ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

古谷ダム

2016-04-18 19:00:00 | 長野県
2016年4月16日 古谷ダム
 
古谷(こや)ダムは長野県南佐久郡佐久穂町大日向の信濃川水系抜井川にある長野県建設部が管理する治水目的の重力式コンクリートダムです。
群馬県境に源を発し佐久穂町を横断して佐久穂町中心部で千曲川に注ぐ中河川ですが、急流が続くうえに千曲川との合流点手前3キロ地点で大きく蛇行を繰り返すため豪雨のたびに洪水被害をもたらしてきました。
一方佐久地域は内陸性気候のため年間降水量が1000ミリ程度と少なく渇水による干ばつ被害も深刻な問題でした。
そこで長野県が1982年(昭和57年)に抜井川上流部に建設したのが古谷ダムで、抜井川の洪水調節、安定した流量の保持と既得取水権への補給を目的としています。
 
海瀬から国道299号を東進、臼石温泉を過ぎるとすぐ右手に古谷ダムが見えてきます。
 
右岸から。
 
減勢工。
 
天端は車両通行禁止
右岸に管理事務所があります。
 
ダム湖
ダム湖が切れると古谷渓谷の峡谷となります。
 
左岸から
クレストは自由越流式洪水吐が4門。
中央にコンジットゲートがあります。
 
左岸には展望台がありダムを俯瞰できます。
 
ここから見るダムはサイズ以上に大きく見えます。
 
ダム竣工時に左岸から堤体直下に下りる遊歩道が作られたようですが、今は立ち入り禁止で利用できません。
ダムを下流側から見える場所を探しましたが残念ながら見つかりませんでした。
 
追記
古谷ダムには160万立米の洪水調節容量が設定されていますが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流によりさらに26万6000立米の洪水調節容量が確保されることになりました。
 
1029 古谷ダム(0318)
長野県南佐久郡佐久穂町大日向
信濃川水系抜井川
FN
48[5メートル
162メートル
2200千㎥/1800千㎥
長野県建設部
1982年
◎治水協定が締結されたダム

余地ダム

2016-04-18 15:00:00 | 長野県
2016年4月16日 余地ダム
 
余地ダムは長野県南佐久郡佐久穂町の信濃川水系余地川源流部にある長野県営の多目的重力式コンクリートダムです。
余地川は延長11.8キロの中小河川ですが、急流で蛇行が多いため豪雨のたびに洪水被害をもたらしてきました。
一方佐久地域は内陸性気候のため年間降水量が少なく、渇水による干ばつ被害も頻発していました。
さらに山間部でも下水道が普及したため水需要の増加が見込まれ新たな水源の確保が必要となっていました。
これらの諸課題に対処するために2004年(平成16年)に建設されたのが余地ダムで、抜井川の洪水調節、安定した河川流量の維持と既得取水権への補給、旧佐久町地区への上水道用水の供給を目的としています。
ダム湖の総貯水容量は52万3000立米でいわゆる生活貯水池として建設されました。
 
海瀬から国道299号~県道108号を東に進み、ドン詰まりに余地ダムがあります。
右岸の学習広場から
 
天端は歩行者のみ通行可。
 
右岸に管理事務所があります。
 
減勢工
M字の導流壁が特徴的。
 
小さな貯水池、山を越えれば群馬との県境です。
 
左岸から
 
下流からもアプローチできますが、堤体直下は立入禁止です。
下から見るとあちこちの自治体ダムでよくみられるデザインです。
 
ダムの先の余地峠は道路が整備されておらずこのダムで県道はどん詰まり。
ダム湖右岸は公園になっていますが、ほとんど利用されていないようです。
ダムの下流は千本桜と名付けられた桜がずらっと植樹されています。
花にはまだ早かったですが、満開になればダムに足を延ばす人も増えるのでしょう。
 
追記
余地ダムには26万立米の洪水調節容量が設定されていますが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流によりさらに10万2000立米の洪水調節容量が確保されることになりました。
 
3081 余地ダム(0317)
長野県南佐久郡佐久穂町余地
信濃川水系余地川
FNW
42メートル
147メートル
523千㎥/397千㎥
長野県建設部
2004年
◎治水協定が締結されたダム

香坂ダム

2016-04-18 13:00:00 | 長野県
2016年4月16日 香坂ダム
 
香坂ダムは長野県佐久市香坂の信濃川水系香坂川にある農地防災目的のロックフィルダムです。
農林省(現農水省)の補助を受けた長野県の農地防災事業により1972年(昭和47年)に竣工、完成後は作詞が管理を受託し、香坂川流域の農耕地約250ヘクタールの防災を目的に運用されています。
 
岩村田から県道138号を東に向かうと香坂ダムが右手に見えてきます。
左岸に洪水吐があります。
 
洪水吐導流部と減勢工
右手は取水棟からの水路です。
 
天端は車両通行可能
左岸に取水設備、管理事務所、洪水吐があります。
 
防災ダムということでダム湖はカラカラ。
 
堤体はわずかに湾曲しています。
 
ダムの下流に立ち入ることはできますが、とくに公園として整備されている節はありません。
 
洪水吐と取水棟。
 
洪水吐と小さな管理事務所。
 
追記
香坂ダムには農地防災容量が設定されていますが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流により最大87万立米の洪水調節容量が確保されることになりました。
 
1023 香坂ダム(0317)
長野県佐久市香坂
信濃川水系香坂川
38.5メートル
184メートル
1050千㎥/870千㎥
佐久市
1972年
◎治水協定が締結されたダム

湯川ダム

2016-04-18 12:00:00 | 長野県
2016年4月16日 湯川ダム
 
湯川ダムは左岸が長野県北佐久郡御代田町豊昇、右岸が同町広戸の信濃川水系湯川にある長野県建設部が管理する治水目的の重力式コンクリートダムです。
碓氷峠に源を発する湯川流域は浅間山の火山堆積物により地質がもろく、湯川は洪水のたびに乱流を繰り返してきました。
一方で内陸性気候のため年間降水量がが少なく、安定した灌漑用水の確保も大きな課題となっていました。
これらの課題に対処するために長野県が1978年(昭和53年)に建設したのが湯川ダムです。
湯川ダムは湯川の洪水調節、安定した河川流量の保持と既得取水権としての流域の灌漑用水への補給を目的としています。
湯川ダムは堤高50メートルに対して堤頂長53メートルと広島県の帝釈川ダムに次いで日本で2番目の縦長ダムで、長方形の赤い2門のラジアルゲートが特徴となっています。
 
湯川の天端は御代田町道になっており、ダムの南側は別荘分譲地、北側は農地です。
右岸に管理事務所と駐車スペースがあります。
 
右岸から減勢工。
 
左岸から減勢工
火山堆積物からなる地質はもろく、浸食による深い谷が続いています。
 
真っ赤なラジアルゲート。
 
天端にはゲート巻き上げ機が置かれ、右岸にインクラインがあります。
 
右岸上流から
縦長の2門のラジアルゲートが特徴です。
 
スライドゲートの左にもう1門ゲートがあるようですが残念ながらよく見えません。
 
下流からダムを眺めることができないのが残念ですが、上流から見ても縦長の赤いラジアルゲートは個性満点です。
 
追記
湯川ダムには245万立米の洪水調節容量が設定されていますが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流によりさらに7万1000立米の洪水調節容量が確保されることになりました。
 
1025 湯川ダム(0315)
左岸 長野県北佐久郡御代田町豊昇
右岸            広戸
信濃川水系湯川
FN
50メートル
53メートル
3400千㎥/2700千㎥
長野県建設部
1978年
◎治水協定が締結されたダム

金原ダム

2016-04-18 11:00:00 | 長野県
2016年4月16日 金原ダム
 
金原ダムは長野県東御市和の信濃川水系金原川にある長野県営の多目的ロックフィルダムです。
湯の丸山南西麓から千曲川に注ぐ金原川流域は、年間を通して少雨地帯で金原川の安定した水量と上水道水源の確保は至上命題でした。
一方流域は火山堆積物で形成さているため地盤がもろく。いったん洪水が起きると大きな被害をもたらしました。
そこで長野県が金原川上流部に1999年(平成11年)に建設した治水・利水目的のロックフィルダムが金原ダムです。
金原川流域は透水性が高い一方で地下水位が高く、通常の工法でのダム建設は困難でした。
そこで掘削した貯水池全面を土質ブランケットで止水処理する一方、本体のコアゾーンもブランケットに接続しやすいよう傾斜コア型ロックフィルとする独自の工法が採用されました。
 
県道4号から金原川沿いの市道を北上し信州大学の農場を抜けると金原ダムに到着します。
天端は車両進入禁止。
 
上流面
 
右岸の洪水吐と取水設備
 
堤体直下は立ち入り禁止。
天端からは美ヶ原が遠望できます。
 
ダム湖
貯水池は土質ブランケットで止水処理されており、すべてロックフィルとなっています。
 
洪水吐導流部。
 
洪水吐。
 
洪水吐と上流面。
 
一見普通のロックフィルダムですが、実は透水性の高い火山堆積物で構成された土地に対応するために珍しい工法で建設されたダムでした。
なお、ダム下流側は立ち入り禁止で、ダムを下流から一望できる場所が見つかりませんでした。
 
追記
金原ダムには17万1000立米の洪水調節容量が設定されていますが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流によりさらに11万1000立米の洪水調節容量が確保されることになりました。
 
3011 金原ダム(0314)
長野県東御市和
信濃川水系金原川
FNW
36.5メートル
224メートル
388千㎥/277千㎥
長野県建設部
1999年
◎治水協定が締結されたダム

和池

2016-04-18 10:00:00 | 長野県
2016年4月16日 和池
 
和(かのう)池は長野県東御市にある灌漑用アースダムで和水利組合が管理をしています。
東部湯の丸インターから県道4号を北上し、浅間高原ゴルフクラブを過ぎると和集落の手前で和池が見えてきます。
和集落は湯の丸山南西山麓最奥の集落ですが、山中の侘しさはなく清々しい高原の佇まいです。
 
左岸から
近年改修されたようで堤体はすっきりとしています。
 
天端
手前に洪水吐を跨ぐ橋があります。
 
左岸の洪水吐。
 
上流面。
 
下流面は二段になっており、綺麗に刈りこまれています。
 
右岸の斜樋。
 
和池は標高1000メートル近く、ちょっとした高原のリゾートの佇まい。
 
1006 和池(0313)
ため池コード
長野県東御市和
信濃川水系成沢川
16.6メートル(ため池データベース 23.7メートル)
140メートル
80千㎥/80千㎥
和水利組合
1954年

弁天池

2016-04-18 09:00:00 | 長野県
2016年4月16日 弁天池
 
弁天池は長野県東御市の湯の丸高原南麓の丘陵地にある灌漑用アースダムで、東御市所沢川水系土地改良区が管理をしています。
浅間サンライン沿いの道の駅『雷電くるみの里』の東側の道を山手のほうに上って行くと正面に弁天池の堤体が見えてきます。
 
右手にあるのは上水用タンクで弁天池と直接の関係はありません。
 
ダム周辺の桜はこれからが見頃。右岸は東屋もあるプチ公園となっています。
 
上流面。
きれいに刈り払われています。
 
右岸に斜樋と導水路吐口が見えます。
 
水路はカスケード式
実はこの導水路、ダムの西側の河川からサイフォンで汲み上げています。
果樹園の増加で年間を通して水需要が高まったため改修で追加された施設です。
 
洪水吐はトンネル式
洪水吐からは常に越流し、この水は周辺に増えた果樹園に供給します。
 
トンネル式導流部の出口。
 
洪水吐からの水はこの滝を下り用水路に注ぎます。
滝の上には不動明王の石像。
 
ダム右岸には古墳と思しき石室があり、中には男性器と女性器をなぞった石が置かれています。
古墳の石室は現世と黄泉の国との境界で、イザナミ神話を起源とするクナド信仰の原初的形態です。
 
本来貯水の対象だった水田に加えて、果樹園が増加したことで灌漑の目的が変化したようです。
サイフォンで水を汲み上げ常にオーバーフローさせて果樹園に水を供給しています。
もちろん田植え期には取水設備を経由して溜池本来の目的である供給も行います。
 
1005 弁天池(0312)
ため池コード
長野県東御市滋野乙
信濃川水系所沢川
19メートル(ため池データベース 16.3メートル)
130メートル(ため池データベース 122メートル)
112千㎥/112千㎥
東御市所沢川水系土地改良区
1954年

印内耕地整地池

2016-04-18 08:00:00 | 長野県
2016年4月16日 印内耕地整理池
 
印内耕地整地池は長野県佐久市印内、合併前の望月町の北端にある灌漑目的のアースフィルダムです。
大正時代に耕地整地組合(農地所有者の組合団体)によって建設され、現在は御牧ヶ原台地土地改良区が管理をしています。
なお長野県のため池データベースには該当する溜池は登録されていません。
 
左岸から
池の周辺はバブル期に別荘地として開発され、別荘が点在しています。
貯水池奥には望月温泉みどりの村がありその建物が垣間見えます。
 
天端と堤体
下流面は秋に刈り払われたようです。
 
 
ダム湖(悠玄湖)
右上に別荘が見えます。ダム湖奥に竣工碑と取水設備があるようですが、そこへ向かう道は立入禁止でした。
 
天端からは北アルプスが遠望できます。
春霞で鮮明に見えないのが残念。
 
池のすぐ上にフィールドアスレチックののコースがありますが、あまり使われていない雰囲気。
 
ダム便覧によれば普段は水をポンプアップして貯水し、田植え期に利用するというシステムだそうです。
左岸に小さな洪水吐があるとのことですが、気がつきませんでした。
 
3432 印内耕地整地池(0311)
ため池データベース
長野県佐久市印内
信濃川水系大門川
15.4メートル(ため池データベース 2.6メートル
100メートル(ため池データベース 63メートル)
36千㎥/36千㎥
御牧ヶ原台地土地改良区
1922年