す標識があります。これに従って管理道路を右折すると横川ダム左岸ダムサイトに到着します。
左岸下流側から
クレストは赤いラジアルゲートが2門、オリフィスやコンジットゲートはありません。 
 
下流面。
 
上流面には円形の取水設備。
 
天端は立ち入り禁止でしたが嘱託の管理人さんにお願いしたら写真撮影の許可を頂きました。
 
利水放流設備や減勢工は初めて見る構造です。
左下の建屋は利水放流設備で左手の水路は工業用水向け、右手は灌漑用水向け水路です。
 
導流部下にはシュートブロック、減勢工にはバッフルピアとエンドシルが設置されています。
灌漑用水のうち雲雀ヶ原幹線水路へは奥の青い鉄管で揚水され、南野幹線水路へは減勢工手前の取水口から供給されます。
 
ダム湖は総貯水容量1365万立米。 
 
県道49号線から上流面を見ることができます。
特徴的な半円形の取水設備。
 
 
ダム左岸に管理事務所があります。 
 
 
利水放流設備と減勢工の構造に特徴がありますが、推察のみで実際の仕組みについてはよくわかりません。
次回は市の職員が駐在する平日に再訪してこの施設の仕組みを詳しく教えていただきたいと思います。
 
追記
横川ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には水位低下運用もしくは事前放流により新たに204万~521万立米の洪水調節容量が確保されることになりました。
 
0519 横川ダム(1163)
福島県南相馬市原町区馬場
太田川水系太田川
AI
78.5メートル
200メートル
13650千㎥/12750千㎥
南相馬市
1984年
◎治水協定が締結されたダム

高の倉ダム

2017-10-22 12:20:49 | 福島県
2017年10月8日 高の倉ダム
 
高の倉ダムは福島県南相馬市原町区高倉の新田川支流水無川上流部にある灌漑目的の重力式コンクリートダムです。
新田川および右支流の水無川流域は、扇状地形のため中流域は伏流水となり渇水のたびに干ばつ被害が頻発し安定した灌漑用水源の確保は流域農家の悲願となっていました。
1969年(昭和44年)に福島県は農林省の補助を受けた県営かんがい排水事業を採択し、その中核施設として1976年(昭和51年)に完成したのが高の倉ダムです。
現在は南相馬市が管理を受託し、原町区831.5ヘクタールの農地に灌漑用水を供給しています。
 
南相馬市街から県道62号を西進すると高の倉ダム湖に到着します。
総貯水容量は600万立米と本州の農業用ダムとしてはかなり大きな貯水池です。 
 
管理道路を進むと堤体が見えてきます。
クレストには2門の赤いラジアルゲートがあります。
 
ゲート右手に楕円形の取水設備、奥は艇庫です。
 
インクラインと艇庫。
 
天端は立ち入り禁止。
 
下流面
対岸に管理事務所があります。
残念ながら下流側からゲートを拝める場所はありません。
 
農業用ダムとしては珍しくクレストにラジアルゲートを装備したダムですが、ガードは固く見学ポイントは限られています。
 
追記
高の倉ダムは洪水調節容量のない利水ダムですが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には水位低下運用もしくは事前放流により新たに90~250万立米の洪水調節容量が確保されることになりました。 
 
0516 高の倉ダム(1162)
福島県南相馬市原町区高倉
新田川水系水無川
54.2メートル
124.4メートル
6000千㎥/5700千㎥
南相馬市
1975年
◎治水協定を締結したダム

毛戸ダム

2017-10-19 11:14:28 | 福島県
2017年10月8日 毛戸ダム
 
毛戸(もうど)ダムは福島県双葉郡川内村下川内の二級河川富岡川水系富岡川右支流(河川名未確認)にある灌漑目的のアースフィルダムで得す。
ダム便覧によれば福島県の事業で1962年(昭和37年)に建設されました。
双葉郡富岡町一帯は豊かな土壌と温暖な気候に恵まれながら水利に乏しく農地開拓の妨げになってきました。
戦前に荻ダム、館山溜池が建設されるも十分な用水確保には至らず、新たな水源確保を目的として農林省(現農水省)の補助を受けた県の事業で建設されたのが毛戸ダムです。
管理は富岡町土地改良区が行い550ヘクタールの農地に灌漑用水を供給していました。
2011年(平成23年)の滝川ダム竣工により富岡町土地改良区管内の灌漑用水給水は盤石なものとなるはずでしたが、原発事故により富岡町一帯は避難指示区域となり一時的にダムの受益者が消えてしまいました。
その後の除染活動により富岡町は北東部の帰還困難区域を除いて避難指示区域から解除されましたが、農業の完全復興へはいまだ道半ばです。
 
常磐富岡インターから県道36号を東進、川内村に入り毛戸川バス停を右に折れ川沿いに北上すると毛戸ダムに到着します。
天端はダートですが車は通れます。
 
上流面は石積みで護岸。
 
総貯水容量は76万1000立米。
山中の灌漑用溜池としては結構大きな規模です。
 
下流面。
 
ダム下に下りることができます
草は伸びていますが、手入れはされているようです。
 
ダム下には取水設備からの底樋がありますが、草木の繁茂が著しく写真を撮れませんでした。
 
右岸から
止まっている車は釣師のものです。
 
右岸堤体の先にコンクリート作りの立派な斜樋機械室。
 
洪水吐が見当たりませんでしたが、帰宅後調べるとこの取水設備のさらに先にありました。
堤体とは地山を挟んで離れたタイプです。
さらにダム湖入口に記念碑があるようです。
予習不足・・・・。
 
0508 毛戸ダム(1161)
福島県双葉郡川内村下川内
富岡川水系富岡川
22メートル
180メートル
544千㎥/544千㎥
富岡町土地改良区
1965年

滝川ダム

2017-10-18 17:48:50 | 福島県
2017年10月8日 滝川ダム
 
滝川ダムは福島県双葉郡富岡町上手岡の二級河川富岡川水系富岡川上流部にある灌漑目的の重力式コンクリートダムです。
農水省の補助を受けた福島県のかんがい排水事業により2002年(平成14年)に着工、2011年(平成22年)に竣工し、試験湛水を経て富岡町土地改良区が受託管理して運用が開始される予定でした。
しかし、試験湛水が満水位に到達する直前の2011年(平成23年)3月11日の東日本大震災及び福島第一原発事故により状況は一変、富岡町は避難指示区域となり住民の大半は避難、滝川ダムの受益地となる予定だった農耕地からは人が消えてしまいました。
その後の除染事業により富岡町は北東部の帰還困難区域を除いて避難指示区域から解除されましたが、農業の完全復興はいまだ道半ばです。
 
常磐富岡インターから県道36号を西進、富岡川に架かる龍海大橋から滝川ダムと正対できます。
堤高74.3メートル、クレストには10門の自由越流式洪水吐が並び農業用コンクリートダムとしては非常に立派なダムです。 
 
 
左岸展望台から。
左右両岸に堤趾導流壁があります。
 
運用直前に震災が発生し、原発事故により受益者が消えてしまったまさに不運のダムと言えます。
総貯水容量594万立米、当初の計画通り受益予定面積743ヘクタールに給水が可能になる日が来るのを心から願うばかりです。
 
2913 滝川ダム(1160)
福島県双葉郡富岡町上手岡
富岡川水系富岡川
74.3メートル
213メートル
5945千㎥/5165千㎥
福島県農林水産部
2011年

坂下ダム

2017-10-18 16:20:13 | 福島県
2017年10月8日 坂下ダム
 
坂下ダムは左岸が福島県双葉郡大熊町大川原、右岸が富岡町上手岡の熊川水系大川原川上流部にある灌漑・発電目的の重力式コンクリートダムです。
当初は農林省の補助を受けた福島県の事業によるがんがい目的のアースフィルダムとして計画されますが、福島第一原発の建設を決定し原発向け冷却用水源を模索していた東京電力がこのダム事業に事業参加し、ダムの型式もアースフィルから重力式コンクリートに変更されました。
坂下ダムは1973年(昭和48年)に竣工し、大熊町への灌漑用水の供給および東京電力福島第一発電所への冷却用水の供給を目的としており、福島第一原発への導水路は東京電力が自社費用で建設しました。
運用開始後は大熊町が受託管理を行っています。
 
2011年(平成23年)の東日本大震災による福島第一原発事故以降は同原発廃炉作業向けに用水供給を行っています。
坂下ダム用水供給概要図(現地案内板より) 
 
常磐道城番富岡インターから県道岩城波江線を北上して大熊町に入ると、上平バス停の先に坂下ダムを示す標識が現れます。
これに従って町道を西進すると坂下ダム左岸に到着します。
堤高43メートルに対して堤頂長243メートルの横長ダムです。
原発事故のため、大熊町内では農業がおこなわれておらずクレストゲートは常時開放されています。
 
左岸から。
 
上流面
ゲートの奥に取水設備があります。
 
普段は天端は立ち入り禁止ですが、NPO向けの見学会が行われており同伴させていただくことができました。
ゲート部分だけ上流側に張り出しています。
 
左岸のインクラインと艇庫
奥に管理事務所があります。
 
減勢工と利水放流設備。
ここで河川維持用水、灌漑用水、東電向け用水が分水されます。
右奥に伸びる水路は灌漑用水路です。
 
天端から福島第一原発が遠望できます。
 
ダム湖は総貯水容量284万立米。
原発事故以前は日蔭山の登山口として、また浜通りでは有名な釣りスポットとして多くの来訪者がありましたが、訪問時はダム湖周回路は立ち入り禁止でした。
 
取水設備。
 
アングルを変えて。
 
0514 坂下ダム(1159)
左岸 福島県双葉郡大熊町大川原
右岸 福島県双葉郡富岡町上手岡
熊川水系大川原川
AP
43メートル
231メートル
2840千㎥/2532千㎥
大熊町
1973年

新池

2017-10-17 17:50:01 | 福島県
2017年10月8日 新池
 
新池は福島県いわき市四倉町白岩の仁井田川水系白岩川源流部にある灌漑目的の重力式コンクリートダムです。
ダム便覧には1942年(昭和17年)にいわき市の事業で建設と記されており、当時の四倉町の事業で建設されたようです。
管理は白岩地区が行っています。
 
常磐道いわき四倉インターから県道35号を北上すると左手に新池が見えてきます。
ただ堤体の入口手前に規制があり堤体への立ち入りはおろか竣工記念碑も見ることができません。
 
越流部。
 
上流から
狭隘な谷間に作られダム便覧記載の堤頂長26メートルもあるようには見えません。
 
総貯水容量25万立米の細長い貯水池。
 
帰宅後調べるとダム下へ下りるルートがあったようです。
コンクリートは戦前のものとは思えず竣工当時からコンクリートの堰堤だったのか?謎が残ります。
是非とも竣工記念碑を読んでみたいのですが・・・。
 
3407 新池(1158)
福島県いわき市四倉町白岩
仁井田川水系白岩川
15.4メートル
26.3メートル
250千㎥/250千㎥
白岩地区
1942年

木戸ダム

2017-10-17 08:00:00 | 福島県
2015年12月18日 木戸ダム
2017年10月  8日 
 
木戸ダムは左岸が福島県双葉郡楢葉町大谷、右岸が同町上小塙の木戸川水系木戸川中流部にある福島県土木部が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
木戸ダムは建設省(現国交省)の補助を受けて建設された補助多目的ダムで、木戸川の洪水調節、安定した河川流量の維持と既得取水権への用水の補給、双葉地方広域水道供給企業団(現双葉地方水道企業団)を通じた広野町・楢葉町・富岡町・大熊町・双葉町への上水道用水及び工業用水の供給を目的として2008年(平成20年)に竣工しました。
しかし2011年3月11日の東日本大震災を受けて受益地域の大半が津波被害及び福島原発事故による避難指示区域に指定され木戸ダムの利水運用は一時的に停止しました。
その後、避難指示区域の再編により津波被害区域及び帰還困難区域以外への給水は徐々に復旧しています。
 
県道250号線を木戸川沿いに西進すると木戸ダムに到着します。
ダム下は立ち入り禁止のため左右両岸および上流側からの見学となります。
非常用洪水吐として自由越流式クレストゲート8門、常用洪水吐として自然調節式オリフィスゲート3門を装備したゲートレスダムです。
(2017年10月8日)
 
右岸展望台から、手前が管理事務所
(2017年10月8日)
 
上流面
堤体中央に取水設備があります。
 
右岸ダムサイトのモニュメント、山と谷そしてダムを表現しています。
(2017年10月8日)
 
天端は車両通行可
納車したばかりのBMWF87M2の初ドライブです。
(2017年10月8日)
 
天端から
3門のオリフィスゲートから放流されています、右手は利水放流設備。
 
左岸から減勢工(2017年10月8日) 
 
木戸川湖と命名されたダム湖は総貯水容量1847万立米。 
(2017年10月8日)
 
堤体は左岸で少し屈曲しています。
(2017年10月8日)
 
天端車道もカーブを描いています。
(2017年10月8日)
 
左岸上流から。
 
懸命の復興作業により双葉地区5町の立ち入り制限地域は大きく減少し、避難していた住民の帰還も徐々に進んでいます。
しかし震災前は浜通り有数の景勝地として多くのハイカーや観光客が訪れた木戸川渓谷は閑散としたまま、公園として整備されてたダム周辺も草木が生い茂り荒れ放題の状況です。
木戸ダムが本来の機能を発揮し、木戸川渓谷やダムに人々の声が響き渡る日が来るのはまだまだ遠い先になりそうです。
 
追記
木戸ダムには1140万立米の洪水調節容量が設定されていますが、治水協定により豪雨災害予想される場合に事前放流によりさらに49万立米の洪水調節容量が確保されることになりました。
 
0539 木戸ダム(0120)
左岸 福島県双葉郡楢葉町大谷
右岸        同町上小塙
木戸川水系木戸川
FNWI
93.5メートル
350メートル
福島県土木部
2007年
◎治水協定が締結されたダム

小玉ダム

2017-10-17 02:00:00 | 福島県
2015年12月19日 小玉ダム
2017年10月  8日
 
小玉ダムは福島県いわき市小川町高萩の夏井川水系小玉川にある福島県土木部が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
建設省(現国交省)の補助を受けて建設された補助多目的ダムで、小玉川および夏井川の洪水調節、安定した河川流量の維持と既得取水権への用水補給、いわき市への上水道用水の供給、いわき市好間工業団地への工業用水の供給、東北電力小玉川第一発電所での最大2800キロワットのダム水路式発電を目的として1996年(平成8年)に竣工しました。
 
いわき市街から国道399号線を北上し小玉ダムや草野心平記念館の表示に従って市道を西に折れると左岸ダムサイトに到着します。
左岸から上流面、ちょうど朝日が差し込んできました。
 
下流面
クレストには自由越流式洪水吐がずらっと並びます。
 
ダム湖の石碑(2017年10月8日) 
 
左岸のインクラインと艇庫。(2017年10月8日) 
 
天端は歩行者のみ通行可。
 
円形テラス状の出っ張りと青い屋根が小玉ダム各建屋に共通したデザインです。
対岸にインクラインと艇庫
取水設備の手前にオリフィスゲートの取水口が見えます。
 
減勢工
利水放流設備から河川維持放流が行われています。
 
天端から海が見えるます。
 
ダム湖(こだま湖)は総貯水容量1393万立米
湖岸には大きな鬼の壁画があります。
いわきはもともと『岩鬼』が由来とされ周辺には多くの鬼伝説がありこれをモチーフとしたようです。
ちなみに鬼の正体は大和朝廷に反抗した蝦夷と言われています。
 
天端に描かれたいわき市の地図。
 
追記
小玉ダムには960万立米の洪水調節容量が設定されていますが、治水協定により豪雨災害予想される場合に事前放流により新たに最大180万立米の洪水調節容量が確保されることになりました。
 
0527 小玉ダム(0121)
福島県いわき市小川町高萩
夏井川水系小玉川
FNWIP
102メートル
280メートル
13930千㎥/12230千㎥
福島県土木部
1996年
◎治水協定が締結されたダム

小玉第二発電所取水ダム

2017-10-17 00:00:00 | 福島県
2017年10月7日 小玉第二発電所取水ダム
 
小玉第二発電所取水ダムは福島県いわき市三和町下永井の夏井川水系小玉川上流部にある東北電力の発電目的の重力式コンクリートダムです。
1935年(昭和10年)に平電力によって建設されますが1942年(昭和17年)の配電統制令により東北配電により接収、1951年(昭和26年)の電気事業再編政令により東北電力が事業継承しています。
ここで取水された水は約1600メートルの導水路を経て小玉川第二発電所に送られ最大2920キロワットのダム水路式発電を行っています。
なお堤高が8メートル強と河川法のダムの要件を満たしていないためダム便覧には掲載されていません。
 
磐越道いわき三和インターから県道66号を北上、明神橋を左折して小玉川沿いに隘路を下ると小玉第二発電所取水ダムに到着します。
堤高8メートル強ながらラジアルゲート2門を備えた立派なダムです。
 
立ち入り制限のため下流から対峙できないのが残念。
 
 
天端も立ち入り禁止。
 
上流から
手前に取水口があります。
 
ダム湖
ウィキペディアによれば総貯水容量は440万7000立米
かなり堆砂が進んでおり有効貯水容量は半分もないような・・・。
 
小玉第二発電所もなかなか趣のある建屋でしたが写真を撮り忘れる大チョンボ!
 
小玉第二発電所取水ダム
福島県いわき市三和町下永井
夏井川水系小玉川
8.03メートル
86メートル
東北電力
1935年

新郷ダム

2017-07-06 18:03:01 | 福島県
2016年6月19日 新郷ダム
2017年6月24日
 
新郷ダムは福島県喜多方市高郷町塩坪の阿賀野川(福島県内では阿賀川)本流にある東北電力の発電用重力式コンクリートダムです。
阿賀野川の電源開発を行っていた東信電気が、阿賀野川での同社3基目のダムとして1939年(昭和14年)に完成しましたが、直後に日本発送電が誕生し接収、戦後の電力分割民営化で東北電力が事業継承しました。
運用開始当初は新郷発電所で最大出力5万1600キロワットの発電を行っていましたが、1984年(昭和59年)に最大出力3万8800キロワットの第二新郷発電所が増設され、現在は併せて9万400キロワットの認可出力となっています。
新郷ダムはコンクリート製のゲートピアに被膜された管理橋、扶壁前面の歩廊と鹿瀬ダム以来の東信電気のスタイルを継承しているほか、ダム右岸に筏を通す閘門の遺構が残っています。
これらの戦前の貴重な土木建築を評価され近代土木遺産に選定されています。
 
山郷ダムから県道16号を東に走り、県道340号を右折すると阿賀川にかかる塩坪橋からダムを正面に見ることができます。
16門のラジアルゲートが並び左岸に新郷発電所、右岸に第二新郷発電所があります。(2017年6月24日)
 
発電所に向かう側道脇から。
 
コンクリート製のゲートビアに被覆された管理橋が架かるのは鹿瀬ダムや山郷ダムと同じスタイル。
 
右岸側に山郷ダムでも見た構造物があります。
筏を流すための閘門です。
 
右岸を上流に向かいますがフェンスに阻まれなかなかすっきりと見える場所はありません。
沈砂池。
 
発電所の取水ゲート。
 
このアングルで見るとコンクリート製のピア、被覆された管理橋、扶壁前面の歩廊と鹿瀬ダム以来の東信電気のスタイルが継承されていると分かります。
 
右岸に回り込みます。
左岸とダム中央に水叩きが広がります。
 
階段状の水叩きが目を引きます。
新郷発電所もダムと同じ昭和14年竣工です。
 
右岸上流側から。
 
0475 新郷ダム(0472)
近代土木遺産
福島県喜多方市高郷町大字塩坪
北緯37度36分41秒,東経139度44分11秒
阿賀野川水系阿賀野川
27.5メートル
219メートル
22720千㎥/6352千㎥
東北電力(株)
1939年
◎治水協定が締結されたダム

山郷ダム

2017-07-06 12:03:03 | 福島県
2016年6月19日 山郷ダム
2017年6月24日
 
山郷ダムは福島県喜多方市高郷町揚津の阿賀野川(福島県内では阿賀川)本流にある東北電力の発電用重力式コンクリートダムです。
日本発送電時代の1939年(昭和14年)に着工、1943年(昭和18年)に竣工、戦後の電力分割民営化で東北電力が事業継承しました。
運用開始当初より山郷発電所で最大4万5900キロワットの発電を行っていますが、1992年(平成4年)に最大出力2万2900キロワットの山郷第二発電所が増設され、現在の認可出力は併せて6万8800キロワットとなっています。
コンクリート製のゲートピアに被覆された管理橋、扶壁前面の歩廊と東信電気の鹿瀬以ダム以来のスタイルを継承しており、戦前戦時中の貴重な土木建築物として近代土木遺産に選定されています。
ダムと発電所は2011年(平成23年)の新潟・福島豪雨で大きな損害を受けましたが現在は本来の姿に戻っています。
 
西会津から阿賀川沿いに県道16号を東進すると前方に山郷ダムが見えてきます。
左手は第二山郷発電所です。(2017年6月24日)
 
発電所からの放流口
左が第二発電所、右が山郷発電所。(2017年6月24日)
 
左岸下流側から
17門のラジアルゲートが並びます。
 
前面に出っ張ったコンクリート構造物は木材運搬のための閘門の遺構だそうです。
減勢工の造りも特徴的。
 
山郷発電所と放流口
魚道があるので放流口の上がスロープになっています。
 
左岸から
手前には大きな水叩き、被覆された管理橋とゲートビア前面に歩廊があります。
 
上流側から
赤茶色のゲートとクリーム色の管理橋は鹿瀬ダムと同じ組み合わせ。
 
右から4門目の構造物は上流側にも出っ張っています。
 
ダム構内は立ち入り禁止となっています。
が、職員さんによれば地元住民のために職員駐在中に限り生活通路として管理橋を開放しているそうです。
と、いうことで人生初めて被覆された管理橋を歩きます。
 
階段を上り・・・・
 
200メートル強の管理橋です。
空気がよどみ、埃っぽいというのが偽らざる心境。
 
ゲート巻き上げ機が並びます。
 
管理橋の窓を開けると
眼下に水叩きが広がります。
 
右手が山郷発電所、左手が第二山郷発電所です。
手前に例の構造物が近づきます。
 
ダムが建設された昭和10年代後半には木材の運搬にまだ筏が使われていたんでしょうね?
 
 
ダム対岸から。
職員の皆さんはこの歩廊を使って移動されています。
 
山郷発電所の取水ゲート。
 
取水ゲート上流側の沈砂池。
 
右岸側の玄関。
警告板がずらりと貼られ、ぱっと見立ち入り禁止の様相ですがゲートが半開きになっているのには理由があったのです。
 
右岸上流側から
二つの発電所の取水口と沈砂池、取水ゲート、それに本堤が一望できます。
これぞ発電ダムの真髄。(2017年6月24日)
 
ダム巡りを始めて9カ月、人生で初めて被覆された管理橋を歩くことができました。
普通なら車で対岸へ移動するところですが、たまたま職員の方とお話しできたことからこの管理橋が開放されていることを知りました。
発電ダムの連続でちょっと食傷気味でしたが、管理橋の窓から見た下流の眺めは新鮮そのものです。 
 
0478 山郷ダム(0471)
近代土木遺産
福島県喜多方市高郷町揚津
北緯37度36分22秒,東経139度41分15秒
DamMaps
阿賀野川水系阿賀野川
22.5メートル
206.9メートル
7591千㎥/2193千㎥
東北電力(株)
1943年
◎治水協定が締結されたダム

上野尻ダム

2017-07-05 22:13:29 | 福島県
2016年6月19日 上野尻ダム
2017年6月24日
 
上野尻ダムは福島県耶麻郡西会津町上野尻の阿賀野川(福島県内では阿賀川)本流にある東北電力の発電用重力式コンクリートダムで、1958年(昭和33年)に東北電力によって建設されました。
運用当初は上野尻発電所で最大5万2000キロワットの発電を行っていましたが、2002年(平成14年)には最大出力1万3500キロワットの第二上野尻発電所が増設され、併せて6万5500キロワットの発電を行っています。
増設された第二発電所では水力発電としては世界で初めて立軸バブル水車が採用されています。
 
ダムの天端が県道338号線の柴崎橋となっているので、県道338号線を辿れば黙っていてもダムに到着します。
ダムの下流から
実はダムの下流側の撮影ポイントは限られています。この写真を撮った場所も関係者以外立ち入り禁止エリアでしたが、たまたま草刈りをされていた職員の方の許可を得て撮影しました。
 
右岸上流側から
こちらは公園になっていて春には桜が咲き誇るそうです。
左岸側2門だけが自由越流式でゲートがありません。
 
発電所の上のガントリークレーン。
 
取水口の手前に網場を兼ねた桟橋があります。
インクラインの代わりに桟橋を使うのは阿賀野川流域の東北電力のダムではよくみられる光景です。
 
天端は県道338号線の柴崎橋となっており、そこそこ交通量があります。
ゲート部分は歩車分離になっています。
鉄骨トラスのゲートピアに被覆された管理橋が設置されるのは東北電力はおなじみのスタイル。
 
減勢工と発電所。
減勢工のコンクリートが下流側に押し流されていますが、2011年(平成23年)7月豪雨の傷跡です。
発電所の壁面の汚れでわかるように下側の窓直下まで水が上がったそうで、あわや発電所水没の一歩手前だったそうです。
 
左岸下流側から
手前2門だけ自由越流頂になっていますが、たぶん左岸側の護岸目的でしょう。
 
よく見ると天端の下にも鉄骨トラスが見えます。
 
対岸には二つの発電所の取水口が見えます。
左は上野尻発電所、正面が第二上野尻発電所です。
 
左岸に蔦が絡まったプラント跡が残っています。
中にはベンチが置かれ良い日除けとなっていました。
 
ダムの上流には半分落橋した、旧柴崎橋の遺構が残っています。
橋への入り口は草に覆われていたので立ち寄りませんでしたが、廃墟マニアの間では有名な橋だそうです。
 
0495 上野尻ダム(0470)
福島県耶麻郡西会津町大字上野尻
北緯37度37分55秒,東経139度37分53秒
阿賀野川水系阿賀野川
30メートル
190メートル
12370千㎥/2802千㎥
東北電力(株)
1958年
◎治水協定が締結されたダム

真野ダム

2017-05-30 14:45:04 | 福島県
2017年5月28日 真野ダム 
 
真野ダムは福島県相馬郡飯館村の真野川にある福島県営の多目的重力式コンクリートダムです。
真野川は飯館村の三郷森付近に源を発し飯館村から南相馬市鹿島区を東西に横断して太平洋に注ぐ2級河川です。阿武隈山地北東端にあたる相馬地域は山懐が狭い上に真野川は急流河川のため豪雨のたびに流域に洪水被害をもたらしてきました。
一方で渇水による干ばつ被害も多く安定した灌漑用水の確保が求められてきました。
さらに都市化の進展や相馬中核工業団地の造成により都市用水の需要増加が見込まれ新たな水源確保が課題となってきました。
これらの諸課題に対応するため福島県は真野川総合開発事業を策定、その中核施設として1991年(平成3年)に竣工したのが真野ダムです。
真野ダムは真野川の洪水調節、安定した河川流量の保持と既得取水権としての灌漑用水への補給、相馬市等への上水道用水及び工業用水の供給を目的とするほか、東北電力傘下の東北自然エネルギー(株)真野発電所で最大1100キロワットの発電を行っています。
 
真野ダムは県道268号線沿いにありアプローチは簡単です。
ダム下への道は立ち入り禁止ですが、県道から下流面をみることができます。
クレストには自由越流式洪水吐が並び、中央に真っ赤なラジアルゲートが1門設置されています。
 
下流面。
 
堤体には取水設備がビルトインされています。
 
 
天端に埋め込まれた方位版。
 
相馬野間追を描いた陶板。
 
高覧下にも馬が描かれています。
 
ダム湖(はやま湖)
総貯水容量3620万立米
鯉釣りの名所で上流では多くの釣り師が湖畔で糸を垂れていました。
 
堤体は右岸側が緩やかに湾曲しています。
 
右岸上流展望台から
堤体が湾曲しているのがよくわかります
それにしても赤いゲートが鮮やか。
 
同じ展望台からインクラインと『まのダム』の植栽。
 
ダム湖周辺はレクリエーションエリアとしてよく整備されていますが、やや荒れ加減なのは震災の影響なのでしょう。
 
追記
真野ダムには1100万立米の洪水調節容量が設定されていますが、治水協定により豪雨災害予想される場合に事前放流により新たに最大1285万立米の洪水調節容量が確保されることになりました。
 
0524 真野ダム(1011)
福島県相馬郡飯館村大倉
北緯度分秒,東経度分秒
DamMaps
真野川水系真野川
FNWIP
 
69メートル
239メートル
千㎥/千㎥ 
福島県土木部
1991年
◎治水協定が締結されたダム